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千葉マリーンズ・バトルロワイアル第2章

1 : ◆CLM31pWOr6 :04/11/04 19:43:12 ID:i3vh2FZW
千葉ロッテマリーンズの小説バトルロワイアルスレです。
職人さん大歓迎!一人で書き上げるも良、リレー小説でも良。形式は問いません。
荒らし&度が過ぎる職人さん批判は、徹底無視でお願いします。
関連スレ・リンクはは>>2-10あたり

<前スレ>
千葉マリーンズ・バトルロワイアル
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1097081116/


2 : ◆CLM31pWOr6 :04/11/04 19:47:56 ID:i3vh2FZW
<注意事項>
 職人さんはトリップ推奨
 トリップのつけ方:名前欄に #好きな半角英数文字(8文字)
 例: #password → ◆ozOtJW9BFA

<保管庫>
http://www.age.cx/~marines/cmbr/

<顔文字等>
(~゚∀゚~)千葉ロッテ応援スレ応援サイト(´エカ`)
http://page.freett.com/veteran/

3 : ◆CLM31pWOr6 :04/11/04 19:51:05 ID:i3vh2FZW
<他球団バトロワ現行スレ>
中日ドラゴンズバトルロワイアル第八章
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1094531633/
阪神タイガースバトルロワイアル
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1094306095/
横浜ベイスターズ バトルロワイアル6
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1094388390/
プロ野球12球団オールスター・バトルロワイアル
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1097998843/
近鉄バファローズ・バトルロワイヤル
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1097395419/

<他球団バトロワ保管庫>
讀賣巨人軍バトルロワイアル
ttp://www.geocities.co.jp/Athlete-Crete/5499/
横浜ベイスターズバトルロワイアル
ttp://www003.upp.so-net.ne.jp/takonori/
広島東洋カープバトルロワイアル
ttp://brm64.s12.xrea.com/
中日ドラゴンズバトルロワイアル
ttp://dra-btr.hoops.jp/ (2001年版保管サイト)
ttp://dragons-br.hoops.ne.jp/ (2001年版・2002年版保管サイト)
ttp://mypage.naver.co.jp/drabr2/ (2002年版保管サイト)
ttp://cdbr2.at.infoseek.co.jp/ (中日ドラゴンズバトルロワイアル2 第三保管庫)
福岡ダイエーホークスバトルロワイアル
ttp://www3.to/fdh-br/
阪神タイガースバトルロワイアル
ttp://kobe.cool.ne.jp/htbr/
近鉄バファローズ・バトルロワイアル
ttp://storyteller515.hp.infoseek.co.jp/kbr/


4 : ◆CLM31pWOr6 :04/11/04 19:52:07 ID:i3vh2FZW
こんなもんかな。他あったら補完おながいします


5 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/04 19:54:33 ID:6A13G7hd
>>1
乙です。

ドラゴンズバトロワ2004の保管庫が抜けてます。
http://cdbr2004.hp.infoseek.co.jp/

6 : ◆CLM31pWOr6 :04/11/04 19:57:47 ID:i3vh2FZW
>>5
Σ(゚д゚ ) ガーン
慌ててたので…すみません…orz
しかし512KB制限で埋まるとは思いませんでした。

7 : ◆QkRJTXcpFI :04/11/04 20:03:52 ID:KSe5Kctw
>>1さん
乙です。
こんな形で埋まるとはまったくもって予想外でした・・・

とりあえず前スレ途中だった話をを再度うpしていきます。

8 :洞穴の中で2(1/5) ◆QkRJTXcpFI :04/11/04 20:05:44 ID:KSe5Kctw
「60番・・・!」

藤田宗一はその少年を覚えている。
洞穴の入り口で襲われ、命からがら逃げてきた。
この少年が追ってくると思って、洞穴を急ぎ歩いてきたのだが・・・
「なんで上から落ちてくるんだ?」

藤田の横には成瀬善久が仰向けに倒れていた。
気を失っているようだ。
藤田は岩壁の途中から滑り落ちて腰を打っただけだが、彼は藤田に折り重なるようにして頭から落下したのだ。

「すぅ・・・すぅ・・・」
成瀬の呼吸音が聞こえる。大柄な体とはいえ10代の少年のあどけなさの残る寝顔である。
「こんな子が・・・俺を殺そうとして・・・撃ったのか・・・」
藤田の記憶がよみがえる。正気を失った目で、銃口を向け引き金を引く姿。
藤田は体を少し震わせた。
「今なら・・・」
傍らには成瀬の持っていたデザートイーグルが落ちている。
成瀬はまだ目覚めていない。
全くの無防備、隙だらけ・・・。

「今なら・・・、逃げられる!」
藤田は自分が登ろうとした岩肌を見た。
成瀬と共に落下したため幾らか岩肌は崩れたが、登るのにまだ支障はなさそうだった。
その上には地上へと出る穴が開いている。
「よし、行けるぞぉっ!」

―ミシ、ミシシッ・・・ガラッ!ガラガラガラガラッ!
藤田の出した大声と共に、地上へと出る穴の周りから岩が崩れだし、岩壁の上に次々と落下する。
「うわああああ!」
藤田はとっさに成瀬を引っ張りながら奥へと逃げた。
崩落の終わった頃、地上への穴も、その前にあった緩やかな傾斜の岩壁も、デザートイーグルも、新しい岩壁となっていた。

9 :洞穴の中で2(2/5) ◆QkRJTXcpFI :04/11/04 20:06:33 ID:KSe5Kctw
「ああ・・・」
目の前には5mほど上の天井にある一筋の光と、とても登れそうにない急な岩壁。
藤田宗一の地上へと出る希望は、岩と共に文字通り崩れ去った。

「うぅ・・・うぅ・・・」
横にいた成瀬がうめいた。
(やばい!起きる!?)
ただでさえ嫌気が差す暗闇の中、自分を殺そうとした相手と出口のない空間に2人きり。
(とりあえず、この成瀬って子が起きる前に、元きた道を戻ろう・・・)
藤田は袋から取り出したライトを点けると、足音を立てず成瀬から離れようと歩き出し――
「・・・お前・・・こんなトコにいたのか・・・」

「うひっ!」
瞬間に藤田の体が硬直し、一瞬で冷や汗が吹き出す。おそるおそる、後ろを振り返る。
「杉原・・・お前・・・こんなトコにいたのか・・・」
成瀬の体はまだ寝ている状態のままだった。
(寝言・・・か?)
藤田はホッと胸をなでおろした。
「三島・・・藤井・・・。 誰だ・・・誰だ、お前達を殺したのは・・・
 憎いよ・・・仇を討ちたい・・・。でも、僕に人を殺すなんてできない・・・」
逃げることも忘れ、藤田はその言葉に耳を傾けていた。

「そう・・・成瀬善久は・・・自分の中のタガが外れていくのを感じた・・・。
 成瀬善久の内面は・・・恐るべき変化を遂げていた・・・
 成瀬善久は・・・『仲間の仇討ち』などという大義名分を捨てた・・・血に飢えた殺人鬼と成り果てた・・・
 そう、成瀬善久は殺人鬼になったんだ・・・仲間の仇を討つために・・・」

藤田は困惑していた。
成瀬自身をナレーションするような成瀬の言葉。その矛盾した内容。
そしてライトで照らした成瀬の目に光る、涙。
藤田は理解した。
「成瀬善久・・・君も・・・逃げ続けていたんだな・・・。」

10 :洞穴の中で2(3/5) ◆QkRJTXcpFI :04/11/04 20:07:15 ID:KSe5Kctw
「うん・・・、・・・なんだ?」
成瀬善久は目を覚ました。
自分の体が揺れている。何かをつかんでいる。空気が動いている
(移動してる?どうやって?)
足は動かしてない。
「ん・・・起きたか、成瀬くん」
(背負われてる。誰に?)
「離せ!誰だお前は!離せ!」
「おっと」
成瀬が暴れたため、背負っていた人間はバランスを崩し手を離す。
そのまま成瀬は地面に足をついた。、
「俺は藤田宗一、君に撃たれそうになって逃げたヤツだよ。
 君は穴からこの洞穴の中に落ちて気絶していた。
 僕は出口を探して君を背負ってたんだ。いやー、疲れた。」

「・・・なんで、僕を助けた・・・。僕は殺人鬼なんだぞ・・・」
「成瀬くん、君は・・・誰か殺せたのか?」
「・・・いいえ」
「ははっ。それは殺人鬼とは言えないぞ。」
「僕は殺人鬼だ!ひ、人の命をなんとも思わない、さ、殺人鬼で・・・」
「『仲間の仇討ち』のために人を殺すんだろ?
 人の命をなんとも思わない殺人鬼が?」
「う・・・うるさい!僕は殺人鬼だ。お前も、誰でも、みんなみんな殺すんだ!」

成瀬は暗闇の中、猛然と藤田につかみかかる。
しかし右足裏に走った痛みで、そのままつんのめってしまう。
抱きとめた藤田が、左手で成瀬の胸ぐらをつかんで壁に押し付けた。
「君は殺人鬼になんかなっていない。
 そんなのは君が必死で作り上げた、もう一人の君の幻影だ!
 この殺し合いへの恐怖と、仲間が殺されたことへの憎しみ、どうしようもない感情から逃げるために!
 自分が殺人鬼だと思い込んで、自分自身の心を見つめることから逃げてるだけだ!」

11 :洞穴の中で2(4/5) ◆QkRJTXcpFI :04/11/04 20:10:48 ID:KSe5Kctw
わずかなライトの光の中、藤田宗一の目を見ながら成瀬善久は何事かうめいていた。
藤田は成瀬を押さえつけていた手を離した。
「俺も、ずっと逃げていた。
 この殺し合い、チームメイトが殺すのも殺されるのも、全部が怖くて・・・
 逃げ続けていても何も解決しないって、最初からずっと気づいていたのに・・・」

「ぼ、僕は・・・僕は・・・逃げてなんかいない・・・僕は・・・」
「君は成瀬善久だ。君は人殺しなんかじゃない!
 だって・・・うぉっ!」
至近距離から成瀬の左腕が、今度は藤田の胸ぐらをつかんだ。
そのまま締め上げ、藤田の首に手をかける。
「う・・・やめろ・・・!」
藤田は必死でもがくが、手は離れない。
全体重をかけて藤田の首を岩壁に押し付ける。成瀬のほうが身長は5cmほど高い。
藤田の体がわずかに持ち上がった。
「だめだ・・・だめ・・・だ・・・」――

――「成瀬善久・・・君も・・・逃げ続けていたんだな・・・。」
あどけなさの残る成瀬の寝顔を見ていて、藤田はふと子供達の顔を思い出した。
3人兄妹の一番上の息子でもまだ小学生。
成瀬と比べればだいぶ下なのだが、なぜか思い出した。
「成瀬くん、君のお父さんは・・・君に人を殺すなんて望んでない・・・
 俺も父親だから、よくわかる。息子には絶対人殺しなんてさせない・・・
 もう逃げるのは、お互いやめよう・・・」
まだ眠り続ける成瀬の顔を見て、藤田はふっと笑った。――

――「だ・・・め・・・きみは・・・ひとごろ・・・うぅ・・・」
成瀬は目をつぶり、更に地面を踏みしめながら藤田を押し続ける。
腕も体もわなわなと震えている。
「だ・・・めだ・・・。ゔっ・・・」
はらり。
成瀬の腕をつかんでいた藤田の腕が、力なく垂れ下がった。

12 :洞穴の中で2(5/5) ◆QkRJTXcpFI :04/11/04 20:19:29 ID:KSe5Kctw
「はぁっ・・・はぁっ・・・」
前には力なく倒れた藤田宗一の体。
落ちて転がっていたライトの光が自分を照らす。
成瀬善久は自分の手を見つめた。
震えが、止まらない。

「やった・・・やったんだ・・・
 そう、そうだ・・・僕・・・僕は・・・
 やっぱり、さ、殺人鬼・・・殺人鬼なんだ・・・!」

その瞬間の藤田の表情、感触、全てを鮮明に覚えている。
成瀬は藤田の背負っている袋を奪うと、立ち上がって辺りを見回した。
両方向に真っ暗な洞穴が広がっている。

―ザァァァン・・・
「波の音・・・? こっちにいけば海に出られそうだ」
行き先を決めると、成瀬は歩き出した。

成瀬はしばらく歩いてから、ふと振り返り、後ろをライトで照らす。
残虐な殺人鬼の手にかかった人間の死体がある。
「最期に何か言おうとしてたな・・・
 なんか悲しそうな顔してたけど・・・なんだったんだろ?」

「・・・。
 ま、わかんないし、いいか。」

歩き出す成瀬の向かう先には、暗く長い洞穴が続いているだけだった。

【12藤田宗一× 残り36名】

13 : ◆QkRJTXcpFI :04/11/04 20:43:55 ID:o/wZ5IqT
前スレ>>892さん
>位置(北側とかスタジアム近く)とか指定してある場所以外は、そこまで悩まず作って平気なのかな?
そうですね。
もし書いてくださる方がいれば、辻褄さえ合えばなんでも構わないと思います。

前スレ>>888
◆prGJdss8WMさん
川井に関しては全然大丈夫です。もう手を離れましたので。

一つ提案なのですが、職人は話を書いたら
・登場キャラとその話に関して、リレー可能かどうかプロテクトを宣言しておく。
ってのはどうでしょうか?
構想と言いますか、ある程度先の展開まで考えてる場合はそれをできるようにと。
やはり話が進むためには、それなりの量がいると思いますので。
その上で
・他の人がプロテクトされた話・キャラをつなげたりしたい場合は、事前に連絡(すり合わせ)をする
もちろんプロテクトしたまま書かないと流れが止まってしまいますので
・連絡してその職人さんが一定期間(2日ぐらい?)応答がなければ、プロテクトは無効

こんな感じで。
あくまで大事なのは2番目の、書く前に連絡を取り合うことだと思ってます。
混乱を避けるためにも、どうでしょう?

自分が長いスパンで書いてしまうタチなので、そういった自分勝手な理由もあります。
ちなみに成瀬、里崎&寺本はリレーしたい方いたら書いてOKです。(プロテクトしません)

14 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/04 22:00:01 ID:YVK00SWT
チョンコロ死ね

15 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/04 22:04:30 ID:toJn4ZE2
ここまで定期的だと笑えるな

16 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/05 02:14:37 ID:A7TfV2kw
復活したのでとりあえず。
あと前スレがアレな終わり方だったので、しばらくage進行にしない?

17 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/05 06:54:25 ID:CoLY5A78
容量オーバーとage進行と何の関係があるのかと。

18 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/05 07:42:30 ID:LMNyJllz
>>17
次スレ誘導がなかったからだと思う
と言いつつsage

19 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/05 09:07:05 ID:rZYjNoL3
なんとなくage
藤田…・゚・(ノД`)・゚・

20 : ◆CLM31pWOr6 :04/11/05 17:07:30 ID:jjW6ZdKt
遅くなりましたが、
↓職人様専用打ち合わせ板 URL請求フォーム
http://www.age.cx/~marines/cmbr/cgi/writers.cgi

多分ネタバレの宝庫になってしまうと思うので、
トリップキー入力してもらう事にしました。
送信する前にトリップの形にしてしまうので、
私の方にトリップキーが漏れる事はありません。
(この辺は信用して頂くしかないですがorz)
名無しさんでネタバレおkな人は適当なトリップキー入れて
コメントのところにその旨お書きください。
メールアドレスはこちらから返信するまで存在してればいいので、
捨てアドで全然おkです。

とりあえずいたづらはいやづら。

21 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/05 17:07:31 ID:S+a2cJ+p
プロ野球12球団オールスター・バトルロワイアル
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1097998843/191-192

こちらでもついにマリーンズ登場


22 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/05 20:05:56 ID:vGEkQmQV
保守あげ

23 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/05 23:11:10 ID:rZYjNoL3
再びage

24 :番外編 愉快なカモメたち2 ◆vWptZvc5L. :04/11/06 00:18:09 ID:u9fikbKs
3人…いや、3羽は途方にくれていた。
選手達を助けに行くといってもどこに行けばいいのかわからない。
「そうだ!まずは僕が球団事務所に電話して、その話の真偽のほどを小一時間問い詰めてやる」
マー君は携帯電話を取り出すと、メモリ登録してある球団事務所の番号にかけた。
そして電話から聞こえてきた声に唖然とした。

『お客様のおかけになった電話番号は現在使われておりません。もう一度番号をお確かめの上…』

「……?」
いったん電話を切って、今度は確認しながらひとつひとつ慎重に指でボタンを押す。
なぜカモメなのに指があるのか、などと突っ込んではいけない。
そして聞こえてきたのは、やはりさっきと同じ淡々としたアナウンスだった。

「ダメだ…つながらない」
「なんでつながらないのかしら?料金未納で止められちゃったとか?」
リーンちゃんが首をかしげる。
「ロッテを世界で何番目の企業だと思ってるんだ!そんなはずないって」
マー君は神妙な面持ちで考えていた…つもりだったが、その表情はやっぱりいつもと同じ笑顔のマー君だった。

「とにかく、電話がダメなら直接球団事務所に行くしかないよ。ここから歩いていける距離だし」
「ここって…兄ちゃん、一体僕らどこに住んでるんだろうね……?」
「千葉マリンスタジアムに決まってるだろ!?合併反対の署名活動のときも、マリンの住所を書いて署名したんだから」
(そう、僕は署名したんだ。署名したのに…)
失った友を思い出して、マー君はふと黙り込む。
(…結局、君のこと助けられなかったね。何もできなくてゴメンよ、バフィ…)

選手達が今、何かひどい目にあってる。
僕たちじゃ無力だろうけど、でも…選手達を救う何かきっかけだけでも作れれば…。
もうバフィみたいに大事な人が消えていくのを黙ってみているなんて嫌だ。

何かを決意したように歩き出すマー君の後ろを、リーンちゃんとズーちゃんは着いていった。

25 : ◆QkRJTXcpFI :04/11/06 03:05:43 ID:2rn0ZXRz
>>20
お疲れ様です。
送らせていただきました。

プロテクトうんぬんはただの提案なので、否という方が多ければ別にいいんです。
前スレで起こった混乱を解消するには、前もってある程度は情報交換するのが必要と思っただけで。
すり合わせ板作っていただいたので、それで充分だと思います。

方向性さえ決めておけば、一つのエピソードをリレーってのもできますし。
だいたいは方向性なんて要らないのですが、大きく展開させたいなというときは必要だと思いますので。


26 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/06 03:20:13 ID:ODvnFgwd
>>24
おいwまさかそいつらも参加す(ry

27 :fate weather(1/2) ◆h9KcvsENgk :04/11/06 08:47:30 ID:899icN32
小林雅英が目覚めたときには、もう周りは明るくなっていた。
この様子だともう6時の放送は終わっているだろう。

(眠りすぎたか?)
放送の大音響といつ狙われるか判らない緊張感においても、
前日にチームメイトを二人殺してぐっすりと眠れる。
そんな自分の強心臓が嫌になった。
これが首脳陣の思惑通りだというのならそれこそ・・・
「疲れが溜まってたんだろう」
無理やりそんなせいにして、納得することにした。

やっぱり気分は最悪だった。


寝ている間に雨が降り出していて小屋の中にも漏れてきている。
「どうしたものかな」 小さく呟いてみる。
もちろん、首脳陣の言うとおりにチームメイトを殺していくしか選択はない。
手持ちの武器、ピストルは水に濡れても使えるのかどうかよく知らない。
いざというときに不発というのは避けなければいけないが、
どの程度平気なものなのか・・・


28 :(2/2) ◆h9KcvsENgk :04/11/06 08:48:15 ID:899icN32
(・・・・・)

一度スタジアムへ戻れば雨具くらいはよこしてもらえるだろう。
だが出来ることなら、もう井上と山本の顔は見たくない。
夜もそこに戻らず襲われるリスクを負って、こんなところに
小屋を作って寝たのもそういうことだった。
「とりあえず、市街地に向かうか。」
建物の中からなら濡れずに狙いをつけることが出来るし
雨宿りのために人が集まってくることも考えられる。
探知機頼りに雨の中で森をさまようよりもずっといい。

そう考え、小屋を出てる。と、
「ん、何だこりゃ?」
何かが小屋の前に落ちている。近づいてみると砂袋だった。
昨日の時点ではこんなものなかったはずだが。
夜の間に誰かが運んできた・・・何のために?
(ま、いいか)
寝ている間に誰かがこの小屋の近くにきたにも関わらず、
自分を殺していかなかった、ということか。


「運が良かったか。しかしもうここに帰ってくるのは危ない・・・」
彼は小走りでその場を立ち去った。

29 : ◆h9KcvsENgk :04/11/06 08:59:35 ID:899icN32
プロテクト云々とかは自分はどうでもいいんでお任せします。
とりあえず自分はあんまり長いスパンで書く人じゃないので・・・。
勝手にリレー歓迎・募集・お願いします、みたいな。
無責任ですかね?

30 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/06 16:07:38 ID:HAnibT6Q
一応、保守age

31 :番外編 園川一美と愉快なコーチ達8 ◆GDAA.BMJxc :04/11/06 16:53:18 ID:D6+rgtEF
「う〜ん、早く来すぎたかな…。」
日がだいぶ高く上ったころ、吉鶴は一人海浜幕張駅前で誰かを待っていた。

―吉鶴がなぜ幕張にいたのか?
それはさかのぼること三時間ほど前…。

「…それで、今日はどうするんですか?」
「練習に決まってんじゃない。」
「…。」

朝食後、吉鶴と園川は今日の予定について話し合っていたが―

「あの…。園川さん、選手いないのにどうやって練習するんですか?」

―選手がいなかった。

「そこなんだよねえ…。」
「園川さん、ここでぼーっと待っているのもなんですから、今日は探しに行きませんか?」
「そうだな、頼むわ。」
「はあ?」

―「で、ここに来たのは僕一人なんだよなあ。」
園川は万一のためということで、館山で待機している。

「そろそろ来るころかな?」

一人つぶやく吉鶴の背後に、近づく影があった。

「よう。」
「あっ、福澤さん!」

現れたのは、福澤洋一元2軍バッテリーコーチだった。

32 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/07 01:06:25 ID:k3stgFRq
あげ

33 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/07 06:07:23 ID:M68zmrfV
なんかスレすすまないと思ったら新スレ移行してたんですねorz

34 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/07 11:32:18 ID:IvovTLTA
さりげなくageてみる

35 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/07 17:13:11 ID:t27jK9AK
もういっちょうageてみる

36 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/07 17:15:21 ID:M68zmrfV
>>34
IvovT←顔みたいw
L・O・TTE

37 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/07 18:38:54 ID:IvovTLTA
(○ε○)

38 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/08 01:08:44 ID:MblHw/RS
ほしゅ

39 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/08 11:14:32 ID:wl8kU+AI
職人様降臨きぼんage

40 : ◆loyOjt0Af. :04/11/08 16:47:00 ID:c3yT0LLT
『薮田の大冒険6(1/2)』

雨の降り注ぐ千葉マリンスタジアム―
8回表、一死満塁。場内アナウンスが男の名を告げる。
『・・・チャー、藤田に代わりまして、薮田。ピッチャー、薮田。』
数は少ないが、強い風雨の中必死に薮田コールを送る300人余りの熱心なファン。
(出番だ。この雨風に関わらず来てくれたファンの為にも・・・)「薮田さん」
「はい?」
集中を高めていると、リリーフカーの女の子が声をかけてくる。
「薮田さん、私濡れたくないんで飛ばしますね。降り落とされないようにして下さいね。」
「は?・・・ぅわぁあ!!ち、ちょっとリリーフカーのお姉さん!?」

41 : ◆loyOjt0Af. :04/11/08 16:49:03 ID:c3yT0LLT
『薮田の大冒険6(2/2)』

激しいスピンをしたリリーフカーから放り出される薮田。
「ぅわぁあああ!!・・・ガボガボ・・・ぐはっ!」

海に放り出され目覚める薮田。
「夢!?冷た!・・・う、海!?・・・ぅわぷ・・・」
目覚めるも大きな波に飲み込まれた薮田。
そう、薮田は昨夜の疲労で寝てしまっていたのだ。そして薮田が寝ている間に、海はその表情を一変させていたのだった。
(・・・・・・・・・!!!)

波にのまれてから浮き上がってこない薮田。果たして、薮田は―

42 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/08 17:14:15 ID:wl8kU+AI
Σ( ゚Д゚)

43 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/08 17:17:29 ID:0xu8SFvD


44 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/08 18:46:26 ID:ecGEK+Iw
薮田様〜

45 : ◆t9z9GAMfsM :04/11/08 19:05:52 ID:fvl8FyU8
 >保管庫管理人さま
 送られてきたメールに記載されていたユーザー名とパスを入れてもログインできません。
再度送ります故、返信お願いします。

46 : ◆t9z9GAMfsM :04/11/08 19:07:20 ID:fvl8FyU8
 自己解決しますた_| ̄|○

47 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/08 19:46:52 ID:UzgPIVXY
あげ

48 : ◆QkRJTXcpFI :04/11/08 21:57:04 ID:9JAEyn5v
>>29
特に意見もないんでプロテクトうんぬんはなかったことに。
どうも色々焦って自治ろうとしすぐた気がします。

以後は作品の投下に集中します。
リレーもしやすいように書くよう心がけます。
思いついたことがあったら打ち合わせ板に書きたいと思います。

49 : ◆OhochakkEU :04/11/08 23:49:36 ID:E+s3dOos
お久しぶりです。最近忙しくて全然来られなかったのですが、すっかり職人さん達の姿が……orz
やっぱ位置関係の事やら、伏線やら、展開するにつれ書くのが難しくなってきちゃったからですかね?
書いた職人さんご本人にしか続きを書くのが難しい展開のまま止まってるお話もありますし、皆さん戻って来て!
自分も今書き始めてますので、そのうち投下します


50 :賭け(1/3) ◆QkRJTXcpFI :04/11/09 00:03:54 ID:li82Z/Kc
海沿いの断崖の上。
ゴツゴツとした地面は寝るにはお世辞にも適さない。
――ポツリ
ロクに疲れも取れぬまま、顔に当たる雨粒の感触で渡辺俊介は目を覚ました。

「・・・ん・・・ふあ・・・ふああ、どこだここは?」
寝起きで思考が鈍っている。
体を起こし、手を組み天に向かって伸ばす。
「・・・はぁ。夢じゃなかったか・・・」
周囲を見渡して、自分のおかれた状況を再認識させられる。
雨雲に覆われてはいるが、空はもう明るい。

『おはようございまーす、山本だー!』
スピーカーから聞こえる耳障りな声。それも大音量。
俊介は苦い顔をした。

『3回目の放送をはじめるぞぉ〜。それじゃ、いつも通り死亡者から。
 神田11番、清水将27番、渡辺正40番、小林宏41番、喜多44番、富永59番、以上6名。
 次に禁止エリアだー。7時より・・・』
「くっ・・・また・・・」
禁止エリアのメモを取ることに全神経を集中させる。
心の中が何かでいっぱいになりそうになる。
それをなんとかこらえてメモを取ろうとする。
(・・・仲間の死をなんとか冷静に聞こうとしてる、俺って・・・いやしい人間じゃないだろうか・・・)

しかし、俊介のそんな考えはすぐに消し飛んだ。
『・・・、12時よりAの5、以上だ。それじゃ、今日も殺し合いにがんばれよーーー!!』
「Aの5! ここだ・・・。時間はまだあるけど、移動しなくちゃ・・・」

日課のストレッチを手早く済ますと、俊介はどちらへ行こうか考え始めた。
地図には今までの禁止エリアが塗りつぶしてる。

51 :賭け(2/3) ◆QkRJTXcpFI :04/11/09 00:07:29 ID:li82Z/Kc
「エリアの決め方に今のところ法則性は見当たらないな・・・
 例えば島の外周部から中心に向かってエリアが広がっていくとか、見当たらないな。
 かといって孤立しているようなエリアもない。」
自分のいる場所は6時間弱で禁止エリアに入ることになっている。
「一つ考えられるのは・・・
 もし、運営側に選手達の居場所を常に知ることができる方法があるなら・・・
 選手のいるエリアを指定して、わざと移動を促してる可能性はあるな。」

――ポツ、ポツ・・・
地図の上に雨粒が落ちる。
確信の持てる結論の出ないまま、渡辺俊介は地図をしまい歩き出した。
「そう。結局こうして俺は移動を余儀なくされている。
 動けばそれだけ誰かに遭遇する可能性も高くなる。
 もし、俺のほかにもこのエリアで身を潜めていた人間がいたら・・・」
そこまで思い当たり、俊介は自然と音を立てないように歩き始めた。

「誰にも会いたくないな・・・」
辺りに注意を払いながら、ゆっくりと岸壁沿いの道を行く。
右手には高さ5mほどの断崖、その下にあるわずかな岩場には波がしぶきをあげ打ち寄せている。
左には雑木林がある。
雨宿りになるかも知れないと、俊介は林の中に入っていった。

(時間が経つほど禁止エリアは広がっていく・・・
 誰にも会わずにずっといるってのは不可能だ・・・。)
雨の音にわずかな足音さえもかき消される。
俊介には、周囲がなんとも静かな世界に思えた。
(戸部さんには『一人で闘う』なんてエラそうなこと言って、実際は違うってわかってた。
 誰も信じられない弱い人間・・・それが俺だ。)

52 :賭け(3/3) ◆QkRJTXcpFI :04/11/09 00:09:20 ID:li82Z/Kc
林の中を、持っているマシンガンが枝に引っ掛かからないように歩いていく。
銃口の先につい視線が移る。
(決めておかなければいけない・・・
 このまま誰も信じないなら・・・
 誰かに会ったとき、それが撃つときだ。)
目の前には妻と愛娘の顔が浮かぶ。
(絶対に、絶対に・・・死ぬわけにはいかないんだから!
 ・・・でも・・・・・・。)

俊介の足が止まった。
(でも・・・殺したくない・・・っ!
 みんなこの間まで、一緒に笑いあった仲間じゃなかったのかよ・・・
 信じたい・・・そう、俺は信じたいんだ・・・)
渡辺俊介は天を仰いだ。
雨粒が枝をすり抜け、顔に落ちてきた。

(次だ・・・もし、次に会った人が、戸部さんみたいに殺し合いを望まない人なら・・・
 仲間を探してるって人なら・・・
 もう一度、もう一度だけ・・・その人を信じてみたい。
 この大勢の中、俺が次に遭遇するその一人に全てを賭けてみたい・・・)

俊介は辺りを見回した。
(そして・・・もし、その一人が俺を殺そうとする人間だったら・・・)
マシンガンの銃身を抱え、握り締める。

「行こう。」
そう小さくつぶやくと、渡辺俊介はゆっくり歩き出した。
雨粒が木の葉を打つ、単調な音の連続だけが林の中に響いている。
背番号31が、少しずつ木々の間に消えていった。

53 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/09 00:16:54 ID:/As9+UoJ
久々に新作キター(・∀・)ー!!
職人様乙です☆

54 :ABORT_CLEAR(1/1) ◆h9KcvsENgk :04/11/09 00:32:54 ID:0UTPAmbe
ん・・・・

冷たい。
平下晃司の全身に冷たい雨が降り注いでいた。
はっと気がつけば既に明るく、対峙していた青野や戸田の姿は無い。
田中良平が彼のそばで壁に寄りかかるように倒れていた。
意識を失う前の最後の光景とこの今の状況を合わせて考えるに
「気絶していた・・・麻酔弾もらったか、その辺か」
頭がクラクラする。
・・・あいつは本当に殺す気は無かったのか。
青野が自分を殺していかなかったこと。
自分の銃を使えば止めをさせていけたのだ。
田中に近づき、様子を確かめる。
こちらもどうやら自分と同じ、麻酔のようだ。

それにしても二人がかりで実質青野一人にやられるとは・・・
いや、むしろこいつが居なければあの状況なら・・・

傍らに落ちていた銃を拾い、銃口を向ける。
そして銃声

「わっ・・・えっ、あ、あれ? 平下さん?」
「起きたか、田中」
弾は頭の隣50cmの壁に突き刺さっていた。
「え・・・僕は青野と・・・え?」
「青野に二人揃って眠らされてたって訳だ。とりあえず市街地にでも行くぞ。
仕留め損ねて昨日一日で二人ではまだ誰も殺せて居ないんだ。雨も降ってる」
「あ、・・・え、ええ」

平下は荷物を担ぐと不機嫌そうに歩き始め、
その後ろを田中良平が割り切れない顔で追いかけていった。

55 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/09 02:13:52 ID:9R4KI74q
待ちに待った俊介キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
まともな人と出会えるといいなぁ。

平下と良平も新展開も楽しみ。

56 :二人の求道者(1/2) ◆/wyVLszwG6 :04/11/09 02:14:53 ID:Ut+Wwjph
「やっと見つけましたよ・・・・」

側に小屋のある小道で突然声をかけられ、橋本将は足を止めた。
振り向かずとも声の正体は知れた。苦々しい顔をして返答する。

「やはりもう一度顔を合わせなければならないか、金澤」
「避けていたみたいですね・・・・けど僕があなたを狙ってる限り無駄ですよ」

振り向く。金澤の表情は悲痛とも恍惚とも憤怒とも知れず、ただ奇妙だった。
右手に銃剣をを携えていたが、それ以上に返り血で染まった姿が目を引いた。
血は乾いていたがやや赤みを残していた。たいして時間は経っていないようだ。

「・・・・また誰かを殺したのか」
「ええ、ついさっき雅彦さんをね」
「・・・・・・・・」

橋本は一瞬動揺するが顔には出さず、哀れなルーキーの冥福を祈った。

「いつまで続ける気なんだ」
「自分が生き残るまでだ!」

激昂し、金澤は橋本の足元を撃ち抜く。しかし橋本は動じない。

57 :二人の求道者(2/2) ◆/wyVLszwG6 :04/11/09 02:16:09 ID:Ut+Wwjph
「なんであんたはそう呑気でいられるんだ。もう何人死んだと思ってるんだ!」
「このふざけたゲームに乗る気はない。仲間を殺す気もない。それだけだ」
「まだそんなことを言ってんのか、あんたは!」

再度橋本の足元で銃弾が跳ね上がるが、橋本は厳しい眦を決して緩めない。
内心で沸々と湧き上がる怒りを抑えつつ、真っ向から金澤の目を見つめる。

「なんでだ・・・・わからねえよ・・・・なんでこんな時でもそうなんだ・・・・」
「向き合うことで何も得られないお前じゃわからないのも当然だな」
「・・・・・・・・!!」

金澤の顔が朱に染まり、悪鬼の形相へと化した。まさに破裂寸前だ。
銃剣を地面に叩きつけ、即座にチェーンソーをリュックから取り出す。

「黙れ。もういい。わかりたくもない。絶対殺す。切り刻んでやる!」
「そうか・・・・」

橋本は覚悟を決め、リュックから取り出した支給品のスタン・ロッドを構える。
素材こそ頑丈だが低電圧で、殺さず行動不能にするには打ってつけだろう。

「来いよ。お前には教えてやらないといけねえことが多すぎる」
「うるせえ!死ね!」

チェーンソーの甲高い作動音が響く。それが戦いの合図だった。

58 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/09 09:03:57 ID:hlHKe4cF
タスクなんかかっこいいぞタスク

59 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/09 09:05:23 ID:/As9+UoJ
タスクキタワァ(*´Д`)

60 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/09 17:34:06 ID:yIGTkYnv
保守ついでにタスクカコイイ(・∀・)!

61 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/09 18:29:02 ID:ZQlVFV0M
俺の金澤・・・怖い・・・

62 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/09 23:10:16 ID:/As9+UoJ
保守ついでにage

63 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/09 23:15:06 ID:GVUYBLYc
西武   カブレラ
     ××××
ダイエー バルデス
     ズレータ
日ハム  オバンドー
     エチャバリア
     ××××
ロッテ  ××××
中日   アレックス
     リナレス
ヤクルト ××××
巨人   ローズ
     ペタジーニ
阪神   アリアス
広島   シーツ
横浜   ウッズ


64 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/10 00:08:14 ID:7TiKO+Mq
もっかいアゲ

65 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/10 15:06:51 ID:01wPH7xJ
>>63
???

66 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/10 15:21:17 ID:w5HXQPb7
>>63
日ハム  オバンドー
     エチャバリア  ← (゜Д゜)
      ~~~~

67 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/10 21:00:54 ID:7TiKO+Mq
エチャバリア

68 :対峙vol.1  ◆t9z9GAMfsM :04/11/10 23:48:11 ID:eAip3zWJ
 唸りを上げるチェーンソーを両手で掲げて金澤が突っ込んでくる。
それも橋本の首を切断できる高さに。だが、重いチェーンソーを持って
振り回しつつ、俊敏な動作と言うものはなかなかできないもので、首筋を
狙ったチェーンソーは空しく空を切る。

 初太刀をかわされた金澤はむきになってチェーンソーを振り回し、何が
何でも橋本を殺そうと躍起になる。しかし橋本はただただ無言を貫き、
チェーンソーの刃をかわし続けている。

 やがてチェーンソーの重みに腕が痺れ、金澤の動きが緩慢になる。

 「はぁ・・・はぁ・・・・・・。クソが・・・・・っ!!」

 肩で息をする金澤。バテているのは明白だ。と、そこに。

 バヂバヂバヂッ!!

 剣道の胴の要領で、橋本が金澤の腹にスタンロッドを薙ぐように打ち込む。



69 :対峙vol.2  ◆t9z9GAMfsM :04/11/11 00:01:58 ID:xdZGUuIv
 「あ・・・・・が・・・・・・・・。」

 身体を「く」の字に折り曲げてその場に倒れんとする金澤。
その彼に橋本が言う。

 「殺したくても殺せない、殺したくない人間がお前にだって
いるだろう。その人たちのために、もうこんなゲームはやめよう
じゃないか。」

 その言葉に金澤は一人のピッチャーを思い浮かべる。

 「俺は他にこの考えに賛同してくれる人を探して、山本を止める。
絶対に。」

 そう言って橋本は先に行こうとする。

 「おっと、忘れてた。銃剣とチェーンソーは俺が預かる。お前は
代わりにこれを使えや。」

 そう言うと橋本は自分が使っていた武器と、金澤のそれを交換した。

 「じゃあ、な」

 橋本は歩を進める。それを見届けるかのように金澤の意識が遠のき始めた。
意識が遠のく寸前、金澤は親友のことを考えていた。

 敬太、無事でいてくれよな・・・。

70 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/11 00:12:49 ID:xdZGUuIv
 橋本&金澤組、続けました。
 橋本の一言で金澤が改心する・・・・・といいなぁ。

71 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/11 01:10:29 ID:Hw7AShol
>>70
新作乙。
もうちょっと戦闘シーンが長い方が良かったなぁ。
と要望してみる。

72 :問い(1/3) ◆QkRJTXcpFI :04/11/11 01:47:54 ID:esA0+TDJ
雨に打たれながら、寺本四郎は動くことが出来なかった。
目の前には里崎智也が立っている。
何かに耐えるような表情で体を震わせて。
それが悲しみなのか、怒りなのか四郎には分からなかった。
(あぁ・・・)
四郎の心の中で何かが動いた。

「立てよ、四郎・・・」
里崎は転んだままの四郎に手を差し伸べる。
四郎は里崎の手を借り立ち上がった。
立ち上がった、まま、四郎は黙って里崎を見つめていた。そして、

「里さん・・・あんたはやっぱり偽善者だ・・・」
「な・・・!?」
「人の命や人生は大切だ。それは正論さ。
 でも、あんた本当に心の中からそんなこと思ってるのか?
 みんな殺し合いをしてる。そんな異常な状況なんだぜ?」
「・・・」
(どうした・・・答えられないのか、里さん・・・?)

しばらくの沈黙の後、里崎は口を開いた。
「だからだよ・・・
 みんなにも、お前にも・・・気づいて欲しい・・・
 殺し合いなんて・・・」
「ふん・・・」
(その目・・・あんたはその目でずっと見てる・・・)

(あんたの言いたいこと・・・本当は分かるよ・・・
 でも、こんな状況下でどれだけそんな・・・)
「そんな青臭い、甘っちょろい考えなんて通じませんよ、里さん。
 それともあんた、自分に刃を向ける相手でもそうやって説得する気ですか?
 殺されそうになっても、ひたすらそれを貫いて死ぬ気ですか?」

73 :問い(2/3) ◆QkRJTXcpFI :04/11/11 01:50:08 ID:esA0+TDJ
「・・・俺は・・・」
(さあ、里さん・・・答えてくれよ。
 あんたのその目が本当なら、答えてみてくれよ!)

「俺は・・・誰も殺さない。誰にも殺させない。
 絶対に、一人も死なせない・・・
 誰かを、もちろん俺でも、殺そうと狙ってる奴がいたら止めてみせる。
 だって昨日まで仲間だったんだから、説得だってできるはずだろ?
 そのためなら、命をかける。」
(・・・!)

「もちろん俺だって死なない。
 誰にも、誰も殺させない。
 そう、それが俺の考えだ、四郎。」
里崎は真っすぐ四郎を見つめている。
一変の曇りもない、穏やかな表情に隠された決意の込められた目。
四郎に話しかける最初から最後まで、一度も曇らず揺るがなかった目。
(まいったな・・・ふっかければ少しは本音が出るかと思ったけど・・・
 里さん・・・あんた、全部本気で言ってるのかよ・・・)
四郎は急に猛烈な後悔に襲われた。
先ほどまでの自分と里崎を比べ、激しく恥じ入る気持ちでいっぱいになった。
(なんで俺は・・・この人のようにいられなかったったんだろう・・・)

「里さん、でも・・・俺は将海さんを・・・」
「撃ったことはどうしようもない。
 だけど、まだ将海さんは死んでないんだろ?
 難しいだろうけど、もう一度会って将海さんに謝ってみないか?」
「・・・え? いやそれは・・・」
「大丈夫だって。俺も一緒に謝るから!」
「・・・はぁ」

74 :問い(3/3) ◆QkRJTXcpFI :04/11/11 01:52:59 ID:esA0+TDJ
(将海さんに会っても、真実を告げて許してくれるとは到底思えないけどな。
 でも・・・この人と一緒なら、本当に許してもらえるんじゃないだろうか・・・)
歪んだ自分の思いをあっさり直してしまった、里崎の誠実さ。
四郎の心にはわずかな期待の灯がともった。

『おはようございまーす、山本だー!』
「!?」
いきなりのスピーカーの音。2人が身構える。
そして、いくらかの間を挟み、その声は告げた。
『――番、清水将27番、――』

清水将27番。
里崎がハッと寺本の方を向く。
寺本は無表情で立っていたが、しばらくして少し笑った。

「あはは・・・
 簡単に死んじゃうもんだ・・・肩に当たっただけと思ってたのに・・・」
――ダッ
「四郎!」
里崎が呼びかけるより早く、四郎は里崎の横をすり抜けて洞穴の奥へと走っていった。

「待てって!四郎!」
四郎が背中を向けたまま立ち止まった。
「すいません、里さん。もう俺はあなたといられない。
 あなたと一緒にいると、たぶん辛くなってくる・・・
 一人にしてください。色々考えたいこともあるので。」
「四郎・・・」
「あなたの覚悟、貫き通せるかどうか期待してますよ、里さん!」

再び走り出し、洞穴の中に消えていく四郎。
里崎には、その姿をただ見送ることしか出来ない。
洞穴の外では雨が降り続いていた。

75 : ◆QkRJTXcpFI :04/11/11 02:45:09 ID:TbcaPZFB
>保管庫さん
2/3で誤字発見につき修正お願いします。

一変の曇りもない

一片の曇りもない

でした。失礼しました。

76 :No Virtual (1/2) ◆h9KcvsENgk :04/11/11 03:01:53 ID:A/Q0dP7m
「憂鬱、だな。」
窓際から外を眺めてアンニュイにつぶやいてみる。
自分でも決まっているとは思わなかった。

市街地は思っていたよりも遠く、そして広かった。
学校を出発して森を越え、集落に着くと
「二時間たったから次は俺の時間だな。もう一回寝かせてくれないか?」
そう於保が提案し、二時間「づつ」としか言ってないですよとは思ったものの
内もこの夜中に広い街で誰かを探すのも効率が悪いと考え直し
アパートの一階角部屋に陣取り休息をとることにしたのだった。
それから2時間。内は延々ととりとめもなく、ただとりとめもなく
自分の置かれた状況について考えていた。

あれは中学生のときだったか。友達と映画を見に行ったことがあった。
R指定だなんだかんだと政治家が言ったとか話題になっていたもので、
どんなものかと逆に気になったのだ。
そう、確か中学生1クラスが島で殺し合いをするとか、そんな内容だったはずだ。
途中で眠くなって気がついたら終わりのほうで、内容はあんまり覚えていないけれど・・・
「そういえばこんな感じだったっけなぁ」
自分の置かれた境遇を曖昧な記憶に照合してみてつぶやく。
もしそれが下敷きなら、このゲームの企画者は本当に悪趣味なやつだ。
・・・あの話はどうやって終わったんだったか。
主催者をだまくらかして逃げたとか、そんなだっただろうか。


77 :(2/2) ◆h9KcvsENgk :04/11/11 03:02:59 ID:A/Q0dP7m
『おはようございまーす、山本だー!』
突然耳に大音響が入って来た。
見回すと部屋の正面の電柱にスピーカーがくくりつけられている。
今ので於保も目を覚ましたようだ。むくりと起き上がる。
『神田11番、清水将27番、渡辺正40番、小林宏41番・・・』
神田さん、そして宏之さんの名前が呼ばれる。
殺そうと考えていた名前二人。
また間に合わなかったってことか。
いや、また自分の知らないところで死んでくれたんだ。
小さく口に出してみた。複雑な感情は消えることはなかった。

「・・・死んだな、宏之も」
「ええ。」
「残念か? 自分の手であいつを殺せなくて」
於保の感情は、自分には読めない。
「そんなことより行きましょう、僕は動きます。
・・・あ、別に於保さんは来なくてもいいですけど」
「お前が行くなら俺もついてくよ。何回も言っただろ」
そんな短く、そっけない会話を交わして立ち上がる。
「とりあえず、一軒一軒家捜ししながら誰かを探します。」


そういえばあの話、主人公達が島から逃げた後街中で警察に追われるシーンで終わっていた。
(でもこのゲームはルール通りでも10人生き残れる)
だったら・・・この方法のほうがずっと楽で、賢明で、利口で、そして好機だ。
僕という主人公はそんなバッドエンドは選ばない。
キレイに『一番』になって見せるさ。

外は、雨が降り出していた。

78 : ◆h9KcvsENgk :04/11/11 03:05:58 ID:A/Q0dP7m
とりあえずちょっと長めに放置されてた内於保を移動・・・

79 :赤い光は…(1/2) ◆OhochakkEU :04/11/11 03:36:42 ID:sxheZ9PD
怒りに肩を震わせる山本の前には、一つの赤く光る点を映すモニター。
赤い光が、紅潮した山本の顔をますます赤く染め上げる。

「馬鹿野郎やらかしやがって!!おい、誰か居ないか!?」
山本功児の怒声がスタジアムの監督室に響く。
その声に応えバタバタとうるさい足音を立てながら、急いで飛び込んで来た者を睨むように振り返った。
「はい、どうかしましたか!?」
「どうかしたも糞もあるか!コレを……って、うわあぁぁぁあ!!」

振り返った山本の眼に映った者―――
やはりというか何というか、それは先程までグラウンドに居た筈の初芝だった。
「なな、何でお前が来るんだよ!ハァハァ…」
「いやあ、監督が大声出すから急いで駆け付けたんですけど?どうしました?」
ハッと気付き、動悸で高鳴る胸を押さえながら、急いで後ろのモニターの電源を切る。
それと同時に、山本の叫び声に何事かと驚いた筒井が慌てて山本の元へ走り寄って来た。
「どうしました?山本さん!って、うわっ初芝!?」
「どうも。」
笑顔で筒井に会釈をする初芝。それを見ながら山本は手をヒラヒラと振り筒井に言った。
「おい、筒井!初芝を球場の外に出せ!!いつまでもここに居られちゃ困るんだよ!」
山本の言葉を受け、筒井が初芝の肩に触れようとするが、初芝は笑顔のまま軽く手を払った。
「ええ、ちょうど出発しようと思ってたんですが、雨降ってきちゃったんでね。
ブルーシートをカッパ代わりに貰って行くと言いに来たんですよ。じゃ、僕は行きますね!」
そう言うと、両手で山本の手を取りブンブンと振り、満面の笑みを浮かべ初芝は球場を後にしていった。

初芝の背中を見送り、しばらく茫然としていた二人であったが、ポツポツと口を開き始める。
「ハァ…初芝…暖かくて柔かい手だったな」
「…さすがミスターロッテ。他の奴らと比べ余裕がありますね。」
「当たり前だ…初芝だぞ?初芝、ハァハァ…」
「…そういえば山本さん、何かあったんですか?何か怒ってらしたようですが。」


80 :赤い光は…(2/2):04/11/11 03:40:12 ID:sxheZ9PD
山本は、まだ少し恍惚の表情を浮かべながらチラッと筒井を振り返ると、黙って顎を上げモニターの方向を指した。
筒井はモニターの電源を入れ、そこに映った赤い点の番号に目をやる。
「これはー…小林雅英のようですね。それで…?」
モニターを覗いても、それは小林雅の現在地と生存を示す赤い点が一つ光っているだけだ。
山本が何を言いたいのか筒井にはまったく解らず、首を傾げて山本の説明を待った。
「今さっきな、雅の所に小坂が来たんだよ…」
「小坂ですか…?まさかっ!小坂が小林に怪我でも!?」
違う、と山本は首を横に振る。では何なのか、と筒井はもう一度首を傾げた。
「さっき雅に伝令のヘリを飛ばしたろ。でな、雅が小屋から出てくる前に手紙を下に落としただろ?
雅が受け取る前に小坂が来てな、手紙を盗って逃げちまったんだよ!!」
「え〜!!本当ですか?」

先程、山本が何気なくモニターを覗いていると、小林雅のそばにあった背番号1を示す赤い光が荷物に近寄ると
あっと言う間に猛スピードで去って行ってしまったのだ。
初めの山本の怒声は、この事態によって起こった物だったのだ。
「そうだよ!小坂め余計な事しやがって!!
川井だけじゃなく雅も運営側についてるのまでバレちまった…」
「ど、どうしましょうか?」
思わず口をついたが、筒井も馬鹿ではない。山本が言い出すであろう事は予想がついていた。
「リストをもう一度、雅に届けに行かせろ!それとな…
小坂を見つけ次第、早めに始末するようにサブローと川井にも伝えろ。
雅が裏切った事が広まって、雑魚達に狙われちゃ困るからな。」
「わかりました。では…」
やはり予想通りだ、満足気に頷く筒井が部屋から急いで飛び出そうとしたが、山本が筒井を呼び止める。
「待て、あともう一つ!スタジアム入り口の警備を強化しろ。初芝のように簡単に侵入されちゃ困る…」
「警備を強化ですか?」
「そろそろ冷静になった奴らが、ゲームの攻略方を求めて“此処”を狙い始める頃だ。」

山本がニヤリと皮肉な笑みを浮かべて言うと、筒井も応えるように笑みを浮かべ、通路へと消えていった


81 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/11 08:36:42 ID:W4ZCpHzK
うほっ、いい展開きてるー!
初様ワロタ(*´Д`)

82 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/11 17:17:22 ID:rEMjVeNa
保守

83 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/11 18:57:41 ID:xwa9y53j
もっぺん捕手(辻)

84 :一難去って(戸部浩) ◆vWptZvc5L. :04/11/11 20:28:43 ID:Nct13F9M
目を開けると周りは薄暗く、何も見えなかった。
「何だここ…天国か?俺、死んじゃったのか?」
起き上がろうとして、戸部は思いっきり頭を天井にぶつけた。
「痛ってぇー……ん、痛い?…ってことは俺、生きてる?」
うった頭を抑えると、ひじが何かに当たった。
どこかで聞いたことのある音がした。それを手で触ってみる。
「この手触り、この音……ふすまか?」
そのまま手を横にずらしてみると、一気に光が差し込んだ。
暗闇から光の中へ這い出ると、見覚えのある部屋だった。

あぁ、押入れの中にいたのか。なんでこんなとこに…?
平下と良平に襲われて、んで平下にはさみうちにされて、そこに青野が現れて・・・
そうだ、あいつらは!?
もう明るいし、どっかいっちゃったか?
よく分からんけど助かったぞ、ラッキー!
どれくらいここにいたんだ、俺?


85 :一難去って(戸部浩) ◆vWptZvc5L. :04/11/11 20:29:17 ID:Nct13F9M
思いがけない幸運もつかの間、時計を見て青ざめる。
やべぇ、6時の放送聞き逃した…。
せっかく助かったのに、発信機が爆発してちゃ意味ねぇよ。
どうしよ、ここでじっとしてた方がいいのか?
あたりを見回すと、表がやけにかすんで見えた。
窓をあけて手を伸ばす。水滴が当たった。雨だ。
すると、誰かが近くを歩いてのが見えた。
29番…?晋吾か。何か探してる?
バカだなぁ、雨降ってるんだから下手に動かない方がいいのに。

俊介・平下・良平とろくな目に遭っていないので、
もう声をかける気はさすがに起きなかった。
と、そのとき。
開けっ放しだった押入れから、『なだれ』が起きた。
崩れ落ちてきた枕が戸部を直撃する。
(ゲッ!?)
その光景が見えたのか、音が聞こえたのか、晋吾はこっちへ駆け寄ってくる。

(うわっ、また襲われるのかよ!!なんで俺ばっかりこんな目に…)

86 :一難去って(小野晋吾)  ◆t9z9GAMfsM :04/11/11 21:25:55 ID:xdZGUuIv
 雨の中、街区を歩く小野の耳に、何かが崩れる音と小さな悲鳴が聞こえた。

 「・・・・・?」

 何だと思って音のした方に向かうと、家の押入れの襖が開いており、その前には
うず高く積まれた枕の山。そしてそこから飛び出た・・・誰かの腕。

 「うぐうぐうぐ」

 「・・・・・誰だ?」

 とりあえず引っ張り出さないと。下手したら窒息してしまう。玄関を入って押入れの
前に行く。そして枕の山でもがいている腕を掴んで引っ張り出す。

 「戸部さん・・・」

 「うぐう・・・・・・ふい〜っ・・・た、助かった・・・」
 「何でまたこんな枕の山に?」

 戸部は若干途切れ途切れな記憶を思い出しては、小野に事情を説明する。

 「で、気づいたら押入れの中に閉じ込められてて、襖を開けて出てきたところで
枕の雪崩が起きてさ。ところでお前はどうなのよ?雨ん中で歩きまわって」

 今度は戸部が小野に事情の説明を求めた。 

87 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/11 23:00:29 ID:W4ZCpHzK
戸崎ワロタ☆

88 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/11 23:08:36 ID:MWbUVMJD
アンニュイな内に、爆笑。
寺本は、幸一に会えると救われるかもしれないけど
成瀬と会うと面白そう。

それより、私の小坂・・orz

89 :一難去って(小野晋吾)vol.2  ◆t9z9GAMfsM :04/11/11 23:55:39 ID:xdZGUuIv
 「ふ〜ん・・・サブローがねぇ・・・。」
 小野から一通りの事情を聞いた戸部がそう漏らす。

 「あいつ、目の焦点が合ってなくて、人間じゃないような感じになってた。どっか狂ったような感じで・・・」
 「・・・ロボット?」
 「そんな感じでしたね・・・。しかもバーサーカー。」
 「運営側に何かされたんじゃねーか?」
 「かもしれません・・・。」

 「で、これからどうするよ」
 「とりあえずスタジアムに行こうかと。俺だってこんな殺し合いは嫌ですからね。ただ、俺が支給されたものはスパナセットですし、
 あまり役に立ちません。」
 「いまここで俺を殴りつけたり・・・しないよな?」
 「まさか。・・・ところで戸部さんの支給品って何です?」
 「あ?・・・ああ、そういやまだ中見てなかったな。何か重くて細長い物が入ってるようだが・・・。」言いつつゴソゴソと戸部は鞄の中を見る。
 「吹き矢だ。」
 「吹き矢って・・・あの毒殺とかに使うアレですか?」
 「らしい。・・・けどこれ正直言って重い。飛び道具ではあるけど使いにくそうだな。」

 そして玄関前。
 「さっきはありがとな、晋吾。実は俺、お前に殺されるんじゃないかとヒヤヒヤしてたんだよ。」
 「俺がそんな事するように見えます?」
 「ここじゃ性格が変わっちまう奴もいるからなぁ。・・・・・さて。雨が少し小降りになってきたな。行くか。」
 「はい。」

 戸部と小野のコンビもスタジアムを目指す。

90 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 00:09:34 ID:NlV8Dit3
戸原がやっと行動相手に巡り会えた…(ノ∀`)

91 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 00:14:05 ID:LJK5E2Zv
細かいツッコミだけど戸部の支給武器、何なのかは明かされてなかったけど、すでに確認はしてたはず。
たしか「この武器じゃ…」みたいな事、かいてあった気がする

92 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 00:22:22 ID:4p55lpLl
重くて使いづらい武器ってことで合致はしてると思うよ。


93 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 00:27:42 ID:LJK5E2Zv
そうじゃなくて「まだ中確認してなかったな」って書いてあったから、あれ?すでに確認済みじゃんって思ったのよ
挙げ足とりみたくなっちゃうけど、気になったからさ…ごめんよ

94 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 00:31:35 ID:4p55lpLl
ああ、なるほろね。
まぁ少々の違い。


95 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 01:01:00 ID:rAOI+i0F
でも吹き矢で「まともな武器を持った相手には絶対逃げられない」とかまで言ったり
銃に狙われているといっても隠れられてる状況で「使えない」って言い切るのは
ちょっと弱いような気がする。
職人さんには申し訳ないけど、武器の伏線が普通に開けられちゃったのはちょっと残念

96 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 01:21:06 ID:LJK5E2Zv
>>95
実は、それは自分も思った。
なぜ細かい事(武器はすでに確認済み)を覚えてたかって言ったら、
この状況じゃ使えない支給品って何だろ?とか思ってたからだし、吹き矢は以外と普通のモノだったな…とオモタ。

あとスタジアム目指してるグループが多いから、途中でそれぞれ一捻りがないとどうかと思われる。
以上、読者の戯言でした。職人さん頑張ってください、楽しみにしてますので。

97 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 01:41:01 ID:Z81JZA+J
スタジアムって、どうなんだろ。
エカは、首輪の操作権も、禁止エリアの決定権も持ってない
気がする。
持ってれば、小坂は消せばいいし、俊介が隠れているエリア
を禁止区域にはしないだろうし。

物資調達以外にスタジアム襲う意味って、あるのかな。
選手はそんなこと知らないんだろうけど。

職人さん、楽しみにしてますから
一読者の深読みが気に障ったら、ごめんなさい。

98 :一難去って(勝手に修正案) ◆vWptZvc5L. :04/11/12 02:33:44 ID:9S36xgiR
>86からの続き

「あぁそうだ、戸松さん!!サブ見ませんでしたか、サブ!」
「見てないけど?……てか俺は戸部なんですけどね。
(おまえ、さっき「戸部さん」って言ってたじゃねぇか!)」
「わかりました、どうも」
また駆け出そうとする晋吾の腕を引っ張る。

「ちょっ…待てよ。それじゃ俺がわかんねぇって。サブがどうした?」
「説明してる暇はないんで。早くサブローを見つけないと」
「こんな雨の中探しても、風邪ひくだけだって。説明しろよ。俺も協力するから」
「サブが『やる気』になってて……宏之を殺ったのもたぶんサブです。早く見つけ出して止めないと」
「宏之もやられたのか!?でもやめさせるってどうやって?おまえ武器は?」
「これ」
ポケットからスパナを取り出す。

「それでどうやって止めるんだよ!?ボルトじゃあるまいし。おまえもやられるのがオチだろ」
「でも、サブは俺を殺そうとはしなかったから」
「は?それ、本当に『やる気』なのか…?」
「俺にもよくわからないんですけど、サブがおかしいんです」
「詳しく話せって」
「いや、これ以上はホント急ぐんで…それじゃ戸嶌さんもお元気で!」
「だから俺は戸部……」
そんな訂正は聞こうともせず、晋吾は去ってしまった。
残された戸部は呆然としながら、ある失態に気づく。

「しまった!晋吾に禁止エリアを聞いとくんだったぁぁああ!!!」

99 : ◆vWptZvc5L. :04/11/12 02:37:33 ID:9S36xgiR
自分が>85の続きとして考えていたものを改変した修正案です。
戸部の武器はまだ出てきません。

問題あるなら消してください。

100 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 04:10:18 ID:bE5ibQs7
どうでしょう?

101 : ◆loyOjt0Af. :04/11/12 08:37:03 ID:jf5H32Va
嵐の洋上、一隻の漁船が浮かんでいる―

船上には、十数人の男達が網の巻き上げ作業を行っていた。
その中で、監視役と思われる男がドスの効いた怒声を上げている。
「ゴルァクズ共がぁ!テメェらしっかりやらねぇと生きて帰さねぇゾ!」

コレは普通の漁船ではなかった。そう、この船にはそれぞれの事情を抱えた者が乗り込んでいた。
その多くは、博打や裏金融で多額の借金を抱えた者達であった。
この船はそういった借金が返済出来なくなった者達への、言わば救済措置であった。
よって、この船に人権などは存在しない。死ねばそれまで、魚の餌になるだけである。
男達は期限まで徹底的にコキ使われるのだ。

「ゴルァ!テメェ何勝手に休んでやがる!」
監視役と思われる男が、集団に隠れて座りこんでいたある男を殴りつけた。

102 :薮田の大冒険7:04/11/12 08:46:05 ID:jf5H32Va
男「痛っ!す、すみません!船酔いなんです!」
「言い訳にならねぇんだよゴルァ!さっさと仕事につけや!グズグズしてたら海に放り込むぞ!」
男「は、はい!すみません!(ちっ・・・この野郎・・・俺を誰だと思ってやがる・・・)」

と仕事につけや!グズグズしてたら海に放り込むぞ!」
男「は、はい!すみません!(ちっ・・・この野郎・・・俺を誰だと思ってやがる・・・)」
殴られた男は、監視役の後ろ姿に中指を突き立て睨みつける。
「ダイジョーブ・・・デスカ?」
作業をしている黒人の大男が先刻殴られた男に声をかける。
男「わ!・・・あ、あぁ。・・・アンタ、日本語わかるのか?」
黒人「ハイ・・・ワタシ、スコシ、ニホンマシタイタ。」
男「何でまたこんな船に・・・?」
黒人「フ・・・」
その黒人は答えなかった。男もそれ以上問い詰める気はなかった。
(ココにいるものは皆、業を背負っているのだ・・・)

早朝に始まったこの過酷な作業は日暮れまで行われる。作業はまだ始まったばかりであった―

103 :101-102:04/11/12 08:49:33 ID:jf5H32Va
すいません、101-102は繋がってます。薮田の7です。

104 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 09:22:40 ID:jf5H32Va
102訂正

男「痛っ!す、すみません!船酔いなんです・・・」
「言い訳にならねぇんだよゴルァ!さっさと仕事につけや!グズグズしてたら海に放り込むぞ!」
男「は、はい!すみません!(ちっ・・・この野郎・・・俺を誰だと思ってやがる・・・)」
ダイジョーブ・・・デスカ?」
作業をしている黒人の大男が先刻殴られた男に声をかける。
男「ぅわ!・・・あ、あぁ。・・・アンタ、日本語わかるのか?」
黒人「ハイ・・・ワタシ、スコシ、ニホンイマシタ。」
男「何でまたこんな船に・・・?」
黒人「フ・・・」
その黒人は答えなかった。男もそれ以上問い詰める気はなかった。
(ココにいる皆が、業を背負っているのだ・・・)

この過酷な作業は早朝に始まり日暮れまで続く。作業はまだ始まったばかりであった―

105 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 09:25:12 ID:jf5H32Va
101,104でお願いします・・・

ホントすいません・・・orz

106 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 11:26:09 ID:psAYh6FL
大丈夫か、薮田様!?

107 :出陣(1/2) ◆QkRJTXcpFI :04/11/12 11:33:19 ID:gvF//JOZ
山本エカ児が筒井への命令を終え、再びモニターの前に座る。
眉間には当分は消えなそうなシワが幾重にも寄っている。
すぐ横で準備を終え、筒井はスタジアムに着地しているヘリに乗り込もうとしていた。

「あああ! うああ! ま・た・かーーー!」
それまでの怒りの声から更にトーンが上がった、山本の金切り声が響く。
何かあったのだろう。
そしてさぞ血圧が上がっているだろう、と山本の方を振り返る。
案の定、ゆでダコの様な顔をした山本がいた。

「どうしたんですか!?」
「どうもこうもねえ! 藤田が死んだ!」
「えぇ!?」
「60番の成瀬とかいうガキが近づいて、しばらく一緒にいたら赤い点滅が消えちまった!
 なんてこったああ・・・せっかく2人追加したばっかりだってのに・・・」

真っ赤だったはずの山本の顔は、いつの間にか真っ青に変化していた。
(面白いな・・・次は黄色にでもなるのかな・・・?)
と冷静に思う筒井をよそに、山本は何やらつぶやく。
「まずいまずいぞ・・・これじゃ俺の監督能力はどんどん評価が下がっちまう。
 そしたら・・・あのお方に見限られたら・・・」
山本がガクガクブルブルと震えている。
(さすがに顔は黄色くならないか。)
残念そうな筒井の横で山本は更につぶやく。

「だ、だいたいおかしいんだ。
 監督能力とか言って、腹の中の爆弾も禁止エリアも俺は関知できねえ。
 俺に与えられた権限なんて、反抗する奴を殺すことと、協力者を作るぐらいのもんだ。
 こんなんで生存希望者そのまま残すなんてできるのかよぉ・・・」
「あ、監督! お電話です・・・」
「ぎくぅっ!」
そこへ現われたのは、コードレスの受話器を持った佐々木だった。

108 :出陣(1/2) ◆QkRJTXcpFI :04/11/12 11:35:14 ID:gvF//JOZ
山本エカ児は受話器を見る。
小学生の頃、窓ガラスを割って職員室に呼ばれた友達の顔を佐々木は思い出した。

山本は佐々木の方へ歩き出した。
そして、何を思ったか受話器を受け取らず佐々木の横を素通りしていった。
「ん?」
不思議がる佐々木をよそに、山本の向かう先は出発の準備が整ったヘリコプター。
ヘリに乗り込むと、操縦士にジェスチャーでしきりに出発を促す。
筒井が乗り込むのを待って、ヘリはそそくさと飛び立った。

山本はヘリ内の無線機を手に取り、スイッチを押す。
「あー佐々木か、こちら山本エカ児だ。
 俺は直々に雅・川井・サブへの連絡事項を伝えに行ってるから。
 うん、そう、電話には出られない。」
(・・・逃げるにしかずってことか。)
冷や汗を必死で拭う山本を見ながら、筒井は思った。

「・・・さてと。
 こうなったらなりふり構わん。
 多少は乱暴なことをしても、危険な芽は摘んでおくしかない。
 俺が直々に出向いてな・・・。」

(いや逃げただけだろ・・・。
 こんな人が監督でいいんだろうか?
 あ、ダメだったんだよな、5年間も。)

筒井は諦めた様子で、ヘリの窓の外に視線をやった。
スタジアム周辺の森が、雨に煙っていた。

109 : ◆QkRJTXcpFI :04/11/12 11:35:49 ID:gvF//JOZ
あ、通し番号間違えました。
↑は2/2です。

110 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 15:50:50 ID:nqr/u1hk
山本出陣キターーーーーー!!

111 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 18:22:24 ID:g2uCdLGV
運営側
 エカ   筒井と共にヘリに乗る
 山下  地図上から消えた(実際は画面の端っこにいる)薮田を探しに浜辺へ調査へ
 筒井  エカと共にヘリに乗る
 佐々木 スタジアムにいる
 小野和幸 ?
 井上祐二 ?


そういえば登場章のまとめに運営側の人の分てないですね。
エカもけっこう溜まって来てますが。
こないだ実況スレでまとめやってくれるって人が来たから、その人待ちかな?

112 :食い込む爪 1 ◆prGJdss8WM :04/11/12 18:27:09 ID:rXHLEz17
最初は他愛無い思いつきのようなものだった。いやむしろ必然と言うべきか。
自分が一人である以上、複数人を一度に相手にするのはあまり得策とは言えない、まずそう思っただけだった。
黒い電子手帳型の端末のモニタには今は、赤い点滅がそこかしこでグループを作っているのが見える。
さすがに半日もたてば皆、自分の安全と保身、それにわずかばかりの希望を求めて群れ始めるのだろう。
(それに僕は、ナオユキをやっちゃったしね。もう凡ミスなんかできないな〜あ)
夜明けごろから雨が降り出し、それを避けるために道端の電話ボックスなどにもぐりこんではいるが、どこからどう見ても中が丸見えのこんなところに、そうそうじっとしているわけにもいかない。
ペットボトルの水をごくごく飲みながら川井は考えていた。
ならばひとりひとりを狙うべきだろう。幸いいくつか、他の点滅からも均等に離れてぽつんと光る赤い印が確認できる。

まずひとり、そしてふたり、挙句に十人も殺せば、以前のミスは相殺されるはずだ。この新しいリストさえ死守すれば。
川井のポケットには先ほど本部より届いた紙切れがある。そのリストの重みは計り知れない。
「えーっと、どうしようかな、近いとこからって言えばまずはこいつかな…あ、垣内さんね、カッキーね、これは♪」
独り言を言いながらモニタをチェックする。島の中心より少し東に外れた森の中、丘の中腹付近に光るのは背番号38の点滅。
折角下ってきた道だが、意味も無く引き返すのではないのだと川井は自分に言い聞かせる。
僕には理由がある、生き残るんだから、これはそのための道だ♪
(今江は…ありゃ、こんなところでまだグダグダしてんの?やりにくいなぁもお!)
殴られた頬をおさえればじくじくと痛む。これは貸しにしといてやるよ今江。
「しょーがないよなっ、先輩を殴って★全部終わったらお仕置きしてやんないと〜ケケケ」
25の側の7の点滅がちくりとひっかかったが、川井は無視した。今江も西岡もリストには入っている。充分な距離を保ち、近づかなければいいだけの話だ。
ゆえにこのような状況になるとは、全くの計算外だったのだ。

113 :食い込む爪 2 ◆prGJdss8WM :04/11/12 18:29:20 ID:rXHLEz17
もと来た道を引き返し、山中に分け入った。くっきり島を横断するこの道はスタジアムをまるで避けるように、市街地から海へと走っている。
川井にしてみれば好都合だった。あまりもう、山本達の顔など見たくもないし、直接出向いたりなどしたらどんな小言が待っているか知れない。
いや小言ではすまない可能性のほうが高い。
がさごさと藪を突っ切り、まるで獣道だねこりゃ♪と半分笑いすらしながら、川井はまたモニタをチェックした。
38の点は先ほどの地点から動いてはいない。雨のせいか戦意がないのか臆病なのか、とにかくそれも川井には都合が良い。
垣内の人柄も知っている、最悪警戒されたとしても、自分が必死で彼を頼る演技を見せれば、きっところりと騙されてくれるはずだ。
それにしてもレインコートの一つも支給して欲しいよなァとぼやいたとき、川井の右足が何かに捉えられた。大事なモニタを庇うようにしたせいで、かなり無様に彼は地面に突っ込んだ。

「いたぁ!何だよもぉぉぉぉ!」
思わず口に入った泥をぺっぺと吐き出しながら川井は悪態をつく。そして立ち上がって二歩三歩行くか行かないかしたところで、今度は左足が見事に引っかかった。
「うわっ」
しかも手をつこうとした瞬間、その手ごたえのなさに身が強張る。枯れ草や倒木で巧妙に隠されたその地面のくぼみにまたも頭から突っ込み転がり落ち、川井は心底イラついた。
「…泥だらけじゃん!?最悪!サイアクーッ!!キィー!!」
擦り剥いた手のひらが痛い。冷えこみがただでさえ不快な上に、商売道具にすら傷がついた。
腐りかけた倒木の枝を掴んで自分の身を引きずりあげたが、そんなものに触るのも気持ちが悪い。
イライラする。何だこれは。運が悪い。
「…クソォ、かっきーめ、ぎったぎたにしてやんないと気がすまない」
自分の不幸をひとまずまだ見ぬ垣内のせいにして、川井はまたも脇の藪の中に侵入した、はずだった。ばちん!
一歩進んだまでは覚えている。その次の瞬間顔面を、何か大きな衝撃が襲って、川井は吹っ飛んだ。声も出なかった。
「ぶ、ギュゥァアアあーっ!?」
ぐわんぐわんする意識のかけらでとにかく周囲をまさぐった瞬間、今度は体全体が浮いた。
叩きつけられた大木の、その枝先から伸びる何かに左足と右手をぐんと引っ張られ、川井はぐるん、見事に宙吊りになった。

114 :食い込む爪 3 ◆prGJdss8WM :04/11/12 18:31:44 ID:rXHLEz17
「あ、そこ踏んだらあかんで!もっと右走って!」
先に飛び出したのは自分のはずなのにこの後輩は、いちいち指図してうるさい。しかしそうでもなければ彼の仕掛けた、根性の悪いトラップに今江まで捕らえられてしまう。
本当に変なヤツだ。こんな万全の首尾を見せるくせに、はっとした瞬間に少年といってもいい幼さを見せる。
大人びて強いくせに、傷ついている。自分の力にさえも傷ついている。
西岡は多分、出来てしまうから辛いこともある。
「まだ先か?」
「もうちょっと、その木を左に行って」
いくつ仕掛けてるんだこいつ、と思ったが今江は口には出さない。
飛び出す枝葉を掻き分けるようにして回り込めば、その先に確かに白いユニフォームの人影が見えた。
「ゴリさん止まって、ゆっくり近づこう」
背後の西岡がぐいっと肩をおして前に出た。とたんに息を殺す彼を見て、ああ殺し合いだったと思い出した。

しゃがみこみ、周囲の露ですっかり湿ってしまったユニフォームで、それでも今江は汗ばんだ手のひらを拭った。
目を凝らせばその白いものはジタバタと暴れ、必死で何かを振り切ろうとしているようだ。背番号は見えないが、選手であることはまず間違いないだろう。
だが何かが変だ。
「念のためやけど、ゴリさんここにおってください」
「何でや」
「俺がヤバかったら援護して欲しいからですよ」
「え、ああ、そうか」
そう言って西岡は前にのめりこむ姿勢になった。ふと今江の横顔をじっと見て言う。
「そう簡単に殺さへんから、俺は」
頼んだ今江さん、そう言う彼の手にはいつの間にか支給品の、小さなピストルが握られていた。

ぐわんぐわんぐわん…と頭の中で音でない何かがこだましていた。
それが収まりだしてようやく、顔のひりひりする痛みと涙と、きりきり締め付けられる右手に気付く。
顔全体が痛い。大きな平べったいもので一気に殴られたようだ。誰かに襲われたのかと思えるまでに数秒はかかった。
「…あ、れ」
ようやく視力が甦ったが、何かが変だ。周囲の景色がさかさまに見える。重力を真上に感じる。
やっと川井は自らの身が、明らかに普段とは逆の方向になっていることに気付く。
足を蹴ろうとすれば左足が突っ張ったままだ。そこから引き上げられているらしい。

115 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 18:34:43 ID:g2uCdLGV
連投支援カキコ


116 :食い込む爪 4 ◆prGJdss8WM :04/11/12 18:35:55 ID:rXHLEz17
「な…ンだよ、これ、コレェー!?」
腹筋を駆使して足の戒めを解こうとしても、もう一方の方向から右手を引っ張られているため、体が翻らない。
見れば古びた縄のようなものだが、雨を吸って硬くなったそれは容易に解けそうにない。明らかに人為的な罠だった。
ありえない、ありえない…川井の頭の中でそんな声がリフレインする。
おかしい。この僕が、この僕がっ、こんなところで逆さ吊り!?誰の仕業だ!?
近辺にいるであろう者の名を思い浮かべてみても納得できない。
今江にこんな小細工をする能はない。
とすれば垣内か?あいつは温厚そうな顔でこんな罠を仕掛けて、引っかかったやつをじわじわなぶり殺しにするつもりなのか!?
「ギャーッ!!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だーッ!!キィェェェェ!!??」
混乱と一瞬にして襲ってきた恐怖ゆえか、川井の口からは人外のものに近い絶叫が漏れる。
そんなことをすれば近くに自分の存在を知らせることになるであろう、そんなことすらも考えられなくなっていた。そ
れが恐怖だった。
ジタバタ必死で暴れれば、ますます手首足首にその縄が食い込む。痛い、冷たい、怖い。
「…うるさいですよ川井さん。みっともない」
またもウギョォォッォォ!!と叫びかけた彼を制するように、若い声が響く。

「…がふぇ?」
聞き間違いではなかった。にじんだ涙でぼやけて見える視界の中に、長めの茶髪を雨に湿らせた誰かが立っている。
何分逆さゆえ、川井がその顔と背番号を判別するのにたっぷり2秒はかかった。
「…ごっ…!」
そして次に見たのは彼の手の中の、小さな銃。さらに向けられた銃口。
「静かにしてないと瞬殺ですよ」
絶句した後に目を丸くして、また暴れだしそうな川井に西岡は静かに言う。

117 :食い込む爪 5 ◆prGJdss8WM :04/11/12 18:37:20 ID:rXHLEz17
「…がふぇ?」
聞き間違いではなかった。にじんだ涙でぼやけて見える視界の中に、長めの茶髪を雨に湿らせた誰かが立っている。
何分逆さゆえ、川井がその顔と背番号を判別するのにたっぷり2秒はかかった。
「…ごっ…!」
そして次に見たのは彼の手の中の、小さな銃。さらに向けられた銃口。
「静かにしてないと瞬殺ですよ」
絶句した後に目を丸くして、また暴れだしそうな川井に西岡は静かに言う。
西岡!?西岡―っ!?さ、最悪かこれはーッ!?!?
川井の頭がぎりぎりのフル回転を始めた。

西岡剛、背番号7。
2002年のドラフト1位で、生き残りリスト野手の筆頭に名前が挙がっていると言っていい。
性格は大胆、時に繊細、総じて不敵。この状況、この状態を見るに、彼となごやかに円満取引が出来るとは考え難い。
しかも川井の方は、もしそれが可能な状況だとしても彼に攻撃は出来ない。
逆に西岡がこのゲームに乗っているのなら、罠にかかった獲物(この場合川井)を始末するのに何の躊躇もないはずだ。
そしてそれをやりかねない奴でもある。
ひきつる舌と筋肉を強張らせて必死で考えている川井の耳に、かしょんという小気味よい音が響く。一気に現実に戻される音だ。
「…えーと、川井さん」
安全装置をはずした銃を、西岡はまるで小鳥を抱くかのように柔らかな手つきで、構えなおしてにっこり笑った。
川井にはぞっとする笑顔だった。
「全部吐いて、俺と取引しませんか?」
ぽたん、彼の端正な顔立ちから雫がしたたるのが見える。

118 : ◆prGJdss8WM :04/11/12 18:39:01 ID:rXHLEz17
お言葉に甘え川井をお借りして西岡今江コンビと接触させてみました。ありがとうございます。
キャラ外してなければよいのですが・・・

119 : ◆prGJdss8WM :04/11/12 18:41:14 ID:rXHLEz17
被ってる場所ありますね…なんとか脳内処理して読んでみてください、すみません


120 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 18:45:51 ID:F1dPGoXG
おぉ、スレに活気が戻ってきましたね。イイヨイイヨー

121 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 19:35:15 ID:nTQmP07U
取り引きコワーイ

122 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 19:48:59 ID:IY5Idtg+
西岡カコ(・∀・)イイ!
職人さん乙!取引気になるヨー

123 : ◆loyOjt0Af. :04/11/12 21:08:28 ID:jf5H32Va
薮田の大冒険8(1/2)

「次のポイントまで休憩だゴルァ!」
監視の男の怒声で船員達は船内へ移動する。
まだ一日の半分も過ぎていないが、過酷な作業の為、船員達の中には休憩室に入るなり眠りにつく者もいる。

「お、いたいた。おぅアンタ、名前は何て言うんだ。日本には仕事で来てたのかい?」
先刻、監視員に殴られた男が黒人に声をかける。
「ソウデス・・・ムカシノコトネ。ワタシ、カコハモウステタヨ。」
「・・・そうか。」
「アナタハ?」
「ふふ、俺もアンタと一緒さ・・・。」
二人の間に沈黙が流れる。話を聞かなくても、男達はわかり合えた。
二人共大事な何かを捨ててしまった為にココにいるのだ、と。

124 : ◆loyOjt0Af. :04/11/12 21:11:00 ID:jf5H32Va
薮田の大冒険8(2/2)

「まぁ自己紹介くらいしとくか。俺はタケ・・・」
その時、にわかに表が騒がしくなる。

―おい!水槽に人が入ってるぞ!―
―いつの間に網にかかってたんだ?もう死んでるのか?―
―こいつ、阪神のユニホーム着てるぞ!20番て誰だ!?―
―名前は・・・や・ぶ・・・薮や!阪神の薮や!―
―アホ!薮は4番や!―

二人も外の喧騒に気付く。
「表が騒がしいな・・・何だ?人が釣れてたのか?おい、見に行こうぜ。」
「ハンシン・・・ヤブ・・・」
「どうした?」
「・・・ハンシン・・・タイガース・・・・・・NO!」
にわかに黒人の大男が駆け出す。
「お、おい!?待て!」

それに連られて男も後を追いかける―

125 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 21:16:19 ID:gOirUCoU
乙です。
阪神のヤブは「藪」
マリンのヤブは「薮」
だったと思うんですが。

126 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 21:40:09 ID:jf5H32Va
>>125

気付かなんだ・・・確かにそうだorz

今日は土下座ばっかりだ。

127 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 22:16:27 ID:NlV8Dit3
超GJです!!!!!












宏之とか成瀬とか浅間の続きも気になる今日この頃。じゃあ自分で書けとか言われそうですが

128 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/12 23:47:55 ID:OCsoYlbR
あ・・・投下しようと思ってきたら新作が。乙です。
垣内はこのあと絡んでくる予定ですか? >◆prGJdss8WM氏
一つ書いちゃったんですが激しくバッティングの悪寒 orz


129 : ◆prGJdss8WM :04/11/12 23:53:26 ID:rXHLEz17
>>128さん
いえ、垣内は名前を借りただけで、書いている続きとは絡んできてません。
128さんの新作投下、お願いしまつ!

130 :未知(曽我部・ユウゴー) ◆vWptZvc5L. :04/11/13 00:42:06 ID:D/NrnVLR
『おはようございまーす、山本だー!』
曽我部とユウゴーは、またかとウンザリしながらその放送を聞いていた。
大きなスピーカー音が、雨で湿気た空気をなおさら不快に感じさせる。
次々と読み上げられていく死亡者の名前。ユウゴーはそのうちの一人に思いあたった。

「あの…、喜多を殺したのってまさか平下じゃ…」
「ありえるよな。喜多はドラ1だし、若い。しかも平下と同じ左打ちときてる。
やっぱり真っ先に消しておきたい外野手なんじゃないか?」
「そこまでしてライバルを蹴落としたいんですかね?」
「さあな。平下なんかあの年で2回もトレードに出されてるし、
レギュラーへの執着が人一倍強いのかもな。その意欲が悪い方に出てしまったんだろ」
「喜多も不憫ですよね…」

このときの二人は知るよしもなかった。
喜多の死の真相を、そして…

警戒すべき外野手が平下だけではないことを。

131 :とめどなさそうなボクら(1/3) ◆h9KcvsENgk :04/11/13 00:52:27 ID:2UbzrAkc
喜多・・・

放送でその名前を聞いたきり垣内は放心し、その場にずっと立ちすくんでいた。
(この時間に呼ばれたということは自分と別れてそう長くない間に…)
不意打ちとも言っていいほどに、いや勿論可能性としては考えなければいけないもので、
それでも彼の意識の中で忘れ去られていた、そういうことだった。
彼が結局這い上がることができずにという可能性は判っていた上でのことではあったが
それでもまさか直後に彼が死んだという事実、それは・・・

自分に襲い掛かってきた喜多の武器を預かったのは自分だった。
それで「丸腰」の状態になった彼が死んだという放送。
その後武器を奪おうと誰かに襲い掛かって返り討ちにあったのか
あるいは丸腰のところをやる気の人間に襲われたのか

しかしどちらにしても。

やる気になっていたとはいえ、甘ったれたやつだったとはいえ、
そうしなければ自分が危険だったとはいえ、
改心できたにしろ、そうでないにしろ、


間接的に俺は後輩を殺した・・・・?



132 :(2/3) ◆h9KcvsENgk :04/11/13 00:54:25 ID:2UbzrAkc
いや、結局あいつは這い上がれなかったということだ。
あいつの心の弱さが、あいつの心の弱さが。

「同じポジションのヤツを殺すだなんてっ、甘ったれてんじゃねえーーーーっ!!」

腹の底から、それは自分に言い聞かせるかのように叫んだ。
(俺がそんな納得をできるわけ無いだろ、俺。)

喜多のしたこと、喜多にしたこと。
もちろん自分のやったことを間違えていると思っていないし
根本的に彼が「悪」くて、因果応報だったこともある。
だがそれで割り切れる自分ではなかった。
それは彼の「やさしさ」とも言われる性格とも表裏一体で・・・

浦和の暑い夏。審判に告げられる声。
“バッター喜多に変えて、垣内”
淡々とした様子でバットを持ったまま打席ではなくベンチに戻る彼。


くそ。クソ。糞。クソっ!
喜多っ・・・

(だから・・・もう俺は・・・殺させ・・・な・・・)




133 :(3/3) ◆h9KcvsENgk :04/11/13 00:55:17 ID:2UbzrAkc
垣内は言葉にならない声で叫ぶと、ようやくその場から離れていった。
そこから少し離れた岩場の陰、垣内を見かけ追いかけるか悩みながら放送を聴いていた男。
諸積兼司はそこから飛び出すことも出来ずにその様子を見ているしかできなかった。

―――同じポジションのヤツを殺す

そんなことを考えているチームメイトも居たのか。
確かに殺し合いをするやつなら、あるいは自発的に殺し合いをするわけでなくても
生き残ってその後のことを考えたやつなら、そういう思考になってもおかしくは・・・
そして今そう考えている人間でなくても、残り人数が少なくなってくればそう思う奴だって・・・

背筋が凍った。
(外野手には会えない・・・会いたくない)

垣内はもう、ここからの視界では見えない。
(どうする・・・どうすればいいんだよ・・・・俺は・・・・)
諸積はまた座り込んだ。

彼の頭の中はまさにグシャグシャになっていた。

134 :128 ◆h9KcvsENgk :04/11/13 01:02:47 ID:2UbzrAkc
>>129
とりあえず投下させていただきました。スミマセン。



川井が罠に引っかかってから垣内が移動したとか
諸積はギリギリでレーダーの範囲外だったって感じで・・・
その後の展開がちょっと矛盾発生してたんでとりあえずここまでで。
垣内、モロ使われる方が居ればどうぞ続きお願いします。

135 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/13 09:12:46 ID:AqDwl/to
保守age

136 : ◆CLM31pWOr6 :04/11/13 12:28:06 ID:V3wvQqz5
まとめをやってやろう、と言う神が現れました(-人-)

http://www.age.cx/~marines/cmbr/test/read.cgi/BBS/1100250432/
↑ここでどういう形式でやるかとか相談しようと思ってますのでよろしく


137 :ロシアンルーレット(戸部浩) ◆vWptZvc5L. :04/11/13 13:04:24 ID:cekfQb6+
「晋吾!ちょっと待てーーーーっ!禁止エリアァァァア!!」
戸部は叫びながら玄関を飛び出したが、晋吾がどの方向へ行ったのかわからない。
もうどこか角を曲がってしまったのだろうか、姿も見えない。

どうする?このまま追うか?
でも下手に追いまわして、禁止エリアにかかってドカンなんて御免だ。
あぁ、何で俺、肝心なことを聞かなかったんだよ…。
せっかく信頼できる相手に会えたのに。
晋吾が急ぐ理由とか、サブがどうしたとか、今、直接生死に関わる問題じゃないだろ。
バカはどっちだって言うんだよな…。

戸部は頭を抱えた。
今が8時台。ここから新たに追加される禁止エリアは4ケ所。
まだ60ヶ所ほど禁止エリアになってないのだから、ここで爆死する確率は1割以下。
よほど運が悪くない限り、このままでやり過ごせるだろう。
問題は、ここが禁止エリアになったときだ。
この島のどこかに戸部の知らない空白の禁止エリアが6ヶ所ある。
逃げる道を慎重に選ばないと、ここから抜け出した瞬間にドカンだ。
そういった事態を避けるためには……

「誰かに聞くしかないのか…」

探し当てて聞いた相手が、晋吾みたいに協力的な奴ならいい。
俊介みたいに孤独を望む奴でもそれくらい教えてくれるだろう。
でも、平下や良平みたいな奴だったら……
かといって、このまま一人でいれば遅かれ早かれ死を招く。

「クッソー、絶対に俺ばっか貧乏くじ引いてるよ…もう嫌だ……」

戸部は雨に打たれながら、半泣き状態になっていた。

138 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/13 13:09:06 ID:eGF91/kU
戸塚の叫び声ワロタ...w
がんがれ!

139 :答え(1/3) ◆QkRJTXcpFI :04/11/13 16:16:55 ID:E2szJzhx
里崎智也の元を離れ、寺本四郎は洞穴の奥へ進んでいく。
数十歩もしないうちに、入り口からの光も薄らいでだいぶ暗くなってきた。
ここで四郎は気づく。
「あっ? ライトが点かないぞ。あれ?」
電池切れだろうか。取り出したライトが点かない。
これでは更に暗くなるだろうこの先の道は進めない。
「引き返すか・・・」

――おーい、四郎ーー!
入り口の方から里崎の呼ぶ声がする。
「困ったな・・・今さらどの面下げて戻れってんだ・・・
 それに・・・」
会いたくない。
里崎の真っすぐで信念に満ちた目に心は揺さぶられ、一度は自分さえ立ち直れるのかと思った。
だが、清水将海は死んだ。
「もしかすると他の誰かが殺したのかも知れない・・・
 でも・・・あのケガが原因で動けなくなったり、精神的にショックを与えたりしたのかも知れない。
 もう俺は・・・俺は、里さんと同じところには立てないんだな・・・」

――四郎ーー!もう行っちまったのかぁぁ・・・
里崎の呼ぶ声がする。
胸の辺りが締め付けられるように痛んだ。
これ以上進むことはできない。しかし、戻るに戻れない。
とりあえず四郎は、洞穴の中でギリギリ光の届くところまで行くと腰を下ろした。
なるべく里崎の声が聞こえないように。

―ザァァァァン・・・
洞穴は丁度その場所で二またに分かれていて、片方の先から波の音が響いてくる。
「この先は海があるのかな?
 里さんに会ったときもそんなこと話したっけ・・・」
故郷の海は、だいぶ遠いところにあるのだろうなと四郎は思った。
それは、とりわけ今の四郎には遠くに遠くに感じられて、四郎は無性に泣きたくなった。

140 :答え(2/3) ◆QkRJTXcpFI :04/11/13 16:18:06 ID:E2szJzhx
「四郎ーー!
 ・・・返事も何もないな。」
洞穴の入り口付近で寺本を呼んでいた里崎智也。
「やっぱりすぐに追っていけば・・・
 でもなぁ、四郎に一人にしてくれって言われた後だったからなぁ。」
里崎は途方に暮れて、一人でたたずんでいた。
「・・・仕方ない。いつまでも待ってるわけにはいかない。
 四郎に言われたとおり、一人も死なせないって覚悟を貫かなきゃ。
 そのためには何をすればいいのか、考えなくちゃ。」
そう考えを切り換えた里崎は、雨が小降りになっているのを見て洞穴の外へ出た。
「四郎、答えが出たらまた会おう!
 お前がどんな答えにたどり着いていても、俺は今と同じことを言ってみせるけどな!」
洞穴の方にそ叫ぶと、里崎は小走りで洞穴から走り去った。


「・・・」
「・・・はぁ」
いくら考えても、寺本四郎は自分がどうするべきか答えを出せずにいた。
真っ暗な洞穴で波の音だけを聞いて腰を下ろしている。
頭の中には今まで生きてきた思い出が流れるだけだ。
『人殺し』
自分にとって、およそ一般の人にとっても、縁遠かった人種。
そちら側に行ってしまったのかさえ、将海の死因を知らないので判断できない。
ただ事実として、自分は殺意を持って将海を撃ったのは疑いようがなかった。
「だけど・・・」
四郎は確かめるようにつぶやく。
「今は人を殺したいなんて思わない・・・それも確かだ。
 はぁ・・・
 ・・・里さんは、まだ洞穴の外にいるのかなぁ・・・」

――コッ・・・コッ・・・
(・・・! なんだこの音は?・・・足音!?)

141 :答え(3/3) ◆QkRJTXcpFI :04/11/13 16:18:45 ID:E2szJzhx
暗くて行けない洞穴の先、波の音が聞こえる方とは別の方から奇妙な足音がわずかに聞こえた。
(いや、足音とは限らない。
 だけど音は近づいてきてる・・・誰か来るのか・・・?)
四郎は波の音の聞こえる方の穴に、身を隠すのに丁度いい岩が突き出ているのを見つけた。
(ここならあっちから誰かが出てきても、後ろを取れるぞ・・・)
四郎はそこに隠れ、拳銃を左手に持とうと袋に手を入れた。
小さい金属音。あの100円玉だ。無視して拳銃を取り出す。


音は徐々に近づいてくる。
――コツッ、ズズッ・・・コツッ、ズズッ・・・
(やっぱり足音っぽいな。
 でもなんか・・・片足引きずってるみたいな音だ・・・)
そしてほどなく、音の主が四郎の前に姿を現した。
暗くて誰かは分からないが、やはり右足を引きずっている。長身で細身の選手。
道が分岐していて行き先に迷っているようだ。
武器はどうやら持っていない。

後ろ向きの隙だらけの姿。
もし先ほどまでの四郎だったら、迷わず打っていただろう。
だが、四郎は様子を伺っていた。
(里さんならどうするだろう・・・
 もし殺る気だとして、里さんが俺にしたように説得できるだろうか・・・)

そう思った四郎の耳に聞こえてきた、その選手のつぶやき。
「・・・ぼ、僕は、人殺し。
 そ、そう、殺人鬼なんだ・・・」
(人殺しだと・・・!?)

「そう、成瀬善久は、ち、血に餓えた、さ、殺人鬼・・・」
(成瀬・・・成瀬なのか・・・!?
 まさか、お前もか・・・)

142 : ◆QkRJTXcpFI :04/11/13 16:23:05 ID:E2szJzhx
>>88
はい大正解。
こうするつもりで書いてました。
バレバレですなorz

続き書きかけなんですぐ上げますね。

143 :取引1 ◆prGJdss8WM :04/11/13 16:44:58 ID:eGF91/kU
取引、という思いもよらない言葉を川井の脳が理解するまでに、またたっぷり2秒ほど。
しかしまた、向けられたままの銃口に目が吸い寄せられてしまう。
あの暗い孔からいつ弾道が尾を引くかと、何度もフラッシュバックのように想像する。すると思考が真っ暗に止まる。
「…川井さん、聞いてますか?」
優しい言い方だ。西岡はまるで自分が年上のように、川井を諭すように言う。
「そう簡単には撃ちませんよ。あんたには色々用があります。だから、取引です」
「…ひ、に、し、…」
「その格好のまんまもきっついでしょ?だからサクサク進めましょう」

濡れた髪をざっとかきあげ、西岡は声のトーンを落とす。
「今江さんに聞いたんですけど、そのリスト、俺も見たいですねえ」
あまりにも銃口を見つめ硬直している川井。
それを知ってか知らずか(いや今江が見れば「わざとや」と言い切るだろうが)、西岡はそれで川井の頬を撫でるようにする。
硬く冷たい感触が頬を遡る。意外と軽そうだと思い、やっと川井に人並みの思考能力が戻る。
「…持ってるんでしょ?生き残る人、決めたリスト。…誰が載ってるんです?」
「り、すと?…今江、が、言ったの?…」
「見たんですって。川井さんが直さん、正人さん、殺したのも聞きましたよ」
「……。」
「間違えて、直さん殺してもーたんですよね。間違えたンやってね」
「……。」
「沈黙は金、雄弁は銀って寸法ですか」

迷いのあるうちは何も喋るまいと決めたのか、川井が震える唇を何とか結ぼうとしているのを、西岡は揶揄する。
元々下がり気味の眉がさらに強張っているのすら笑う。
「なっさけないなあ。まあ、これが取引ですわ」
川井の唇は寒さと恐怖で紫色寸前だ。逆に顔は紅潮し、顔面のうっ血をあらわしていた。
「俺はアンタの秘密が知りたい。教えてくれたら殺しません」
西岡は薄く笑ったようだった。
「そうでなかったら黙ったまま死ぬだけですえ、どっちを取るかはアンタ次第」
ざあっ、その瞬間から雨がきつくなった。
西岡は目を細め、そしてまた髪をかきあげた。その髪の一筋一筋が束なって、その先から雨粒の雫が零れだしていた。

144 :取引2 ◆prGJdss8WM :04/11/13 16:46:37 ID:eGF91/kU
何度も動くなと釘を刺されていなければ、すぐにでも飛び出していたに違いない。
手にした銃の重みすら、熱さだと感じるほどに感覚はおかしい。
今江は自分のこういうところを知っている。無我夢中になると前しか見えなくなるのだ。
猪突猛進と言われれば反論できない。その点全てを器用にこなすタイプの西岡とは、対照的と言えた。
だからサードなのだ。西岡のように初めて一年かそこらで、スイッチヒッターになれる奴など理解が出来ない。
がたがた、銃を握る手が震えている。寒さでも恐怖でもない、これは怒りだ。
「何があっても動かんとって下さい。何があっても」
俺が死んでも、と西岡は言った。それはまるで笑うように。
それくらいの覚悟で黙っていてくれと頼まれたから、今江はただ動かないだけだった。

怒るなとは言われていない。そして狙うなとも。
そこに宙吊りになった奴が、川井貴志だということに気がついた。
ちょうど西岡の背の脇から、彼の恐怖に引きつった顔が見え隠れする。思わずいい気味だとも思う。
何があっても許さないと思った。川井だけは。
両手で抱える大きさの銃は、西岡のポケットピストルよりも何倍も重厚だ。それを真っ直ぐ構えなおした。
やはり息が歪む。はあと大きく吐けば、そこにはうねる熱気がこもって嫌な気配を残した。
何があっても許さない。かたかた震えるのは怒りのせいで、指は引き金。

西岡の言い分に川井は混乱していた。
血の巡りが悪いせいか、右手の先が冷たくなってきているのも感じていた。
しかしそれ以上に頭が重い。こちらは逆に重力のせいで、筋肉ポンプだけでは血液の循環が保てないのだ。
「誰に言われてるんです?」
西岡は問う。顔を滴る雨雫さえも、まるで楽しむかのようだ。
「誰が決めてるんです?このゲーム」
そんでアンタは、その外にいるんでしょ?と。

145 :取引3 ◆prGJdss8WM :04/11/13 16:47:24 ID:eGF91/kU
川井は混乱していた。何故西岡がゆっくりふうわり、そんなことを問うのかがわからない。
このゲーム事態を理解しているのならば、自分を殺して奪い取ればいいだけなのだ。
秘密もリストも、力づくで調べられれば全て奪われる。
西岡の銃の冷たさが再び頬を這う。雫が伝わって額の方へ滴る。
ひどくなった雨に、少し風も出てきたかもしれない。
木の枝を利用して吊り下げられた川井よりも、それを笑って見守る西岡の方が、すっかり濡れ鼠だ。
その銃はまるでおもちゃのようで、扱う西岡も楽しそうで、下手をするとこれは悪い冗談なのでは無いかと思えてくる。

そんな川井に西岡はたたみ掛けた。
「俺も寒いし、こんなとこで突っ立ってても仕方ないんですよ、せんぱい」
「…せ、…」
「大阪桐蔭でしょ、先輩」
かすれた声で反復した。そういえばこいつは同じ高校の出身でもあった。
「…ありがとうございます。先輩やったら、遠慮なく殺れるわ。後輩の明るい未来のために死んでくれはりますよね」
にっこり笑えば、きっと女性受けのするであろう少年性が見え隠れする。
生意気そうで不遜な奴だなあと、いつもなら頼りがいのあるやっちゃと思える笑顔だが、そこに心底の恐怖を川井は見た。
「っま、ま、待て、西岡、お前、人殺しだぞっ」
「…今更。こんなゲームに参加させられてて、そんなん言われても痛くも痒くもないですわ」
「あ、嫌だ、ヤダ、ま…っ」

「待てません。俺も寒い」
つううと銃口を滑らせてぴたり、川井の眉間に当てた西岡はまた笑った。
「死にたい?川井さん」
涙が出た。死にたいかと聞かれても、言葉なんてどうでもよくなっていた。
冷たいはずの銃口が、ちょうど輪のように眉間を押しているのが、熱く感じられた。
刻印を押されているようだった。じりじり音さえも聞こえるかと思えた。
どっどっと心臓が打てば打つほど、血がたまって涙が出る。本能と恐怖しかなくなる。
「…にたくない!死にたくない!!」
川井は泣いた。
「…じゃあ言って下さい。俺はアンタみたいな卑怯もんやないから、約束は守ります」
「死にたくない…ぃぃ」
川井は泣いていた。こんなにも生きたいと思った。

146 :取引4 ◆prGJdss8WM :04/11/13 16:52:00 ID:eGF91/kU
その声が聞こえて、今江の指はまた震えた。
撃ちたい。しかし撃てない。
それはただ、今江の照準範囲のかなりの部分に、背番号7が映っているからだ。
いくら目を凝らして狙っても、川井の頭の部分は彼の背中を出たり入ったりしているように見える。
しゃがみこんだ薮の中から銃口だけ出して、今江は固まったままだ。
もしかしたら西岡はそれすら見越して、その位置に立ったのではないかと思う。
それくらい即座に反応する奴だ。
でも撃ちたかった。それからのことは考えなかった。
あそこまで5メートルか、いや10メートルか。
切っ先のように指が震える。分厚い手のひらが固まってゆく。
撃てば川井が死ぬとそれだけ思っていた。その時今江には、死の意味なんて重くもなんともなかったのだ。

「さ、川井さん」
西岡が優しく言う。銃が額から離れた。パラパラ雨が顔にかかった。
「…ぁ、あ…ぼ、くは、」
「うん」
「ぼくは、全部、知らされてて」
っか、と喉に音が引っかかった。涙は出るのに、雨で濡れてもいるのに、喉はからからだった。
「ころせば」
「…うん?」
「ころせば、いきて、かえして、やるって、いわれて」
浅い呼吸を繰り返す川井に、西岡はやれやれと肩をすくめ、そんなことやろと思た、とひとりごちた。
「で、飲んだんですね。…誰を残すかも決まってたんですね?」
こくこくと川井は必死で頷く。耳の具合もおかしい。薄ぼんやりとしか聞こえない。
「リストはどこ?」
「ぽけ…ット」
「誰に言われたの?」
「かんと、く」
「それ以外は?」
「しらな…しらない…ぃぃッ」
また西岡がポケットピストルを川井の視線の先に構えた。

147 :取引5 ◆prGJdss8WM :04/11/13 16:54:27 ID:eGF91/kU
「ひぃっ」
「じゃあ、全部出して。こっちによこして」
川井は必死に、自由になるほうの左手でユニフォームのポケットを探る。
その時西岡がふと彼の右手に気付いた。
「川井さん、これは何?」
言いながら、痺れ始めて力の入らない川井の手から、その電子手帳のようなものを奪い取る。
転びながらも吹っ飛ばされながらも、川井が必死に庇ったおかげで、その画面はまだ死んではいなかった。
黒いモニタ画面に浮かび上がるデジタルの等高線。
その中にちらつくいくつかの赤い点滅と、その横の文字。

ざああ、雨がきつくなっているのは確実だ。
ぽたぽた髪から雫が滴るが、それ以上に全身はもうぐっしょり濡れている。
そのまま西岡は笑った。
「…これも、貰っといた方が良さそうや」
それから震える手で川井が握り、くちゃくちゃになったリストも。

「言っときますけど、俺は今江さんと行動してるわけやないですからね」
リュックも引きちぎるように奪われて、全く哀れなまま硬直している川井に、西岡は言う。
何故なら銃口がまだぴたりと揺らがないからだ。

「俺は自分が生き残るのが第一ですから。ただ…アンタはやばすぎ。少し反省しといて下さい」
どっちみちこのままやったら死ぬかもしれませんけど、とボソリと付け足す。
「俺は殺しません。でも助けません」
びしょびしょの髪をかきあげ、西岡は憮然と言った。
「アンタを殺すのは今江さん。だから俺は殺さへん」

148 :取引6 ◆prGJdss8WM :04/11/13 16:56:48 ID:eGF91/kU
まあ上だけでも切っといてあげよかな。
そう続けて西岡は自分の右腕に噛み付いた、ように見えた。
濡れてますます黒味を増したそのアンダーシャツを一気に引きちぎり、川井に目隠しをする。
きつくきつく、幾重かに重なったそれのせいで、川井の視界は奪われた。
「…この島は色々あって便利ですね」
言いながら今度はぱちんと何かを構える。川井にはそれが何かはわからない。
サバイバルナイフか何かだったとわかったのは、左足の突っ張りがなくなって肩から地面に突っ込んだときだ。

「じゃあ、川井さん」
落ちた拍子に、痛みと衝撃で咳き込んで蹲っている川井に西岡の声が聞こえる。
「そっちも頑張って外してみてね。ほな」

西岡が川井のリュックを引きずって、身を起こした。
チャンスだった。
川井は蹲っている。動く計算はない。

何度も指をかけては離した引き金に再び触れる。
一気に息を吸って肩の角度を上げた、発砲するのは初めてだったから。
そのとき西岡の背の7番が見えた。
全身濡れていて、もうアンダーの黒が透けていた。
その7番に、あのちょっとした雨染みを思い出した。耐えていた雨染み。
ひたすら耐えていた雨の染み。

149 : ◆prGJdss8WM :04/11/13 16:57:59 ID:eGF91/kU
一気書きをしたのですが長すぎるので分割投下です。
もうちょっとこの流れで行かせて下さい・・・


150 : ◆QkRJTXcpFI :04/11/13 17:10:43 ID:ko4bUa5W
>>149
すぐ投下されますか?
>>148で一段落でしたら、さっきの続き行きますけど。
切りが悪いようでしたらちお待ちます。

151 : ◆prGJdss8WM :04/11/13 17:12:00 ID:eGF91/kU
ではお先に行かせていただきます>>150

152 :ミスが二つ ◆prGJdss8WM :04/11/13 17:13:18 ID:eGF91/kU
濡れ鼠の西岡がやってきて、固まっている今江を見た。
何も言わず顎で、先に行けと指し示す。先ほどとは違った方へ、とにかくは違う場所へ。

今江は息を呑んだ。西岡は少し首を傾けたように見えた。
「…アホやない、馬鹿って言いますよ」
固まったままの今江を引きずるようにしてしばらく歩いた後、西岡は呟いた。
彼から流れる水が手を伝わって冷たい。手もすっかり冷えている。
彼に握られているのは利き手の右手。指が引き金にかかったままの右手。
充分離れたと思ったのか西岡が立ち止まる。少し広がった獣道のど真ん中、ほぼ無警戒に彼は立つ。
そのまま今江の右手を自分の胸に押し付ける。

「馬鹿」
手首を取られていた。離そうにも離せなかった。銃口はぴたり、西岡の薄く上下する胸にある。
「馬鹿かあんたは!?」
引け!西岡は叫ぶ。
いくらでも殺せ!と。
震えているのは今江のほうだった。西岡の手の力はとんでもなく強かった。
ぐっしょり濡れたワッペンが、薄暗い中でも艶めいているように見えた。雨のせいだ。

ぼたんぼたん大粒の雫が木の葉からこぼれ、思い出したかのように肩を打つ。染みて、たくましいその右手まで何度か流れた。
西岡が怒っている。西岡が本当に怒っている。
「ひとり、本気で殺したら、もう理由はないンやぞ!?」
それが誰のためであろうと、もう信念は無いのだと西岡は言う。
「俺にとってはそれがスジや、けどアンタ、違うんとちゃうんか?あんたは、皆連れて帰るって、違うんか!?」
そして引け!と、ますます強く今江の銃口を引き寄せた。西岡の手は冷たくて強くて、困った。
自分のものに比べたらきっと指も繊細だろう。しっかり芯はあるのだが、力勝負なら負けるわけはない。
「ちょっと指引いたら、俺は死ぬよ。あっちゅー間に、ただのものになるよ。それが死ぬことなんよ」
そうしたらもうこうやって、手を引かれることも無いのだなと、今江はぼんやり思った。
意味だと思った。参った。

153 :ミスが二つ 2 ◆prGJdss8WM :04/11/13 17:14:29 ID:eGF91/kU
「理由」
今江がやっと口にした言葉に、西岡は睨み返すことで答える。
俺の重みを全部背負っていけるんか、そして西岡は言う。行けるわけない、そう思った。
馬鹿みたいに広い視野と、あれやこれやに手を出しても、決して一つも忘れない記憶力と、揺らぎながら傷つきながらでも強くいることなんて。
西岡がゆっくり手を解けば、今江の右手もそのまま落ちる。西岡の目はきつかった。

ぼたん、ぼたんと、ずっとひとところに雨が落ちてきても、今江は座り込んで動かなかった。
傍らでは西岡が、奪ってきた川井のリュックの中身をぶちまけて、あれやこれや選別している。
「…いつまで呆けてるンすか。これ見て」
ぽんと膝の上に投げ出された黒い四角いものを見て、今江は少しため息をついた。ちかちか光る点滅を目で追う。
何ともシンプルな画面だなあと、場違いのようなのんびりしたことを思う。
「それとこれ」

今度は目の前にくちゃくちゃになった紙切れがぬっと現れた。
そっと受け取るとそこには見知った名前が並んでいる。自分の名も西岡の名もある。
「やっぱり思ったとおりやった。ゲームなんて、まともにクリアさせる気ないんや、あっちは」
西岡は吐き捨てるように言って、空になった川井のリュックを腹立たしそうに蹴り飛ばした。
ずぶ濡れのまま地面に座り込んでいるので、もう西岡のユニは泥だらけだ。
「…俺、殺されないのか」
「川井さんにはな。そう聞いたんでしょ」
「うん…」

改めてリストを眺める。
ワープロで印刷されたらしい文字が、ただの名簿のようにそっけなく並んでいるだけだ。
そこに意味などないと今江は思った。書いた人間には意味などわかっていないのだと。
「やばい。川井さんだけやないかもしれへん」
西岡がふと声を深くして言った。今江の肩を揺さぶる。
「しもた!ミスった!」
「…お前が?」
「…川井さんに聞いとかなあかんかったっ!やばい、…後何人、川井さんみたいな奴がいるかわからん…」

154 :ミスが二つ 3 ◆prGJdss8WM :04/11/13 17:15:34 ID:eGF91/kU
その深刻さに今江は目を見張る。
「もしおったとしたら、川井さんでこの装備や、…きっと知らん奴は太刀打ちできひん」
犠牲が増える。今江の中に、先ほどの熱とは違う奔流が暴れた。
「何とかしよう、何とか。なんとか…」
腕を跳ね上げるように、今江は弾かれたように立ち上がった。西岡が一瞬固まって、何故か笑ったように見えた。

やっと今江がモニタに興味を示したのを見て、西岡は軽く説明する。
「…どう見ても、それ、俺らの位置把握してると思いません?」
白いラインが地図だとすれば、中心の青い点はこの機械そのものの位置をあらわしているのか。
その周囲に重なるように、赤い点滅が二つ。7と25は自分達の背番号だ。
そこでようやく今江は、川井の行動を理解する。
隠れていた自分達すらもすぐに見つけることが出来たのは、このおかげだったのだ。
「…卑怯やな」
「こんなアイテム持ってたら、そらすぐ捕まります」
落ち着こうとして今江は深呼吸をした。憎むのは川井だけではないと、ゆっくり考えるようにした。一番上だ。根本だ。
「…これで誰か探して、合流しよう。ちゃんと、今度は」
「それが得策やね。出来たらこれの使い道見つけてくれる人がええなあ」
「使い道?」
「俺、機械とかマジわかんないんで。今江さんは?」
「俺がわかると思うんか…お前?」
「…野暮なこというてすんません」

機械かァ、そういうたら俺にわかるンはケータイくらいやなあ、西岡はぼやく。
研ぎ澄まされたように見える瞬間がある彼の、意外なまるっきりの弱点がわかって、今江は何故か笑えた。
これは何だろう。どこかで見たような気がしないでもない。
ケータイ、デジカメ、パソコン、心の中で指折り数えてみた。
こういうのを嬉々として説明していたあの人が、いなかったわけではない。
「…っあ」
西岡が顔を上げた。ぽかんと口を開けた西岡と、目があった。
「チームイチのモバイラーさん、まだ生きてたよな、今江さん!?」

155 :ミスが二つ 4 ◆prGJdss8WM :04/11/13 17:17:27 ID:eGF91/kU
「あ、今江さん、その前に俺着替えたいンやけど」
「?」
不意に素っ頓狂な声をあげて、西岡が今江のユニを引っ張った。
「濡れまくりやし、まず第一に、これ目立ちすぎるわ。せめてビジユニやったらよかったけど…」
「着替えるって、そんなこと言うたかて」
「そのへんの家からパクればいいでしょ」
「お前、さっきのロープとかもそのパターンか?」
「アホか!生きて帰れたら全部倍返ししたる!」
西岡が言いながらくしゃみをした。ぶるると頭を振るえば、髪から雫がまだ吹き飛ぶ。
「…風邪なんかひいたら洒落なりませんもん。それに背番号つけてたら、バレバレ」
「あ、…」
「って気付こうよ今江さん…別にユニ着てなあかんなんて、ルールなかったっしょ?」
相変わらずさとい奴だ。根性の悪さがなせるわざと言うべきか。
でも捨てるつもりはないんですよ、西岡は付け足した。ここから出るときにはちゃんとこのユニで、って決めてますから。

もう一つの西岡のミスが致命的にならなかったのは僥倖といえた。
川井のリュックに仕込まれた盗聴器の具合は、やはりまだ良好だったのだ。
盗聴器はただ淡々と全てを送り続け、スタジアムの本部の中、その声は一室に確実に届いていた。
僥倖であったのは、それを誰も聞いていなかったと言うこと。山本がヘリで飛び去った後のその指定席は、がらんどうのままだった。

「なあ西岡、お前川井さんとおんなじ高校やったよな」
「は?そうですけど」
「…なんで川井さん、お前のトラップわからんかったんかな…」
「今江さん、アホ?そんなもん大阪桐蔭で習うわけないっしょ」
「…やっぱりか」

156 : ◆prGJdss8WM :04/11/13 17:19:10 ID:eGF91/kU
一気に行かせていただきました。◆QkRJTXcpFI さんドゾー ノシ
根性悪の西岡、ひと段落です。

157 :『Black or White』2(1/4) ◆QkRJTXcpFI :04/11/13 17:49:29 ID:GFd8z9Eu
寺本四郎が今季ずっと浦和で共に戦った新人の後輩投手。
背番号1つ違いの高卒の左腕投手。かつての自分をダブらせて見ることは何度もあった。
2軍のシーズン後半、打者として手応えを感じ始めた四郎。
一方で成瀬もまた好投を見せるようになり、2軍とはいえ手応えを掴みはじめた様子だった。
自分の果たせなかった夢、成瀬は叶えられるだろうか?
心の中で何度かそう思うことはあった。

その成瀬善久は更につぶやく。
「さ、殺人鬼の僕は・・・どっちに人がいるか考える。
 もっと、たくさん人を殺したいから、さ。
 藤田さん一人だけじゃ、殺人鬼とは、言えない・・・」
(成瀬・・・・・・完全にあっち側に行ってしまってる。
 しかも・・・この言動・・・
 狂ってる? ・・・いや、それが当然なのかも知れない。)
四郎はこの状況をどうするか決めかねていた。
ここで成瀬を撃ち殺すのは、とても簡単なことだったが。

「あ、こっちは明るくなってる。
 こっちに行けば、外に出て、誰か会うんじゃないかな・・・?」
(おい待てよ、外には里さんが・・・!
 こんなやつ、説得できるできないの問題じゃない!)

「待てよ、成瀬。
 そっちに人はいないぜ。」

突然の声に成瀬は振り向く。
(ああ・・・声かけちまった。)
岩の陰から、寺本四郎はゆっくりと体を出した。
(でも・・・もしこの状態の成瀬を説得できるなら、里さんと一緒に行ける・・・気がする。)

「寺本四郎だよ・・・。
 成瀬・・・お前、藤田さんを殺したのか?」

158 :『Black or White』2(2/4) ◆QkRJTXcpFI :04/11/13 17:54:33 ID:GFd8z9Eu
成瀬は四郎を見ているが答えない。
「成瀬・・・?」
「うあああああああ!」
けたたましい叫びと共に、成瀬が頭から倒れこむように突っ込んでくる。
「うおぉっ!?」
右足を引きずりながらの突進は、あっさり四郎にいなされた。
――ズサァッ!
そのまま成瀬は倒れこんだ。

「待て!成瀬!
 俺の話を聞け!
 殺すとか、そういうのはやめろ!今からでも考え直せる!」
「・・・ふぅ・・・ふぅ・・・殺すんだ。
 さ、殺人鬼・・・僕は、そう、殺人鬼なんだから・・・」
地面に両手をつきながら起き上がりかけ、成瀬はつぶやいている。
「くそぉっ、ダメだ!
 こいつ、もう他人の話すら聞いてやしねぇ!」
そして、ゆっくりと成瀬は立ち上がった。

(説得とかできる段階じゃない・・・完全に狂ってる・・・
 こんなやつ・・・里さんに会わすわけにはいかない・・・話す間もなく殺されちまう。
 あの人は・・・里さんは、生きてなくちゃいけない人だ。
 俺がここで・・・こいつを止める!)

四郎は左手に持っていた拳銃を構えた。
「暗くても見えるだろ。少しでも近づいたら、撃つぞ。」
「うあああああ!」
またも話を聞く間もなく、成瀬が突っ込んでくる。四郎は引き金を引く。
――ズキューン!
残響が洞穴内をかけめぐる。
放たれた銃弾は成瀬の左腕に命中した。
そしてそれが、四郎の最大の失敗だった。

159 :『Black or White』2(3/4) ◆QkRJTXcpFI :04/11/13 17:57:21 ID:GFd8z9Eu
――バシュッ
成瀬の左腕に弾が命中して、腕が跳ねる。
(当たった・・・あ!)
しかし、銃弾だけでは突っ込んでくる成瀬の体の勢いは止まらない。
弾は当たっても、成瀬は止まらない。
撃った後、一瞬隙を見せた四郎に体を突っ込ませると、二人で一緒に地面に倒れこんだ。

――カラカラッ
「ぐあっ・・・くっ・・・はっ!」
もつれ合った四郎の左手から、拳銃が消えていた。
うつぶせの四郎に体を預けていた成瀬が、右の方へ跳ぶ。
「しまっ・・・」
――ズキューン!
二度目の残響が洞穴の中にこだました。

「う″ぉぉっ・・・ちくしょおおおおお!」
腹を撃ち抜かれ叫ぶ四郎を、右腕に拳銃を持った成瀬が見つめる。
更に1発、2発、寺本の胸あたりに銃弾を撃ち込む。
「うぅ・・・、くそぉ・・・、さとさ・・・・・・。
 ・・・・・・。」
四郎は沈黙した。

「よしっ!よしっ! 二人目だ!
 殺人鬼成瀬善久! 二人目を撃墜!
 ・・・あれ? 寺本さんだったのか。気づかなかった。」
実際には四郎はまだ死んでおらず、苦痛によって気を失いかけているだけだった。
ただし胸に撃ち込まれた銃弾は、この状況では致命的に違いなかった。

四郎が既に死んだと思い込んだ成瀬は少し理性を取り戻し、早々に次の行き先を思案していた。
撃たれてだらりと垂れ下がった大事な左腕は、気にする様子もない。
「こっちは明るい。こっちは波の音が聞こえる・・・
 寺本さんは波の音がする方から来たっけ・・・。意外とこっちの方が人がいるのかな・・・。」

160 :『Black or White』2(4/4) ◆QkRJTXcpFI :04/11/13 18:00:27 ID:GFd8z9Eu
わざわざ明かりのない方の道へ消えていった成瀬を見て、四郎は安堵した。
(これで・・・里さんが成瀬と会わずに済む・・・
 でも・・・俺は、もうダメかな。あぁ、死にたくないな・・・
 ・・・天罰・・・将海さんと同じ痛みを味わえってことか・・・)
四郎は震えながら袋の中を探った。
手探りで底の方に入っている100円玉をつかむ。
(これから始まった・・・これで決めた・・・
 でも、最後は自分で決められた・・・里さんのおかげだ・・・)

――「また雨が強くなってきたな・・・」
里崎智也は小走りに林道を行く。
「うおぉっと!?」
靴ひもがいつの間にか解けていて、里崎はすっ転んだ。土が跳ねる。
起き上がって靴ひもを結び直している間、ふと思う。
「まだ誰とも会わないな・・・急がなくちゃ。
 四郎、俺はやり遂げるぞ。お前が『期待してる』なんて言いやがったからな!」――

(意識が薄れてきたなぁ・・・これは、ちょっと・・・
 里さんの言ったこと、見届けられなそうで、残念だな・・・
 ・・・あ、そうだ・・・)
四郎は100円玉を両手の中に包んで、震える手で上下に2・3回振った。
(表だったら、里さんはうまくいく・・・!
 裏だったら・・・あの人が死ぬようなことになったら・・・)
「はがっ・・・!」
四郎の顔が引きつり、手の動きはそこで止まった。
――チャリンチャリン・・・
脱力した四郎の手の中から、100円玉がこぼれ落ちて跳ねる。
100円玉はそのまま転がって、パタッと倒れる。

表か、裏か、出たのは――

【61寺本四郎× 残り35名】

161 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/13 18:17:29 ID:AqDwl/to
四郎…(つД`)




成瀬こわいよ成瀬

162 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/13 19:05:41 ID:gTgXW95j
T.M.Revolutionの曲のタイトルがいくつか使われているのですが、
ファンの職人さんがいるのかな?それともただの偶然?

関係ない話でスマソ


163 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/13 19:30:28 ID:lXO3Q+F+
西岡怖いよ西岡

164 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/13 19:33:23 ID:gbNVFOA1
職人さん降臨キテター!
◆QkRJTXcpFIさん、サトと寺本めちゃめちゃGJでした。
泣きました。

165 : ◆/wyVLszwG6 :04/11/13 19:55:41 ID:3VVfjOor
>>162
それどころかIceman(きっと誰も知らない)までいますねえ・・・・浅倉大介つながりかな?

166 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/13 20:19:35 ID:zX1NL2FH
西岡かっこいいよ西岡

167 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/13 23:18:02 ID:Sp4asURl
西岡の話好きだなあ・・・

168 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/13 23:21:29 ID:Txkks7dF
ホント西岡カッコイイ!

169 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/14 00:16:28 ID:76+0clC1
西岡カッコよすぎなのであげ

170 :番外編 園川一美と愉快なコーチ達9(1/2) ◆GDAA.BMJxc :04/11/14 00:24:38 ID:kzGeMFzU
マリーンズの球団事務所は、海浜幕張駅から近くの高層ビルの中にある。
吉鶴は、福澤にこれまでの大まかな経緯を説明しながら、ビルの中へ入っていった。

エレベーターに乗り込むと、吉鶴はふと思い出したことをたずねた。
「…そういえば、福澤さんはどうして急に?」
吉鶴が福澤と合流できたのは、館山を出発する直前に福澤から電話がかかってきたためである。
もし電話がかかってこなかったら、吉鶴は一人で幕張へ乗り込むことになっていた。

「…おまえが夜中に電話をかけてきたからだよ。」
「あ…。」
確かに、吉鶴は昨晩遅くに電話をした。
あのときは、誰にかけようと考えていたわけではなかったが、
思い出してみると、その相手は福澤だったような気がする。

しかし、それが理由だとすると、もうひとつ気になることがあった。
「でも、福澤さん。それまで何度か電話したんですけど、一度も通じなかったんですよ。」

昨日は福澤を始めとして、マリーンズの選手、コーチ達に片っ端から電話をかけていた。
正確に言うと、福澤は既にマリーンズのコーチではないのだが、
福澤が正式に退団したのは、キャンプの前日であるため、吉鶴は福澤にもとりあえず電話をかけていた。
そして、福澤の電話に通じるまで、誰一人として電話が通じなかった。

「ああ…それは、ちょっと入用でな。人に会っていたからだ。」
「そうですか・・・。」
福澤の返答に何か引っかかるような気もしたが、特別にというほどではないので、
吉鶴はそれ以上たずねようとしなかった。
そんな吉鶴をちらりと見て、
(まあ、人に会っていたのは事実だしな…)
福澤は心の中でこう付け加えた。

171 :番外編 園川一美と愉快なコーチ達9(2/2) ◆GDAA.BMJxc :04/11/14 00:25:15 ID:kzGeMFzU
エレベータの扉が開き、吉鶴と福澤はマリーンズの球団事務所がある『はず』のフロアに着いた。
「で、球団事務所に電話が通じないから、どうなっているのか確かめにここまで来た…と。」
「はい。」
廊下をしばらく歩いて、球団事務所の『はず』の部屋にたどり着いた。
吉鶴はドアノブに手をかけた。
カギがかかっていたが、電話が繋がらない以上、部屋が閉鎖されていることは十分考えられることだった。
しかし…、
「…おい、吉鶴。」
「え?」
ふと福澤の指した場所を見ると、扉の表札が見慣れたマリーンズのものではなかった。
「あれ?場所を間違えたかな・・・?」
しかし、フロアを一通り調べても、マリーンズの球団事務所は見つからない。
「おかしいなあ…。他の階を調べて見ましょうか?」
「…。」
福澤は、先ほどの場所から動かずに、表札をじっと見詰めていた。
「…福澤さん?」
「あ、ああ…。分かった分かった。」
二人はエレベーターに乗り込んだ。

二人がエレベーターの乗り込んでしばらくした後、
初老の男性がトイレから出てきて、球団事務所の『はず』の部屋へ入っていた。
そこの表札には、
「CMBR管理本部」
と書かれていた。

172 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/14 00:40:46 ID:76+0clC1
フクザーコーチはなにかを知っているのか・・・?

173 :番外編 愉快なカモメたち3 ◆vWptZvc5L. :04/11/14 01:10:13 ID:Yie6Xnws
マリンスタジアムから球団事務所までの道のりは遠かった。
本来なら、マー君の足でも十数分あればたどり着ける道だ。
が、どこからかマー君を見つけた子供達が群がってきたのだ。
メッセでなにかイベントでもやってるのだろうか。
こんなただっぴろい道をマスコットが3羽歩いてたら目立ってしょうがない。
チームの一大事とはいえ、ここでファンサービスを怠っては人気マスコットの名が廃る。
とりあえず、シーズン中と同じように写真撮影や握手に応じる。

(人気者もつらいよなぁ。あぁ、向こうの親子連れもこっち指差してなんか言ってるよ…)

「ママー、あれアヒルさん?」
「ホントだ、アヒルさんだ。かわいいね〜」

(誰がアヒルだよ!どう見てもカモメだろ!?)
聞こえてきた会話の内容に、マー君は内心ブチキレそうだった。
見た目はやはりいつもの笑顔だったけれども。

ズーちゃんは、子供にプロレス技をかけて遊んでいる。
本来の目的なんか忘れてるのかもしれない。
(テメー、遊びじゃないんだぞ…)
マー君はじゃれるフリをしながら、かなり本気でズーちゃんをド突いた。
その半分はアヒル呼ばわりされたことへの八つ当たりだった。

174 : ◆h9KcvsENgk :04/11/14 01:23:19 ID:RhHfSBHy
>>162>>165
その辺の題名のは大方書いてるの自分です ノ
一応浅倉大介好きで、書きながら聴いてたりするんで。
でもそろそろ曲名ネタ切れかも・・・

しかしTMRも有名そうな曲はIgnitedくらいしか使ってないと思うけど、
まさかIcemanをアルバム曲の名前だけ見て判る人が居たとはw

175 :Rainy Heart (1/2) ◆h9KcvsENgk :04/11/14 05:17:50 ID:RhHfSBHy
街を見下ろす丘まで一人歩いて、斜面に腰を下ろして身を屈めた。
その紙を改めて、そして何度も見返す。
自分の表情が泣きそうに、そして必死で冷静になろうとして
そんなことも出来ないでいることがよくわかる。
感情すらどうなっているのかわからない。
ただとにかくそれは・・・
とにかく考えてしまうことが多すぎて。

山本エカ児から小林雅英へ
それはどうやって考えても、二人は手を組んでいたということ
小林雅英がゲームの管理側に居るということ
小林雅英がチームメイトを裏切ったということ
小林雅英がもう誰かを殺したのであろうということ
リストの存在
殺し合いをさせている人間が最初から殺す人間を決めていたということ
それ以外の人間に既に死の宣告をなされていたということ
それ以外の人間に生き残らせるつもりなどなかったということ
そして・・・

チームメイト10人の名前がただ純粋に羅列されていたその文字列。
生き残っているチームの主力格や若手の有望選手。
その10人の中に自分が選ばれていなかったということ。


自分にだって、自負はある。
守備なら誰にも負けないという確信。
8年間チームを引っ張り続けてきたという自信。
中心選手として主役ではなくともチームの顔だったという認識
曲りなりにも選手会長としてチームを動かしてきた責任
曲りなりにも選手会長として野球のために動いてきた思い

176 :(2/2) ◆h9KcvsENgk :04/11/14 05:18:10 ID:RhHfSBHy
それら総て真っ向から否定されたような
自分は特別に必要とはされていなかった
この島に消えても構わないとされていた
そんな意味を自分に見出させてしまうようなこと。
自意識過剰だった?
確かにこの10人はみんな素晴らしいだろう。きっと皆が認める。
そりゃ確かに今年は盗塁数だって減ったし成績も落として
守備だって自分自身下り坂に入ったことは認めざるをえないし
10人を選べといわれてこの10人が選ばれることは自分だって理解は出来る。

でも、それでも・・・・

そこに何の意図と何の説明と何の理由と何の事情と何の基準があったとしても
見えたものは自分への絶対的な否定であり否定でしかなく否定以外の何物でもありえない
絶対的で冷徹で無機質で他に何も語ることのない、そんな文字列。

そしてその様子を肩の上から眺めているようなもう一人の自分。
(こんな状況でそれを一番大変に考えてしまう偽善者?)
(自分さえリストに入ってればよかったのか?)
違う、違う、違う、違う、でも・・・


全てを目の当たりにして、冷静でいられるほど彼は強くはなかった。
それらを受け流し開き直り受け止めるには真面目すぎた。
地面に落ちた紙、それに濡れたのは雨だけではない。

177 : ◆loyOjt0Af. :04/11/14 06:56:44 ID:xrhq60+h
「薮田の大冒険9(1/3)」

「ハンシンハドコデスカ!?」
鬼のような形相で駆け付けてきた大男。
ユニホームを着た人間を引き上げた船員らも一瞬たじろぐ。
「ぅわぁ!・・・あ、あぁ、釣れた奴か?コイツだよ。野球選手みたいだ。」
黒人の大男は釣れた男の顔を確認する。
「・・・チガウ、ユニホームハヨクニテルガ、ハンシンジャナイヨ。」
監視員に殴られた男もようやく追い付く。
「お〜い、どいつだ?・・・そいつか!?生きて・・・・・・・・・ん!?」
「ドウシマシタ?」
「マリーンズのユニホーム!?・・・や・ぶ・た・・・薮田!?おい薮田なのか!?」
「シッテルノデスカ?」
「知ってるも何も・・・俺の後輩だ・・・」
「!?・・・デハ、アナタモベースボーラー・・・?」
「あぁ・・・昔の話だよ・・・」
ふと、男は遠くを見つめる。

178 : ◆loyOjt0Af. :04/11/14 06:59:03 ID:xrhq60+h
「薮田の大冒険9(2/3)」

「それより生きてるのか?薮田!薮田!!」
男は薮田の頭を起こして顔を数発叩く。
「ミャクハアリマス。キット、タクサンミズノンデマス。ハカセマショウ。」

二人による薮田の必死の蘇生が始まった―

179 : ◆loyOjt0Af. :04/11/14 07:05:45 ID:xrhq60+h
「薮田の大冒険9(3/3)」

・・・・・・・・・
「げふっ!げふんげふん!」

二人の必死の蘇生により大量の水を吐き出した薮田。薮田が目を覚ます。
「ぅぅ・・・ココは?俺は・・・生きてるのか?助かったのか?」
「ダイジョーブ?」
体格の良い中年の黒人が優しい声をかけてくる。
「アナタが俺を?・・・ココは・・・船?」
朦朧としながらも徐々に状況を把握してきた薮田。
右頬に殴られたようなアザのある中年男も声をかけてくる。
「気が付いたか?久しぶりだな、薮田。」
「え?久しぶり?」
薮田は怪訝な表情で男を見つめる。
「ふ・・・無理もないか。」
男はポケットから帽子を取りだし、それをかぶって見せる。その帽子には『M』の文字が刻印されている。
「どうだ?」
「あ、あなたは!?」

その男は―

180 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/14 08:39:07 ID:h5ozo+M4
だ、誰なんだ!?

181 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/14 08:43:41 ID:AtqY85tS
俺は>123-124の時点でわかったぞ (・∀・)ニヤニヤ
薮田様もなかなかやりますなw

182 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/14 09:55:12 ID:eRCLhoJI
わかんない…続きが気になるよ〜

183 :アタリ(小野晋吾) ◆vWptZvc5L. :04/11/14 11:08:55 ID:p36U6OGI
「あ、そうだ」
晋吾はふと思いついて足を止めた。
地図をとりだして時計を見ると、
さっきの場所に戸部の名と日時を書き込む。

(やっぱ誰かに出会ったっていう情報は重要だもんな。
サブのときの反省は生かさないと……って、あれ?
あの場所って11時から禁止エリアじゃないか。
戸部さん、まだ移動しないのかな?…まぁ、いいか。
知らなきゃ俺に聞くはずだし。とにかく早くサブを探そう)
晋吾は再び動き出した。

どこまでも不運な男、戸部浩・30歳にもうすぐ2度目の危機が訪れる。

184 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/14 12:33:34 ID:5mD7FlZ5
戸宮が危なーい!!

185 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/14 13:16:00 ID:h5ozo+M4
戸田ぁーーー!

186 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/14 18:19:29 ID:76+0clC1
戸蔦ぁーーーーーー!!!!



>>177
ベースボーラーではなく、ベースボールプレイヤーのほうがいいかも・・

187 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/15 08:22:01 ID:tyTi2Sor
こさっち頑張れ…
こさっちを助けてくれそうなお友達って、
長年の付き合いのジョニーが思い浮かぶけど…
先の展開がドキドキだ。

188 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/15 17:40:09 ID:O1XQHZuH
保守

189 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/15 18:02:59 ID:jWMD25Ep
次は保守揚げ

190 :確率論(戸部浩) ◆vWptZvc5L. :04/11/15 18:26:43 ID:LeLkmdrn
戸部は部屋の隅でひたすら時計とにらめっこをしていた。
今、時計の分針は頂上のわずかに左。
秒針がもう1周して戻ってくれば、また新たな禁止エリアが追加される。
心臓の音が異常なほどバクバク聞こえる。緊張で体が震える。
何とかなると思いたいのに、心も体も嫌になるくらい正直だ。

こんなにチキンすぎじゃダメだろ、俺。
爆発する確率は1割ないんだぞ、1割。それくらいでビビっててどうするよ。
1割っていったら、何だ、えーっと、えーっと……日ハムの実松の打率くらいか?
そうだよ、アイツが打つ確率よりずっと低いんだから、そんなのありえないだろ。
で、実松ってどんな奴だったっけ…?たしかキャッチャーだよな。
日ハムのキャッチャー……日ハムのキャッチャー……

だが、追い詰められた戸部の頭は、実松ではなく高橋信二の方を思い浮かべてしまっていた。
札幌ドームの逆転満塁ホームラン、プレーオフへの夢を阻んだ10回延長勝ち越しタイムリー…。
マリーンズ戦専用兵器といわれたあの打撃。はっきりいって、打たれた記憶しかない。
あいつが打たなかった打席なんかあったか!?


191 :確率論(戸部浩) ◆vWptZvc5L. :04/11/15 18:27:13 ID:LeLkmdrn
秒針は刻一刻と迫る。今にも頂上を指そうとしている。

「あ、悪魔だ…あいつは悪魔だぁぁぁーーーーーっ!!」

戸部の叫びが響く。そして暫しの沈黙。
……何も起きない。ひとまず胸をなでおろした。

助かった……。違うだろ!落ち着け、俺。あれは高橋信二だ。実松じゃない。
実松があんなに打つはずないんだから。爆発する確率だってずっと低いんだから。
…ダメだ、もう恐怖でまともに考えられない。
気を紛らわせるつもりが、悪いことばっか考えてしまう。
とにかく、これでなんとか10時台も乗り切ったな。
こんな思いをあとまだ2回もしなけりゃならないのか…。

「この調子で俺の心臓、12時まで持つのかな…ア、アハハ……」

乾いた笑いしか出なかった。


192 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/15 18:33:47 ID:usdciN68
戸部ーー!!戸部飛べ飛べーーーっ!!


小坂も頑張れ…会長だろ?

193 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/15 18:35:46 ID:VrXUao/I
戸村ー!!ガンバレー!!w

194 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/15 19:29:57 ID:/27nkeNv
戸島、大人気!!w


195 :壮絶な戦い 序章  ◆t9z9GAMfsM :04/11/15 20:51:27 ID:sWTftXTl
 「・・・怖い・・・外野手が怖い・・・・」

 そう呟きながら、諸積は降って来る雨を避けようともせず、
ただ濡れ続けていた。

 雨は彼の心情を表すかのように、強くなって来ていた。

 
 しばらくして、強い雨の音に雑じって、誰かが枝や草葉を掻き分けて
こちらに向かってきている音がした。

 「・・・・・だ、誰だよ・・・。」

 諸積が支給された物は武器ではない。ましてや盾でもなく、襲われたと
しても抵抗できる状況にはない。頼ることができるとすれば、俊足で鳴らした
その脚だが、雨が降っていて足元がぬかるんだこの状況下では、全力で
走ってもその真価は発揮できないだろう。

 音が止まった。

 近づいた者の名を呼ぶ間もなく、逃げる間もなく諸積は意識を失った。そして・・・。


 生命を奪った者の名は―大村三郎。登録名:サブロー。諸積が会いたくない、と
呟いた外野手の一人。そして・・・殺人マシーン。

 これが、後々の壮絶な戦いの序章となった―。

 【0 諸積謙司 死亡 残り34名】

196 : ◆loyOjt0Af. :04/11/15 20:57:33 ID:svrmPYKB
「薮田の大冒険10(1/3)」

「あなたは・・・どちらさまでしたっけ?」
男がわからない薮田。
「ドチラサマデスカ?」
黒人は元々知らない。
「わ、わからないのか?ホントに?・・・オマエ、偉大な先輩を・・・」
「すいません・・・」
予想外と言うより、期待外れの薮田の反応に本気で落胆する男。
しかし、無理もなかった。薮田と男の再会はおよそ7〜8年振りなのだ。
「まぁ、オマエもあの頃は入団間もなかったしな。・・・こう言えばわかるな、『ミスターロッテ』だ。」
「えぇ!?じゃあ・・・あ、あr」
「そうだ、愛甲だ。やと思い出したか。久しぶりだな。
あの頃のオマエは未来のエース候補だったな。今もそのユニホームと言うことは・・・ふっ、頑張ったんだな・・・」
薮田の言葉を遮り、勝手に語り出す男。
そう、男はかつてロッテオリオンズ〜マリーンズの主力として活躍した『ミスターロッテ』こと、愛甲猛であった。

197 : ◆loyOjt0Af. :04/11/15 20:59:28 ID:svrmPYKB
「薮田の大冒険9(2/3)」

「愛甲さん・・・お久しぶりです(危な・・・危うく有tさんと言ぅてまう所やった)。」
「ふ・・・とにかく無事でよかった。・・・ところで、何でオマエは海に流されてたんだ?」
感動の再会も束の間、愛甲の言葉で薮田は己の使命を思い出した。
「!?、そうか!俺はやったんやぁ!成功や!コレで皆を助けられるぞ!!」
いきなり立ち上がり、跳び跳ねて喜びだす薮田に困惑する愛甲と黒人。
「イッタイ、ナニガヤッタデスカ?」
「やったんですよ!皆助かるんです!アナタ達のおかげですよ!そうだ!この船の船長さんは何処ですか!?」
「タスカル?」
「薮田、何かあったのか?それに船長って・・・」

198 : ◆loyOjt0Af. :04/11/15 21:08:25 ID:svrmPYKB
「薮田の大冒険9(3/3)」

「あのですね・・・後でゆっくり説明します!とにかく船長さんを!」
薮田が船長を探しに動こうとしたその瞬間。

「テメェかゴルァ!船に勝手に乗り込んできた奴は!」

そのドスの効いた声によって、薮田の周りに出来ていた人だかりが散らばる。
愛甲を殴りつけた監視員とその両脇に、小銃を構えた男達が薮田の前に現れた―

199 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/15 21:28:19 ID:jWMD25Ep
>195さん
モロの名前は「兼司」では…。。

>196さん
愛甲キター(゚∀゚)ー!!!

200 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/15 21:39:02 ID:2V4JEMxy
>(危な・・・危うく有tさんと言ぅてまう所やった)

これ、フクーラしくワロタw
う〜ん、やっぱり愛甲だったか・・・。
ってことは黒人の正体もきっとアイツだな・・・

201 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/15 22:04:03 ID:nxbGzgXq
随分簡単に死んじゃったもんだな>モロ
全くの闇討ちじゃないんなら一言二言くらい会話があってもよかろうに。

202 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/15 22:13:17 ID:sOB/SgS8
◆t9z9GAMfsM氏、名無しが偉そうに言えた立場じゃないが、
見守るスレや本音スレで言っても、気付いてもらえなきゃしょうがないのでここでいいますね。

以前から読み物として、ちょっと足りないってゆうか・・・
他の職人さんと比べてみて、自分の作品って何か違うと思いません?
これじゃただ『諸が死にました・終』なだけで、どうかと思います。
以前も小坂と俊介をただ会わせるだけで終わるお話とか書いてましたよね?
もっと一つの展開に心情なり、ヤマや見せ場を作らないと小説として、つまらないと思います。
よく貴方への感想に批判的なレスがつくのは、こういった理由もあると思いますよ。
他の職人さんの作品と比べ、明らかに見劣りして浮いてますので、もうちょっと頑張って欲しいです・・・

203 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/15 22:22:08 ID:mv5nFA6q
t9z9GAMfsMさんていつも量少ないけど、それで一つ話を終わらせようとするから内容が少なすぎるんでは。
もっとじっくりやっていいと思う。
何も1レス分で話一つ終わらせる必要もないんだし、三日後に続き書くぐらいのつもりで。
でないと今まで出番もなかったのに、モロの扱いが不憫すぎる。

俊介と小坂が会った続きを他の人に任せるって言って、ちょっとブーブー言われてたけど
別に他職人さんが続けやすいように話を切っておくって悪いことじゃないし。
他の職人さんは普通にやってることだし、そういう方式ですから。
金沢とタスクもリレーしてすぐ終わっちゃったし。

もっとじっくり余裕を持って書けば、描写も増えるし面白くなると思うんだけど。

204 : ◆CLM31pWOr6 :04/11/15 22:23:16 ID:yAErrsnv
> ◆loyOjt0Af. 様
> ◆GDAA.BMJxc 様

大変お手数ですが、
http://www.age.cx/~marines/cmbr/cgi/writers.cgi
こちらからご連絡頂けませんでしょうか。
職人様の皆様がものすごい勢いで打ち合わせしておりますw
是非、この輪に加わって頂きたく、宜しくお願いします。


205 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/15 22:25:48 ID:mv5nFA6q
あ、批判レスがかぶった。

名無しがスレ汚しスマソorz

206 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/15 23:07:49 ID:ntXugF6/
批判キター

207 :番外 李承■と愉快な同士たち10 ◆CpgsCDAZJ6 :04/11/16 00:20:15 ID:DTtMiS+N
――「CMBRの情報をマスコミにリークしたものがいる?」
「はい、既に秘密裏に『処理』させましたが、危ないところでありました。」
「そうか、どこから漏れたのかは分かっているか?」
「それはただ今調査中であります。ただ・・・」
「なんだ?」
「情報は日本のマスコミだけでなく、韓国のマスコミに対してもリークされております。
 もちろんそちらも『処理』しておきましたが。」
「韓国でも? 万一のために予防線を張っておいたのが役に立つとはな。
 これはどうやら、グラウンドへ乱入してきたお客様がいるようだ。
 わざわざ探る必要はない。待っていれば向こうからこちらを探ってくるだろう。
 予防線を張りめぐらしておけ! 球団からロッテ本社まで、全てだ!
 おイタの過ぎるお客様は、きつく『処理』させていただこう!」
「は、了解しました!」――

〔丶`J´〕ノ日<オッス、イカポッカ(イカ炒め)!李承■デス。
公式タンと次の連絡の日時を決め、私達はヘリからジェットに乗り換えハワイから北極付近の島へ到着しまシタ。
ずいぶん長い時間をかけまシタ。
それから船に乗り換え更に数時間、私とマット・フランコはベニー・アブラハムの所へ向かっていマス。
「オー、ヤリチン!」(訳:だから彼の名前はベニー・アズマンガだってば!)
「済まない。また間違えた。」

北極近くの海岸線では冷凍庫のような風が私達を凍らせようと吹いてきマス。
波のしぶきは凍らないのでしょうカ。
「オー、ヤリチン?」(訳:ベニーのやつ、ハワイ生まれがなんだってこんな寒いところに?)
「それはベニーに会って聞いてみないと・・・
 ・・・あ、あそこに人影が!」
海岸線の波打ち際は岩場になっていて、たくさんの生き物らしき群れがいまス。
どうやらその群れはアザラシのようでス。
その中に立つ人間の姿。上半身が不釣合いに大きい、少しむっくりとしたその姿を私達は覚えていマス。
ベニー・アグラカキ。彼はこの極寒の中で、タンクトップと短パンの練習着で立っていまシタ。

【同士2名  ※■は火へんに華】

208 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/16 00:23:47 ID:tQCcOO2A
スン様キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!


209 :番外 李承■と愉快な同士たち11 ◆CpgsCDAZJ6 :04/11/16 00:24:12 ID:DTtMiS+N
〔丶`J´〕ノ日<オッス、チャプチェ(春雨炒め)!李承■デス。

――ザッパァァァン・・・――
岩場に打ち寄せ、波しぶきが冷たい風に舞っていまス。アザラシの群れの中に彼はいまシタ。

「オー、ベニー!」
彼はこちらを振り向くと、満面の笑みで僕らを見つめましタ。
「君たち、スンヨウ、フランコ、久しぶりだ! 会えてオレ、嬉しい!」
「オー・ヤリチン」(訳:久しぶりだな。君を探してずいぶん時間をかけたぜ。)
「君たち、なぜ、オレ、北極いる、わかった?
 オレ、ここにいる、ファミリーにも秘密、知らない。」
「この李承■にかかれば、それぐらいの情報は分かるさ。
 しかし、なぜこんなところに? しかもそんな格好で?」
ベニーはこの極寒の中、タンクトップと短パンの練習着スタイルをしていマス。
見ているだけで厚着を重ねた私の背中で温度が低下しまス。
ぶるぶると、フランコも震えていまス。

「オレ、暑いベースボール、好き。 寒いベースボール、嫌い。
 でも、オレ、ずっとマリーンズ、プレーしたい、GJしたい。
 だから、秘密の特訓、寒いに、負けない、勝つ。」
「オー、ヤリチン・・・」(訳:ひょー、君はマジメなやつだ。けどなベニー・・・、そのマリーンズが・・・。)
「フランコ、言いかけ、やめるな、どうした?」
「私から説明しよう。ベニー」

――ギャァー!ギャァー!――
「ん!?」
「オー、ヤリチン?」(訳」なんだ?アザラシ達が騒ぎ出したぞ。)
突然周囲のアザラシたちが大騒ぎを始めましタ。何かに怯えているようでス。
「スンヨウ、君の説明、あと。 アザラシたち、オレの仲間、ここでなった、なぜか親近感、心通じ合う。
 アザラシたち、怖い、叫んでいる 。怖い敵、シャチ、群れ、来た。 オレ、闘う!」

【同士2名  ※■は火へんに華】

210 : ◆CpgsCDAZJ6 :04/11/16 00:29:00 ID:DTtMiS+N
訂正です。
スペースの位置間違えました。修正で保管お願いしますorz

アザラシたち、怖い、叫んでいる 。怖い敵、シャチ、群れ、来た。

アザラシたち、怖い、叫んでいる。 怖い敵、シャチ、群れ、来た。


半端ですが今回はここまでで。
続きは書けたら深夜に、だめなら近日にうpします。

211 :夢が夢なら(1/4)  ◆Ph8X9eiRUw :04/11/16 02:28:37 ID:brH6uBj1
右のこめかみがぎりぎりと痛い。
雨の所為か、それとも麻酔銃なんかで眠らされた所為なのか
平下は親指でぐぐっと痛む箇所を押さえこんだ。
気分が悪い。
青野もこともそうだが、なにより眠らされていたあいだに見た夢、
それを思い出すたびに、自分のこめかみはますます痛みつけられた。

気がつくと、自分はスタジアムに立っていた。
見慣れた風景、立ちなれた芝の感触。
千葉マリンスタジアムのライトの守備に
あたりまえのようについている自分がいた。
そう、ここが自分の居場所なのだ。
9年間求め続けて、ずっとずっと欲しくてたまらなかった自分の居場所。
スタンドから送られる雨音のような整った大声援に答えようと、
大きく手を上げ、スタンドを振り返る。
しかし、ライトスタンドはからっぽだった。
それなのに声だけはゲーム中のようにスタンドに響きわたっていた。
客席だけではない。マウンドに、ベンチにも、誰一人いない。
スタジアムには誰も立っていなかった。
なんだこれは・・・。
あわてて守備位置を離れ、皆を探しに行こうとする、が
足はグラウンドに根が生えたみたいで、平下はそこから動くことが出来なかった。
なにかが、足首をつかんでいる。

212 :夢が夢なら(2/4)  ◆Ph8X9eiRUw :04/11/16 02:29:04 ID:brH6uBj1
「本当に良かったよな、平下」
ふいになにかに声をかけられ、平下はゆっくりと声がした方向、
自分の足元を見つめる。
うつぶせに倒れた、背番号65をつけた男が
自分の足をがっちりつかみながら笑いかけていた。
その男の首は、なにかに絞められたように赤黒く変色していた。
「いや本当にあずましいよ、平下」
背中から聞こえる声援が、男の声にあわせるように歌いだす。
あずましい平下 あずましい平下。
「お前は本当にあずましい。そして外野はお前のものだ。だから、」
つかまれた足首に爪が食い込む。
「お前はここで、あずましく、死ね」
外野席の声援が絶頂に達して、そして、そしてー

平下はここで目が覚めた。
自分の身体をぬらしていたものは、決して雨だけではないはずだ。
額に流れる水滴をぬぐおうとして、最初の支給品であるタオルをとりだすが
いまいましそうにそれをまるめて投げ捨てた。
遠くで定例の放送が聞こえる。
その音でますます頭痛がひどくなった。
誰が生きてようと死んでようとかまわない。
オレは目の前にいる外野手を排除する。
そして、ようやく見つけた自分の居場所を護る。それだけだ。
だから、死んでからも邪魔するのはよしてください、曽我部さん。

213 :夢が夢なら(3/4)  ◆Ph8X9eiRUw :04/11/16 02:32:38 ID:brH6uBj1
同じく田中良平も眠っているあいだに短い夢を見た。
青野と並んで座っていた。普段のときとなんら変わらない
どうでもいい話をくりかえしていたのだが
なぜか青野の声が自分に全く届かないのだ。
まるで彼だけちがう空間にいるようで、こんなにそばにいるのに
とんでもなく遠いところにいるようで。
青野の口だけが、むなしくぱくぱくと動く。
「聞こえない、全く聞こえないよ」
自分の声は届くのか、さらに青野が返事をするが
やはりその声が耳に届くことは無かった。
「なにがいいたいんだよ、なぁ、なんていってるんだよ」
そんな自分を見て、青野が哀しそうな目で自分を見つめた。
哀しく、憐れみ、そして諦めたような青野の瞳。
そんな瞳で、青野がまたつぶやいた。

あいつは、一体なんて言いたかったんだろう。
そして、あいつが自分たちを殺さなかったのはなんでなんだろう。
あいつが自分たちの武器をも置いていったのはなんでなんだろう。
またあいつに会えたら、その答えは出るんだろうか。

214 :夢が夢なら(4/4)  ◆Ph8X9eiRUw :04/11/16 02:35:02 ID:brH6uBj1
ぼんやり考える自分の耳に、定例の放送が飛び込んでくる。
死亡者の名前に耳を澄まし、そこに青野が呼ばれなかったことに
安堵している自分がいた。
「あれ・・・?」
そして、呼ばれなかった名前がもうひとつ。
「どうした?」
怪訝そうな顔をした田中を平下が呼びかける。
「い、いや・・・なんでもないです」
そうか、と平下はまた前を向き、歩き出した。

曽我部さんの名前が、無い。

前を歩く平下の濡れそぼった背中を、田中は伺うように見た。
気づいてないのか、それとも気づいているのか。
平下さんはやりそこねたのか、それとも管理側のミスなのか
それともー
最初からすべてがウソなのか。

田中は平下に何も告げずに後ろをついて歩き出した。

215 : ◆Ph8X9eiRUw :04/11/16 02:36:46 ID:brH6uBj1
初めて投下させていただきました。
初めてなのに長文で申し訳ない orz
2度も放送あったのに曽我部のことがスルーされ続けてるのが
気になって気になって、自分で書いてしまいました。
職人様たちがすごい勢いで打ち合わせされてるらしいので
もしその進行の邪魔になってたら申し訳ないです。
とりあえず、どんなふうにでも転べるような書きかたにしたつもりなんですが。

216 : ◆CLM31pWOr6 :04/11/16 03:01:44 ID:nRjSLWVp
>>215
なまらあずましい!

もし宜しかったら職人同盟に入りませんか?w
http://www.age.cx/~marines/cmbr/cgi/writers.cgi
お待ちしております。

217 : ◆vWptZvc5L. :04/11/16 03:25:41 ID:ryhvKhrN
>>215
グッジョブ!!
進行の邪魔どころか、素晴らしい後押しになってますよ。
さぁ、君も今日から職人だ!w

218 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/16 08:29:58 ID:Hwl41Atl
小ネタ
小坂がリスト入り?
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1100475226/


219 :タオル(曽我部・ユウゴー) ◆vWptZvc5L. :04/11/16 11:18:43 ID:niCb+qCt
ユウゴーと曽我部は市街地の中心を目指していた。
市街地なら物資の調達もしやすいし、きっと誰かに会う可能性も高くなる。
できるだけ仲間を集めれば、ここから抜け出す方法もわかるかもしれない。

住宅地の外れに差し掛かったとき、ユウゴーは地図を取り出した。
「この辺って、11時から禁止エリアなんすね。
ここを通っていけば近道ですけど、どうします?」
「まだ10時前だし、さっさと通り抜けちゃえば問題ないよ」
「そうっすね」

『……ぁ……ぁぁーー……ーっ!……』

「……?曽我部さん、今、何か聞こえませんでした?」
「別に聞いてないぞ?」
「なんか悲鳴みたいなのが聞こえたんですけど…。ちょっと気になるんで、俺、見てきます」
「あっ!おい、ちょっと!!」
ユウゴーはその声がしたほうへ駆け出した。
「早くしろよーー!」

220 :タオル(曽我部・ユウゴー) ◆vWptZvc5L. :04/11/16 11:19:17 ID:niCb+qCt

「どっかこの辺から聞こえたんだけどなぁ…」
ユウゴーは声が聞こえた付近をウロついていた。
ある家のそばに白いものが落ちているのが視界に入った。
それを拾い上げる。雨でグチャグチャに濡れているが、はっきりと見覚えがある。
いつも『OVER THE RAINBOW』と共に、マリンスタジアムのライトスタンドを覆い尽くす白いもの。

「マリーンズのタオルだ。間違いない、誰かいる」
ちょっと待て、…タオル?ってことはことは平下のか!?
あいつはこれで曽我部さんの首を絞めたのか!!
じゃあさっきの声は平下…?それとも平下に襲われた誰か…?

「ヤバイ、助けなきゃ!!」

221 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/16 11:45:50 ID:pCiGkjPQ
曽我部ユーに平下良平もキタ!!
職人さんGJです!!
あずましいの意味がわからない私はドウシタラorz

平下の不安とやせ我慢がいい感じですね。大きく展開するヨカン

222 :PERFECT FUTURE? (1/2) ◆h9KcvsENgk :04/11/16 13:48:28 ID:kjUWhcH+
(ここでいいか。)

腰を落ち着けて得物を取り出す。
市街地とは言っても割と低い建物の多いこの周辺で頭一つ高い雑居ビル、
その5階の窓辺に陣取り近くを通る人間を狙う。
それが小林雅英の方針だった。
見渡しがいいというところはそれだけ逆に狙われやすい、とも言うが・・・。
「上を取ったほうが有利だろ」
そう考えて安心しておく。根拠はない。

落ち着いたところで探知機をチェックする。軽く舌打ち。
相手が複数では、こっちが探知機を持っていても少しやっかいだ。
昨日はそれで想定外の結果になったのだし今日は確実性を重視していく。
ここまでで予想以上に速いペースで進んでいるんだ。
わざわざ自分から襲撃しに行くという無理をすることもなく
確実に狙えるものを狙う、それでいい。今は。

もう一度液晶の画面をチェックする。
光点が複数で居る。それはやる気になってない人間が組んでいるということか。
生き残ってここから帰るために。
俺は一人で居る。それはゲームを管理している人間と組んでいるから。
「生き残ってここから帰るために」
口に出してみる。

223 :(2/2) ◆h9KcvsENgk :04/11/16 13:49:22 ID:kjUWhcH+
そう、そのために今は心を凍りつかせて。
そう、そのために、俺は・・・・・

ババババババババババババババ

突然、思考を遮るノイズが耳に入ってきた。
それは徐々に近づき、轟音となって次第に大きくなってくる。
窓から身を乗り出して音源を捜す。
それは彼の居る建物付近の上空、高いところで旋回していた。
「ヘリコプター・・・? 何だ?」
それは降りてくるでも何をするわけでもなくただ雨の中を浮いているだけのようだった。



「山本さーん雅はこの下あたりですけど見えませんかー!?」
「ダメだー! 多分建物の中に入ってやがる!」
「どうするんですかー!高度下げますかー!」
「ここで落としても雅が気づかなけりゃさっきと同じことになるだけだろ!
あれだけ探しても薮田は見つかんねえし、またリストが漏れたりなんかしたら
管理能力どころか俺の命も・・・・・クソッ・・・・雅のバカヤロー!」

224 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/16 19:17:49 ID:3Dp7JEZX
で、モロはもう死亡終了ですか?
死ぬのはいいけど修正はナシ?



225 :番外 李承■と愉快な同士たち12 ◆CpgsCDAZJ6 :04/11/16 20:03:58 ID:fUQsb9cM
〔丶`J´〕ノ□<オッス、チョンゴル!李承■デス。
「オレ、闘う!」
そう言い残し、ベニー・アブラソバは海へ駆けていきまス。
波しぶきの舞う極寒の海に突入し膝まで浸かると、アザラシ達を背にして身構えましタ。
突然ベニーの目の前の海が盛り上がり、彼の巨体より大きなシャチが大口を空けて襲い掛かりマス!
「アザラシたち、その口、触れさせない! 行くぞ、必殺、ハワイアンパンチ!!」
ベッシィーッ!!
さっと身をかわし右腕を大きく振り回すと、シャチの腹に大きな拳が突き刺さりまシタ!
シャチはそのまま空中を回転しながら飛んでいきマス!

「オー、ヤリチン・・・」(訳:『ハワイアンパンチ』って、打撃のパンチ力のことじゃなかったんだな・・・)
「すごい威力の必殺パンチだ! ほら、喰らったシャチがプカプカ浮いてるぞ。」
「オー、ヤリチン!」(訳:全くだ! ベニーの力は我々にとって欠かせない戦力だぜ!)
「それだけじゃないさ。」
「オー、ヤリチン?」(訳:なに?)

ベッシーッ!!
「仲間たち、守る! オレ、命、かけて!」
ベニーは襲い掛かるシャチたちに次々と必殺ハワイアンパンチを見舞い、なぎ倒していきまス。

「仲間のためなら後先考えず、ああしてケガも恐れず飛び込んでいく。
 あの心、彼への信頼感が何よりのかけがえの無い戦力さ。
 そう、ズレータからセラフィニをかばって左肩をケガした時もそうだった。」
「オー、ヤリチン。」(訳:全くだ、バーンにセラフィニが襲い掛かったときも真っ先に止めたっけな。)

ベニーに敗れ、シャチの群れは去りましタ。
生傷を作りながら、ベニーは何事も無かったかのように笑って言いましタ。
「戦い、終わった。 スンヨウ、フランコ、さっきの説明、続き、聞かせてくれ。」
「オー、ヤリチン。」
「CMBR? それ、本当か!? なんてことだ! オレ、行く! 早く、みんな、助け出そう!」
こうしてまた一人、心強い同士が加わったのでス。
【同士3名  ※■は火へんに華】

226 :番外 李承■と愉快な同士たち13 ◆CpgsCDAZJ6 :04/11/16 20:06:36 ID:fUQsb9cM
〔丶`J´〕ノ○<オッス、コムタン!李承■デス。
「早く、行こう、スンヨウ。 マリーンズ、仲間たち、救い出す!」
ベニーは怒りで興奮気味でしタ。普段は温厚な彼が、今までのどんなときよりモ。
「オー、ヤリチン。」(訳:焦らないでくれ。我々にはマリーンズの仲間がどこにいるかすらわからないんだ。)
「私の情報網を使って調べている。今はまず信頼できる仲間を集めているんだ。」
「そうか、わかった。仲間、集めよう。」
「オー、ヤリチン?」(訳:そういえば、セラフィニはどこにいるんだ?)
「ダン・セラフィニは、シーズン終了後にアメリカに帰らず日本に残ったらしい。
 だが、そのまま行方不明になってしまった。詳しくはまだ分からないんだ。」――

――バシッ!バシバシッ!
「そこでロー!ミドル! おーし、その調子だ。」
10/28、CMBR初日の夜。都内某所のとある格闘技のジムで、汗を流す大柄の白人の男がいた。
長身にクッキリした顔立ち。モデルと間違えられても不思議ではないその男は、殺気を発してトレーニングに励む。
「サンキュー、トレーナー。」
ダン・セラフィニは練習を終え汗を拭き、今度はジョギングをしにジムの外へ出た。
小気味良いテンポで夜道を走る。汗をかいたばかりのサーフにとって、日本の秋の夜風が涼しい。
「来季に向けて俺のやることは一つ。ズレータの野郎・・・今度こそ、殺す!」

「そのためにジム通いかい? ベースボールより乱闘が好きとは、まさに適任だなサーフ!」
「誰だ!」
突然の声にセラフィニが振り向いた瞬間、横から男達が飛び出しセラフィニに大型動物の捕獲用ネットを被せる。
「うおお! な、なんだお前ら!?」
「おとなしくしろ!」
ネットにセラフィニの長い手足が絡まり、3人がかりで抑えつけられる。3人がかりでやっと。
「暴れるようだから眠ってもらいましょう!」
そばに立つ男の指示を聞き、1人の男が白い布を取り出しセラフィニの口に強く押し当てる。
「もごぉっ、何をする気だ? やめ、もごっ!」
「ユーにはしてもらいたいジョブがある。一緒に来てもらうよ。」
その男。横で指示を出している、最初に自分を呼んだ声の主をセラフィニは知っていた。
「あ、あんた・・・!?」
そこまで言いかけ、セラフィニの体はガクリと崩れ落ちた。

227 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/16 20:06:46 ID:mgPaz6la
次はサーフかな?(・∀・)ドキドキ

228 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/16 20:08:53 ID:mgPaz6la
か、かぶったΣ(゚Д゚;)スマソ
しかもなにやら大変なことに・・・

229 : ◆t9z9GAMfsM :04/11/16 20:45:43 ID:0frkwItO
 やはり私にはダメなようです・・・_| ̄|○

 名無しに戻ります。失礼いたしました。

230 :生き残れ 1 ◆prGJdss8WM :04/11/17 00:12:20 ID:mRipF1I1
黒木に福浦が説明をしている間中、大塚は一言も口を聞かなかった。
普段良く喋るくせに珍しいなと思ったが、ふと彼を見るとまた一点を睨んで何か考えているようだった。
黒木は大塚の思いつきに、目を丸くしていたが、やがてふっ、とため息をついた。
「…うん、なるほど」
黒木が笑ったことで、福浦もまずはほっとする。
ひどくなる雨の中、静かにゆっくり薮道を掻き分け、街を目指している。

それでも大塚がずっと黙っているので、さすがに気になった。
先頭を歩く彼のリュックがもくもくと揺れる。雨にかすまないような距離ではあるが、何故か遠く感じられた。
「福浦」
背後から黒木が声をかける。顔だけで振りかえると、彼が耳元に顔を寄せて呟いた。
「大塚は大丈夫か?」
やはり彼も何か不自然なものを感じたらしい。
雨に濡れて艶を増した黒髪から、つうっと掘りの深い顔立ちに雫が流れていた。
「…大丈夫ですよ」
黒木が帽子を庇うように腰につけているのを確認して、福浦は言った。
彼が覚悟を決めたのを知っている。でもそれは黒木には言っていなかった。
「きっとなんか考えてるんです」
「…そうだな」
あいつが深く考えたときは、大概何かやらかすんだよな、そういって黒木は苦笑いした。
足で踏んだ枯れ枝がぼきと折れた。湿ったせいか感触がやたら強い。

もっと考えれば足りないものがあった。武器だ。
手持ちと言えば自分の火炎放射器と、福浦のボウガン、それにナイフだが、銃に比べればやはり殺傷力に欠けるだろう。
黒木のモデルガンは威嚇には使えるかもしれないが、実際戦闘になれば役に立たないのはわかりきっている。
肩にかけた火炎放射器のベルトを少し引っ張る。帽子のつばが濡れて、そろそろ重い。
見た目で言えばこれも銃と言えなくはないが、やはり短時間で戦闘を終局させることはできない。
銃が要るなあ、大塚は思った。決して撃ちたいわけではなかったけども。
誰かに逢ったとき、そして相手が銃撃戦を挑んできた場合、手持ちの武器では不利だった。さてどうしたものか。
そう考えているときに冷えのせいか、身体にぶるっと震えが走って、大塚は振り向いた。
「和也」

231 :生き残れ 2 ◆prGJdss8WM :04/11/17 00:14:26 ID:mRipF1I1
きょとんとした彼に言う。
「ちょっと待っててくれ」
「何だ、忘れ物か?」
「ばか、用足し」
その辺りの、雨を避けられそうな茂みを指し示して、大塚はくるりと方向を変えた。
福浦が黒木と顔を見合わせた。待てよ、声をかけられて振り向けば、鞘ごとのナイフがひゅうっと飛んでくる。
「一応持ってけ」
受け取ったそれをひらひらふれば、福浦は軽く手を上げた。

「肩が冷えるなぁ」
大きな木の根が張り出しているところに黒木は腰掛ける。右肩を庇うように左手を当て、何度か回転させる。
「ッスね」
ユニフォーム自体がしっかり濡れだした。体の中から冷えてくる。
「…早く、元に戻らないとな」
腰に下げていた帽子を何度かぱんとはたき、黒木はそれを目深に被った。
福浦もその側の地面に腰を降ろす。地面の底冷えがじかに尻に伝わってきた。
大きな木の陰に入ったので、小さな雨粒が避けられるようになった。
「福浦、考えたんだけどな」
黒木が呼んだ。顔を上げると、彼は笑って言った。
「生き残れよ」
「…え」
「生き残れ、福浦」
怪訝な顔で見上げても、やっぱり彼は笑っていた。
「当たり前のことなんだけど、死ぬなよ」
「…それは、ジョニーこそ」
「俺も死ぬ気はないよ」

232 :生き残れ 3 ◆prGJdss8WM :04/11/17 00:15:18 ID:mRipF1I1
困り眉の精悍な顔をゆがめるように笑いながら、彼はおどけるように肩をすくめた。
つられて福浦もこわばりかけた頬を緩める。ぽたんと帽子のつばに雨粒の衝撃がくる。
また右肩を抱くようにする黒木。分厚くきれいに筋肉のついた肩が揺れる。
「…俺は、皆に言ってくよ」
「?」
「これから逢う奴にも、みんなにさ。死ぬなよ、生き残れよって」
低くその声は、静かな雨音と混じった。しばらくの沈黙のあいだは雨音だけが聞こえた。
「どうかな福浦」
その意図が読めなくて福浦は困ってしまった。
無意識にユニフォームのしわを伸ばしたり、袖口のペットマークをいじったりしてしまう。
少し姿勢を変えたら、ざっくりした生地のリュックの中にあるボウガンがきしんだ。

「皆が皆生き残ればさ」
黒木はもう福浦を見ていない。少し見上げるようにして曇り空にやれやれとした風。
「誰一人死なないですむ」
それは理想論のように聞こえた。
福浦は肩を落としてそっと横目を流した。黒木は相変わらず空を見上げている。
視線だけで空を追えば、銀糸がずっと、何かの運命のように細かく降り注ぐ。
それは抵抗できないいつもの人生のようにも思えたが、理不尽さと公平さを兼ね備えているようにも思えた。
どんよりとしたねずみ色がきっと遥かまで続いている。その中に白々としたポイントが、混じっていた。
「大塚にも伝えといてくれよ。死ぬなよって」
「ジョニーそれは」
「…あらためて言うのも、結構気恥ずかしいんだよ!」

233 :生き残れ 4 ◆prGJdss8WM :04/11/17 00:16:07 ID:mRipF1I1
そう言われれば、そうかも。
彼の方を見れば、目があった。笑っているような照れているような、でも真剣なのは知っている。
思わず福浦も笑った。真剣なのは多分わかってくれている。
「そう言われれば、そッスね」
「俺は言ってくよ。逢った奴全部に言うつもり。生き残ってほしいからさ」
黒木らしいなと思った。
理想なんてそりゃ無理だ。
いつだって理想なんてそれは無理だ。
でも黒木が言うなら信じてみたくなる。もしかしたらだれも死なないんじゃないかと。
険しい道でも最後には泥だらけの顔同士で笑って、つらかったよなと言えるのではないかと。

「ジョニーも」
「?」
「…生き残って下さい」
その時飲むコーヒーの温かさまで想像できた。彼が照れたように笑った。

「死なないで」
「そのつもりだよ」
ぱぁん、何かがはじけるような音がした。二人の顔色がざっと落ちる。一気に張り詰めたものが喉を通った。
銃声。
「…明!?」
身を跳ね上げた瞬間、目前の薮ががさがさと揺れる。黒木さえも身構える。
しん、そして静まり返った。動いたのはさああと、全てに降り注ぐ雨だけ。
がさ、またその薮が蠢く。ぱぱぱぱぁん、ほぼ同時にまたあの火器の音がした。今度は連なっている。
どこだ。遠くか。どこだ。誰だ。耳と目が必死で啼いている。
足だけが動けない。
ほてる頬と対照的に、冷たい身体を冷や汗がたらりと流れていた。

234 : ◆loyOjt0Af. :04/11/17 06:47:55 ID:fgJ2FYiJ
「薮田の大冒険11(1/3)」

監視員の両脇の男達は、薮田に向けて小銃を構えている。
(え?何で?)
「テメェ何者だゴルァ!?この船に何の用だゴルァ!?」
(ひょっとして怪しまれてるのか?)
薮田は真ん中の責任者と思われる監視員に話かける。
「怪しい者じゃありませ」
「魚と一緒に網にかかる奴の何処が怪しくないんじゃゴルァ!」
「ぅ・・・」
返答につまる薮田。しかし、あの話を聞かせ、日本の警察等と連絡が取れない事には始まらない。
「私は遭難してこの嵐に呑まれたんです。ココの皆さんに助けられました。突然乗り込んで申し訳ありません。
日本と連絡が取りたいので、ココの通信を使わせてもらえないでしょうか?」
監視員の口元にイヤらしい笑みが浮かぶ。

235 : ◆loyOjt0Af. :04/11/17 06:49:37 ID:fgJ2FYiJ
「薮田の大冒険11(2/3)」

「テメェ、この船はココから届く様な立派な通信設備は積んでねぇよゴルァ。」
「じ、じゃあこの船は夕方まで戻らないですか?」
監視員は呆れた様な表情をする。両脇の男達はくっと笑いをこらえているようだ。
「あのな薮田、この船はな」
愛甲が薮田に説明しようとするが、監視員が間に入る。
「ふふっ・・・テメェ、この船は来年の春まで帰らねぇよゴルァ。」
「なっ!?」
「テメェもコイツらと一緒に春まで働けやゴルァ。そしたらコイツらと一緒に帰してやる。飯も少しくらい食わしてやるよw」
「ひ、人の命がかかってるんです!戻って下さい!すぐに!」
「よせ!薮田!」
跳びかかりそうな勢いの薮田に銃が向けられる。

236 : ◆loyOjt0Af. :04/11/17 06:51:21 ID:fgJ2FYiJ
「薮田の大冒険11(3/3)」

「テメェ、この船も人の命がかかってるんだよゴルァ。
今戻ったら、ココで働いてる奴は皆、首くくらなきゃならないんだよゴルァw」
愕然とする薮田。やっと見えたはずの希望の光は、一瞬にして闇に溶けていった。
「おいテメェら、コイツにこの船の事をちゃんと教えてやっとけゴルァw」
「は、はい。」
「ヤブチャ、ダイジョーブヨ。シゴトキツイケド、スプリングキャンプハマニアウヨ。」
放心状態になる薮田。
(春季キャンプ・・・ハハ、そうか、結局俺だけは助かるのか・・・俺だけ島から逃げられたんや・・・
島で死んだ奴等に顔向け出来ねぇわ・・・)

希望の未来から絶望の闇へ、一気に叩き落とされた薮田。
しかし、その闇は同時に、薮田の生還を意味した―

237 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/17 08:07:42 ID:7vRq4MUU
薮田かわいそうだ
でも生還か

238 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/17 12:45:17 ID:uiSAemKx
そうは簡単にいくまい

239 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/17 14:32:06 ID:IaL8QHTn
運命というものは酷だなあげ

240 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/17 17:33:16 ID:HT6/choN
姉さんまだ〜AAry

241 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/17 21:58:07 ID:IaL8QHTn
下げてたからあげ

242 : ◆7cqrC4VUCg :04/11/17 23:50:50 ID:GqrMCiSH
雨がしとしとと降る中、小宮山悟は一人雨に濡れ悩みぬいていた。
高木の死を目の当たりにし、誰かを必死に追う小坂を見てしまった。

誰が、何が正解なんだ?
俺は何をすべきなんだ?

そう悩むのも仕方がない。
高木の死はもちろん、何者かを必死に追う小坂の姿、それに小宮山は激しく絶望を覚えていた。
まさかあの小坂まで乗ってしまったのか?
あの選手会長ながら寡黙で控えめな小坂までが…と。

頭の中で自問自答を繰り返し答えの出ないままふらふらとしていた彼にさらなる衝撃が走ることになる…。

――ガサッガサガサガサッズサッ

小宮山が歩いていた道のわきの雑木林から泥だらけの男が突然現れた。
あまりに突然すぎて小宮山も動きが取れなかった。
が、転んで泥だらけになっていた男も小宮山の姿を見て驚愕していた。

「う、うわぁっ?!」
「ま、待ってくれ…俺は……小宮山だ…落ち着け、俺は殺しもしないし殺されたくもない…。」
「あ…あ…あ」
「頼む、頼むから落ち着いて俺の話を聞いてくれ。」
「あ…あ…はい…。」

雑木林から転げ落ちて来たのは杉山俊介だった。
眼は涙目で手はがたがたと震えていた。


243 : ◆7cqrC4VUCg :04/11/18 00:01:30 ID:DO/Vm1GA
えと、皆様初めましてm(__)m
前々からココを読んでいて自分も書いてみたいなぁと思い勝手ながら投下させていただきました。
職人様方が話し合っておられるみたいなのでなるべく軌道修正出来そうな感じにはしてみましたが、どうでしょう?
厳しい意見でもいいので率直な感想をお待ちしてます(^^;
よろしくお願いしますm(__)m

244 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/18 01:21:09 ID:23kAJXmM
とりあえず職人さんそろそろ多いような。
増えすぎると統制というか連携大丈夫かね?
小宮山も杉山も放置だったからその展開は結構アリだけど。

そういえば杉山の見た「黒木の撃った相手」は放送では呼ばれてないけど、誰なんだろ。
保管庫さんは福浦って書いてあるけど、これは勘違いでは?

245 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/18 01:22:53 ID:dZoLeAw4
>>243
レスに顔文字使うのだけはやめて欲しい。

246 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/18 01:27:37 ID:ln+2NWvH
>>244
黒木の武器がモデルガンだと知らない杉山は、
黒木が福浦を撃った→福浦が死んだ?と思って逃げ出したのでは?

モデルガンだから福浦も生きているわけで…

247 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/18 01:32:19 ID:23kAJXmM
>>246
解説ありがとう。そういうことだったのかorz


>>243
ROMしてると分かるけど、つまらなかったら批判がきつめに来るみたいだから覚悟して頑張れば?
ある程度面白いと何も言われない。
すごく面白いと自然とレスがつくね。


248 : ◆vWptZvc5L. :04/11/18 01:41:42 ID:S5BaKFKl
>>244
打ち合わせ板のおかげで、職人間の連携は大丈夫だと思います。
今後の展開についても、打ち合わせ中です。

249 :番外編 園川一美と愉快なコーチ達10 ◆GDAA.BMJxc :04/11/18 02:04:32 ID:T6rUQ6hT
千葉マリンスタジアム―
マリーンズの本拠地であるこの球場は、球団事務所から車に乗ればあっという間につく。
吉鶴と福澤はビルの中を一通り調べたものの、マリーンズの球団事務所を見つけることができず、
とりあえずマリンスタジアムへと向かったのだ。

秋風の吹く千葉マリンスタジアムは、オフシーズンともあって閑散としていたのだが、
吉鶴たちはそれ以上の違和感を感じた。
「何か、いつものマリンスタジアムって感じがしませんよね。」
「そうだな・・・。」

最初は二人とも違和感が何であるのか分からなかったのだが、
しばらくしてあることに気がついた。
「そういや、マリーンズに関連するものがないな。」
「そういえば・・・。」
ポスターを始めとして、スタジアムの周囲にはマリーンズに関わるものが一切見当たらなかった。
代わりに高校野球の地区大会のポスターや、市民イベントの告知などが張り出されていたが、
マリーンズに関するものが一切ないのは、非常に違和感を感じた。
「オフシーズンだからかもしれませんが、何か寂しいですよね。」
「・・・。」
吉鶴は、この事態が何を示しているのか、あまり気付いていなかった。

250 :番外編 園川一美と愉快なコーチ達10(2/2) ◆GDAA.BMJxc :04/11/18 02:05:11 ID:T6rUQ6hT
吉鶴たちはスタジアムの裏側に回った。
スタジアム裏側には選手、スタッフ用の駐車場があり、
また、寮からバスで通う人たちもこの駐車場からバスに乗り降りしていた。
「あれ・・・?」
駐車場の脇で、見覚えのある男性が途方にくれた様子で座り込んでいた。
思わず吉鶴は男性に近づき、声を掛けた。
「・・・荘さん!?」

男は吉鶴に声をかけられると、無言で立ち上がり・・・、

拳で吉鶴を殴った。

251 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/18 02:07:22 ID:5BxlzS2b
荘さんがここで・・・

252 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/18 04:19:14 ID:uwlcHWGx
2004年に関係ない人がどんどん出てくるのはどうかと。












歯止めをかけてみるテスト

253 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/18 14:31:48 ID:KPjWTXj5
>>252
荘さんはコーチでしょ、それとも愛甲さんとかのこと?

254 : ◆loyOjt0Af. :04/11/18 15:41:59 ID:fCnrINzv
「薮田の大冒険12(1/3)」

「薮田、いったいどうしたんだ?チームに何かあったのか?」
うなだれる薮田に愛甲が訪ねる。
「もう・・・言っても無駄ですよ・・・」
抜け殻と化した薮田。薮田に最早チームを救う術は思い当たらない。
「・・・とにかく話せ。何か力になれるかも知れん。」
「・・・実は―」
どうにもならないと思いながらも、薮田は愛甲にCMBRの事、これまでいきさつを話し始めた。

「まさか、そんなバカげた事・・・」
「ヒドイネ・・・」
さすがに信じられないという表情の二人。
「だから俺は島から脱出して、こうして・・・なのに・・・」
薮田の瞳がにじむ。
「力になってやりたいが、さすがにこの状況では・・・」
愛甲は先刻の小銃の男達を思い浮かべた。

255 : ◆loyOjt0Af. :04/11/18 15:45:44 ID:fCnrINzv
「薮田の大冒険12(2/3)」

「あぁ・・・もうどうにもならないんや・・・」
「薮田・・・ほ、ほら!でもオマエは助・・・」
愛甲はその先を言葉にするのをためらう。それは、薮田にとって何の慰めにもならない事に気付く。

二人が沈黙すると、黒人が口を開いた。
「ココカラ、ダッシュツスルヨ。」

驚いた表情で黒人を見る薮田と愛甲。
「え!?しかし、どうやって?それにココから逃げたらアナタは大変なのでは?」
「そうだぞ、俺達はココで・・・」
「カンケイナイヨ。オオクノ、ワカモノタチノイノチ、カカッテルヨ。」
ハッとする愛甲。同時に覚悟を決めた漢の顔になる。
「ふっ・・・そうだな。俺達は過去を捨てたと同時に未来も閉ざされた人間・・・しかし、彼等には未来がある。」
「愛甲さん・・・」
薮田の瞳から頬に熱いモノが伝う。

256 : ◆loyOjt0Af. :04/11/18 15:46:14 ID:fCnrINzv
「薮田の大冒険12(3/3)」

「薮田、俺も行く。カワイイ後輩達を死なせるわけにはいかない。
よし!聞かせてくれ、どうする気だ?」
黒人の中年がニヤリと笑う。
「フフッ、ヤハリアナタモ、ベースボールプレイヤーネ。
OK、ハナスヨ。ジツハ、コノフネニハ―」
・・・・・・・・・
「ドウデスカ?」
「それはイケるかも、いや、やるしかないな。」
「はい、これしかないですね。」
「デハOKネ。シッパイハユルサレナイヨ。」

脱出計画は、消灯2時間後の深夜11時に決行となった。
薮田は再び、命を賭けた脱出を決行する―

257 : ◆loyOjt0Af. :04/11/18 15:54:14 ID:fCnrINzv
ココの所連日で失礼しますた。同じ時間帯の話だから一気にいきました。
これから薮田は時間が追い付くまで動かす気はありません。
が、どなたかやりたい方いたら、それはどうぞ。


それから04年関係ない面子については、もう愛甲ら二人は引っ込みつかない・・・
配慮足りなかったね。申し訳なかた。
この二人は使いきらせてくだされ(リレーされる方いたらその方にまかせます)。

258 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/18 16:19:14 ID:uwlcHWGx
正直スマソかったorz

259 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/18 18:33:28 ID:GiZDFJIa
気にするこたーない
それに今さら薮田話を続けようなんて空気の読めないのもおらんだろう。
純粋に楽しみ。

ていうか黒人て誰だー
候補が多いよ

260 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/18 18:36:24 ID:3pgmyGNI
黒人選手を予想しよう!
ttp://meta-metaphysica.net/baseball/marines_f.html

チェンバレン?

261 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/18 18:42:36 ID:e2KL4Yd/
黒人は阪神にいたんだから




http://www.nikkansports.com/osaka/otr/p-otr-041021-04.html
こいつだ。間違いない。

262 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/18 18:52:07 ID:GiZDFJIa
全くロッテに無関係ということはないはず。たぶん。

263 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/18 19:01:25 ID:3pgmyGNI
ヒント
阪神にいた。
黒人。
マグロ船に乗るタイプ。

阪神とロッテに在籍した外国人はソロムコのみ。
日本に帰化して、事業を営んでいるらしいが、白人。

264 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/18 19:02:40 ID:3pgmyGNI
アルトマンもいた。

265 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/18 19:05:23 ID:kjpMLpAM
>>261で正解だと思う
愛甲との共通点は「失踪」
失踪先が例の船だったわけで・・・

266 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/18 20:47:03 ID:qOFHggmJ
261の人って黒人さんだったんだ…

267 :悪運(戸部浩) ◆vWptZvc5L. :04/11/19 00:57:05 ID:ACd8MuW7
ドンドンドンッ

何かを叩く音がする。
音のした方を見ると、
誰かが窓を叩いている。
その姿を見るや否や、戸部は一目散に駆け寄って窓を開けた。

「何やっ…」
「ユウゴー、禁止エリア教えてくれ、禁止エリア!!」
話しかけるのをさえぎって、戸部は尋ねた。ものすごい形相だ。
「は?禁止エリア??あと1時間もすればここが禁止エリアになりますけど…?」
その言葉に戸部は固まった。

は?何言ってんだこいつ?『1時間』?『ここ』?『禁止エリア』?
ユウゴーの言葉がわからない。一つ一つの単語はわかる。
でも文にすると、その意味が全く頭に入ってこない。

「放送聞いてなかったんすか?ここが11時からの禁止エリアですって」
ようやくその意味を理解すると、全身から血の気が引いた。

ここが…禁止エリア?
ってことは、このままここにいたら1時間後に俺は…?
ってことは、俺ってば、1割以下の確率だったのに大当たりをひいちゃったワケ?
めったに当たらないのに当たればデカいって、そこまで実松と同じだったのかよ!
「ハハ、アハハハ…」
戸部の笑いは顔が引きつっていた。

268 :悪運(戸部浩) ◆vWptZvc5L. :04/11/19 00:58:09 ID:ACd8MuW7
(やべぇ、この人、頭おかしいのかな?)
「あの…大丈夫っすか?」
ヤバそうな人間とはあまり関わりたくなかったが、一応聞いてみる。
「え?あ…俺、気失ってて…気がついたの6時過ぎてて、下手に動けないし…」
(あぁ、そういうことね。イッちゃってたわけじゃないのか)
「俺、これから曽我部さんと一緒に市街地に行くとこなんすけど、一緒に来ます?」
戸部はブンブン頷いた。

「よかった。俺、てっきり平下がまた何かやったのかと思って」
「…平下にも殺されかけたぞ。ってか、なんで平下のこと知ってるんだよ?」
「いや、曽我部さんも平下にひどい目に遭ってるんで」
「そうか…平下はヤバイな。あいつ良平と組んでてさ、声かけたらいきなり撃たれた」

やっぱり平下は相変わらずか…
何としても平下の愚行は阻止しないと。
これ以上、犠牲者を増やしてなるものか!

「あ、でも2回死に掛けて2回とも助かるって、ある意味すごいっすね、戸辺さん」
「あんま嬉しくないけどな…」
「でも二度あることは三度あるっていいますよねぇ。それとも三度目の正直かな?」
ユウゴーは意地の悪い笑みを浮かべながらそう言った。
たぶん戸部の気を楽にしようという冗談だったのだろうが、今の戸部には笑えない。

「頼む、あんまり俺をイジメないでくれ…(そして、俺は戸部なんですけどね…)」

269 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/19 01:01:32 ID:ycgjA6DI
戸顎助かったなw

270 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/19 01:40:02 ID:48otnVZr
よかったなぁ戸辺。たとえがサネなのには笑いました(・ェ・)

271 : ◆OhochakkEU :04/11/19 03:11:40 ID:j7BnjVYL
「ここで良いトコ見せないと…本当に見限られちゃうんだ」
泥と雨水に塗れ、冷えきって重くなった体を引きずり、やっと市街地の前へと立った。
正直、今この状態で市街地へ入るのは怖い。体が動く事を拒否して、足が竦む。
しかし逃げるわけにはいかなかった。
「ケッ、びびってるのか?僕は。大丈夫、生き残るのは僕。決まってるじゃないか!」



―――自由を奪われた体と、真っ暗に遮られて光を奪われた視界。
どうにか目隠しと縄を外そうと一人藻掻き続けたが、堅く絞められた結び目は解けなかった。
「畜生…!!このまま禁止エリアにでもなったらお仕舞いだあぁ!」
川井貴志は一人声を荒げるが、その声は虚しく雨音にかき消されるだけだった。
運営側に付き、与えられた仕事をこなして、後は楽に生き残る算段だった。
しかし端から全然うまくいかない。
ゲームへの手引きを済ませたらスタジアムで楽観の予定が、予想外にゲームへと駆り出され
正人を殺すつもりが間違って直行を殺害。今江には殴られる。
――そして西岡に…

脳裏に浮かぶ、罠にかかった自分を見下ろす西岡の顔。思い出すだけでゾッとする。
ブンブンと大きく頭を横に振って映像を消し去る。
気を取り直してもう一度縄を外そうとしてみるが、やはり解く事は出来ない。
堅い結び目を何度も無理に解こうとした為、爪は剥がれそうになって血が滲んでいた。
「痛っ!チェッ、楽観どころか散々な目にあってばかりだ!あ〜あ…」
自分ではどうする事も出来ず、半ば諦めかけて後ろへ倒れ込んだ。その時だった
「あれ!?」
――バシャッ、バシャッ…
視界を奪われた為、いつも以上に敏感になった耳に、遠くから雨音以外の音が聞こえてきた。
ぬかるんだ道に溜まる泥水を踏む音。どんどんと大きくなりこちらに近付いてくる。
(誰かこっちに来る?やった!助かったぞ…)
しかし、川井は一瞬喉から出かかった「助けて」の言葉を飲み込むと、今度は体を硬直させた。


272 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/19 03:13:45 ID:j7BnjVYL

(……ヤバイ!よくよく考えたらこの状況って、来た奴によっちゃ殺られちゃうじゃないか!)
このゲームにやる気になっている奴にしてみれば、今の自分が格好の獲物である事を思い出す。
やめろ、こっちに来ないでくれ…心の中で居るか判らない神に祈る。
しかしその願いも虚しく、足音は自分の前で止まった。

「う…あ、あ、やっやめ…」
恐怖と混乱の渦の中、ろくに声も出す事も出来ず、腰も砕けて動く事すら出来ない。
(――ああ、もう駄目だあ…この僕がこんな形で終わるなんて!!)
目隠しの中で、意味もなく瞳をギュッと閉じる。

一秒一秒がとても長く、永遠にも感じられた。
直行や正人は死の直前、こんな恐怖を感じたのだろうか?
早く!殺るなら早くやってくれ―――!

しかし自分の前に立った人の気配は、一向に自分を傷つけようとする様子がなかった。
(――あれ?何やってるんだ?攻撃して来ないのかよ…)
ふいに体の自由が利くようになる。
素早く両手を使い、きつく覆われた目隠しを外して目の前を見上げると…
そこに立っているのは山本功児だった。
「!? ハァ…助かった〜。監督うぅ…」
自分が一番恐れていた事態から逃れる事ができて、安堵のため息が漏れる。
だが冷静に考えると、この失態を一番見られたくない人に見られてしまったのだ。
既にびしょ濡れの額に、人知れず嫌な汗が流れるのを感じた。
「何やっとるんだお前は!!こんな場所でヘリも下ろせなかったが、
見に来て正解だったわ。で、誰にやられたんだ?コレは」
「う、スミマセン、西岡です…。でもー監督が何でここに?」
「ま、まあ色々あってな。直接『こっち側』の人間のとこを回ってるんだよ。
…そんな事はどうでもいいが、お前荷物も全部持ってかれたのか?」
山本の顔が一瞬強ばったのが判った。ヤバイ、相当怒っているに違いない。
山本の視線の先をなぞると、そこには空のペットボトルだけが寂しく転がっていた。


273 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/19 03:15:40 ID:j7BnjVYL
「あの〜次はこんなヘマしませんから!もう一度チャンスを下さい!
武器と探知機、また貸してもらえませんか?」
「ふんっ、こんな馬鹿やらかす奴がいるとは思わなかったからな
あいにく、余分な武器も探知機も持って来てないわ。自分で誰かから奪うなり頑張る事だな。」
山本の言葉にガックリと肩を落とす。
手ブラで生き残れるほど、ここが甘くない事は分かり切っている。
山本は自分を見限ったのか?死んでも構わないと言われたようで、悔しさの余り歯軋りをした。
「そんなあぁー…じゃあ僕はどうすれば…」
「…とりあえず俺がお前に伝えたかったことは、小坂を見つけたら優先して始末しろって事だ。
あとは、どうするかなんて自分の頭で考えるんだな。」
そう言うと、山本はくるっと向きを変えて元来た道へと歩き出してしまった。
「待ってください!本当に次は頑張りますから!!」
川井は必死に山本の足元に絡み付き、涙目になって訴えかける。
(このまま見捨てられたら、今までの苦労も全て台無しだ!それだけは嫌だ!!)
すると、必死なその姿に心打たれたのか、それとも呆れ果てたのか…山本は足を止め口を開いた。
「…ここから下った所にある市街地に人が大勢集まっている。
そこでどう頑張れば名誉挽回できるか解るな?成果を上げたらスタジアムに戻って連絡して来い」
それだけ言うと川井を振り払い、再び山本は歩きだして去っていった。

一人残された川井は頭の中で山本の言葉を整理した。
「市街地で武器を奪い、雑魚のクビと小坂のクビを献上してみせろってところか…
よーし、やってやるよ。監督の期待に答えてみせるよ!」
わざと大声で口に出して自分を奮い立たせ、市街地の方向へ体を向ける。
(市街地かあ…今江や西岡もそこに居るのかな?)
縄の跡のついて痺れていた手首がなんとなく痛んだ。


274 : ◆OhochakkEU :04/11/19 03:25:18 ID:j7BnjVYL
あ、久々に書いたからタイトル付けるの忘れてました…
ラストチャンスってのでお願いしますorz

では失礼いたしました。

275 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/19 04:17:24 ID:JEwh6ek6
新作いっぱいキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!


けどモロは結局どーすんの?
保管庫も止まってるし
個人的にはまだ生きててほしいので
>>195はなかった事にして欲しかったりとか

276 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/19 19:07:24 ID:KIX3auo5
<θеθ><捕手

277 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/19 19:48:29 ID:F/+mZCZo
番外編のマー君たちの話に癒されています。
職人さんたちの力作にこれからも期待。

278 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/19 19:55:19 ID:HfAlowK/
揚げ

279 :闇(諸積兼司) ◆vWptZvc5L. :04/11/19 22:38:14 ID:egOfsn4K
>195の続き

「モロさん、モロさん!」
誰か俺を呼ぶ声がする。この声は…橋本?
起き上がろうとすると、頭に鈍い痛みが走った。
「大丈夫ですか?」
「あぁ…もう夜か。ずいぶん長い間寝ちまってたんだな…」

橋本は諸積の言葉に一瞬戸惑うが、気にせず話を続ける。
「何があったんですか!?」
「いや、俺にもよく分からない。たぶん、誰かに頭殴られて気絶してたんだと思う」

何かおかしい。
諸積の体は橋本の方を向いているのに、視線が微妙にずれている。
それに…夜?たしかに雨のせいで薄暗いけど…
モロさん、どこ見て話してるんだ?……まさか?

「これ何本かわかります?」
指を2本立てて諸積の前にもって行く。
「どれだ?…暗くて見えない」
思ったとおりだ。

「モロさん、今は夜じゃないです。真っ昼間ですよ。
言いづらいんですけど、もしかして打ち所が悪くて…」

橋本の言葉にはっとする。
この暗闇に目が一向に慣れてくれないのは、そういうことなのか!?


280 :闇(諸積兼司) ◆vWptZvc5L. :04/11/19 22:38:35 ID:egOfsn4K
「こんなに暗いのに昼間のはずないだろ。
あ、あんまり人をからかうなよ…。そうだ、お前の懐中電灯貸せ」
その声は心なしか震えている。
諸積は認めようとしない。いや、たぶんわかってるけど認めたくないのだ。
仕方なく懐中電灯を握らせる。
「なぁ、これ電池切れてんじゃねーのか…?全然つかねーよ…」

(やっぱりそうだ。モロさん、本当はわかってるよ…)
懐中電灯を諸積から取り上げて、顔の近くに持っていった。
「今、懐中電灯でモロさんの顔照らしてるんですよ。熱、感じませんか?」
わかる。確かに頬の辺りが温かい。
現実が諸積を襲う。

――俺、失明しちまったのか…

懐中電灯の光が、諸積を闇に陥れた。


281 : ◆vWptZvc5L. :04/11/19 22:42:26 ID:egOfsn4K
>195の最後の1文さえなければ、モロが生きてるか死んでるかわからないので、
生きているものとして続きを書いてみました。

でもサブローがトドメを刺さないなんてちょっと考えにくいですよね…
誰かもっとうまく書ける方がいらっしゃったらお願いします。自分にはこれで限界です_| ̄|○
邪魔だったら消してください。

282 : ◆vWptZvc5L. :04/11/19 22:54:33 ID:egOfsn4K
しまった、>195を読み返したら、最後の1行だけじゃなく、
ちゃんと文中にも「生命を奪った」って書いてあった _| ̄|○

283 : ◆t9z9GAMfsM :04/11/19 22:55:53 ID:JLJxS+eP
 え〜っと不甲斐ない文章しか書けなくて集中放火を食らってるわけですが・・・。
上にある川井じゃないけれど、最後にもう一回だけチャンスください!もしそれで
ダメ出し食らうようでしたら本当に諦めます故。

284 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/19 23:03:11 ID:HfAlowK/
>>283
頑張ってください

285 :心は休まらない:04/11/19 23:09:41 ID:JLJxS+eP
 殺すんだったらこのゲームの主催者を殺せや。

 そう成瀬に啖呵を切ったものの、浅間自身その啖呵を実践できるとは思って
いなかった。円満な形での「勝利」はそれしかない、とわかってはいても。

 所詮は後輩に対する強がりだよな、と浅間はひとりごちる。気づくと雨は
段々と強くなっていた。こんな濡れ鼠じゃ風邪ひいちまう、どっかに雨を
凌げる場所はないものか、と思いながら早足で浅間は歩く。しばらくすると
元は市街地だったであろう場所に出た。


 バラバラバラバラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 はるか頭上をヘリが通る。・・・ということは運営側の人間が誰かこの近くにいるのだろうか。

 まずいな・・・。いま見つかると確実にやられる。

 そう考えた浅間はとりあえず近くにあった銭湯に駆け込んだ。

286 :心は休まらないvol.2  ◆t9z9GAMfsM :04/11/19 23:19:04 ID:JLJxS+eP
 「とりあえずはしばらくここに隠れるか・・・。」

 そう言って浅間は銭湯の男湯の中に入っていく。
脱衣所も、浴場も広く取ってあってホッとしたくなる。
とはいえ、今は緊張状態の真っ只中。なかなかそうも
いかない・・・。

 はずだった。が。

 「お、お湯が出る。ラッキー!!」

 何と銭湯の湯沸かし器がまだ活きており、蛇口を
捻るとお湯が出てきたのだ。これに喜んだ浅間。

 「状況が状況だけに気がひけるけど・・・。風邪ひいたら
今後話しになんねぇからなぁ。」

 というわけでシャワーを浴びる事にした。勿論、頭の片隅には
いつ襲われるんじゃないか、という懸念を置きながら。 

287 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/19 23:33:45 ID:+xRv33Pl
>t9z9GAMfsM
リアル鬼ごっこ みたいな文章のつたなさだなお前

288 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/19 23:38:47 ID:HfAlowK/
>>287
批判するなら書いてみては?(○ε○)

289 :心は休まらないvol.3  ◆t9z9GAMfsM :04/11/19 23:41:55 ID:JLJxS+eP
 シャワーを浴びていると不意に遠くから声が聞こえてきた。

 「また雨きつなってきたなぁ。ほんまに風邪ひいてまうで。」
 「あんたが服持ってくるのに手間取ったからでしょうに。」
 「シャワー浴びたいなぁ・・・。」
 「今江さん・・・。」
 「冗談やって。」
 「いや、今江さん、今本気で言うてた・・・。」
 
 流暢な関西弁を操る2つの甲高い声。それは段々と近づいてくる。

 「西岡、ここ銭湯かな?」
 「おっきな煙突立ってますしねぇ。多分そうちゃいます?」
 「ならちょうどええやん。隠れんのにもええし、上手いこと行けばシャワーも浴びれるで」
 「ちょ、ちょっと今江さん・・・。誰がいるかもわからへんのにそんな無用心な。」

 浅間はそれを聞くか聞かないかのところで風呂から上がり、びしょ濡れだったユニフォームを
できるだけ絞って身につけた。そして、手にはナイフを2本。

 「お邪魔しまー・・・・・・・・・・・・・・・・」
 今江が固まった。目の前には手にナイフを持った浅間敬太がいた。

 「敬太・・・。」
 「今江さんちょっと待・・・・・・・って敬太?!」


290 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/19 23:54:17 ID:+xRv33Pl
>>288
前書いたけど

291 :心は休まらないvol.4  ◆t9z9GAMfsM :04/11/19 23:56:29 ID:JLJxS+eP
 「お前も・・・・・・ゲームに乗ったんか?」

 脱衣所の入口と真ん中付近で今江・西岡と浅間が対峙する。

 「あんたたちはどうなんです?」

 逆に浅間が2人に問う。

 「俺らは・・・・・俺らはこの島から出たいて思うてる。自分のしたい事も、
大事なもんもまだわかってへんのに、そやのに、こんなとこで死ねへん!
死んでたまるか!」

 「そうですか・・・。」

 そう呟いて浅間は黙る。

 「俺・・・俺も・・・」

 数瞬の後、浅間はゆっくりと言葉を紡ぐ。

 「俺も、今江さんたちと同じです。こんなところで死にたくない。だから、俺は
ゲームの主催者を倒す。」

 そう言うと、浅間は手にしたナイフをホルダーに収めた。


292 :心は休まらないvol.5  ◆t9z9GAMfsM :04/11/20 00:09:08 ID:hYNwkuOn
 「そっか・・・。同じか。」

 今江は言うと途端に緊張が解けたのか、クシャミを連発した。

 「う〜〜〜〜寒ぅ。敬太、ここ、湯出るか?」
 「まったく・・・。同じや言うたかて、まだ敬太が俺らと一緒に行動するとは
限らんでしょう。でも確かに寒なってきたな・・・。ハ、ハクション!」
 「ハハ、2人とも風邪ひきそうですね。」
 「笑ろとらんとはよ教えんかい!」
 「ご安心を、湯は出ますよ。俺が確認しました。」
 「そうか、じゃ、風邪ひかへんうちにさっさと入らせてもらうわ。」

 言うが早いか今江は服を脱ぎ始めた。そして30秒としないうちに浴場に
姿を消した。

 「・・・ったく今江さんは・・・。で、敬太、何でここにいたんな?」
 「お前と一緒だよ。雨宿り。」
 「てことは何か、今着てるそのユニ、雨に濡れてたんかいな。」
 「一応絞ったんだけどね、やっぱ冷たい。」
 「そらそや。ちょうど何着か着替え取ってきたさかい、合うの見繕って着たらええわ」
 「サンキュ。」
 「・・・じゃ、ぼちぼち俺も風呂入るわ。さすがに寒いし。」

293 :心は休まらないvol.6  ◆t9z9GAMfsM :04/11/20 00:31:26 ID:hYNwkuOn
 風呂から上がった西岡と今江に対し、浅間は改めて口を開く。

 「この雨だし、一人で行動するのも危ないし。それにお互いの理念も
一致してるんで・・・。よかったら俺をパーティに入れてください。」
 「俺はええよ。」
 「またそんな・・・。少しは警戒心言うモンを持ってくださいよ・・・。とは言え、
パーティに加えへん理由もないし、俺もええんやけどね。」
 「サンキュ。それに着替えまでくれて・・・。」
 「なに、余分に持ってきた分があっただけや。・・・で、敬太。何か情報持ってへんか?」

 「そういや2人が来る前に俺の頭の上をヘリが飛んでったんですよ。多分・・・。」
 「おそらく近くに誰か運営側のモンがおるんやろな。」
 「敬太、実は俺ら、川井さんふん縛って所持品一式もろてきてん」
 「川井さん?もらってきた?」
 「川井さん、運営側についてたみたいで、レーダーやら何やらいっぱい持ってたんよ。
それを罠に掛けて全部吐かせてもろてきたってわけ」

 「・・・そのヘリ、川井さんのとこに行ったんじゃ?」
 「俺らが川井さんを罠に掛けて1時間は優に経ってる。もう罠から抜けてて別のとこに
行っててもええ頃やで」

 ところが浅間の憶測はズバリ的を射ていたわけで。川井がこのあと復讐の炎を燃やして
彼らに襲い掛かってこようとは、この時3人とも思ってはいなかった。

294 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/20 00:39:21 ID:L6LaoPYv
◆t9z9GAMfsMさんへ。

>>285-293読みました。
あなたの文のどこが悪いのか、自分なりに具体的にまとめてみました。


・移動するにせよ建物に入るにせよ、浅間の一挙一動に緊張感が感じられない。
 敵か味方かも判じかねるのがどこに隠れてるかわからない…という
 舞台そのものの状況の咀嚼が足りない気がする。
 これは浅間の後に銭湯へ入ってきた西岡と今江の描き方にしたって同じ。

・西岡・今江が銭湯へ行き着くまでの描写にしたって、丸々ショートカットされてますね。
 >「そらそや。ちょうど何着か着替え取ってきたさかい、合うの見繕って着たらええわ」
 本当に>>155を踏まえて書いてるのなら、その服をどこでどうやって調達したのかってことくらい
 書いてくれても良さそうなもんだと思いますが。
 ユニのままなのと私服に着替えてるのとでは、他の登場人物の目を欺けるかどうかにもかかってきますんで
 「着替える」ってのは結構後々重要になる材料かなと思ってたんですけどね。
 (※ちなみに燕バトロワでは発信器がユニに仕込まれてる設定で、安易に脱げないようになってる)

・そしてどうして、いとも簡単に西岡・今江組と引き合わせるのか。
 物語を進める手法として、誰かと引き合わせなければ先に進めないってのはわかる。
 けれど登場の仕方があまりに唐突すぎ。意気投合の描き方も、どこかあっさりしすぎてる。
 なまじ西岡今江を書いてた人の仕事っぷりが丁寧すぎるほど丁寧なだけに、
 前項の省きっぷりといい、対比が悪い意味で際立ちすぎてる。

・そもそも舞台となってる島は、バトロワ用に住民を追い出せるくらいだから過疎だったとも考えられる訳で、
 そこに銭湯があるって設定は不自然では。温泉でも湧いてるのなら話は別ですけど。


たかがROMが偉そうに講釈垂れて、気を悪くしたらすみませんね。

295 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/20 00:54:30 ID:U/fW3x/a
>>288
そういう問題でもないんじゃないかと思う。
とりあえず、本人が「最後のチャンスでダメだったら」と言ってるということは、
書き手は今回のものに関する率直な感想・意見を求めている(はずだと思うんだけど)。
だったら読み手としても本人のために欲されているものを差し出すべきでしょう。
(感想だけでスレが埋まるのもよくないが。他の職人さん申し訳ない)

で、個人的な感想。これで「これからも」とは言い辛いと思う。
今回心情描写を書こうとしている姿勢は分かるけれど、文章が続くにつれて進行描写に戻ってる。
その描写も他の職人を模したような印象しかない。(真似は絶対悪ではないけれどね)
会話も物語の進行をなぞってるだけで、ただでさえご都合主義でしかないバトロワが、
より一層ご都合主義な展開に見えてしまう。
本物以上に「え、本当にこんなに簡単でいいの?」って思わせたら厳しいよ。

もう少し球団に関わらず評判の職人の文章を読んで、書き込んでから参加すればいいんじゃないかな。
2001年の巨人や広島も、元々のバトロワのパロだけどオリジナルの話はかなりしっかりしてるし、
今進行しているバトロワでいい感じのレスがついているものは読んでおいて損はないと思う。
本筋をリレーするのにはそれなりの文章が書けることはもちろんだけど、
一緒になって話しを作っている職人の話の雰囲気を壊さないという力もすごく重要だから。

きちんと思ったことを書こうと考えてたら長くなった。すまん。

296 :疑心暗鬼 1  ◆prGJdss8WM :04/11/20 01:54:57 ID:SlezL3S/
雨は優しいと思っていたが、意外とじゃじゃ馬のようだった。
昨日はとうとうと流れていた川が、今は濁流と化している。音も水も濁りだしていた。どうどう。
腰にさした幅広の刃に手をやる。
一瞬ためらった後すいと一気に引き抜いた。
艶さえもある。
手入れは行き届いている、ぎらぎら粘っこく光るナイフを、大塚は軽く振ってみた。
ひょうおっと、空気を斬る響く音がする。幾滴かの雨粒も共に切れた。
手に馴染むしっくりとした大きさに、大塚は少し笑った。
まさかこんな使い方をするものではないと思って。
とっくに用は足していたが、それとは別に空を見上げた。
曇り空がどうしても、気に障る。重い。
昨日帽子を流されて慌てて追った川すらも、様相を変えている。

一歩ずつ確実に踏みしめなければ足場が弱くなっている。
ずるり踏み抜きかけては慌てて脇の木につかまる。
そんなことを繰り返しながら、渡辺俊介は丘を下っていた。
禁止エリアはとうに抜けたが、こちらのほうに下ってくるのは初めて故、勝手がわからない。
触れた木ごとに幾つぶかの雫を滴らせてくるので、雨は避けられても身体は冷えてきていた。
昨夜の銃声のいくつかは、こちらのほうから聞こえた気がする。
俊介の手はマシンガンから離れない。
マシンガンと言うには小ぶりで、銃身のみなら何とか両手で覆い隠せるくらいのその塊は、俊介の無言に付き合ってただ揺れるばかりだ。
雨の成果汗を浮かせているように見えても、文句一つ言いやしない。
いや、言いたくも無いのかもしれない。
ずざざとすべる足場を踏み込んで、俊介はリュックのポケットから地図とコンパスを取り出した。
「…ん?」
だがそれも必要でないようだ。流れる水の音らしきものがする。
川はこちらのようだ。

297 :疑心暗鬼 2  ◆prGJdss8WM :04/11/20 01:55:50 ID:SlezL3S/

かちん、かちん、何度か切り替えてみる。
火炎放射器というのは銃では無いのであって、接続から携帯できる燃料タンクがおじゃんになれば、これはただの金属棒に過ぎない。
しかしそれでも重みはたいしたものだ。鈍器としてなら使えるかもしれない。
どっちにしろ接近戦用か。大塚はため息をつく。
がちゃんとそれを傍らに置いて、またナイフで素振りを繰り返す。
雨宿りしながら胡坐をかいて、いざとなったときのことをどうしても考えざるを得なかった。
市街地に出ればきっと、誰かにあうだろう。戦闘になることも考えなければ。
その時使えるのは意外とこいつかもな、大塚は思って苦笑した。

一歩踏み出す勇気が出ない。何回唾を飲み込もうとして失敗しただろう。
どくどくと心臓がこめかみに血を送ってくるのを感じる。
話しかける勇気と無視する勇気、それから賭けにのる勇気、殺す勇気、どれをとっても足がすくんだ。
蹲った茂みの中から透かして見れば、ナイフか何かを振りながら、対岸のあの人が笑う。
こんなに見渡しのいい場所にいるなんて無防備な、と思う反面、これは罠か何かでは無いかと思えてくる。
そう、あの刃でもういく人もの命を奪ったのではないかとさえ思えてくる。
舌すら震えながら、俊介はその考えを必死で否定しようとした。
そんなことはない、それならあの人だって血だらけのはずだ。そんなことはない。
…それに、俺にはこれがある。大丈夫だ。
冷たく汗ばんでいるようなマシンガン(単にぬれているだけ)をぐっと掴んで構える。
でもまだ安全装置(と俊介は思っている)は解除しないまま。

ここに隠れたままでもいい。そうすれば彼はいつか去るだろう。
幸い川の音が俊介の気配すらも消してくれたらしく、大塚はこちらのほうを見ようともしない。
逆に襲うなら今だ。もし彼が殺人鬼と化しているのなら、今引き金を引けばあの身に風穴が開く。
彼を信じるか信じないかだ。それが自分の賭けでもあった。
このゲームを否定する人なら俺も賭ける。
ふと彼がこちらへ顔を向けた。
「…っ!」
よく考えれば目が合ったなどと、思いすごしであったに違いないのに、渡辺俊介は思わず立ち上がってしまっていた。

298 :疑心暗鬼 3  ◆prGJdss8WM :04/11/20 01:57:24 ID:SlezL3S/
「…はえ!?」
びっくりした。端的に言って、ものすごくびっくりしたのだ。
首が痛いなとちょっと傾けたら、その視線の先から人間が生えてきた。
しかもユニフォーム。うちのチームの人間。
目深にかぶった帽子のせいで顔がよくわからない、が何とか腹の背番号はわかる。
31と言えばアンダースローの、あの投手ではなかったか。
「…あ、渡、辺、やったよな」
川を挟んで聞こえなかったのか、彼は立ち尽くしたまま固まっている。
そこでやっと、大塚の危機感が甦った。
この島で容易に他の人間と接触することは、油断すれば死そのものなのだ。

がっと刃を掴んで半立ちになった。
ああ意味がない。やっぱり遠距離戦はヤバい。
渡辺の武器が銃器だったら、俺は終わりだ。
とたんに全身に冷や汗が吹き出した。
「動かないで下さい」
彼が始めて口をきいた。震えているのは彼の声か大塚の聴覚か。
ぬっと薮の中からまた生えてくる何か。黒光りするもの。
大塚はごくりと唾を飲み込んだ。

「…動かないで、そのままで」
思ったとおり大塚明だ。
いい歳しての茶色い髪が、いつもは上げているくせに雨で流れて額にかかっている。
とすんとリュックを地に下ろして、俊介はゆっくり川へ向かう。
銃口を目にして確かに彼の目が変わった。
それが恐怖なのか反発なのかはわからない。
「大塚さん」
川の流れるおとに負けないようにしっかり言う。
「あんた、誰かもう、殺しましたか?」

299 :疑心暗鬼 4  ◆prGJdss8WM :04/11/20 02:00:26 ID:SlezL3S/
たらたら、冷や汗が背を伝いだした。気持ち悪い。
「は…?俺が?」
舌で唇を舐めては、余裕のふりをしてやる。本当ならダッシュで逃げたいのだが。
「殺してたら、どうなる?」
「…俺がここで、あんたを殺します」
言いながら俊介は混乱していた。違う俺は、そんなこと言いたいのではなくて。望んでるのではなくて。
けれど大塚がにやりと笑うのだ。
この状況で笑えるなんてよっぽど阿呆か、狂っているのか、自信があるのか。
大塚は思っていた。顔がひきつってるなこれは。俺だって死ぬのは怖い。

そんな自信なんてもう既に、誰かを殺した経験から生まれる以外にないじゃないか。
簡単だったのかもしれない。そう言いたいのかもしれない。
「…じゃあ殺してない、って言ったら?」
また大塚が笑ったようだ。声も揶揄する響きを帯びる。
からかう余裕すら、あるって言うのか?
人の命を奪うのを、冗談めかし言えるのか?
俊介の全身の血が逆流する。

一瞬でも信じたかった自分を呪った。馬鹿みたいだったと目を半分とじた。
よりにもよって、もしかしたら最悪のくじ運の持ち主かもな、俺。
大塚なんて。
人を、それもチームメイトを殺しても、笑える奴なんて。

「それでも」
ぐっと顔を上げた。かちん、マシンガンを臨戦態勢にする。
嘘だ。嘘に決まっている。信じられるか。
「危険だと思うので、ほっときません」
大塚なんて、ハナから信じられるわけが無かった。よく考えればそう思う。
いつだって五月蝿くて落ち着きが無くて、口ばっかり達者で、誰彼構わず踏み込んでくる。
人のテリトリーや踏み込んで欲しくない部分なんか全く気にかけるタイプではない、むしろ暴君だ。
いい思い出なんてない。
それがさらに増えただけのことだ。俊介はそう反芻する。

300 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/20 02:01:34 ID:VZtENjqB
>>281
ごくろうさまです。
>サブローがトドメを刺さないなんてちょっと考えにくいですよね
これについては、操っている筈のエカが席を外している時間帯が
結構あるみたいなので
(ベンチで初芝にハァハァしてたり、今はヘリですよね)
それに体調の問題もあるし、何とかなるような気もします。

◆t9z9GAMfsM様へ
ROM風情が生意気に済みませんが、
話を急ぎすぎていませんか。
誰かと絡ませようとしないで、一人をじっくり書いてみたらどうでしょう。
そして、皆さんの批判があったら、その度書き直してみたら。
今まで、批判を浴びた文章に対してスルーし、書き直しも取り下げも
して来なかったのも、非難される原因と思います。



301 :疑心暗鬼 5  ◆prGJdss8WM :04/11/20 02:01:41 ID:SlezL3S/
でも何かに執着するパワーだけはあると見えるから、そんな大塚がやすやすこのゲームの犠牲になるわけがない。
誰かを踏み台にしてでも生き残るだろう。そうすれば怪我がちな大塚でも、またレギュラーに近づけるかもしれない。
ああ汚い。そうだ、計算高い人でもあった。
それくらい考えてるはずだ。

「…結局殺すのかよ」
頭が痛い。がんがんする。死ぬのか俺。血が回り過ぎてる。
吸う一息ごとに肺が動く、それをこれが最後か、次が最後かなんて考えるからだ。
刃を握った手の震えだけは見えてなければいいが。死ぬにしたってそんな、かっこ悪いのはダメだ。
「殺したくないですけど、仕方ないです」
全てのベクトルが大塚の嫌味なところばかりに突き刺さっていた。
きっと大塚は、自分の周りから殺していったのだ。ライバルとか、親友とかをだまして。
彼の唯一好きだった、人懐こい笑顔さえも汚く見えた。

「しかたない?…そんなので殺されるのか俺。たまんねな」
「俺は死にたくないですから。当然です」
「…話し合いとか、余地は?」
「ありません」
「福浦とか、ジョニーさんとか、逢いたくないか?」
「…あんたの言葉は信じない」

302 :疑心暗鬼 6  ◆prGJdss8WM :04/11/20 02:03:02 ID:SlezL3S/
ぐっと身構えたまま俊介は川辺によった。あまり近づきたくは無かった。
もし昨日こう言われていたら、きっと信じていたに違いない。
そしてもしかしたら、彼の手にかかっていたかも。
怒りと焦りと恐怖と、その他諸々で俊介の頭はいっぱいになる。
究極の疑心暗鬼だった。手を伸ばす全てが闇に染まっているように感じた。

今殺しておかなければ、きっと彼はまた自分を襲う。
不意に大塚が立ち上がる。
「!」
ぱぱぁっと銃声が手元から飛び上がった。まるで一音のようだ。
彼がぐらりとよろめく。片膝をつくのにまだ、手にはナイフがある。
「動くなって!」
「動かなくても、どうせ殺されるんだろ!!」
濁流が足をぬらす。気がつけば川かさが思ったよりも増えている。
それにきっと自分の足も揺れたのだ。
「…汚い。卑怯だ」
「どっちが…っ、つ」
ちくしょ、死ぬかもしれん。右の腹がぬれてるのは、これは雨じゃないぞ。焼けたのか。
手で押さえながらそこには拍動がある。

くそ、こんなやられ方なんてないぞ。
大塚は顔を上げた。彼の足場まで、何歩だ、何メートルだ。

303 : ◆prGJdss8WM :04/11/20 02:07:36 ID:SlezL3S/
相変わらず長文で失礼します。続きをまた一気投下させてください…。

私個人としては、今江西岡コンビと浅間を接触させたかったので、
◆t9z9GAMfsM氏の展開はちょっと嬉しかったりしたのですが…
ショートカットされていた私服ゲット部分とか、またちょろちょろ
挿入して書いても良いものでしょうか。
過去のことを書き出すとスレ的には進行しないような気もします…が…

304 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/20 02:09:34 ID:VZtA4ZMQ
自分も感想を。
◆t9z9GAMfsMさんの話は、展開がせっかちすぎるんだと思う。
人物の出し方にしろ、殺し方にしろ、話の流れ全般的に。
他の職人さんたちは結構じっくり書いている方が多いから、その中ではどうしても浮いてしまう。
ここのバトロワは他球団に比べて進行は遅いかもしれないけど
それもチームごとの味だと思うし、皆それを承知で読んでいるはず。
むしろこれだけじっくり書かれることで読む側としては読み応えがあるし、
色々な登場人物に思い入れが持てる。

ここからは>>294と同意見なんだけど、浅間と今江・西岡組をあっさり引き合わせたのは正直残念。
これまでの流れで、今江・西岡組、そして浅間が今後それぞれ重要な役割になってくるであろうことは読めてる。
浅間・西岡に関しては、金澤・早坂も含めた同期組でのやりとりが最初から色々あって
それらのエピソードがここまでの2人を動かす土台にもなってるわけで。
その2人がここでこんなにあっさり合流しちゃったら、今までの職人さんたちがつないできたものは?ってなっちゃう。

ROMがあまり偉そうに言うのもなんだけど、
リレーという難しい形ながらせっかく今までうまくつながれてきたのが無駄になってしまうと
読んでる側としてもすごくもったいないと思う。
だからやはり一度に話を進めようとせず、他の人の作品も読みながら丁寧に行ってもらいたい。

・・・って書いてるうちに新作キテタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
乙です!

305 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/20 02:11:57 ID:P7U0lNfE
ダークなスンスケ イイヨ(・∀・)イイヨー

◆t9z9GAMfsMさんのは サブモロ以降全部なかった事にした方が
ややこしくなくてイイ(・∀・)!! と思う

306 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/20 02:15:25 ID:dJsPdAPX
>>293で浅間が「川井が運営側についてた」のをあっさり受け入れすぎ。
一言も驚いてないのは変でしょ。

たぶん作品世界に関する詳細なイメージが弱いと思う。
だからキャラ一人一人の心情の掴み方が弱い、んだと思う。
だから自分の進行したい展開で簡単に進行してしまう。

あと一番良くないのはコレ

>ところが浅間の憶測はズバリ的を射ていたわけで。川井がこのあと復讐の炎を燃やして
>彼らに襲い掛かってこようとは、この時3人とも思ってはいなかった。

こんな書かれかたしたら他の職人さんがものすごくリレーしにくいのわからない?
勝手にこの後のキャラの行動の予定とか、心境とか決めてどうするの?
リレーの良さって考えたことある?
続ける気があるのか知らないけど、リレーしてやってるスレなんだからさ。
他の職人さんに対しての配慮が薄すぎるよ。

だいたい川井の現在の行動からすると、「復讐の炎を燃やす」ってのは違和感がある。
他の職人さんがリレーするとき、川井がそういう心境に至るまでも描写する手間が必要になるわけよ。

そうやって、他の職人さんが書きづらい形にしてる。
自分一人で書きたいの?
自分で考えた展開で行ってほしいの?
金沢×タスクもサブロー×モロも、自分ひとりでさっさと完結させちゃったわけだし、そんな感じ受ける。
なんなら職人がいないプロ野球ロワスレでも行ってやったら?


307 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/20 02:35:54 ID:dJsPdAPX
ってよく考えたら、浅間と西岡と今江(全員リスト入り)に
エカにきつく言われた川井が襲い掛かってくるわけねーじゃん。
そうなるにはよほど特殊な状況を与えないといかんな。

あんまりな次回予告じゃないか?
ちゃんと矛盾なしで川井が襲い掛かる展開を考えてのことなんだろうか。
忘れてたんなら諦めるべき。俊介でも前科あるんだから。
どのみち他の職人さんがリレーするのはめっちゃ難しそうだ。

308 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/20 02:36:51 ID:itCl+kff
福浦と黒木はなにやってるんだよ(⊃Д`)

309 :紅くて永い孤独(1/2)  ◆Ph8X9eiRUw :04/11/20 04:02:11 ID:c8G7Htny
風の音、それで産まれる木々の揺れる音。
もっともっと耳を澄ませば鳥の鳴き声とか
そんなものも聞こえてくるのかもしれない。
確実に、世界が生きている音がする。
それなのに、大地にはもう自分以外誰もいないような
そんな絶望的な気持ちに青野は襲われていた。
自分は、たった一人なのだ。
誰かと力を合わせることも無く、
誰かと言葉を交わすことも無く、こうしてひとり歩き続けている。

このゲームが始まったときからずっと一人で行動していた。
一人でいることの恐怖とか、寂しさとか
先刻まではそんなこと微塵も感じなかったのに
なのに、なんでいまさら孤独なんてことを痛感しなきゃいけないんだろう。
それはたぶん、いつか2人で行動しようと思っていたから。
一人で乗り切るんじゃなく、力を合わせて切り抜けようと思っていたから。
それなのに。
一緒に行こうと差し伸べられた手を、自分は相手に
麻酔銃を撃つという行為で払いのけてしまったから。
さらに、自分はその彼と対峙することも無く逃げてきてしまったから。
「良平」
青野はなにげに彼の名をつぶやいた。
先刻のやりとりを思い出すと、ますますその孤独が
足元からじんわりと自分を侵食していくのがわかった。
自分はこんな感傷的なキャラだったかなぁ、と考えて
明るく振舞ってみようとしても、どうにもうまくいかない。


310 :紅くて永い孤独(2/2)  ◆Ph8X9eiRUw :04/11/20 04:06:40 ID:c8G7Htny
そんな青野に「そんなくだらないことを考えている余裕は無い」と
警鐘を鳴らし続けいるものがあった。
歩く振動が伝わるたびに鈍痛を生み出している青野自身の肩だ。
ゲームの序盤に神田からうけた傷、平下に打たれたときに増えた傷
(しかも悪いことに最初の傷と近い場所)それがどちらもまだじくじくとうずき続けていた。
さらにいまだに落ち着ける場所が見つからず、治療どころか簡単な止血すらままならない。
白いユニフォームの肩口は、そこだけ布を替えて縫い合わせたように
見事に袖の白を染め抜いて赤く変色していた。
新しい傷から流れる血はねっとりと赤く、最初の傷のときに流した、
今は少し乾いて黒くなった染みにマーブル模様のように滲み出していく。
アンダーシャツまで白かったなら、それはきっと肘あたりまで変色していたに違いない。
おかげで肩口しか赤くならないため、傷の具合がそんなに酷くないんじゃないかと
自分の頭をごまかすことが出来た。

いまはなによりどこかで休んで治療をしないと。
それから、いろいろと考えたほうがいい。
それからどっぷり孤独にでもなんにでも浸ったらいい。
良平のこと考えんのもそれから。
このまま傷をほうっておけば、たぶんバットをも振れなくなる。
いや、バットの前に今こうやって麻酔銃構えんのも難しいか。
でもオレ野球選手だからバットのこと先考えんのが普通か?
でも麻酔銃構えられなくて誰かにやられたりしたら
それこそバット振れなくなるか。
「なんか皮肉なもんだな」
返事なんかあるはずが無いことを承知で青野はそうつぶやいた。

とりあえず、包帯とかなにか止血できそうなものを探さないといけない。
こんどこそは撃ち合いとかそういうものがなくて
ちょっとゆっくりと、自分を落ち着けられる場所が見つかりますように。
そう祈り、青野は物資がいろいろありそうな場所、市街地に向けて歩き出した。


311 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/20 05:42:50 ID:KFy5Hbqn
新スレ一気に読みました。1時間かかったけど面白いです。
戸倍と愛甲にワロタ。
みなさんこれからもがんがってください。ROM人間の1人として期待してます。

312 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/20 08:43:45 ID:kj++envE
漏れも今江・西岡のとこはなんか納得できないような…。
西岡は本家バトロワでいうところの三村あたり?なキャラだと思う。(違ってたらスマソ)
だから、浅間が出てきたとこでもっと疑ったり、なんでこれから一緒に組むことにするのかってのが必要じゃないかな?曖昧すぎる気がするしね。
せっかく今まで作った西岡:知的キャラが崩壊したのは漏れだけじゃないはず。
ROM人が長々と偉そうに言って悪かったが、これだけは言いたかったんで…

313 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/20 09:00:34 ID:SZY+h3bn
◆t9z9GAMfsMさんのは上手い下手以前になんか読みづらい
温泉がどうしても納得いかない
リレーより単独で書くのがあってるから他でやるといいと思われ

んで>305さんに同意だけど◆t9z9GAMfsMさんはどうですか?
取り下げとか書いたんだからいいだろ!とかとにかく意見おながいします

314 : ◆t9z9GAMfsM :04/11/20 09:07:25 ID:E04MkXys
 皆様、レスをありがとうございます。

 >描写が甘い
 >読み込みが浅い
 >展開を急ぎすぎ

 言われてみるとそうなのかな、と改めて。
文章を書く力を磨いて出直してきます_| ̄|○




 モロの話、若手の話はなかったことにしてください。
ROM専の皆様も、保管庫の皆様もご迷惑をお掛けしました。

315 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/20 10:40:31 ID:Xf4KsxwJ
>>314
だ め な や つ は な に を や っ て も だ め

316 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/20 11:00:27 ID:SGV33ygT
>>315
お前もダメすぎるぞ

317 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/20 11:02:56 ID:PAA6HV7K
まあまあ。出直さなくてもいいけど
単独で頑張れ!乙ですた

318 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/20 12:58:45 ID:vBAB0/Xf
>>317
なにげにキツイこと言ってるなw

319 :境界のこちら側 1  ◆prGJdss8WM :04/11/20 13:18:12 ID:WhIH/4ut
彼の手の隙間から、ちろりと赤いものが見えた。きっと血だ。それが俊介の脳を熱くする。
撃ってしまった、そう思うより先にまた撃たなければと、強迫観念にも似た思いが溢れる。
引き金に力を入れる。ぱぱぱらっ、今度は思いもかけず軽い手ごたえだった。
引き続ければそれは、暴れる獣が徐々に懐いていくように、俊介の手に馴染んでいく。
すこしその濡れた銃身を見やった。
「俺は死ねないんだ」
顔を上げて言った。大塚は半分蹲ったまま黙っている。
それでも目が気にいらない。戦意がある。いらいらする。

二度目の引き金で目の前の、ほんの数十センチ前の河原の石が砕け散ったときだけ、大塚は目を細めていた。
脇腹を押さえた手だけが温い。痛みもあり、逆にああまだ生きていると思っては、場違いな気持ちに呆れる。
雨をしのいでいた木立に飛び込もうかと一瞬考えた。それでも銃弾爆撃されればきっと無事ではすまない。
何とか切り開けないかこの現状を。打破できないか。
利き手でないほうでナイフを持っていたのもまずかった。
全てが不利だ畜生。
何とか、ちろり目線を走らせる。背後に放った火炎放射器。
「…言い残すこととかあるなら」
渡辺が乾いた声で言う。雨の音、川の音を飛び越えてやたら耳に届く言い方だった。気にいらない。

瞬間大塚が身を翻して転ぶ。信じられない動きとその行動に、俊介は一瞬呆気に取られた。
「!?」
しかし次の間にすぐ引き金を引いた。ぱぱら、ぱらッと断続的に音がして、またいくつか石が煙となって吹き飛ぶ。
銃身がそろそろ熱い。なのに引けば引くほど当てるのが難しくなる。
針の穴を通すようなコントロール、コントロール、俊介は自分に言い聞かせた。
大塚が大きな岩陰に身を躍らせる。隠れやがった。
ピッチャーだろ、あそこに投げるんだ。
ぱぱぱら、今度は虚空へ向かった。くそ、ためらってる場合じゃない。
「渡辺ぇ!!」
大塚の叫びと共にぬっと現れた細身のものに、俊介は血の気が引くのを感じた。

320 :境界のこちら側 2  ◆prGJdss8WM :04/11/20 13:20:02 ID:WhIH/4ut
ハッタリだ。ハッタリだ。
頼む、騙されてくれよと大塚は唇をかんだ。覚悟してすっと身を起こす。
岩陰から呼びかけられたことにか、銃らしきものに狙われていると思ってか、渡辺がそのまま硬直しているのが見える。
間には泥水を流す川。そこまで深くは無いのを知っている。
せいぜい膝から腰丈だ。それでもひと跳びというわけにはいくまい。
一撃でしとめられる距離まで詰められるか。ナイフを腰のベルトに挟む。
鞘がないが、今はそんなことを言っていられない。ユニフォームは段々血に染まりだしていた。
一瞬大塚は天を仰いだ。雨粒を頬で受けて涙のようだ。
そして立ち上がって銃のように構える。さあ騙されてくれよ渡辺。

「…これでイーブンかな」
「ちくしょぉ!!」
「ここで撃ちあっても、お互いあんまり良くないと思わないか?」
「……」
「…引けよ。つっても、後ろ向いて手を上げて去ってくれ」
そんなこと出来ない。大塚が撃つに決まっている。
卑怯だ、やっぱり銃を持っていたのだ。隠していたのだ。
今までと同じように俺を油断させて殺す気だったんだ。
もう俊介の感覚には雨の冷たさも、川の轟音も届いていなかった。
麻痺した頬や肩のなか、指だけが何かに震えていた。帽子が雨を吸って重く、頭を締め付ける。
どうしたらいいなんて考える前に、また大塚が動いた。
「…かッ…!」
飛んできた土砂まじりの石つぶてが時間を止める。彼が川を跳ぶ。
次にはあの銃器が投げつけられる。
「ぁあああああ!!」
構えたところに飛び掛られて、俊介の銃口は彼の髪と首を焼きつかせた。

耳の側を銃弾が掠めた瞬間、まるで棍棒か何かで殴られたような衝撃を感じた。
一瞬目の前が揺れる。脳を直接ヒットされたようだ。
大塚は体中で彼に飛び掛る。マシンガンを中心に二人は転がりもみくちゃになった。
がっと背中からモロに転んだ渡辺がうめき声を上げる。
首の痛み、腹の痛みが大塚の第二撃を鈍らせた。

321 :境界のこちら側 3  ◆prGJdss8WM :04/11/20 13:21:13 ID:WhIH/4ut
「ちくしょぉぉぉ!!」
マシンガンごと彼が殴りかかってくる。こめかみの辺りを金属の塊が襲った。
「が…!」
「畜生、くそぉぉ!!」
川の中に転がり落ちながら、俊介は大塚に馬乗りになった。
庇うこめかみの辺りを何度もそれで痛打する。呪文のように呪いのように言いながら。
ごぶ、がは、息すらも危うい彼のことなどもう考えなかった。そこにいるのは黒い塊のように思えた。

泥水が口に入る。鉄の味のような気がする。
がん、ごん、後頭部が川底の岩に叩きつけられるようだ。その音だけが奇妙に聞こえる。
息が出来なくて苦しいのか、腹や首が痛むのか、そんな感覚すら飛んだ。殺されかけている現実。
「あぁ!?」
彼に掴みかかろうとしたらまた殴られた。がつん、くらり、その繰り返しだ。
痛みはあまりないまま、息が足りないせいか意識がぼんやりしてきた。死ぬかも俺。
こうやって体から離れていくのかも。
残してきた人たちのことが浮かんだ。走馬灯ってやつかもしれなかった。
彼のことも彼女のことも。

殴りつけその手をはらい、俊介はやっと気がついた。
撃つんだ。撃てばいいんだ。そうすれば悪夢が終わる。
また弱々しくも彼の手が肩の辺りにしがみつく。力いっぱい髪を掴んで川面の下に押し付ける。
泡だった川水の中泥水の中、彼の茶色い髪が沈んだり、浮かんだり。
一瞬引きずり上げては側の大きな岩の肌に、その髪を叩きつける。

322 :境界のこちら側 4  ◆prGJdss8WM :04/11/20 13:21:56 ID:WhIH/4ut
「妻が、いるんだっ」
ひくっ、言いながら喉がひきつった。泥水の中大塚が一瞬こちらを睨んだような気がした。
「妻と娘がいるんだ、俺には!!」
もがく彼の首を、とにかく首を押さえつけて、また全体重をかけて岩に叩きのめした。鈍い音と、硬質な手ごたえが一気に来る。
ごふっと、大塚の口から声と泥水が混じったものが吹いた。
「死ねないッ」
銃を、銃を。
こんなときに畜生、手がすべる、畜生、銃だ、銃を
一瞬が何分の一にもなって、それがまた幾分かに割れ、その一つずつを感じたようながする。手がすべる。
ごりごりとマシンガンの先を大塚の髪に押し当てながら、渡辺は泣いていた。
「死ねないんです、俺は…ぁぁ」
引き金はどこだ、ああ違う、違う、このバーを先にあげなければ、銃、銃は
左頬に彼の拳がめり込む。しかし撃ち切れていない。
倒れかけた上半身でまた、銃ごと彼の頭にのしかかる。
はやく撃たなくちゃ、終われ終われ、終われ、終わってくれ
「…俺にもいる!」
熱と言葉ばかりの脳に、しゃがれたそれでも凛とした、彼の声が聞こえた。届いたのは奇跡に近かったが。
「俺にも、いる…っ!」
搾り出したのだろう、もうそれ以上肺に息が残っていないように、大塚の口はぱくぱくともがいた。

その唇の端が切れていた。肌に雨が打っていた。
俊介の目が見開かれるのを、大塚は半分おぼろな意識で捉えた。虚空をさまよった撃ちそこねの拳を、渾身の力で薙いだ。
その見開かれた目の辺りを指がきつく引っ掛ける。帽子も飛んだ。
「…ぁあ!?」
銃口をも抱え上げるように、渡辺が思わず目をおさえて身を反らす。

323 :境界のこちら側 5  ◆prGJdss8WM :04/11/20 13:24:52 ID:WhIH/4ut
次の一息に大塚は身を跳ね上げた。体勢が逆転する。
どうどうの水の中にまだ白かったユニフォームが沈む。
顔。押さえている彼の顔のあたり。顔からそのあたり。
腰から抜いた刃を思い切りつき立てた。そして力ずくでひねった。ひねった。深い手ごたえを全部ひねり上げた。
自分でも気付かないうちになにか吼えたかも知れない。体中が一丸だった。
ごおう、嵐のような音のような一瞬のようなものが、意識を駆け抜けていき、耳を覆われた。
「…っは…っ、…あっ…」
その嵐が過ぎ去るまで、両手で持った刃のうえに額をつけるようにして、大塚は蹲っていた。
腰の辺りまで泥水に浸され、それでもじっと蹲ったままでいた。
押し込んだ刃をまるで、何かの祈りの象徴のようにして。

耳から感覚が回復してくる。雨が結構きつくなっているのも背中で感じる。
どうどう、どうどう、流れる水にぼんやり目をやる。にごっている。どんどんにごってくる。
チョコレート色と赤土色の混じったような水が、泡立つように膝を打つ。幾度も怪我を繰り返した右だ。冷えると痛む。
いや違う、これは、最近の痛みだ。ゆっくり頭が思う。
渡辺俊介に、蹴られた痛みだ、ああ殺されかけた時の、そうだ、膝をやられて、あれから、あれから俺は。
「…っ!」
焼きつくような右脇腹の痛みが戻ってきた。
顔を上げた。額に髪がべっとり張り付いていた。それは水だけでなく、わずかながら血混じりの。
「…あ…」
不意に全身が震えだした。目は、手の一点に釘付けになった。
刃の握りの部分しか見えない。
ナイフの刀身は今は、濁流の中、そしてその先からわが身の方へ伝う赤い道。
ごぼごぼと流れに混じり、すっと見えたり消えたり。

全身を乗せている彼の体はもう、流れの中に沈んだままだった。
むせたように咳き込みながら大塚は立とうとした、
が脇腹が痛みでひきつり足がもつれ、腰が砕ける。ばしゃんと傍らに倒れこむ。

324 :境界のこちら側 6  ◆prGJdss8WM :04/11/20 13:27:03 ID:WhIH/4ut
またそこから、きりりと川に突き立っているナイフの柄が見えた。わずかに人の手が流れに左右されているのも。
返り血はほとんどかぶっていなかった。
ああ、と空を仰いだ。ばちばちばちと大粒の雨が頬を髪を打つ。また咳き込む。それすらも痛い。
殺したのだ。自分が彼を。
死んだのは自分ではなくて渡辺俊介だ。
そう思えるようになるまでどれくらい、そうやっていただろうか。
雨が冷たい、水が冷たい、腹が痛いと考えられるようになってやっと、大塚のきつめの目がすっと開いた。

ぬるりとした川底の泥を手から払う。もう腰は大丈夫だ。立てる。
やっとずきずきと腹の痛みもリズミカルに打つ。くそ、これは無かったことにしたかったのに。
相変わらず揺らがず屹立している刃の柄を、ぐっと引いた。思ったより簡単に抜けた。
それからこれは気が進まなかったが、何度か水の中を手探って、人の身体ではない硬い感触を探し当てる。引きずり上げる。
銃には詳しくないが、もし使えるのならここに捨てておくわけにはいかない。

痛みと感情ではっ、はっ、と小さな呼吸を繰り返しながら、大塚は身体を引きずって岸に上がった。濡れた全身が余計重かった。
額の髪をかきあげる。首のところもかすったのだろう、引きつれるようだ。
川面の暴れるのを見た。どどと水が押し寄せる音を聞いた。軽く頭もぐわんとした。
多分きっと、俊介は迷ったのだろう。大塚の声を聞いて。家族の話を聞いて。
自分と同じなのだと悟ってしまって、迷ったのだろう。
その迷いが彼を殺した。
「…謝らない。そんなのじゃないの、わかってる」
まだ浅い呼吸で大塚は言ったが、喉のひきつれやにごりは、体の痛み以上にどうしてもしばらく染み付いているだろうなと思った。
けれどその迷いが、俺を生かした。
それ以外に、彼に手向けられる言葉なんて無かった。

【31渡辺俊介× 残り33名】

325 : ◆prGJdss8WM :04/11/20 13:29:23 ID:WhIH/4ut
残り人数は、モロがどうなるか決着がついたら決定で結構です。
とりあえずモロ死亡の場合は33名ということで…

326 : ◆prGJdss8WM :04/11/20 13:31:35 ID:WhIH/4ut
ぎゃあ一文抜けてます
3、の最後に
「足から下を蹴る。腰も膝も。」
と付け加えて読んでみてくださいorz

327 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/20 14:09:52 ID:I1+sl8QX
スンスケやられちゃったのか…
大塚も反運営側なのに…
というかまた生存リスト上の人が減っちゃったんですね。
エカどうするw

328 :防波堤(1/4) ◆QkRJTXcpFI :04/11/20 14:27:30 ID:VtogYxzK
ヒタッ、ズルッ・・・ヒタッ、ズルッ・・・

「・・・。
 だ、誰もいないなぁ。
 全く、けっこう歩いたってのに!」
成瀬善久は洞穴の中を行く。
実際には大した距離でもないのだが、右足を引きずりながらの行程である。
長く長く感じられて、ため息をつき成瀬は立ち止まった。

「やっぱり、素直に明るい方を選ぶんだった・・・。
 藤田さんに寺本さん、さ、殺人鬼としては、まだまだ満足する数じゃない。
 えーと、えと・・・そう、こういうのは『血に餓えた』とか言えばいいのかな。」
そう言って、何度もコクコクとうなずく。
「そう、血に餓えてる。
 成瀬善久は殺人鬼さ!とっても血に餓えてる!」

叫んで体を震わせると、ダラリと下がった左腕が振り子のように前後する。
寺本の放った銃弾がめり込んでいる左腕、鈍くジワジワと押し潰すような痛みを感じる。
動かすこともできない左腕。
「左腕、痛い・・・。ううん、な、なんだか大事なことを忘れてる気がする。
 僕って、何だったっけ?
 僕、僕って確か・・・だめだ、思い出せ・・・あ、殺人鬼か。」
利き手が動かせないのは不便だ。人を殺すのに。
成瀬はそれだけ思った。
 
来た道を振り返る。
「波の音のするほうにずっと来たから、途中の分岐がよくわからないんだよな・・・。」
――ザアアアァァン、ザアア・・・
既に波の音はだいぶ近くなって来ていた。
「今さら引き返すより、こっちの先から海に出よう。」

しばらく狭い道を歩いていくと、音の響き方が変わった。広いところに出たと感じた。

329 :防波堤(2/4) ◆QkRJTXcpFI :04/11/20 14:28:53 ID:VtogYxzK
――ザアアアア、ジャブッ、ジャアアァァ・・・ザアアア・・・
波の音がさっきより大きくくっきりと成瀬の耳に聞こえる。
すぐそばで小さい波が割れる音がする。ライトを照らす。
ほんの5mほど先、打ち寄せてきた波がゴツゴツした岩に行く手を遮られ、砕けていた。

まだ周りは暗い洞穴の中。
しかしさっきまで狭くなっていた両脇の岩壁はなくなり、天井もだいぶ高くなっている。
洞穴の中の広い空間は、そのまま奥のほうへ続いている。
「波の音はこれか・・・地底湖? いや、波があるから違うのか。
 う、海からここまでつながってるんだろうか。」
前方にある大きな水たまりも奥へ続いており、波はそこからやって来ていた。

「そう、ここから10分も歩けば海へ出るよ。海水はここまで達してるけどね。」
突然、成瀬の横から誰かが話しかけた。
「だ、誰かいるのか!?」
「いるさ、君より先に僕はここにいる。」
「うおおおお!!」
相手の言葉が終わるより先に、成瀬は声のする方に駆け出していた。
が、右足をかばいながらの突進は、またもや成瀬をつまずかせて転倒させる。
「ぎゃっ!」
ライトが地面を転がる。
しまった。すぐにライトを拾い上げ、前方を照らす。
誰もいない。声のした方をくまなく照らすが、人影はない。

「そんなに慌てて何する気だい?」
今度は真後ろからその声がした。
「い、いつの間に!?」
成瀬は後ろをライトで照らす。また誰もいない。
「なんだ? ど、どうなってるんだ!?
 か、隠れるなんて、卑怯だぞ、お前!」
「別に僕は隠れていない。君が見当違いの方向を照らしているだけさ。」
また、背中の方から声がした。

330 :防波堤(3/4) ◆QkRJTXcpFI :04/11/20 14:30:55 ID:VtogYxzK
「馬鹿にするな! ぼ、僕ぁもう2人も殺した殺人鬼なんだぞ!
 藤田さんに寺本さんを殺したんだ。
 お、お前も殺してやるからなぁっ! さあ、隠れてないで出て来い。」
成瀬の叫びが洞穴内にこだまする。
「・・・そうか。殺してしまったか。困ったな。
 その声は、確かルーキーの成瀬君だね?」
誰か分からない声の主は言う。

「そうだ! お、お前こそ誰だ!?」
――ドスッドスッ!
あらぬ方向から成瀬へ駆け寄る足音がした。
身構える間もなくガシッと体を掴まれると、あっという間もなく成瀬は羽交い絞めにされた。
「う、うおおお!
 な、なんでそっちの方から!? 声なんかしなかったのに!」
「密閉された空間では、しゃべるときに反響を利用して声の出元を分からなくさせることが出来る。
 ちょっと練習すれば簡単な技術さ。」
声の主がささやく。若い男の声ではないが、少し高い。

成瀬はすぐさま袋に手を入れ、右手で寺本から奪った拳銃を取り出す。
「右手で持ったライトを袋の中で置いて、右手で武器を取り出す。
 ずいぶんと無駄な動きだな。」
成瀬を縛めていた腕が解かれると同時に、みぞおちに重くて鈍い衝撃。
「がはぁっ!」
呼吸が出来ずに動きが止まる成瀬の右手から、あっさりと拳銃は奪われた。
「ぐぅっ! ごほっ、ごほぉっ!!」
成瀬は呼吸を整えながらなんとか応戦しようとした。が、攻撃は来ない。
ライトをもう一度取り出し、その男を照らす。
「お前・・・!?
 そんな馬鹿な・・・。な、なんで、お前がそんなに強いんだ?
 は、初芝さん!!」
「僕がなんで強いのかって? それは僕が初芝清だからさ。」
先ほどからの声の主、初芝清がライトに照らされて仁王立ちしていた。

331 :防波堤(4/4) ◆QkRJTXcpFI :04/11/20 14:38:55 ID:VtogYxzK
「しかし、『なんで』とは心外な言われ方だ。僕ってそんなに弱そうかなぁ?」
初芝清は首を力なく曲げ、肩を落とし、落ち込んでいる格好をしてみせた。
「だって初芝さんて、いつ見てもトロそうで、体が重そうで、ファンにも笑われてるじゃないですか!」
「笑われてるように見えたかい。
 野球選手にはね、HRを打つこと以外にも役割がある。それだけのことさ。」
「や、野球選手?」
あ、僕もそうだったったっけ。成瀬はやっと思い出した。

「魅せる選手であり続けること。それが初芝清の宿命。
 どんなに時代が、季節が、環境が変わろうと、初芝清は『初芝清』でなくてはならない。
 もちろん初芝清は死んではいけない。
 どんな状況でも生き抜く術を身につけていなくてはならないのさ。」
「つまり、普段の初芝さんはフリだったってことですか?」
「いや、素だよ。
 だからこそ僕は初芝清なのさ。」

成瀬は顔をしかめた。
「結局初芝さんて、何なんですか? わけわかんないんですけど。」
「ふむ。とりあえずまた襲いかかられちゃ困るから、」
成瀬の目の前から、一瞬にして初芝の姿が消えた。速い。そう思う間もなく、
「しばらく大人しくしていてもらうよ。」
背後から声がして、ストンと首へ衝撃が走る。成瀬の目の前は一瞬白く光って、真っ暗になった。

「僕は僕さ。
 どんな状況でも、いつもの自分でいること。
 自分は自分そのものなんだから、それは当たり前のことなんだけどね。
 成瀬君。君のようにそれが出来ない人が大半だろうが・・・。」
初芝はそう語りかけると、気を失った成瀬を仰向けに寝かせた。 
「さ、まずは大事な左腕の治療だ。君は左投手なんだからね。」

すぐ横では、洞穴の奥からやってきた波が岩に行く手を阻まれて、しぶきを散らせていた。
何度も、繰り返して。

332 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/20 17:59:12 ID:7PmSM4Bj
俺の俊介が…(ノД`)

ところで細かいツッコミ。
>>322
>「妻と娘がいるんだ、俺には!!」
これ俊介の台詞なら息子が正解

333 :目標(1/3) ◆UpgPqRu.6s :04/11/20 19:10:35 ID:wutPKc9B
思いの外足場が悪く、慎重に小林宏之は滑りやすい斜面を踏みしめた。
前を歩く山崎健はユニフォームが汚れるのも構わず、低い姿勢で下草を掴みながら急な斜面を登っている。
雑木林を抜けたその先は小高い丘が聳え、鬱蒼と木々が茂っていた。
止まらない雨音と微かに聞こえてくる波の音。海もかなり荒れているようだ。
こんな時に船に乗ってたら大変だな、と全く関係のないことをふと考える。
茂った木の葉がある程度雨を遮ってくれているが、濡れる事には変わりはなく、既にアンダーまで染み込んだ水が時々背筋を凍らせた。
丘を避けて進むことも出来たが、迂回できる方向は10時以降に禁止エリアになる予定になっていた。
時間までに通過できれば問題はないが、天候と体調に相談すると相当厳しいだろう、という結論になり、時間がかかっても丘を越えていくことにしたのが2時間ほど前。
まだ中腹にも達していない。
足場はかなり劣悪で、見境なく積もった落ち葉は雨で気味が悪いほど滑り、少しでも油断するとすぐにバランスを崩した。
「スパイク履いてりゃちょっとマシだったかもな」
前を行く山崎が足を止めて呟いた。
「でもそれだと普通の道は歩きにくいでしょう」
近くにあった木に手をかけて宏之は苦笑した。
「昼までに頂上に着けりゃ御の字だな」
迂回した方が早かったかも、と山崎は続けた。
雨の所為、と言うか雨のおかげで、今のところまだ何処からも銃声は聞こえてこない。
宏之は濡れた落ち葉を注意深く踏み締めながら木の葉からぴちゃん、と音を立てて落ちてくる水滴を眺めた。
さあぁ、と絶え間ない雨の音。
どうしてこんな所にいるのか。──考えても仕方がない疑問がまた頭の片隅で湧き上がる。
朝の放送があった後、何度もその疑問が浮かび、答えが見つけられないままここまで来ている。
──どうして俺達はこんな所でこんな事をしてるんだろう。


334 :目標(2/3) ◆UpgPqRu.6s :04/11/20 19:11:07 ID:wutPKc9B

淡々と、どこか嬉しそうな口調で読み上げられる死亡者の名前(その中には自分も入っていたが)。
自分の名前と同時に呼ばれた、清水将海の名前。
歳は彼の方が上だが同期入団で、自分が一軍に上がってからは何度もバッテリーを組んだ。
調子が落ちてくれば、的確なアドバイスをくれた。
時々、コーチよりも的確に、丁寧に。
──一体どうして将海さんが死なないといけないんだ。
冷たくなった唇を噛み締める。知らず、目を閉じた。
ひた。木の葉から落ちた水滴が首筋に落ちて、宏之は目を開けた。
先を行く山崎の背中が少し遠くに見えた。
慌てて次の支えにする木に目測をつけて急な斜面を登る。
「…山崎さん」
追いついて声をかけると、山崎は振り返らずに声だけで返事をした。
「ああ?」
「球場に着いたらどうするんですか」
「……多分、腹の中の物をなかった事にする方法があると思うんだ」
爆発させたりして、操作できるんだからな。山崎は続けた。
「予想だけど、監督室みたいな部屋があってさ。あの人が、…そうじゃなくても誰かが俺達のいる位置が禁止エリアかどうか判断して、爆発するボタンかなんか押すんだろ」
──何か事情があって禁止エリアから抜けられなくなった奴はいるんだろうか。
どんな恐怖だろう、と宏之は思った。背筋から首筋にかけて、ざわざわとした冷たい感覚が走る。
「それでだ、多分お前の方が中に入りやすいと思う」
宏之は頷く。自分は「死んでいる」のだから。
「なかった事に出来なくても、これ以上勝手に爆発させないようには出来ると思う」
「…スイッチ壊してしまうとかですか」
そんなスイッチがあるとしたらだけどな。山崎はそう言ってそこで不意に足を止めた。


335 :目標(3/3) ◆UpgPqRu.6s :04/11/20 19:11:29 ID:wutPKc9B

──宏之も山崎の足を止めさせたものを感じ取って足を止め、辺りをぐるっと見回した。
放送があってから全く聞こえていなかった銃声が、雨の音に途切れかけて聞こえてきた。
木に手を置いたまま立ち尽くし、全神経を耳に集中させる。
暫しの間を置いて、また、連続した銃声。──多分あれは、自分が持っているのと同じようなマシンガンの類。
三度目の同じ音が短く聞こえ、それが途切れた後、雨の音が強くなったような気がした。
二人とも暫く口が利けなかった。
今の銃撃でまた誰かが死んだのだろうか。また誰かが殺したのだろうか。
誰かといっても、同じユニフォームを着て、ほんの少し前まで一緒に野球をしていた仲間の内の、誰かと誰かなのだ。
「……後は放送用のマイクだな」
重苦しい空気を振り払うように、山崎は掠れた声で言った。
「…人間の考えたことだから、どこかに必ず隙がある」
こんな事を思いつくのは人間とは思えなかったが、宏之は黙ったまま上空を振り仰いだ。
──ぴたん、と頬に水滴が落ちた。

ザァァ、と雨の音が耳を劈いた。
黙々と斜面を上がる体の表面は火照っていたが、背筋は寒いままだった。
宏之はマシンガンのストラップを肩にかけなおすと、次の木に向かって手を伸ばした。


336 : ◆loyOjt0Af. :04/11/20 19:14:59 ID:ZKz/fWr3
ぅわあぁぁぁあ!!!!

ROMてたら今頃>>204に気付いたぁ!!!

ココは?打ち合わせ?ひょっとしてヤバかった?
今携帯で除いたけどなんだか良く分からなかったんで。後日PCより拝見します。
ホント申し訳ないです>>204

337 : ◆prGJdss8WM :04/11/20 20:04:03 ID:deiQqVwo
すみませんミスってましたorz
スンスケの台詞部分、保管されるときには修正提出します

338 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/20 20:13:49 ID:8QCpmAXf
Oh! Hatusiba is so strong.
I realy excited!
nyoho

339 : ◆QkRJTXcpFI :04/11/20 23:05:19 ID:2tZ7ObH0
>>338
thanks.
...nyoho?


>>337
私が128章で間違えてました。すいません。
完全に思い込んでました。なんでだろorz

修正部分は保管庫さんの掲示板のほうに書いておきます。

340 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/21 00:14:52 ID:7RXHMqwH
あげ子


341 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/21 00:15:09 ID:7RXHMqwH
あげ

342 : ◆omOowmgk7M :04/11/21 00:21:33 ID:3NtW6h8U
 長い間小宮山放置してすみませんでした…いろいろ話の展開
考えていたんですが(他の選手との接触とか)時間開き過ぎて
しまいましたね…。

343 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/21 01:13:15 ID:SJMF3TLX
俺のスンスケが…

でも戦闘シーンとか、バトロワらしさを感じたよ。
人殺すのに慣れない者どうしの戦いの、生々しさが
伝わってきた。
ちょっとの誤解だけでもあんな風に、殺しあいに
なっちゃうんだよな。
バトロワを再確認した気分だ…

大塚はガンガレよ

344 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/21 01:28:31 ID:joqZkfb1
初芝がカコイイ・・・
は(ryのくせに、は(ryのくせにーーーー!!!(w

345 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/21 01:30:59 ID:fhuX3XKk
俊介は、結局人を信じ切れなかったから。
(賭けに頼ったのは、他に寺本・・・)
余裕もなかったし、
大塚でなくても、例えばユウゴーに、
お気軽に「仲間になりましょう。」
と言われたとしても、どうなったか。
戸板ともう一度会えるならともかく、
大塚に殺されて案外幸せだった、と思いたい。

ただ、とりあえず、誰か俊介の遺体を川から出して上げて・・

346 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/21 01:46:21 ID:SJMF3TLX
そのちょっとしたバランスが、めちゃくちゃ危ういものだったんだよな…。
個人的に、スンスケの遺体を引き上げなかったのは、
大塚の男気みたいなものを感じたが。
はっきり死体をさらすよりその方がいいのかも…と
思ったりもする。
バトロワでこんなに真面目に語れるなんてな…w

347 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/21 02:17:21 ID:fhuX3XKk
誰にも発見されないならいいけど。
水に浸かったまま誰かに見られるのは、イヤ。
でも、そのまま海へ流れて行くなら、
流れ流れてマリンへ還れるなら、それがいいな。

348 : ◆CLM31pWOr6 :04/11/21 05:07:03 ID:94fkhhCK
>>336
◆loyOjt0Af. 様
職人がものすごい勢いで打ち合わせする板へのご案内です。
今からでも全然間に合いますのでお待ち申し上げております。


スンスケが、スンスケが… ウワァァァン
保管庫にageる時に読み返してまた ウワァァァン
参加者の詳細に追記する時にもう一度 ウワァァァン




もう誰も愛さない(意味不明)

349 : ◆CLM31pWOr6 :04/11/21 05:15:09 ID:94fkhhCK
スンスケ追悼しすぎて書かないといけない事忘れてました、

ボーダフォンお使いの方で、
ボーダフォンライブ!から保管庫をご覧の方に質問です。
ちゃんと見れてますか?
もし見れてない、と言う方がいらっしゃいましたら
お手数ですが
http://www.age.cx/~marines/cmbr/test/r.cgi/BBS/1098901522/l10
こちらの方に機種名を沿えてお知らせ下さい。

他のキャリアの方も見れないとかありましたら
同じ所にお知らせ下さい。


350 :番外編 愉快なカモメたち4 ◆vWptZvc5L. :04/11/21 18:03:44 ID:r9mZg+2H
マー君ファミリーはやっとの思いで球団事務所にたどり着いた。
普段、十数分でたどり着く道に、いったい何時間かけてるんだよ!
球団事務所の前に立つと、目を疑った。

「なんだこりゃ?球団事務所ってここであってるよね?」
「うん…」

代わりにあったのは「CMBR管理本部」という表札。
その事務所の人に尋ねてみようにも鍵がかかってて入れない。

「CMBR?何の略だろ?これじゃ、電話もつながらないよなぁ」
「どこかに引っ越したのかしら?」
「じゃあ、なんで僕らに知らせてくれないんだろう?」
「もしかして夜逃げ?倒産?」
「リーンちゃん、君はロッテを世界で何番目の企業だと(ry」
「だって親会社はお金持ちかもしれないけど、球団は赤字なんでしょ?私達、失業しちゃうの?」

僕らマスコットのくせに、なんて夢のない会話をしてるんだと思って、マー君は嫌気がした。
マリーンズファンのチビッコたちにはとても聞かせられない。
「いや、失業ですめばいいけど。下手したらバフィやファルルみたいに……消されちゃうかも」
マー君とリーンちゃんは互いに顔を見合わせて顔面蒼白になった。


351 :番外編 愉快なカモメたち4 ◆vWptZvc5L. :04/11/21 18:04:22 ID:r9mZg+2H
一方、そんな2羽の深刻な会話も露知らず、ズーちゃんはのんきに窓の外を見ていた。
(ここから見えるあのおじさん二人組、何か見たことあるんだよなぁ?
どこで見たっけ…マリーンズファンの常連さん?球場スタッフの人?)
顔は見たことあるのに、名前が出てこない。
ボーっと眺めていると、窓のサッシの溝に何か折りたたんだ白いものが落ちているのに気づく。
(何だろ、コレ?)
取り出して広げてみる。メモだ。何か書いてある。
(置き手紙?でも読めないや…)
そこにはアルファベットが羅列されている。
一応3歳ということになっているズーちゃんが読めないのも無理はない。
(でもmarinesっていう単語だけは読めるぞ。マリーンズと何か関係あるのかなぁ?)

「…しょうがない、いっぺん帰ろう。ズー、何してるんだよ置いてくぞ!」
マー君がズーちゃんを呼ぶ。
「あぁん、兄ちゃん待ってよぅ」
ズーちゃんはその紙きれをパーカーのポケットに突っ込むと、マー君を追いかけた。

352 :番外編 園川一美と愉快なコーチ達11(1/2) ◆GDAA.BMJxc :04/11/21 22:57:37 ID:qyoZIC4U
渾身の一撃でなくても、不意を突かれると結構痛いものである。

「いたた・・・。何するんですか、荘さん?」
吉鶴は殴られた場所を手でかばいながら、男を見た。
やはり、荘勝雄2軍投手兼コンディショニングコーチ(88)だった。

「ご、ごめん。吉鶴くんだったの?」
吉鶴のあまりの痛がりように、荘は思わず謝った。
「だったの?って、誰か確認もせずに殴りかかったんですか・・・?」
「う〜ん、僕の事呼ぶから関係者だとは思ったけど・・・、ごめん。」
荘はすっかりしょげていた。

「大丈夫か!!」
二人がやり取りしている間に、福澤も駆けつけてきた。
福澤はそばまで近づくと、吉鶴を殴った相手が荘だと気付いた。
「あっ、荘さん!何でこんなところに?」

荘もコーチである以上、秋季キャンプに参加していなければならないはずである。
キャンプに参加していないどころか、マリンスタジアムにいるのは、どう考えてもおかしいのである。
そんな福澤の質問に、荘は先ほどの表情から一変して、やや怒ったように答えた。
しかし返答の内容は、二人が想像さえしなかったものであった。

「何って今日からキャンプだよ!集合時間とっくに過ぎてるのに、みんな来るの遅いよ!!」

三人の間に沈黙が流れた。

353 :番外編 園川一美と愉快なコーチ達11(2/2) ◆GDAA.BMJxc :04/11/21 22:58:33 ID:qyoZIC4U
吉鶴と福澤は、互いに顔を見合わせてしまい、次の一言を発するのにしばらく時間を要した。
「えーと・・・。」
「あの、荘さん・・・。キャンプは昨日からなんですが・・・。」
「え!?」
荘はカバンのチャックを開け、中をごそごそと漁ると、
「秋季キャンプのしおり」とかかれた小冊子を取り出した。
そして表紙を開き、あるページを指し示してたずねた。
「吉鶴くん、ここに書かれてる集合日時って・・・?」
「・・・だから昨日です。」

再び沈黙が流れた。

「ご・・・ごめんね。」
どうやら荘は本気で日付を勘違いしていたようだ。
吉鶴は、思わずその場にへたり込んでしまった。

長い沈黙の後、取り繕うように福澤が口を開いた。
「あの・・・とりあえず飯にしませんか?ほら、もうすぐ昼ですし。」


354 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/21 23:34:36 ID:Gs9FOv+f
荘コーチにフクーラしくワロタw
キャンプ日程間違えてたのかよ!
その上しおりまであるのかよ!w

355 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/21 23:53:39 ID:Z47z8xA6
「キャンプのしおり」ワロスw
修学旅行のしおりとかと同じノリか!


356 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/22 00:12:12 ID:Yc89ZFUA
荘さんだけ遠足だったんだよw

357 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/22 00:12:33 ID:r1U1gm0L
やっぱり二軍コーチ陣のやり取りは和むなぁ〜

358 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/22 06:17:51 ID:fPQ/mkUc
>>355
ワロスにワロタw

359 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/22 18:34:48 ID:M0AUAWoL
保守

360 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/22 20:30:32 ID:FFrNCr/R
もっぺん捕手

361 : ◆7cqrC4VUCg :04/11/23 00:43:04 ID:Y6lcFhbq
“技巧派健在”
―ザァァアア…
雨がより一層強くなったその時、小宮山と杉山は雑木林から少し離れた大木の下で雨宿りをしていた。
小宮山の様子を見て落ち着きを取り戻した杉山が口を開く。
「俺は…小宮山さんに殺されたくありません…」
小宮山が言い返す。
「おいおい、俺は『誰も殺したくない』と言っただろ、信用してくれ。頼む。」
「……。」
「なぁ、俺は…こんな“試合”は止めたいんだ。」
「黒木さんが…黒木さんが誰かを撃ってました。もう、無理です。」
その言葉に小宮山は言い表わしがたい衝撃を受けたようだった。
そして冷静沈着を信条としていた小宮山が珍しく怒りをあらわにした。
「…お前、何て言った?!黒木が誰か人を撃った?ふざけるな!!そんな馬鹿な話があってたまるか!誰が撃たれたんだよ!」
杉山だって当然そうであると信じたかった。
あの瞬間までは。

――パン!――

黒木が鬼のような形相で9番を付けた…そう、確か9だったその男を撃ち抜いていた瞬間が脳裏に蘇る。

「嘘じゃないんです!小宮山さんの気持ちも本当に解ります、けど…けど現に9番が撃たれるのを見て…」
そこまで言って声が詰まってしまった。
涙を目に溜めたその男の言葉は嘘でないことは明らかだった…が、突然小宮山は杉山に馬乗りになり眉間に銃口を押し当てた。
「!!」
「黙れ、その弱い頭をぶちぬくぞ…もっともお前はもう手遅れだがな。」
引き金に力が入るその瞬間…死を覚悟した杉山には少しでも自分に乗っているその男を信じた自分を呪うしかなかった。

――パン!――

しかし、乾いた銃声が額の真ん中を裂いた後も彼は生きていた。

362 : ◆7cqrC4VUCg :04/11/23 00:57:39 ID:Y6lcFhbq
“技巧派健在(2/2)”

何で自分がまだ生きているのか解らない杉山は口を半開きにしだらしなく放心状態に陥った。
「へへっ、すまんな。これな、モデルガンなんだよ」
数十秒前まで怒りに燃え自分を殺さんとしていたような小宮山がニタニタしながら続けて話す。
「…なぁ、黒木が撃った相手は本当に9番、つまり福浦だったのか?おい?」
「は、え?…えぇ…たぶん…」
「じゃあ、アイツのもコレなんじゃないか?」
右手に持っていたモデルガンを振って見せた。
何のことか理解できない杉山は気付いてなかった。
前回の放送で福浦は死亡者リストには入ってなかったのだ。

「…なぁ、一度死んだと思ってもっかい、俺と黒木を信じてみてくれないか?」

363 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/23 02:08:53 ID:0T1hQJJ1
さすが小宮山

364 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/23 02:18:14 ID:8Gw2KJOj
長老の武器、モデルガンぽく書いてなかったと思うけど。

365 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/23 03:06:26 ID:QoWlMGeb
第51章より抜粋
>小宮山はそう決意すると立ち上がった。まず同じ気持ちの仲間を探すことだ。
>「黒木はどこにいるかな…」
>そう呟きながら小宮山は歩き始めた。右手にはコルトガバメントが握られていた。

つい最近に前までの回をちゃんと読んでないって指摘された人がいるってのに・・・
小宮山の登場章って5つだけだし、まとめサイトの登場人物一覧にもちゃんと所持武器は書いてある。
読めよ。書く前に。
実はモデルガンも持ってましたってオチにすりゃ、修正も利くけどさ。そういう問題じゃない。


366 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/23 03:17:42 ID:MdxhAvp2
予め弾は全部抜いてあってわざと空砲を放った、ってことにすりゃOKかと。
武器の見落としは落ち度だろうけど、比較的容易に修正の利くレベルではあるような。

367 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/23 03:34:34 ID:QoWlMGeb
いや、修正はどうにでも効くだろうけどね。
(空砲だと額に近いところで撃つと衝撃とか大きな音があって無事では済まないかもね。分からないけど。)

そういう問題じゃないってのは、ここまで前情報を読まない姿勢が問題じゃないかと。
同じようなこと繰り返してはいちいち修正待ちになって、他の職人さんが続き書けなかったり、保管庫の更新が保留されたり迷惑かけることになる。
つい最近そういうことがあったでしょう。
結局もめた末に、モロがサブローに殺された話から全カットみたいだし。

所持武器なんて保管庫読めばすぐに分かる簡単な情報すら読めてないのでは、先行き不安杉。
内容の良し悪しには文句も言う気はないが、「ちゃんと読む」のは名無しから見てても最低限のルールっしょ。
まとめの人、他の職人さんに失礼だと思う。

スレ汚し失礼。

368 : ◆7cqrC4VUCg :04/11/23 07:24:24 ID:Y6lcFhbq
やらかしましたorz
完全に俺の読み落とし、根本的なミスです。
他の職人様、ROMの皆様申し訳ありませんでした。
これからはもっと気を付けてから投下します…。

とりあえず今回の話は近いうち修正版を投下させてください。
重ね重ねすいません。

369 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/23 11:05:41 ID:HRQLxy4h
◆7cqrC4VUCgさん、最初に遠慮のない意見でもいいから聞かせて欲しいと
仰っていたので、忌憚無く書かせていただきますね。
ちょっと揉めていたようですが、新しく投下する気になったのなら、
まずせっかくの保管庫に充分目を通すべきだと思います。
保管庫管理人さんのおかげで、かなり見やすく情報が収集できるので、
私もとても重宝していますし。
特に小宮山は登場章も少ないので、全編読むのもそんなに大変ではないはずです。
そういう意味で、上で出ている意見と同じです。

内容的には、ちょっと展開が速いかなと…
二投下ぶんあるなら、二個目フルに使っても良かったのではないかと。
ROMがえらそうに言ってすみません。

370 :隠し事(1/4) ◆vWptZvc5L. :04/11/23 12:09:50 ID:lvaPCQ7k
里崎は林道の延長線上を走り続けていた。まだ不思議と誰にも会わない。
雨のせいで、みんな屋根のあるところに集まっているのだろうか。
片手の地図によれば、もう数十メートル先にいくと禁止エリアに入ってしまう。
引き返そうか…いや、あそこに小屋みたいなのがあるな。バス停か?
あそこで雨宿りしながら、これからの進路を決めようか。

そう思い、その小屋に入ろうとして立ちすくんだ。
中に上半身を赤く染めた人が寝そべっている。
すっかり青白くなったその顔、ユニフォームに入った背番号。
誰なのかすぐに分かった。
「将海さん…」
名前を呼んだところで返事があるわけでもないのに、思わずその名が口をついた。
あぁ、やっぱりあの放送は本当なんだ。名前を読んでるだけじゃ実感がないけど…
きっとこの島じゅうに、こうして名前を読まれた人たちの亡骸がたくさん転がっているんだ。

「サト…?」
突然、名前を呼ばれて驚く。
声がした方を見ると、今まで死界になっていた場所に堀幸一が座っていた。
何でこんなところに堀さんがいるんだ?しかも将海さんの亡骸と一緒に。
堀さんのユニフォームについてる血痕って…将海さんのか?
里崎の顔に戸惑いと疑いが浮かぶ。

「まさか…堀さんがやったんじゃないですよね?」
里崎は恐る恐る切り出した。
この状況じゃ、そう思われるのも無理はないだろう。
「違う。俺は将海と一緒に行動してただけだ」
いや、あんな撃ってくださいと言わんばかりに見通しのいいところに突っ立っていたのは自分の不注意だし、
将海は自分をかばった結果こうなったのだから、俺が殺したのと同じなのかもな。
口には出さなかったが、堀は内心そう思った。

371 :隠し事(2/4) ◆vWptZvc5L. :04/11/23 12:10:36 ID:lvaPCQ7k
「じゃあ、四郎が…四郎が将海さんを殺したんですか?」
「え?」
「四郎が将海さんを撃ったって…」
「寺本…?あぁ、あいつは左投げか。そうか、あいつだったか…」
堀は一瞬、歯噛みするような表情を見せた。
「左投げって?」
「左肩の怪我のことだよな?将海は誰に撃たれたのか見えなかったんだ。
 ただ、銃を持っていた手で左利きということだけわかったらしいが。
 俺と会ったときにはもう撃たれた後で、しんどそうだったけどちゃんと動けてたぞ。
 あの怪我が直接の原因になったわけじゃないと思う」

「そうですか…」
堀の言葉に少しだけ安堵した。
四郎が将海さんを殺したわけじゃなかった。やっぱり四郎も連れてくればよかった。
そう言われるだけで、あいつも少しは楽になったかもしれないのに。
「でも、それなら一体誰が…?」
「俺が直接見たわけじゃないから確かじゃないが、浅間が言うには、
あぁ、そのとき浅間もいたんだけど…雅だったって」
「雅さんが…」
雅さんと将海さんって一番よくバッテリーを組んでた仲じゃないか。
それがどうして…?このゲームに乗ってしまった人間はそんなに多いのか?

「堀さん、このゲームどう思います…? 俺は誰も死なせたくないし、誰も殺したくない。
 誰か殺そうとしてたら説得して止めさせたいって思ってます。堀さんは…?」
「そうだな。俺は…こんな異常な状況だったら人を殺してしまう奴が出てきても
 不思議はないんじゃないかって…そう思ってる」
予想外の答えが返ってきて里崎は耳を疑う。
堀さんは俺と同じことを言ってくれると思っていたのに。

372 :隠し事(3/4) ◆vWptZvc5L. :04/11/23 12:11:26 ID:lvaPCQ7k
「異常な状況なら人を殺してもいいって言うんですか…?
 しかも相手はこの間まで一緒にプレーしてたチームメイトなんですよ!?」
「そうじゃないよ。ただ…仕方ないこともある」
「じゃあ、堀さんは『仕方ない』から、こんなゲームに乗るって言うんですか?」
「違う。俺だって人殺しなんかするつもりはない。…少なくとも今は、だけど」
「今はって…どういう意味ですか?これから先、誰かを殺すかもしれないってことですか!?」
「かもしれん。この先、何かきっかけがあったら俺だってどうなるかわからん」

堀さん…なんでそんなこと言うんだよ?
なんでそんなにあいまいなことばっかり言ってるんだよ?
『きっかけ』って?人を殺すようになる『きっかけ』って何だよ!?
「人殺しなんかしない」ってはっきり否定してくれよ!
たぶん、堀さんも自分も考えていることの根本は同じはずだ。
でも堀さんの言葉には『仕方ない』とか『少なくとも今は』とか引っかかる部分がたくさんある。
自分の考えとの微妙なズレが苛立たしい。俺は絶対に間違ったことは言ってないのに。

「堀さんの言ってること、俺にはわかりません。堀さんは誰も殺したくないし、殺すつもりもないんですよね?
 なら、そう言ってくださいよ。俺の目を見てはっきりそう宣言してくださいよ!」
里崎は今にも掴みかかりそうな勢いだ。
「俺だってそう言いたいよ!言いたいけど…」
喉元まで出かかった言葉を飲み込む。
いや、言わない方がいいんだ。サトのためにも、将海のためにも。
サトの中では、あいつはいい先輩でいさせてやりたい。
「いや…何でもない」

何だろう、この奥歯に物の挟まったような言い方は…
さっきからずっとこの調子だ。どっちつかずではっきりしない。
たぶん堀さんは嘘は言っていない。でもきっと「重要な何か」も言っていない。
だからこんなに話がもつれるんだ。


373 :隠し事(4/4) ◆vWptZvc5L. :04/11/23 12:14:55 ID:lvaPCQ7k
「堀さん、…何か隠してません?何かあったんですか?」
「何もない。お前は知らないほうがいい。俺も言いたくない。もうそのことは聞くな!」
「何もない訳ないでしょう。一体何を隠してるんですか!?それってすごく重要なことなんじゃないんですか?
 それを教えてくれないから、全然話がかみ合わないじゃないですか。堀さん、まさかもう誰かを殺したんじゃ…?」
「違う!」
「じゃあ、なんでさっきから人殺しをかばうようなことばっかり言ってるんですか。
 人を殺すなんて、絶対に許されない行為でしょ?俺は人殺しなんか許さない。
 誰も殺したくないし、誰にも殺させたくない。俺、間違ってますか?」
互いに興奮して声が荒くなっていく。
二人のやり取りはもう半ばケンカ腰になっている。
「そりゃあ、お前の言うことは正しいよ。人殺しは善悪で言ったら悪だ。それは間違いない。
 けど、そんな単純な問題じゃないんだよ!将海だって、あいつは悪じゃなかったって俺は思いたい!」

そこまで言い切ってから、はっとする。まずい、口が滑った。
堀はつい感情的になってしまった自分を悔いた。
里崎は堀のしまった、という表情を見逃さなかった。
「…それ、どういう意味ですか?将海さんが悪と取られるようなことをしたって言うんですか!?
 堀さん、ちゃんと説明してくださいよ!」

やっぱりサトは勘づいたか。馬鹿だな、俺。
「俺が人殺しをかばうのは、俺がもう人殺しだから」って言っておけばそれですんだだろ。
俺が悪者になっておけば、将海の名誉は傷つけずにすんだだろ。どうする?このままシラを切り通すか…
堀は言うべきかどうか迷った。里崎の顔を見る。人を見透かすような真っ直ぐな目。
ここで自分が適当な嘘を言ったところで、たぶんこいつは見抜いてしまうだろう。もう隠し通せない。
ごめんな。俺のせいでサトの中のお前の思い出をを壊してしまう。許せ、将海。
しばらくの沈黙の後、堀は重い口を開いた。


「将海は…あいつは二人殺してるんだ」


374 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/23 13:42:58 ID:cSzNLCCr
小宮山、モデルガンと空砲では意味合いが結構違うような。
あと、杉山は黒木が打ったのが誰かはわからないような表現だったと思う。

375 :人形と繰り手(1/3) ◆QkRJTXcpFI :04/11/23 13:50:59 ID:PSPihsJT
サアアアア・・・
雨は降り続いていた。一向に止む様子はない。

その雨に打たれて歩くその男も、一向に雨を気にする様子はなかった。
帽子のつばの先に水がたまると、雫が落ち、足元の水たまりにはねる。
ユニフォームを染めた大量の血は乾いて固まっていたはずだが、
今は少しずつ溶け出して、ジワリとユニフォームを薄紅色に染めている。

サブローの周りにはそれなりの広さの畑地と、何軒かの家がまばらに立ち並んでいた。
収穫を控えた何種類かの作物が雨に潤っていたが、それを育てた人達がどこにいったのか知る者はいない。
気にも留めず畑地脇のアスファルトの上を歩いていると、ピッと腹の辺りで小さく切り裂かれる感覚があった。
「切れたか」
腹を縫っていた縫合がほつれ外れたのだと分かった。ユニフォームはその部分から更に赤く染まる。
だからといって、どうすることもしない。そのまま歩き続ける。
今いるところから北の方に街並があるのが見下ろせる。
殺すべき人間がいるはずだ。
「宏之を殺した野郎も、いるか」
その問いに雨は答えない。代わりに、

ババババババババババ

沈黙を破ったのはヘリの轟音だった。
それはサブローの頭の上を少し旋回し、すぐ脇の畑に着陸する。
雨にぬかるんだこげ茶の土と、収穫を間近に控えた葉物の作物が軒並押し潰されていく。
その音も全てプロペラの轟音にかき消されていたが。

「よう!元気かサブロー!」
ヘリから颯爽と降り立った山本エカ二を見て、サブローは無言でそちらに走り出した。
右手に持った鉄パイプを両手に握り締めて。
「おぅおぅおぅ!? ちょ、ちょっと待て!
 おい、スイッチ! 筒井、スイッチだ早く!!」
その間に数mほどあった距離をつめたサブローは、半身の体勢から鉄パイプをかつぐと勢いそのままで振り下ろした。

376 :人形と繰り手(2/3) ◆QkRJTXcpFI :04/11/23 13:52:16 ID:PSPihsJT
ガキーーンッ!!
驚いて腰が砕けていた山本の真上で一瞬火花が上がった。
鉄パイプはヘリの入り口の上辺部分で止まっていた。
殺傷するための躊躇のない大きな振りが幸い――サブローにとってはミス――になった。

二撃目を。サブローはすぐに鉄パイプを振り上げようとして
「グッ・・・」
その状態でサブローの目玉がぐるりと回り、動きがピタリと止まった。
ゼンマイの切れた玩具。山本にはそう見えた。
「停止スイッチ、作動させました。」
何やら機械にケーブルの繋がったパソコンを持って、筒井が山本に駆け寄った。
「く、くそっ・・・危ねぇところだったぜ。俺達を殺さないように設定するのを忘れてたか。」
ヘリの入り口に腰掛けて、山本は息をついた。

「ドアに鉄パイプを引っ掛けてくれて助かりましたね。」
「ふん、力むとガチガチの大振りになりやがる。こいつの成長のなさに助けられたか。」
立ち上がった山本の表情に再び自信がよみがえり、ニヤリと笑った。 
「新しい命令の入力を開始する。筒井。」
「はい。」
カタカタと筒井がパソコンに何か入力する。
「グググ・・・」
サブローの体が震えだす。目が見開かれ、顔が歪む。震えはどんどん大きくなり、ついには体がバラバラに跳ね出した。
地面に転げず、のた打ち回る。
「ふん、ヘタクソな操り人形みてぇだな。何度見ても笑えるぜ。」
山本がそう言ってほどなく、サブローの体から震えは消えた。
「ググ・・・ゥゥゥン」
「サブロー、命令入力モードへの移行、完了しました。山本監督。」
山本はサブローに一歩近寄った。

「一つ。俺を含め、CMBR参加者以外を殺すは禁止だ。
 二つ。殺してはいけない10人は前回修正した内容のままだ。ただし藤田は既に死亡したがな。
 三つ。まず小坂を探して優先的に殺せ。」

377 :人形と繰り手(3/3) ◆QkRJTXcpFI :04/11/23 13:53:54 ID:PSPihsJT
山本が筒井に合図をすると、再び筒井はパソコンに何かを入力する。
「命令信号の変換、及び入力を実行します。」
「ググッ!」
さっきとは比較にならない激しい体の跳ね。歪んだ表情。
サブローの両腕が千切れんばかりに、関節がないかのようにブンブンと振り回される。山本が声をあげ笑う。
『ヘタクソの操り人形』、その繰り手は他ならぬ山本自身ではないか。筒井はふと思った。

「脳に直接電流を流してるからな、よほど苦しいと見える。
 しかし毎度これじゃ体が持たんぜ。ま、持って2日の命だがな、こいつは。」
「グググ! ミ・・・チ・・・ヨ・・・ググゥッ!」
「ん?」
 山本が何かに気づいた。
「あ。」
 筒井もだ。

サブローの目から流れていたのは涙だった。
雨ではない。雨に打たれているが、帽子で顔は濡れてなどいない。
そのはずなのに、サブローの頬だけは濡れていた。
苦しみ歪んだ表情には深いしわが刻まれ、そこを涙が満たしていく。
「ググ・・・ク・・ルシイ、タスケ、テ・・・ミチヨ・・・」

鼻水と唾液も制御できていない、ベタベタのサブローの顔を見て山本は言った。
「汚ねぇ顔だな、しかし。
 おい筒井、洗脳がイマイチだから強めにやれ。」
「はぁ、了解です。」
「グググ・・・グアアア!!」
サブローの目玉が互い違いにグルングルンと回転していく。体は更に暴れる。
「ググ・・・コロス・・・小坂、先に殺す、ググ・・・」

「よし、いいだろ。帰投するぞ!」
そう言って山本はヘリに乗り込み、飛び立っていった。
残されたサブローは数十秒固まっていた後に小さく何事かうめき、それと同時に歩き始めた。

378 : ◆QkRJTXcpFI :04/11/23 14:03:27 ID:PSPihsJT
2/3で脱字発見

「一つ。俺を含め、CMBR参加者以外を殺すは禁止だ。

「一つ。俺を含め、CMBR参加者以外を殺すのは禁止だ。

修正&脳内補完お願いしますorz

379 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/23 14:06:50 ID:3V/PwOjE
サブロー……(つД`)

380 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/23 15:31:02 ID:tiCqM65e
>>368
読み落としとか言って、一回でも読んでたら起きないからそんな間違い。
杉山が9番を付けた人で福浦を思い出さないのも理解しがたい。
あとの展開のためだろうけど、説明ないからここで違和感あって一回止まる。

これから参加し始めようとする人がいきなりそれじゃね。
単に書きたくなったから思いつきでポンポン書いたような内容だよ。

他の職人さんは文句を言われないで、自分にいきなり批判がつくことを肝に銘じて
次投下するときに頑張らないとあっという間に総攻撃食らうと思うよ。
ま、頑張って。

381 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/23 16:10:53 ID:XhcHauZi
>>380
揚げ足取るみたいだけどさ、下から三行目の

>他の職人さんは文句を言われないで、自分にいきなり批判がつくことを肝に銘じて
次投下するときに頑張らないと

この文の意味が分からない。
職人叩きも結構だけど、本人が修正しますって言ってるんだから、
まずそれが投下されるまで、次の意見言うのを待っても良いのでは?
そちらの言い方も思いつきで書いてるみたいなものだよ。追いうちかけてるだけだし。

他人の文章を批判するなら、自分も意味のきちんと通る文章を書くべきだと思う。

382 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/23 16:21:10 ID:GmzLjF8c
>>381
俺は当事者ではないけど、その文章おかしいの?


383 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/23 16:35:06 ID:HRQLxy4h
>「他の職人さんは文句を言われないで、自分にいきなり批判がつく」ことを肝に銘じて
でOKかと。何も問題なく。

384 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/23 16:35:12 ID:nZ3QmGFT
>>381
別にその部分はおかしくないと思うが。
銘じての後ろに句点があったほうが読みやすくはなったろうけど。

名無しが出張るのが嫌ってならこっちも分かるから、反論はこっちへ書くわ。

各球団の「バトルロワイアル」スレを見守るスレ
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1099509309/


385 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/23 16:36:45 ID:XhcHauZi
>>382
初見では意味が通らないのではと思ったので、指摘したのですが。
上の方で意見述べている人たちに比べると、感覚的な文章に思えたので。

386 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/23 16:48:32 ID:GmzLjF8c
>>385
そういうことでしたか。了解です。

387 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/23 18:19:52 ID:OI0N/ggd
- ' ゙    `` ‐ 、_,,,,,
   ,r'          /=ミ
  /           彡ll',''´
. /             彡lll
 !-- .、    ,、、、、,,,   彡lノ
 l,,,,,__ /   ___     'r''゙ヽ
. |`゙'' ./   `'゙'''"    .〉,l |
 |.   ,'           //
. ',. ,'           , r'
.  ゙, ゙'ー ‐`      l  |
   ゙、''゙ ,,、二''‐    ノ  l、
''''''''7'ヽ  '''    /   /`〉`゙T''''''''''
  l  ` 、,,,,、- ' "    / /.|  |
.  |  |  .l i       / ./ |  |
【ゴールデンレス】
このレスを見た人はコピペでもいいので
10分以内に3つのスレへ貼り付けてください。
そうすれば14日後好きな人から告白されるわ宝くじは当たるわ
出世しまくるわ体の悪い所全部治るわでえらい事です

これを見てスレへ貼り付けない場合は、
不幸なことがおこります

388 : ◆CLM31pWOr6 :04/11/23 18:24:02 ID:hAeMkE3Y
>>374
それについては自分が「福浦を撃つのを」と参加者一覧に書いた所為かも…orz
直してきます

389 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/23 19:51:16 ID:ZCIdHm2L
堀←里崎キター

このあと放送で寺本が死んだことを知ったらどうなるんだろう・・・

390 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/24 02:33:27 ID:Qb4bMoWf
叩くより誉めようぜ。
里は熱いなー

391 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/24 16:54:28 ID:3kgRWCkL
ほす

392 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/24 18:17:00 ID:MLWfut17
再びほす

393 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/24 19:46:56 ID:1FD2mKsr
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1097998843/l50

職人さんこっちも参加キボンヌー
マリバト作りこまれててすごいっす

394 :見失わない 1   ◆prGJdss8WM :04/11/25 01:03:25 ID:yACfL1dJ
銃声が聞こえてから光年すらたったように感じたその数秒間、福浦は指先すらも動かせなかった。
目の前の不審よりも、最悪の可能性が何度も映画の一場面のように、ばちばちばちと。
血みどろのユニフォームとか引きずられる茶色い髪とか、そんなものが現れては消えた。
「…福浦」
傍らの黒木がすっと身をかがめた。下がれとばかりに手を水平に差し伸べる。
その手は目の前だ。関節の節くれだち、短く整えられた爪、それに小さな雨が跳ねる。
そんな1コマずつは見えるのに、福浦の理性はぼんやり霞がかった遥かにいた。
自分の恐怖よりも最悪の可能性が。
「福浦、そのまま後ろに下がれ」
乾いた声の黒木は視線をそこから外さないまま、リュックの脇にそろそろと手を伸ばした。がっとモデルガンを構える。
そしてまた数秒。
ぱたたんぱたたんと、帽子のつばに落ちる雨音が妙に大きく聞こえた。
下がれといわれても、どうしてかわからない。こうしている間にもひどいことが起こっているかもしれないのに。
「福浦ッ」
かすれた声で彼が言う。ちろりと横目で、悲痛なまでに睨まれる。
「…お前らか」
がさ、また揺れた茂みを掻き分けるようにしてその人が現れた。何故か既に泣きそうだった。
「垣内、さん…」
ごくり、黒木が唾を飲み込むのが見えた。

福浦はまだ混乱していた。
何故黒木と垣内は睨みあっているんだろう。
随分久しぶりに会ったような気がする、なのに二人とも無言なのはどうしてなんだろう。
黒木の構える黒いものを無言でじっと見る垣内は、かなり疲れているように見える。初冬の雨の中、取り残された電信柱のように突っ立っている。
その目はどろりとしていて、どこか熱にうかされた黒い犬を思わせる。

395 :見失わない 2   ◆prGJdss8WM :04/11/25 01:04:33 ID:yACfL1dJ
「雨の中ずっと歩き詰めだったんだ、俺も休ませて貰う」
沈黙にすら疲れたように、垣内は現れた薮を背にしてやれやれとばかりに、どっかと胡坐をかいた。
「…そんな物騒なもん、仕舞え」
淡々としているくせに有無を言わせない口調に、黒木は少し気圧されたようだ。
息を殺して彼を見つめながら、ゆっくり銃口を地に伏せる。
「垣内、さん」
福浦は呼んでみた。彼の黒犬の目がこちらを見る。ぱたたん、ぱたたん。

お互い無言の間に、どれだけの情報が双方の間を飛び交ったか知れない。それは損でもなく得でもなく。
垣内が帽子を取って、吸い込んだ水気をふるうように何度か叩く。ひどく重そうだ。
しっとりと湿った土も、枯葉と下草の冷気も、心地よくはないはずだ。福浦も手のひらと腰が冷えてきている。
じんわり身体を伝って、芯を捉える。じっとしていると体が硬く固まってくるようだ。
舌の根から凍えれば声がこちこちになる。のどが違和感を覚える。
「…お前ら、どうするんだ」
傍らに降ろしたリュックを抱えるようにしながら、垣内はボソリと言う。
「どうするって」
「…俺を殺すなら構わないが」
「そんな、…」
受け答えするのは当然黒木だ。福浦はそれすらぼんやり眺めたままだ。
「生きるためだろ。責めないよ」
「違うよ、俺はこんなの、乗る気はないよ」
「…そうか」
黒木の声がそこだけは譲れないとばかりに大きくなる。垣内は案外簡単に引き下がった。

396 :見失わない 3   ◆prGJdss8WM :04/11/25 01:06:10 ID:yACfL1dJ
「じゃあどうするんだ」
「俺は、こんなゲーム、何とかしようと思ってます。垣内さんは」
「その前にお前は」
急に水を向けられても、福浦はぼんやり固まっていた。黒木が首だけで振り向き、優しく、力強く言う。
「福浦もそうです」
「…そうなのか?」
二人の黒目を一身に集め、福浦は戸惑う。なにか嫌なものが頭の片隅をずっと覆っている。
俺がどうであろうとどうでもいい、一瞬言いそうになった。血みどろになるのが俺ならそれでいい。
「…っ、大塚が」
「?」
「やばい。あいつ、ひとりなのに、さっき…!」
呪縛が解けた。

「福浦?」
「ジョニーさん、俺行く!」
「待て、待て福浦、俺も行くからっ」
「どうした!?何なんだ!?」
「大塚も一緒なんです!!」
そうだ、さっき彼の行った方向からではないか?あの銃声は?
「もしかしたら、さっきの音、あれ…!」
立ち上がって駆け出そうとする前に、垣内が言った。
「じっとしてろ!!」
恫喝だった。福浦は目を丸くする。
「なっ…」
「お前らに伝えることがある。全員が仲間だと思うな」
垣内が押し殺した声で言う。その肩はもうぐっしょりと濡れていて、犬の鼻面を思わせた。

「友達でも信じるな」
雨に濡れながら垣内が言う。


397 :見失わない 4  ◆prGJdss8WM :04/11/25 01:07:33 ID:yACfL1dJ
福浦が何か言う前に、黒木が吼えた。
「友達でなくても信じる!!チームメイトだ!!」

滅多にない黒木の怒号に、福浦は情けなくも一瞬足がすくんでしまった。そういう人なのだ、黒木は。
彼が持っているのはただの温かさではなくて、燃えさかる魂のようなもので。
行こうとして立った自分の肩をぐっと握る、そのまま垣内を見下ろす。微かに震えている。
その指が寒さにではなくて、熱さに震えている。

それでも垣内は動じることなく、一対一で黒木を見つめる。得体の知れない静けさがある。
声も波打たない。
「俺は、知ってるんだ」
「……。」
「生きるために仕方なく、そんなんじゃない、自分のために攻撃してくる奴がいる」
ばらばらばら、雨が強くなって木の葉を打った。それは何度も。
もうどこにも乾いている場所なんてない。だから音もどこか篭っていた。

「どうしたらいい?」
動じてないんじゃない、福浦は気付いた。やっとわかった。
「…俺は、どうしたらいい…?」
垣内がそっと項垂れる。ばらばらとそれを責めたてるように意地悪く、雨が降り注ぐ。
ばらばらばら。泣いているのかもしれなかった。
動じてないんじゃない、途方にくれているんだ。
この人は、何かを見失ってしまったんだ。

「垣内さん、俺は、それでいいと思う!」
自分でもびっくりするような声が出た。傍らの黒木も誰が言ったのかと目を丸くしてこちらを見る。
彼の帽子も濡れそぼって、折角大事にしていたのにと思えば可哀想だ。
織りの細かい生地がきっと、ずっしりと重いはずだ。黒々と水と吸い込んでいる。

398 :見失わない 5  ◆prGJdss8WM :04/11/25 01:08:19 ID:yACfL1dJ
「垣内さん、俺は、それでいいと思う!」
自分でもびっくりするような声が出た。傍らの黒木も誰が言ったのかと目を丸くしてこちらを見る。
彼の帽子も濡れそぼって、折角大事にしていたのにと思えば可哀想だ。
織りの細かい生地がきっと、ずっしりと重いはずだ。黒々と水と吸い込んでいる。
「哀しい、それでいいって思う!」
「……。」
「俺だって、押しつぶされそうになります、でも、まだ…」
「…そんなんじゃない」
「垣内さん」
「俺は、お前らとは違う」
黒木が割り込んできた。
「どうして、そんなこと言うんです。俺はあんたが誰か殺したなんて、そんな風に思えない」
福浦はその可能性に、今更はっとした。もしかしたらそれが彼を鈍らせているのか。
その後悔と苦しみが、彼を雨に打たせているのか。そして彼が言うのは彼自身のことなのか。
「…殺してない。でも、殺したのかもしれない」
「垣内さん」
「突き放して、置いてきぼりにした。お前らみたいに、どうして俺は…」
手を差し伸べられなかったんだ、垣内はうつむいたまま号泣していた。

雨のカーテンがたった数メートルの距離を隔てる。見上げれば空がしたたりおちそうな色だ。
誰の見方でもないこの空を、何人が見ているのだろうと思う。
そう思うと哀しくてたまらなかった。
みんな寂しくて、不安でたまらなくて、同じ空を見る。
昨日まではこんなことで泣かなかった。俺たちは同じ空を、隣で見上げては話していた。
ねずみ色、銀色、鈍いろ、ところどころもしかしたら鶸色のようにも見える。きっと覆いつくして続いているのだろう。
刷毛で何度も厚塗りしたみたいに、手に取れそうだ。
誰かがいる。この空の下には誰かがいる。
みんな不安で、哀しくて、つらくて、呼びたい。
信じていることを呼びたい。

不意に傍らの獣道が揺れたと思ったら、また彼が現れた。また泣いているようだった。
いや間違いなく泣きたいのだと、福浦は直感で思った。

399 :見失わない 6  ◆prGJdss8WM :04/11/25 01:13:03 ID:yACfL1dJ
「…大塚!」
黒木が思わず駆け寄って手を差し伸べる。そしてやっと福浦は、彼の指先ににじむ赤い色に気付く。
ふらふら不安定な体制で何かを抱え込むようにしながら、大塚は一瞬うずくまりそうになる。
23の横のあたりだ、そこを押さえる大塚にぐっと黒木は寄りかかった。肩を借すようにして木の影に来た。
「明…!?」
「くそぉぉぉぉ!!」
ひっくり返って彼は目の辺りをこすった。そのまま腕を置いたままになる。
「…大塚?」
垣内も顔を上げたようだ。べち、ごさと、彼が一歩一歩を踏みしめる音が聞こえる。
「明…」
「大塚、おい、大丈夫か!?」
一番動揺しているのは黒木だ。泥だらけのユニフォームにはもう、白いところなど微塵も残っていない。
その肩を揺するように、覆うようにしながら黒木は呼んでいる。もともとの困り眉が震えている。
顔も髪もぐちゃぐちゃで、これまた泥にまみれていたが、ただその頬には、すっと筋がふたつ。
泣き顔のまま帰ってこない、そんなところはたまらなく大塚らしかった。

「誰にやられた?」
側にしゃがみこんだ垣内が、咳き込むように勢い良く聞く。でもそれすらつらいのだろう、福浦には思える。
「大塚、誰にやられた!?」
「垣内さん」
「相手は…っ」
「垣内さん!」
福浦は垣内の分厚い肩に手を置いて止めた。雨に濡れた、冬の始まりの犬を思った。
濡れた腹にはあばらも薄く浮いて、ぱたぱた所在無げに揺れる尻尾の先まで、まるでだめになりかけている。
なのにくんくん鼻を鳴らしながら、誰かを待っている。
それは窓から見ていたら、きっと遠ざかっていく風景だった。

400 :見失わない 7  ◆prGJdss8WM :04/11/25 01:14:46 ID:yACfL1dJ
「あきら」
腹のそこから福浦は言った。
慟哭のようなものだと我ながら思った。
「聞かない。俺は聞かない。俺はお前を信じてるからだ」
黒木も垣内も、こちらを見ていたのを知っていた。
ばらばらばらと雨が葉を撃っても、土を苛めても、誰も信じられなくなっても。
この空がどれだけ俺たちを粉々にしようとしていても。
俺はお前を信じるぞ。

「…全部だ」

しゃがれた声で大塚が言った。喉でも痛めたのか。
「こんなの絶対全部、終わらせるぞ畜生!!」

その声に、答えることは出来なかった。

401 : ◆prGJdss8WM :04/11/25 01:18:41 ID:yACfL1dJ
うわいきなり誤字ハケーン…orz
5・ニ段落目二行目、「見方」→「味方」です。


402 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/25 10:09:58 ID:esQupZxg
今頃起きたら新作キテター
乙です

403 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/25 10:49:34 ID:1+++MsLX
新作キテル━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!
朝っぱらからちょっと泣きそうになりました。 フクーラガンガレ


でもスンスケの遺体は放置なのかorz

404 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/25 17:14:01 ID:xlLakGYL
今頃気付いたけど、ひろゆきとヤマケンが聞いた銃声って
スンスケが撃ったやつか。
その後ひろゆきが空見上げて、23も空見上げてうわーなんか繋がってルー
と一人で大感激してました、馬鹿ですいません

405 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/25 17:40:21 ID:ObxL2VEr
しかし大塚と一緒にいるときに、福浦を23と呼ぶと混乱するなw

それにしてもグッジョブです。
垣内が何か見失ってんのに、見失わないって、タイトルでもうやられた。
福浦おまいらいい関係だな!

406 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/25 18:15:55 ID:rBa+78ba
新作キテター!グッジョブです。
こいつらの不安に思う気持ち、
信じたいけどそれが難しいことへのもどかしさが悲痛に響きますた。

407 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/26 06:33:26 ID:MvB1h0hm
2323と西岡の作者の人は、毎回とても上手いと思うし、凄い良い話だと思うんだけど
いつも描写がチョットしつこ過ぎる気がする・・・今回は特に。
似たような描写の繰り返しも多いし、端折れる所は端折ったほうがよいと思う。

408 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/26 08:47:05 ID:AojtaF06
誘導
アドバイスや指摘はまずここで書いて他の名無しの意見を聞いたほうが良いと思われ。
ここでやると無闇に荒れる原因になるし。

各球団の「バトルロワイアル」スレを見守るスレ
http://ex7.2ch.net/test/read.cgi/base/1099509309/


409 :分水嶺(1/2) ◆vWptZvc5L. :04/11/26 17:50:00 ID:04M27gTs
「嘘…」
里崎は将海のほうを見る。
その手の爪に残る赤いものは、誰かの命を奪った証だというのか。
そのユニフォームに残る血痕は、誰かの命が散った跡だというのか。
将海さん、あなたまでこんな殺し合いに加わってしまったんですか…?

「で、でも…事故とか身を守るためなら仕方ない面だって…」
なんとか逃げ道を見い出そうとして言った言葉に、思わず口を押さえる。
『仕方ない』か…。俺、さっきまで『仕方ない』なんて言葉、否定してたじゃないか。

「二人とも敵意はなかったって、将海が一方的にやったんだって、そう言ってた。
 俺も自分で見たわけじゃないし、詳しく知っているわけじゃないけど…」
その言葉を聞いて里崎はその場にへたれこむ。
「え、あ……」
何を言っていいかわからない。言葉が出てきてくれない。

やっぱり言わない方がよかったか…。堀は里崎の様子を見て後悔した。
だが、これを言ってしまったからには、もう一つ告げなければならない事実がある。
「あいつ、撃たれたことで精神的に相当ダメージ受けてて…左利きの人が怖いんだって。
 撃たれた相手が見えなかった分だけ、それが異常に焼きついて離れなかったんだろうな。
 左利きの人を見ると自分に歯止めが効かなくなるみたいで…将海が手にかけた二人も左利きだった」
最初に堀が放った「左投げ」という言葉を思い出す。
あの言葉にそんな意味が含まれていたなんて…

「でもさ、悪意があったわけじゃないから、正気に返ったときにすごく後悔に襲われるんだ。
 俺と会ったときも、ずっと泣いてた。あんな将海見てたら、
 俺、『人殺しはいけない』なんて正論、言えなかった。
 あいつはわかってたから。わかってたけど、どうすることもできなかったから。
 それで、あいつはすごい苦しんでて、自殺まがいのことまでしようとした。
 あの二人の死を『仕方ない』で済ませちゃいけないのはわかってる。
 でも、あんな将海見てたら俺はそんなこと……言えなかった」

410 :分水嶺(2/2) ◆vWptZvc5L. :04/11/26 17:51:07 ID:04M27gTs
堀の声は心なしかくぐもって聞こえた。
あぁ、そうか。俺が納得できなかったあのあいまいさは、
堀さん自身の保身なんかじゃなくて…将海さんをかばうためのものだったのか。

「それは、つまり…」
里崎がようやくその口を開く。
「四郎が将海さんを…狂わせた…?」
「…そういうことになるな」

里崎の全身に衝撃が走る。

あいつが将海さんを殺したわけじゃなかった…。
でもあいつが撃った弾は肩だけじゃなくて…将海さんの大事な部分も壊してしまって、
それは死ぬより辛いことだったかもしれなくて…
四郎…、やっぱお前、一度将海さんに謝らなきゃダメだ。
その声はもう届かないかもしれないけど、でも…
そうでもしなきゃ将海さんが浮かばれないじゃないか。

「だから…俺は『誰も殺さない』なんて胸張って言える自信はない。
 こんなところにいたら、人間、簡単に狂っちゃうんだよ。
 サトみたいにしっかりしていられる奴はそんなに多くない。
 一歩違えば、俺が将海の立場になってたかもしれないから」

外は相変わらず降りしきる雨。
山稜に落ちる雨粒は、そのほんのわずかな位置の違いが運命を大きく分ける。
すぐ隣にあったはずの雨粒同士が、全く違う海へ向かって流れ出す。

俺と将海さんは昨日、同じ球場にいた。隣同士で言葉も交わした。
なのになんで、俺はまだ正常を保っていられて、将海さんは狂わなきゃならなかったんだろう。
なんで俺はまだ生きてるのに、将海さんは死ななきゃならなかったんだろう。
いったい、何が俺と将海さんを分けたんだろう……

411 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/26 20:28:26 ID:XFvsV/9G
あげ

412 :Strike back of the PSYCO(1/2) ◆h9KcvsENgk :04/11/26 21:28:46 ID:tj3xpiSY
降り続ける雨の中、天上の灰色ただ一点を見つめながら
彼は大の字に手足を放り出してそこに居た。
数時間雨に打たれ身体は既に冷え切って、それでも彼は動かずに。
ぼおっとしたままの意識と腹部の痺れ
今はまだ、そのままで居る。

  俺はあの人を殺そうとして、負けた
  あの人は俺を殺そうとせず、去った

「プロの世界に飛び込むってことはな」
あれは誰の言葉だっただろうか
「自分の身ひとつを信じていくことなんだ。
持てる物全てを使って生きていくことなんだ。
おまえは、プロの選手の中じゃ抜けた力があるわけじゃない」
上手く思い出せないけどいつも心にある
「だからな、人より多く努力しろ。より高く、より上へ。それだけは忘れるな。
・・・ま、これはどこの世界でも一緒なんだけどな」
それは3年前に、心に刻んだこと。
“もっと高く、もっと上へ”
その志を持って入ったこの世界。このチーム。
でも、そこは思い描いていたものては必ずしもなくて。


雨はなお勢いを増して降り注ぐ。

413 :(2/2) ◆h9KcvsENgk :04/11/26 21:29:31 ID:tj3xpiSY
それでも目を閉じることなく
空だけを見つめて


自分の力で、この世界を生き残る。
それはこんなゲームでも、いや、だからこそのはず。
そんな場ででも俺はあの人に勝てなかった。
あの人に、二度。

 もうこんなゲームはやめようじゃないか。
 俺は他にこの考えに賛同してくれる人を探して、山本を止める。絶対に。
そう言って彼は去っていった。
そんなキレイ事、そんな眩しいまでの哲学
そんな考えで生き残っていけるはずがない。
ここでも、どこでも。
そんなものにしかし俺は負けた。

     闘うそして           闘わないという
自分の信念の上においてでも、彼の信念の上においてでも、負けた。

だから俺は、
俺として生き残るために、あなたを越えていかなければいけない。
もう誰にも負けない。生き残りそしてもっと上へ行くために
そのために

  敬太、すまない。
  俺にはやらなければいけないことがあるんだ。
  お前もきっと、生き残ってくれ。

俺の全存在を賭けてあなたを否定します。
橋本さん。

414 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/26 23:05:51 ID:V4zM1v8B
個人的に今後の展開は「リストに載っている」かつ「主催者に反抗」している選手が鍵を握ると思うので、
最初の生き残りリストをあげてみる。

直行・コバマサ・コバヒロ・スンスケ・晋吾・薮田・藤田・西岡・今江・浅間
で、直行とコバヒロが消えたあとに二人追加(誰かは不明)

そういや結局285の話などはどうなるんでしょう?
展開としては自分はいやじゃないですけれど。
死者が出るのが嫌いな番外編ファンなモノで

415 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/27 02:19:36 ID:fBXHdDVh
285は番外じゃないけど、保管庫にはうpされていない。
書いた人の取り下げ要請があった?からだっけか、とにかくそんな事情。


あと小宮山の話の修正版はいつうpされるんでしょうか?
>>368で近いうちと言われて4・5日経ちますけど。
むやみやたらに叩かれてたから、もうやる気なくしてしまったんでしょうか?
このままでは他の職人さんも小宮山と杉山に関して動きが取れないだろうし、
作者さんは見てたら報告だけでもしたほうがいいと思いますよ。

416 :番外 留守を預かる者(1/3) ◆UpgPqRu.6s :04/11/27 10:29:15 ID:hfqeAyjz
朝の家事を一通り終えると、ベビーベッドから息子を抱き上げ、
渡辺明子はリビングのカウチにぺたん、と座り込んだ。
あーあーと声を上げながら、息子の向輝がエプロンの縁を小さな手で強く掴む。
エプロンの縁を思い切り引っ張り、口に入れようとするその小さな手をそっと外し、
彼の首にぶら下げたおしゃぶりを握らせると、目を輝かせて笑った。
ふふ、と明子は微笑むと、テーブルの上の携帯電話を手に取った。
カシャ、何か嬉しそうに意味のわからない事を喋りながら、
一心不乱に腕を動かす息子を小さな液晶画面に収めてボタンを押す。
カシャ、カシャ、カシャ。何枚かその笑顔を携帯電話のメモリーに収めると、
自分でも巧く撮れた、と思った1枚を夫の携帯電話に送信した。
送信が完了した旨のメッセージと、上部に新着のメールを示す、小さな封筒のマーク。
受信ボックスを表示して、明子はあら、と声を上げた。
自分なりに振り分けを明確にした、フォルダのリスト。
友人からのメールが何通か。瞬時にゴミ箱に移ったダイレクトメール。
夫の名前をそのまま付けた、そのフォルダには新着メールがなかった。
昨日の朝、急に行き先が変更になった秋季キャンプに送り出した後、
今幕張を出たところ、と告げたメールが最後のメール。
昨日も何枚か息子の写真を送信した。
それは夫が遠征に出ている時は必ずしていることで、
(いや、遠征に出ていなくても度々彼女はそうした)
彼はちょっとした時間を見つけては息子と、
自分の写真の腕への賞賛で埋まったメールを返してきていた。
もっとも先発する日はマイペースを自称する夫もそんな余裕はないらしく、
(そう、人によっては腹立たしく思うかもしれないほど、彼は自分のペースを貫いた)
試合が終わって、宿舎に戻ってからまとめて長いメールが返って来た。
息子が産まれたのは春季キャンプ中で、夫は昨日や今日と同じように不在だったが、
夜、そろそろ寝ようか、という時間帯までには必ず何かしらメールか電話か、どちらかがあった。


417 :番外 留守を預かる者(2/3) ◆UpgPqRu.6s :04/11/27 10:30:33 ID:hfqeAyjz
キャンプ初日だから、と明子はひとりごちた。
何か、忙しかったのかもしれない。
携帯電話を閉じ、テーブルの上に戻す。
そう、多分、きっと、忙しかったか──移動で疲れたか──
自分に言い聞かせるように、声に出して言ってみる。
こもった熱が、声と一緒にするりと滑り出して、少し気分が晴れた。
それと同時に。
つい今まで機嫌よく笑い声を上げていた息子が、火が付いたように泣き出した。
立ち上がってよしよし、と宥めても、好んで口にする離乳食を与えても、向輝は泣き止まず、挙句に嘔吐した。
サッ、と血の気が引いた。
何か、病気に掛かったのだろうか、夫がいない時にそんな事。
クッションの上に寝かせて小さな額に手を当てる。──熱はない。
そこでやっと、母に言われた事を思い出す。泣き続けると赤ん坊は吐く事があると。
あんたもよく吐いてた、とまだ秋田の訛りが抜けない口調で母は言っていた。
ほっと息をつき、ウェットティッシュで息子の口元を拭い、吐瀉物で汚れたエプロンを外して、
さっきまで動いていた洗濯機をもう一度動かす。
洗面室から戻ると、息子は泣き疲れたのか、クッションの上で寝息を立てていた。
そっと抱き上げて、ベビーベッドに寝かせる。
一応、病院には行っておこう、そう思って壁に掛けた時計を見る。
今からじゃもう間に合わないから、午後に。
よく晴れた秋空を見上げて、不意に、また、胸が詰まる。
──何がこんなに不安なんだろう?
携帯電話をもう一度手に取る。今まで、夫が“仕事中”に電話した事はない。何度かかかって来た事はあったが。
多分、電話の近くにはいないだろうから、留守番電話にメッセージを残すだけでいい。
何度か深呼吸して、夫の電話番号をメモリーした短縮番号を押した。
『…電波の届かない場所にあるか、電源が入っていない為…』
一瞬、びくっ、と肩が震えた。
──そう言えば、彼は留守番電話のサービスには加入していなかった。
いつも、携帯電話自体の伝言メモにメッセージを残していた事を思い出す。
電波が届かない?──いや、単に電源を切っているだけなのかもしれない。


418 :番外 留守を預かる者(3/3) ◆UpgPqRu.6s :04/11/27 10:31:09 ID:hfqeAyjz

終話ボタンを押し、3人で撮った写真に切り替わった携帯電話の液晶画面を見つめた。
バックライトが消えても、まだ閉じることが出来ず、明子は細く、長く息を吐いた。
──彼が帰って来たら、留守番電話のサービスに入るように言おう。
帰って来たら、…帰って来たら。

──帰って来るわよ。
ぱたん、と携帯電話を閉じて呟いた。
何考えてるの、私。
テーブルの上に携帯電話を置き、キッチンに向かった。
洗っておいた林檎の皮を剥く。
「…つっ…」
訳もなく手が震え、ナイフの先がずぶ、と音を立てて、親指に切込みを作った。
慌てて蛇口を開け、水で傷口を洗い流す。
流れ落ちる水に、ひと筋ふた筋、自分の血が混ざるのをどこか呆然と明子は見つめていた。


419 : ◆UpgPqRu.6s :04/11/27 10:37:17 ID:hfqeAyjz
すみません、続けていきます

420 :ボーナス(1/4) ◆UpgPqRu.6s :04/11/27 10:37:58 ID:hfqeAyjz
山崎が言ったように、丘の頂上に辿り着いたのは正午になる15分程前だった。
この島でここが一番標高が高いらしく、麓よりは疎らになった木々の隙間から、島全体が見渡せた。
登ってくる途中で横切った小さな流れは丘を下った後、一度東に大きく曲がり、割と幅の広い川となって、
コンパスが指し示す方向からすると、南東の海へと注いでいる。
今いる丘のすぐ西には鬱蒼と茂った森、所々、岩が剥き出しになっていて、その向こうはすぐ崖になっていた。
──手を伸ばせば届きそうに思える、目的地のスタジアム、
濃い霧の所為で水平線は見えず、視界に入る限り、この島以外の陸地は見えなかった。
雨は相変わらず降り続き、火照った体から吐き出す息は白く煙った。
遠方を隈なく眺めていた宏之とは対照的に、山崎は幾分平らなこの場所のごく近い所を探索していたらしい。
肩を叩かれて振り向くと、山崎の指差した方向に粗末な小屋が見えた。
「ちょっと休もう。このまま濡れ鼠だとちょっとヤバイ」
宏之は頷いて、山崎と並んで小屋に向かった。
粗末な外見からは想像できないほど、中は思いがけず快適だった。
ワンルームマンションのような間取り。つい最近まで人が住んでいたような空間。
「この島って誰か住んでたんですよね」
片隅に置かれたまだ動いているデジタル時計。
山崎が呆気に取られたように壁にあるスイッチを見つけ、
反対側に倒すと天井から吊り下げられた蛍光灯が点灯した。
「電気も通じてるな…」
「向こう側に電線が延びてますね」
宏之が唯一の窓の外を見て言った。
スピーカーとか生きてるから電気は通じてるんでしょうね。そう続けてカーテンを引いた。
「あ、…」
山崎と宏之が同時に電話を見つけて、我先にそれに飛びつく。
先に受話器を取ったのは山崎で──耳にあてた後、落胆した表情でそれを戻した。
結果はわかっていても、試してみずにはいられなかった。
電話の先のコードが壁のジャックに消えていることを確認してから、受話器を取った。
──痛いほどの無音が、耳を劈いた。
その間に山崎はいくつか引出しが開いたままのチェストを探り、
タオルを2枚見つけ出して1枚を宏之に投げて寄越した。


421 :ボーナス(2/4) ◆UpgPqRu.6s :04/11/27 10:38:24 ID:hfqeAyjz
エアコンのリモコンを電話のすぐそばに見つけた宏之は、
「暖房」に切り替えて天井の近くのエアコンに向けてボタンを押した。
数秒後、温かい風が吹き出して昂ぶっていた何もかもが一瞬ふっ、と和らいだ。
受け取ったタオルでずぶ濡れになった髪を拭いていると、とてつもない大音量であの声が聞こえた。

『元気に殺し合ってるか?山本だ!昼の放送を始めるぞーーーー!いつも通り死亡者からだ!』

山崎の全身がビクッと震える。
どうやらとても近い所にスピーカーがあるようだ。
宏之は短く溜め息をつき、リュックからペンと地図を取り出した。

『11番藤田、31番渡辺俊、39番田中雅、61番寺本、以上4名だ!ちょっと少ないぞー!! ペース上げていくように!』

少ない? 4人も死んだのに? もう合わせて21人だ。 この人は一体何を言ってるんだ。
項から耳にかけて、暖房の所為ではなくカッと熱くなる気がした。

『次に禁止エリアだ! 13時よりEの4、14時よりFの3、…』

読み上げられた禁止エリアを時刻を書き込んで塗り潰す。
徐々に動き辛くなってきている。
それでもこれから向かおうとする方向にはまだ禁止エリアはなかった。ほっ、と胸を撫で下ろす。

『それでだー、そろそろ疲れてきてる頃だろうから、特別にボーナスをやることにしたー。感謝しろよー!』

ボーナス? ──宏之は山崎の方を見た。山崎は何か別の事を必死に考えている様子だった。

『13時から14時の間に、特別に─ええと、水、食料、薬、それからこっちにまだ残っている武器を投下してやるー!』

そういう事か。宏之は納得し、部屋の中をぐるりと見回した。
ここにも何か使える物があるかもしれない。



422 :ボーナス(3/4) ◆UpgPqRu.6s :04/11/27 10:45:45 ID:hfqeAyjz
『場所はー、…そうだな、地図で言うとGの5辺りだー、その辺に投下するぞー!
欲しい奴は13時までにそこにいた方がいいぞー、早い者勝ちだからなー!』

Gの5。地図によれば、スタジアムのある区域の南に2ブロック目、この島で一番建物が多い辺りだ。
ここから13時までにそこに向かうのは無理そうだった。

『それじゃあ午後も殺し合いに励むように! 以上だ!!』

ブツッ。身を竦めるような不快な音が響いて、また雨の音だけが聞こえるようになった。
宏之は地図をもう一度見た。リュックから染みた水で、所々縒れてきているので慎重に広げて床の上に置く。
ここからスタジアムに向かう方向には──これは何の記号だったっけ、確か何かの畑の筈だ、
とにかく進むのに障害になりそうな物はないように見えた。
ただこの丘を下るのは登るより骨が折れるように思えた。
それに、丘の下が地図が示す通り畑だったとして、──身を隠せる場所があるかどうか。
幸いにも、というか、今まで誰にも会わなかったし、誰も見なかった。
単にこちらの方向に誰も来なかっただけなのだろうが、あの登攀中に誰かと出くわしていたら、
しかもその誰かがサブローのように、…彼のようにやる気になっている奴だったとしたら。
エアコンから吹き付ける風は暖かいのに、宏之はぞくっ、と寒気を感じた。
「──山崎さん」
「…なんてこった…」
宏之が呼びかけたのと、山崎が呟いたのは同時だった。
一瞬、顔を見合わせたが、宏之が小さく頷くと、山崎は何度か首を振り、
リュックからペットボトルを取り出して一口二口水を飲んだ。
「エリアは81個ある」
山崎は宏之が広げた地図の前に座り、マス目の一番右と一番上を縦と横に一つずつ指を置きながら言った。
南北に9つ、東西に9つ。
「今まで禁止エリアになったのが21個、今から禁止エリアに決まってるのが6個」
先刻宏之が塗り潰したところを一つ一つ指差しながら山崎が続ける。
宏之は頷いた。
「これからも1時間に1つ禁止エリアが増えていくとすると、明後日の真夜中に全部が禁止エリアになる」


423 :ボーナス(4/4) ◆UpgPqRu.6s :04/11/27 10:46:08 ID:hfqeAyjz
それまでに奴らの言う10人になってなかったら全員終わり。
山崎は顔を下に向けていた為にずり落ちた眼鏡を鼻に掛け直すと、掠れた声でそう言った。
「もう一つ、」
山崎は顔を上げて宏之の方を見た。
「これは…確信があるわけじゃないんだけどな」
頷いて、先を促すように山崎の目を見つめた。
「なんか引っかかるんだ、あの人が名前読む時、全員じゃない、
 例えば先刻のだったら俊介とか…」
宏之は訝しげに眉を顰め、必死で先刻の放送を思い出す。

いくら思い出してみても、引っかかる所はなかった。
強いて言えば──厭に楽しそうな口調である事くらい。
「…やっぱり、気のせいだよな」
山崎は首の後ろを掻いて忘れてくれ、と呟いた。
宏之は丁寧に地図をたたむと、ペンと一緒にリュックに入れた。
山崎はふらりと立ち上がると、小さなシンクの隣の小さな冷蔵庫を開けて、
中から封の切られていないペットボトルの水を見つけ出した。
宏之も改めて部屋を見回して、チェストの上に置かれた救急箱を取り、蓋を開けてみた。
「山崎さん、これ」
更にシンクの下の観音開きの棚の中を探っていた山崎に声をかける。
お決まりの消毒薬、包帯、ガーゼ、そして普通に薬局で売っている薬がいくつか。
鎮痛剤の使用期限はまだまだ先だった。
「持ってた方がいいだろうな」
山崎が頷くのを見て、宏之は救急箱の中身をそのまま自分のリュックに移し変える。
再び棚の探索を始めた山崎が、白っぽい箱を引きずり出した。
「…米だ」
蓋を開けて、山崎は驚いたような声を上げた。
「……食ってみるか?」
暫く無言で顔を見合わせた後、山崎が聞いた。宏之は頷き、ふと、先刻の山本の言葉を思い出した。
──ボーナスステージだ。


424 :番外 園川一美と愉快なコーチ達12(1/2) ◆GDAA.BMJxc :04/11/27 11:16:40 ID:aImnGHzy
吉鶴たちは海浜幕張駅の駅前に戻ってきた。
お昼ということもあり、駅前には結構な人がいた。
「さて、昼食は何に・・・。」
「あっ、マーくんだ!」
福澤の言葉をさえぎるかのように吉鶴が大声を上げた。
吉鶴たちのいる場所から百メートルほど前方に、マーくんがいたのだ。
「あっ、本当だ。」
福澤も、吉鶴に言葉をさえぎられたことに対して別段怒りもせず、マーくんたちのいる方向を見やった。
マーくんの後ろにリーンちゃんとズーちゃんもいる。
マーくんとリーンちゃんはファン数名に囲まれ、写真撮影に応じたりしていた。
ズーちゃんは子供とじゃれていた。

吉鶴と福澤はそんな光景を眺めていただけだが、荘は違った。
「マーく〜ん!!」
荘は、ものすごい勢いでマーくんたちのいる方向へ走っていった。
「え、ちょ、ちょっと荘さん!?」
吉鶴と福澤は慌ててその後を追った。

マーくんたちは中年男性が突然こちらへ駆け出してきたことに驚いて、後ずさっていた。
周りにいたファンのうち数名は逃げ出してしまった。
ズーちゃんは荘に立ち向かおうとしていたが、マーくんに首根っこをつかまれていた。

「はあ・・・はあ・・・。」
荘はマーくんたちのいる場所にたどり着くと、肩にかけていたカバンを降ろし、中を漁りだした。
マーくんたちは、突然迫ってきた中年男性にたじろぎながらも、その一挙手一投足を注視していた。
ファンの間からはざわめきが聞こえてきたが、荘は意に介しなかった。
「荘さーん!!」
吉鶴は必死になって荘を追いかけていた。
少し遅れて、福澤も追いかけていた。

ほどなくして、荘はカバンの中からカメラを取り出し、嬉々とした表情で言った。
「マーくん、写真撮らせて!!」

425 :番外 園川一美と愉快なコーチ達12(2/2) ◆GDAA.BMJxc :04/11/27 11:17:19 ID:aImnGHzy
後を追いかけていた吉鶴は、思わず立ち止まってしまい、何から突っ込めばいいのか分からず、途方にくれてしまった。
福澤にいたっては途中でずっこけていた。
荘はそんな吉鶴たちには構わずにマーくんたちの写真を撮り、
さらに逃げ出さなかったファンの人に頼んで一緒に写してもらっていた。
マーくんたちは、始めは荘の勢いにうろたえていたが、それでもはしゃいでいる荘に付き合ってくれた。

マーくんたちと別れた後、歩きながら荘は嬉しそうに言った。
「マーくんに会ったの、ものすごい久しぶりだったよ。」
吉鶴はブルペン補佐コーチという肩書きながら、1軍のコーチとしてシーズンを過ごしたため、マーくんは見慣れている。
だが、2軍コーチである荘にとっては、マーくんに会うこと自体が非常に珍しいことなのかもしれない。
(しかし、ここまではしゃぐかなあ・・・。)
吉鶴は福澤を見た。
福澤も訳がわからないという表情だった。

満足げな荘が、ふと何かを思い出したかのように立ち止まり、たずねた。
「ところで、なんでマーくん達ここにいるんだろ?」
「さあ・・・?」
「まあ、いろいろ仕事があるんじゃないですか。」
吉鶴も福澤も、マーくんがどうしてここにいるのかなど、わざわざ追求する気にならなかった。

そんな荘の話を断ち切るように、福澤は先ほど言いかけたことを再び話した。
「・・・で、昼食にしようと思うんですけど、何にしますか?」


426 :鎮魂の歩 ◆QkRJTXcpFI :04/11/27 12:57:13 ID:fwtPDgHQ
それは彼にとって与えられていない仕事だった。
「・・・ふぅっ。」
なんとも疲れた様子で、口の周りにひげを蓄えたその男はため息をついた。
背負っているのは、先ほどまで動いていたはずの人間だ。
洞穴の中で倒れていた寺本四郎の遺体。
明かりのさす洞穴の入り口まで運び込むと、彼を地面の上に横たわらせた。

「すまんけど、これぐらいしかできんのよ、俺には。」
小野和幸は天を仰ぎ目を見開いた寺本の遺体に、静かに話しかけた。
彼に与えられた仕事。それは参加選手の死亡確認。
死亡リストに載った選手の遺体を確認するだけが彼の仕事だった。
「打者転向とか、お前には苦労させちまったな。投手コーチの俺がふがいなくてすまん。
 でも今年は頑張ってたそうじゃないか・・・。 すまん、本当にすまん・・・っ!」
小野和幸は手を合わせ目を閉じた。
彼に与えれていない仕事。弔い。
ひどい有様の遺体を見た。少しでも安らかに眠れるように。そう思うと自然と体は動いていた。

「妻と子供を殺すってさ、言われたんだ・・・。
 でも許してくれとは言わん。俺はこの計画に加担している臆病者だ。
 お前達を間違いなく俺は殺してる。呪うなら、呪え。」

小野和幸は探知機を取り出し、画面を見る。
「たくさんのやつが死んだ。ひどい死に方をさせられたのもいる。
 あいつらの誰かが、こんな殺し方をしたのかよ?って思うよ。
 でも、俺も同罪なんだ。」

メモを取り出し寺本の名前の上にに、赤いペンで×印を入れる。ゆっくりと、強い筆圧で。
「そういえば、宏之の死体は見つからなかったな。誰かが俺と同じことしていったのかな?」 
探知機がピーピーと音を発した。
「・・・! 今度は俊介か。ふぅっ。」
寺本のまぶたに手を重ね、目を閉じさせてやる。
そして小野和幸は重そうに腰を上げると、レインコートの襟を直しながら急ぎ足で歩き始めた。

427 : ◆QkRJTXcpFI :04/11/27 12:58:35 ID:fwtPDgHQ
あ、>>425は続きあるみたいですね・・・
割り込んでしまいましたスイマセンorz

428 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/27 15:05:55 ID:mkhZ78+9
荘さん、おもしろいなぁw

429 :◆vWptZvc5L. :04/11/27 16:49:59 ID:+qeazM4Y
「山本さん」
「ん、なんだ?」
12時の放送を終えたばかりの山本エカ児に筒井が歩み寄る。
「…本当に物資の投下なんかするんですか?」
筒井には山本の意図が読めなかった。

「当たり前だろ!渡辺俊介まで死なせちまったしな。
 このままじゃ、俺の管理能力云々どころか命まで危ない。
 汚名返上のためには、このゲームの進行を早めるしかねぇんだよ!
 そこでだ、市街地に物資を投下して人間を集める。そうすりゃ、自ずと戦闘の機会も増える。
 人間が集まったところで…川井は使えないとして、サブや雅も仕事しやすくなるってもんよ。
 我ながら名案だろ?あっはっはっ」

投げやりな態度で話す山本を、筒井は冷めた目で見ていた。

(あ〜あ。この人、ヤケ起こしちゃってるよ。
 ってかこんなわかりやすい罠にかかるバカいるのかなぁ…?)

430 :居眠り(1/4) ◆QkRJTXcpFI :04/11/28 02:05:42 ID:su/7W+lZ
明け方ごろから雨が降ってきた。
街外れの郵便局に身を隠し、何時間がたったのだろう?
そういえば、一度建物の上をヘリが轟音と共に通過していった。
そろそろ正午になる。

辻俊哉はずっと重苦しい雰囲気を感じていた。
原井和也と二人、どちらも口を開かない。
永く続きそうな沈黙。

辻はゴクリとつばを飲み込んだ。
飲み下す音を、のどから耳の奥へと骨の振動が直に伝える。
思いのほか音が大きくて辻はむやみに焦った。
湿気を充分に含んだ空気が鉛のように感じる。
なぜ、こんな雰囲気でいるのか。原因はハッキリしている。

原井と共にこの郵便局で身を隠すことを決めたあと、しばらくは会話があった。
これからどうするのか? ここは安全か?
いつまでも隠れているのか? 仲間になれるやつはいるのか?
『やる気』の人間に会ったら、どうするか。
一通りの確認と意見交換が終わったあと、何の気なしに辻は原井に西武時代の話をせがんだ。
レギュラー争いの話。優勝したときの話。
解雇されたときの話。ロッテに入って思ったこと。
「大量失点すると、もうダメだって雰囲気なっちゃうからな。このチームの良くないところだよ、うん。
 ・・・んー、だいたいは俺が前にしゃべったことある話だと思うんだが。こんなん聞きたいのか?」
原井が聞く。
「面白いですよ。原井さんの話を聞いてると、なんだか奮い立つような気になるんです。」
辻は答える。年齢差があるとはいえ、今季一軍と二軍を行き来した二人である。近いものは感じる。
丁度そのとき、朝6時の放送が入った。その声は、また6人の死亡を告げた。

ああ、しまった。辻は思う。もうこのチームで野球をすることは、恐らくなかったんだな。
原井もまた、その放送以後口を閉ざした。きっと同じことを思っているんだろうな。辻は思った。
窓ガラスの向こうで雨は静かに降り続く。

431 :居眠り(2/4) ◆QkRJTXcpFI :04/11/28 02:07:42 ID:su/7W+lZ
いつまでも、黙っているわけにはいかない。
しかし話し出すきっかけがない。強いて言えば食糧が早々に無くなりそうなことだ。
残るは乾パンが一袋。足りない。とはいえ無くなったら、そこらの民家で探すことはできるだろう。

原井を見ると帽子を目深にかぶり、ひざを抱えて肩で息をしている。
くー、くー。
静かな音。
あ、もしかして眠ってしまったのか、原井さん?
自分で勝手に気苦労を重ねていただけか。辻はためいきをつき、体の力を抜いた。
横の原井をもう一度見やる。後ろには彼の金属バットが事務机に立てかけてある。
隙だらけだ。バットを奪って後頭部を一撃すれば殺すことは可能だろうか?
辻が考えをまとめる前に、そのきっかけは訪れた。

『元気に殺し合ってるか?山本だ!』
きたか。
強烈な不快感を覚える声、しかし耳を傾けなくてはならない。袋から地図とペンを取り出す。
死亡者は4人。雅彦、四郎、お前らも・・・。
『次に禁止エリアだ! 13時よりEの4、14時よりFの3、…』
「13時よりEの4!?」
辻はつい声を上げた。手は禁止エリアを書きとめ続ける。
地図からすれば、ほんの1区画もないところから北のエリア。それが1時間後の禁止エリアだ。
更に14時からがFの3。今いる場所から西へ100m弱、そこから西のエリアが2時間後の禁止エリア。
囲まれた?それとも偶然か? とにかくここは近すぎる。誰かに見つかったら、ほとんど逃げ場がない。
どこか安全な、ってそんな場所ないか。危険の低い場所へ移動しなくてはならない。

『それでだー、そろそろ疲れてきてる頃だろうから、特別にボーナスをやることにしたー。』
辻の思考を遮り、その声はボーナスステージの存在を伝えた。
「ボーナスステージ・・・?」
辻は考えた。何のつもりだ? 確かに物資は欲しい。だからこそ人が集まってくるはずだ。
危険だ。自分はもっと平穏に、そう、他のやつらが殺しあった後に生き残ればいい。
わざわざ俺が危険を犯さなくても、勝手にみんな殺し合ってるんだ。
生き残るために。殺すのはやりたい人に任せて、俺は安全なところでやり過ごしていくのが賢いやり方だ。

432 :居眠り(3/4) ◆QkRJTXcpFI :04/11/28 02:14:12 ID:su/7W+lZ
今、先ほどまでの沈黙の間に辻の頭の中でうごめいていたものは、徐々に形を成していた。
生き残るために。
そう、原井さんみたいに戦う気のない人間は仲間として取り込む。
もし最後の最後に、それでも生き残りが10人より少し多かったら俺は生き残れる。殺ってしまえばいい。

「待てよ・・・」
辻は原井の方を見る。
原井の肩は依然としてゆっくりと上下するだけである。その後ろには金属バット。
さっき中断した思考をたぐり戻す。
これで後頭部を一撃したら、殺すことは可能か?
無理だろうな、何度か殴らなければ。その間に抵抗を受けて、逆転される場合もありうる。
何よりこれは原井の武器であって、いつも俺が持てるとは限らない。
自分の武器である伸縮式警棒。接近戦ならともかく、殺傷能力という点では皆無だろう。
動きを奪ったとしても止めを刺すのは別の方法が必要だ。

「残っている武器の投下と言っていたな、確か。」
辻の思考が頭の中で一つの線になった。
目的と対策。全てが一つの形を成したと感じた。
危険は承知だが、幸いGの5といえばここからは近い。
13時までの1時間もあれば、周りに警戒しながらでも着けるだろう。 
「後は運があれば・・・か。よし。」
辻は相変らず顔を伏せる原井に近づき肩を揺すった。
「原井さん、原井さん。」
「・・・ふあっ、なんだ辻、どうした?」
「もう、寝ないでくださいよ。さっき12時の放送があったんですよ。」
「ええっ!しまった、聞き逃したよ!」
寝ぼけ眼の原井の顔が一変した。
「エリアは僕が書き留めたんで大丈夫です。
 でも、いいですか? 13時と14時でこのすぐ近くが禁止エリアになります。
 逃げ場がなくならないうちに、ここはもう移動した方がいいと思うんですよ。」
「なるほど。そうだな、移動しよう。
 いや、ありがとう。寝過ごすなんて情けないったら・・・」

433 :居眠り(4/4) ◆QkRJTXcpFI :04/11/28 02:17:12 ID:su/7W+lZ
「疲れてるんですよ、原井さんは。
 食糧も無くなりかけだし、街区の中心の方へ逃げながら調達しましょう。」
辻は立ち上がり、原井にも出発を促した。

「わかった。いやいや、なんだかお前に全部考えてもらって、年長者としては恥ずかしいな。」
「そんな滅相もない。原井さんの話を聞くと、奮い立つような気がするって言ったでしょう。
 やっぱり野球選手としては、生き残らなくちゃいけないと思ったんですよ。」
そう言い笑ってみせる辻の顔を見て、原井は感心した。
「なんだかな。かいかぶってた。
 お前がそんなに強いとは思ってなかったよ。」
「何言ってるんですか。開き直っただけですよ。
 生き残りたいんです、僕は。」
辻は真っすぐな視線で原井を見て言った。
原井はコクリと頷いた。

「さ、行きましょう。」
辻は体を返し、出口へ向かう。自動ドアが開く。
あとに続く原井に背を向けながら辻の口の端が緩んだが、原井はそれに気づかなかった。

雨はいつの間にか、小降りになってきていた。
おそらく、そろそろ止みそうなぐらいに。

そして、
先導して歩く辻のあとを歩く原井。
その視線が哀しげに辻の背中を見据えていることに、辻は気づかなかった。

434 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/28 10:21:21 ID:V8kZdD+9
保守

435 : ◆QkRJTXcpFI :04/11/28 10:34:23 ID:D/+9t3O7
あ、なんか一人称がわやくちゃだ。
辻視点独白風にいこうとして失敗しました。
反省しますスイマセンスイマセンorz

修正は以下の通りです。
>>431
俺は安全なところでやり過ごしていくのが賢いやり方だ。
⇒自分は安全なところでやり過ごしていくのが賢いやり方だ。

>>432
それでも生き残りが10人より少し多かったら俺は生き残れる。
⇒それでも生き残りが10人より少し多かったら自分は生き残れる。

いつも俺が持てるとは限らない。
⇒いつも自分が持てるとは限らない。

エリアは僕が書き留めたんで大丈夫です。
⇒エリアは俺が書き留めたんで大丈夫です。

>>433
生き残りたいんです、僕は。
⇒生き残りたいんです、俺は。

436 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/28 11:46:30 ID:4Aaaq9x6
そういえば、ほとんどの選手は一人称「俺」だけど、
中には「僕」の人もいるよね。
「僕」って言ってるのは、小坂、成瀬、川井、初芝あたりか。

437 : ◆QkRJTXcpFI :04/11/28 12:34:25 ID:pj5wH9XM
>>436
全員私が書いた人ですね(初様は他職人さんから僕でしたが)。
俺が多いなとは思うところはありましたが、癖もあると思います。
だから混ざったというのは言い訳になりますがorz

438 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/28 13:19:15 ID:3e/49MGv
>>小野和幸・・・有り難う。

>430 伏線はりまくりな気がする。
楽しみというより、恐ろしい。

439 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/28 17:44:06 ID:IhbbzWyQ
一応保守顎

440 :不審(1/2) ◆vWptZvc5L. :04/11/28 18:40:37 ID:Q+E94/w5
小野晋吾は住宅街を抜け出し、田園風景が広がるところに差し掛かっていた。
サブローを止めなければと思いつつも、あてもなくさまよっているだけだから、
一向に見つかる気配がない。自分は一体何をしているんだろう。
今こうしている間にも、誰かが犠牲になっているかもしれないのに。
何もできない自分が腹立たしい。
排水のために作られた溝には泥水がよどんでいる。
そこへ、突然あの声が鳴り響いた。

――『元気に殺し合ってるか?山本だ!昼の放送を始めるぞーーーー!いつも通り死亡者からだ!』

あぁ、またこの放送か。もう聞くだけで気分が滅入る。
この放送を気にせねばならないことが、すでに自分もこの殺し合いの参加者であるという
事実を突きつけられているようで、6時間ごとに憂鬱になる。

――『11番藤田、31番渡辺俊、39番田中雅、61番寺本、以上4名だ!ちょっと少ないぞー!!』

この中にサブローが手をかけた奴はいるんだろうか。
自分がサブローを止めていれば、死なずにすんだ奴はいるんだろうか。

(でもとりあえず、まだ将の名前は聞かないな)
どんどん増えていく死者に胸が痛むのは確かだ。
けど、あいつの名前を聞かないことでどこかホッとしている自分がいる。
こんなことを考えてしまう自分は人でなしだろうか。
あいつとはファームからずっと一緒にバッテリーを組んできた。
自分の球を受けるのはあいつしかいない。
この先どうなるかわからないけど、あいつだけは無事であって欲しい。
(将、近いうちにどこかで会えればいいよな…)

そんなことを考えている間にも、放送は続く。

――『特別に─ええと、水、食料、薬、それからこっちにまだ残っている武器を投下してやるー!』

441 :不審(2/2) ◆vWptZvc5L. :04/11/28 18:41:16 ID:Q+E94/w5
物資の投下…?何だそれは?怪しい、怪しすぎる。
武器の投下は殺し合いを進めるためだからわかるとして…水、食料、薬?
なんでそんな生き残る確率を高くするようなものをわざわざ投下するんだ?
毒とかヤバイ薬とか入ってるんじゃないのか?飲んだらキマっちゃって殺人鬼になる水とか…。
いや、それ以前に殺し合いを促したいのなら、始めから全員に殺傷能力の高い武器を渡せばいいじゃないか。
なんでこんなスパナとか鉄パイプとか…他は良く知らないけど、使いづらそうなものまで紛れてるんだろう。
殺し合いをさせるっていうのも謎だ。人員削減だけが目的なら向こうから一方的に殺せばいいだろ。
こんな非人道的なことを考え付く連中なら、そんなことためらわないはずだ。
わからない。この殺し合いには、きっと何か別の目的がある。
でも武器かぁ…

ポケットのスパナを取り出してみる。

これじゃ弱いし、武器だけでももらいに行くべきか?
G-5なら13時までに行ける地点だよなぁ。
でも銃とか刃物とか手に入れてどうする?何に使う?

そこから先の答えは出したくない。
晋吾はスパナを回しながら放り上げ、それを受ける動作を繰り返す。
スパナを左手で弄びながら、この先の自分が行くべき道を考える。

銃なんか、引き金を引くだけで簡単に人を殺めることができる道具だ。
そんなものを手にしたら、今、正気の自分も変わってしまうかもしれない。
誰かが近づいてきて襲われそうになっても、これで対応できるだろうし、
少しくらい離れたところでも、ピッチャーである自分なら、これを投げて反撃することもできるだろう。
身を守るためだけなら、これで何とかなる。いや、何とかしなければ。
食料だって、どこか別のところで調達することも可能だ。この辺の畑からもらっていってもいい。
それに、G-5にはきっと人が集まってくる。そこにはサブだって将だって来る可能性はあるけど、
他に『やる気』になってる奴らが来る可能性もある訳で…

「いいや、やめとこう」
落下してきたスパナをぱしっとつかむと、晋吾はG-5と逆方向へ歩みだした。

442 :BRIGADE(1/2) ◆h9KcvsENgk :04/11/28 19:26:12 ID:kSwKTv9s
放送が終わった後、於保と内は二人、つい顔を見合わせた。

ボーナス?

「また変なことをやりはじめましたね」
これが素直な感想。
「どうします? 場所はすぐ近くのエリアですけど」
「それは俺に聞くことじゃないだろ。どうすんだ?」
んー。少し唸って考える。
「1時から2時って言ってましたよね。で、その後に取り囲むように禁止エリアになるんですよ。」
「そういえば禁止エリア、15時のH-4って……この辺のことか」
「ええ、それとその前の2時間で街の北側が禁止になります。これでもう市街地は
半分くらいしかないですね……潰す手間が省けて楽になりました」
地図を見ていた内が、言葉と裏腹にさして面白くも無さそうに呟く。
「注意して家を一軒一軒探すのにこんな時間がかかるとは思わなかったですし、
まぁ好都合といえば好都合なんですけど……」
「何が気に食わないんだ?」
「誘い込まれてるような気がするというか、そういうつもりじゃないにしても
今日の夕方までにこの辺が、こう、袋小路みたいになるんですよ」
地図を指し示しながら於保に説明する。

「そんなとこにわざわざ人を集めるような放送してるんでなんか気持ち悪いんです。
確かに僕としたらそれを狙っていけばいいんですけど、リスクも大きいですし」
最悪次の放送で禁止地域に囲まれた陸の孤島になりますからね、と付け足す。
「ふーん、まぁ俺はお前についてくだけだからどうでもいいけどな」
於保は例によってのこの返事。

「そういえば、ひとつ聞いておきたかったんですけど」
それを聞いて、内は改まって話しかける。
「大学、九州でしたよね。生きて九州に帰りたいって思わないんですか?
もし生き残ってホークス行きなら地元じゃないですか」
「どうしたんだ、今さら突然」

443 :(2/2) ◆h9KcvsENgk :04/11/28 19:27:03 ID:kSwKTv9s
於保は少し茶化すように答える
「中心部に行けば間違いなく誰か居ますからぜったいに戦闘になりますよ。
それが判っていても於保さんはついてくるのかな、と思って」
「なんだ、お前今まで探しててどうせ誰にも会わないだろとか思ってたのか?」
「いや・・・別にそんなわけじゃないですけど・・・」
どうだろう。少し顔がこわばった。

「でも次は確実ですよ。だから於保さん生き残りたいんなら、
殺す気になってる僕といっしょに居ちゃ不都合じゃないですか。
ここで僕と別れて街から離れるなりしたほうがいいと思いますけど」
そう自分で言っておいて内は変な顔になる。
なんでこの人のことでこんな心配してるんだろう。

「何度も言ってるだろ、俺はただお前のすることを見てるだけだって。
ゲームに参加する気もないし何かしようって思ってるんじゃないんだから」
やっぱり要領を得ない。この人が何を考えているのかわからない。
「生き残りたくないんですか? なんか死にたがってるように見えるんですけど」
「そう見えるならお前もまだまだ若いってことじゃないか、多分。
……そんで、これからどうするか決めたのか? ボーナスとか言ってたが」

はぐらかされる。
ま、いいか。
今夜かそのうち時間のある時にでも
もう少し聞いてみることにしよう。

「ええ。とりあえず行くだけ行きますよ。俊介さんも死んじゃったみたいですし
あんまり悠長にやるのもなんです。僕はこういうチャンスは生かします」
「俺を殺すチャンスは逃しといてよく言うわ」
於保が軽口を叩く。あるいは本音か。

「まったく・・・いい性格してるよ」
「どうも」

444 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/28 21:45:23 ID:vPXAQkuY
保管庫さんに地図がうpされましたよ!

445 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/28 23:33:26 ID:Ehc8+pkz
喉痛いけど保守

446 : ◆h9KcvsENgk :04/11/28 23:40:25 ID:kSwKTv9s
読み返してたら微妙なミスが・・・
>>442の下から二行目。「ホークス」を「福岡」に読み直してください。
スミマセンごめんなさい orz

447 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/29 01:29:22 ID:B7jr4NA+
小宮山と杉山の話って結局どうなるの?
>>415で作者さんに呼びかけがあったけど、以降音沙汰なし。
保管庫はそれ待ちで止まってるみたいだけど。

そのまま載せるには矛盾した部分もあるから、修正は必要だと思うけど
修正どころか生存報告もなしでは、強制取り下げになるのも止む無しだろか。

448 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/29 19:05:49 ID:QhJajYrt
ほす

449 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/29 21:46:48 ID:HV/gnIiQ
保守

450 :伝えたい言葉(1/2) ◆vWptZvc5L. :04/11/29 22:14:35 ID:dO7WUr2M
(伝えなきゃ…四郎はもうこんなゲームに乗る気はないって、
 もう誰も将海さんみたいな目には遭わせないって、伝えなきゃ…)

それを一番伝えたかった人は、目の前で何も言わずに横たわっている。
自分がそれを言っても、その人が帰ってくる訳じゃない。でも、絶対にこれだけは言わなきゃ。
その人に伝わらないなら、せめてその最期を看取った人にだけでも…
その思いだけが里崎の口を動かす。
「四郎は最初、このゲームに乗り気だったけど…俺と話したら、ちゃんとわかってくれました。
 でもあいつ、将海さんが死んだことを知って、それがショックで…『一人にしてくれ』って言われて…」

堀はふと朝の放送を思い出す。
あぁ、やっぱりあの放送で死者の名が読まれるたび、後悔と罪悪感に苦しむ奴がいるのか。
それは将海に限ったことじゃなく、きっとこの島じゅうにあふれている。
寺本もやはり、そのうちの一人だったのだろう。ショックを受ける寺本が将海と似て思えた。

「俺は…寺本を責める気はないよ。
 寺本だってこの異常さに狂わされた一人だから。
 きっと今頃、俺と会ったときの将海みたいに苦しんでる。
 人は過ちを犯す動物だけど、でも…その過ちに気づけばやり直せる」

(今の言葉、四郎が一番求めている言葉なんじゃないか…?)
そう思うやいなや、里崎はすくっと立ち上がる。
「俺、四郎に全部話して、ここに連れてきます!」
「よせ!」
駆け出そうとする、里崎の背中を呼び止める。
「…知らない方がいいこともある」
その後の将海の言動を知れば、失意の寺本はどう感じるか。
さらに追い討ちをかけるようなことはしたくない。

451 :伝えたい言葉(2/2) ◆vWptZvc5L. :04/11/29 22:16:49 ID:dO7WUr2M
「けど…あいつにはここに来なきゃいけない理由がある!
 ここに来て、自分がしたことの結果を知って、全部受け入れて、それを乗り越えなきゃならない。
 それは辛いことかもしれないけど、それでも…堀さんが責めないって、将海さんの代わりに許すって
 言ってくれるなら…きっとあいつは立ち直れるから。それで救われると思うから…だから…」
それを語る背中、少し高ぶった声。その意志の強さを感じ取るにはそれで充分だった。
「わかった…そこまで言うなら連れて来い」
「すぐ戻ってきます、待っててください!」

里崎は再び来た道を走り出す。
地面に足を下ろすたび、泥水がはねる。
降りかかる雨を厭う余裕などない。
(早くあいつを連れて来るんだ。きっとまだあの洞窟にいる。
 早く、四郎がまだあそこにいるうちに、ここが禁止エリアにならないうちに!!)

――『元気に殺し合ってるか?山本だ!昼の放送を始めるぞーーーー!』

雨音を切り裂いて、不意にとどろく大音響。
「畜生、何でこんな時に!」
こんな忌々しい放送、無視して走り続けたい。
でも、これを聞き逃せばあとあと大きな失敗につながる。
(そうだ、俺は死ねないんだ。四郎に期待してるって言われたんだ)
仕方なく足を止め、荒々しく片手に持った地図を広げる。
(こんな放送早く終われ、俺は四郎を連れて来なきゃならないんだ!早く、早く…)
気持ちだけが先へ先へと走る。
そしてその中の一人の名が里崎を奈落の底へ突き落した。

――『61番寺本』

その声が全身を駆け巡る。そこから先は、もう耳に入ってこない。
里崎の手から地図がはらりと落ちて、水たまりの中につかる。
小降りになり始めた雨だけが、その上に降り注いでいた。

452 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/29 22:51:20 ID:b8TqOTf0
あぁ…

453 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/30 00:27:37 ID:N49+fgVk
・゚・(ノД;)・゚・

454 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/30 11:09:59 ID:q85l0SF3
1番西岡
2番諸積
3番福浦
4番ベニー
5番フランコ
6番堀
7番スンヨプ
8番橋本
9番サブロー

455 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/30 20:05:35 ID:MIYwXRV0
保守

456 :代打名無し@実況は実況板で:04/11/30 23:51:25 ID:By5vm/Dk
狂おしく保守

457 :番外編 愉快なカモメたち5 ◆vWptZvc5L. :04/12/01 00:54:53 ID:H+o8oTSI
球団事務所からの帰りも、やはり人に囲まれて散々だった。
朝方にマリンスタジアムを出たはずなのに、帰ってきたらもう昼を過ぎている。

「そういえば、いい年したおじさんが「写真撮らせて」って来たのには驚いたわよね〜」
リーンちゃんが切り出す。
「あぁ、あれにはかなり参ったなぁ。周りの人引いてたし」
「ファン層が広いってことでありがたいことなんでしょうけどね」
それでも人気マスコットたるもの、ファンに対するフォローは忘れない。
「でもさ、僕あの人、どっかで見たことあるんだよね」
「私も見覚えあるわ」
マー君とリーンちゃんは顔を見合わせて考えるが、思い出せない。彼らの記憶力はやはり、よくなかった。
(そういえば、あのおじさんの後ろには球団事務所から見えた二人組もいたっけ…)
2羽の会話を聞きながら、ズーちゃんはそれを思い出す。いつのまに一人増えたんだろう。

「で、これからどうするの?球団事務所はああだし…」
「これはもう、ダメもとで新宿ロッテ本社に行くしかないだろ?」
「どうやって新宿まで行くの?」
「普通にJRでいいじゃん」
ズーちゃんが会話に割り込んできた。
「バカ、球団事務所であの騒ぎだぞ。海浜幕張駅まで行って電車に乗ったらどうなると思ってるんだ!
 しかも、東京駅の乗り換えはやたら遠いし。あれは京葉線に対するイジメだろ?」
「じゃあ、車だね」
その提案にマー君はギクッとする。
「えっ、車はちょっと……リリーフカーじゃダメ?」
その言葉にズーちゃんは唖然とする。
「はぁ?兄ちゃん、つまらない冗談はよそうよ。リリーフカーじゃ余計に目立つじゃん。
 つうか、あれで公道走っていいの?それとも、車じゃ何か困ることでも?」
「いや、ないけど…」
そう言うマー君の仕草は、どう見ても何か隠しているようだった。
もちろん顔には出さなかったけれども。

(まぁ、新宿くらいまでなら大丈夫だよな…)

458 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/01 01:56:06 ID:xAu+y2Io
京葉線ワロタ


459 : ◆CLM31pWOr6 :04/12/01 17:14:34 ID:yqwrlJuv
ヒマに任せてこんなものを作ってみました。
http://clm-br.luu.jp/


460 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/01 17:40:31 ID:Jgdum75r
職人さんいつもいつもお疲れ様です!

>>459
おぉ凄い!GJです!
過去スレから探し出してきたかいがありましたw

461 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/01 18:17:39 ID:DrGzxLjp
>>459
凄い!見事に再現されてますね。GJです。
ID&PASSが何なのかちょっと悩んでしまったのは内緒w

462 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/01 19:00:51 ID:YxrNy7Nv
ふつうにパスとか謎なんですがorz

463 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/01 19:04:03 ID:/Q4o8dg0
>>462
保管庫で作品読み直せ

464 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/01 19:12:18 ID:ZzIo5UYf
読んでも分からん…_| ̄|◯ウワァ

465 :464:04/12/01 19:24:58 ID:ZzIo5UYf
自己解決。今から拝見しまス

466 : ◆CLM31pWOr6 :04/12/01 19:25:01 ID:yqwrlJuv
>>464
ゐ`
ガンガレ

もしハングルわかる人がいたらツッコミお願いします (-人-)コノトオリデス

467 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/01 19:25:39 ID:ENSW5t30
>>462
>>408に書いてあるスレを見ろ

468 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/01 20:09:23 ID:5DV7x621
> CLM31pWOr6氏
いつもいつもご丁寧なお仕事、大変敬服しております。

しかし、当方、揚げ足取り(校正)を生業としております者ゆえ、間違いが目に付いてしまいました。

「おまけ」の一箇所(28あたり)に文字の順番間違いが見られましたので、ご報告まで。

もし、メールにすべきだった、お気を悪くなされた等ございましたらすみません。

469 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/01 21:58:31 ID:YxrNy7Nv
>>467
今から見てきます!

470 :偏り(1/2) ◆QkRJTXcpFI :04/12/01 23:59:34 ID:UPWihk7C
「ほほっ、よし近づいた。やれい!
 ・・・なんだ、やらんのか。」
その広い広い一室のそこかしこは、素人目に見てもわかるほどの高級な調度品で埋め尽くされていた。
天井から垂れる照明器具から鮮やかな柄のカーペット、はてはドアノブの金具まで。掛け軸や絵画は言うに及ばず。
もし、そこらを歩いている鑑定人でも連れてくれば、泡を吹いて倒れただろう。
ありていに言えば『持つ者』の部屋である。
窓の外には飛行機雲がかかる。空だけを映すその窓は、そこがビルの高層階の一室であることを示していた。
人間3人はすっぽりと楽に座れる大きさの半円型のソファは、しかし、それに座っている1人の老人のためだけのものであった。
柔らかいソファの上で、老人は大きなディスプレイに映った画像に一喜一憂している。

「失礼します、父さん」
その老人の背後から歩いてきた中年の男が話しかける。少し白目がちな、ギョロッとした眼つきの男だ。
「ん、お前か」
父親である老人は後ろを見ずに返事をした。
息子の方は黒く渋めの背広の襟をただしながら更に言う。
「今日のごきげんはいかがですか?」
「この千葉マーリンズバトルロワイヤルといったか、良い暇つぶしにはなるな。」
「千葉マリーンズバトルロワイアルです、父さん」
老人は息子からの訂正をさして意に介さず続ける。
「しかし、地図に番号と名前だけというのがいかん。」
「選手への盗聴器による音声放送、最高精度の衛星写真も配信していますが。」
息子はその老人の背中へサバサバと述べる。
「衛星写真は雨で朝から雲しか映っとらん! 声も1人じゃ物足りん! つまらん!」
老人が語気を荒げた。
「申し訳ありません。
 しかし、この計画の本来の意義からいけば、その程度でも充分だと思いまして。」
さして動揺することもなく、息子は淡々と自分の意見を述べてみせた。老人は落ち着きを取り戻す。

「本来の意義・・・そっちはどうだ?」
「かなり順調です。まだ予定死亡数の半数にも達していませんが、既に予想を超えました。」
「ほっほっ。暇人の多いことよ。
 今までさんざん補てんしてやったんだ。返してもらわんとな。ほっほっほっ・・・」

471 :偏り(2/2) ◆QkRJTXcpFI :04/12/02 00:05:55 ID:nZXAFxmo
老人はリモコンを持ち、ディスプレイの中の画像を操作する。
ウインドウが現われ、スタジアム内の山本エカ二の姿が映る。
「ほら見ろ。山本が面白いことを始めよった。街中に人を集めて殺し合いを促す腹らしい。」
「ん? 生き残りリストのやつも近くにいますね。
 山本のやつ、生き残り希望選手まで死ぬ危険が増えることを考えていないのか!?」
それまで淡々と言葉をつむいでいた息子の声が、この部屋に来てはじめて少しだけ強みを帯びた。
「ほっほっ。まぁ、いいじゃないか。
 元々リストなんて、手段でしかないのだから。」
「ま、そうですが。しかし山本の無能ぶりには呆れることしきりです。」
「そう言うな。やつが無能なおかげで、リストに入ったやつでもすぐに死ぬ。
 予想がつかなくてそれはそれで面白い。」
「父さんがそう仰るなら・・・」
その言葉を遮るように、老人は咳払いを二度した。
息子の肩から首がビクッと硬直し、顔が硬くひきつった。

「しかし、これでは無能が過ぎる。こんな幼稚な人間の稚拙な計画では、『偏り』が起こらん。 
 だから禁止エリアも、おあつらえ向きに街区を囲むようにしてやったんだ。」
「これは、父さんが直々に指示を・・・!」
息子が目を見開いて床を見る。脂汗が顔に浮き出ている。
老人は依然として背中を向けている。
「お前も分かるだろう、これにおいて一番大事なのは『偏り』、それがあってこそなのだ。
 スパナを渡された者がいて、一方ではマシンガンを渡された者がいる。
 生き残り希望者リストがあって、それを遵守させようとする者がいる。大事なのはそういう『偏り』なのだ。」
「重々、存じ上げております・・・!」
「山本では、『偏り』があまり起こらんな。」
「承知しました・・・! 失礼します!」
息子は汗をハンカチで拭くと、身を翻し急ぎ足で出口へ向かった。
「しかし、マシンガンを持った者でもやられるから面白い。あれはしてやられた。ほっほっほ。」

その笑いに背を向けながら息子は部屋を出て、携帯電話を取り出した。
「ああ、私だ。山本へ電話?そんなものはもういい。山本はもう要らん。代わりを用意しろ。
 あと・・・そうだな、余興だ。なんでもいい、余興を用意しろ。画像と音声つきの余興をだ。」 

472 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/02 17:57:46 ID:oFOOe3b1
「薮田の大冒険14(1/2)」

「オルァ!気合い入れて網を巻き上げろゴルァ!」
船上に怒声が鳴る。男達はその声に急かされ、苦悶の表情で数百sの網を巻き上げている。

「ハァハァ・・・キツイネ。」
「あぁ、こんなの春まで持たないぞ。」
「ソウネ、デモ、ワタシタチハ、キョウデサヨナラスルヨ。」
「ふっ、そうだな。薮田、頑張れよ。夜までの辛抱だ。」
愛甲が隣に話しかける。
「・・・薮田?」
さっきまで隣にいた薮田がいない。
「ドウシマシタ?」
「薮田がいない・・・便所か?船酔いで端っこで吐いてるのかな?」
「シカタナイデス、キョウハ、ウミアレテマス。」
「そうだな。しかし、決行の時には動けないと。」
「ダイジョーブヨ、ピッチャーハ、ハシリコンデルヨ。」
「そうだな。」

473 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/02 17:59:08 ID:oFOOe3b1
「薮田の大冒険14(2/2)」

その頃、
船内には監視者達の眼を盗み、ある部屋に向かう薮田の姿があった。
(すみません。愛甲さん、外人さん。アナタ達を巻き込むわけにはいかないんや。
アナタ達はココで期間を全うして、綺麗な体でシャバに帰ってください。それに・・・時間が惜しいんや!)

たった独りで脱走を試みる薮田。その手には、黒人から聞いた場所からかすめた、ある部屋の鍵が握られていた―

474 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/02 18:01:38 ID:oFOOe3b1
夜まで薮田を動かす気はなかったですが、エカが勝負かけたようなので流れ変えます。

↑親子っつうか親父黒すぎ・・・面白い。

475 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/02 19:16:36 ID:zi5Kw+1r
薮田神の職人さん乙
でもトリはなくされたんですか?

476 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/02 21:05:16 ID:CGqGTZK0
蒸し返すようで悪いんですが、小宮山の話はどうなってるんでしょうか…
保管庫さんの更新が止まってて寂しいです

477 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/02 21:42:35 ID:+zj55hVD
全然作者さんのリアクションがないですね。
そろそろ修正なりして動いちゃっていいのでは。
更新止まったままなのもあれですし。

478 :番外 園川一美と愉快なコーチ達13(1/3) ◆GDAA.BMJxc :04/12/03 00:25:28 ID:pt24iqY6
プレナ幕張―幕張新都心を代表するビルのひとつ―の中にある食堂で、吉鶴たちは食事をとることにした。

吉鶴は魚の骨を取り除きながら、これまでに起きたことを荘に説明した。
福澤は親子丼をかきこみながら、吉鶴の話を聞いていた。
荘は話を聞き終えると、箸を止めて言った。
「分かった。何が起きているのか良く分からないけど、僕も協力するよ。」

良く分からないって言われてもなあ、と吉鶴は内心思ったが、
荘の二言目で、そんなことはどうでもよくなった。

「それにしても、はるばる沖縄から大変だったね。」
「・・・は?」
吉鶴には、何でここで沖縄の話が出ているのか分からなかった。
福澤も聞き間違えたのかという表情をしていた。
荘は二人に構わず続けた。
「だって今年のキャンプ地って沖縄になったんでしょ?」

一瞬の沈黙の後、
「な、なんだってー!!」
二人の大声が食堂内に響いた。

479 :番外 園川一美と愉快なコーチ達13(2/3) ◆GDAA.BMJxc :04/12/03 00:26:20 ID:pt24iqY6
食堂にいた人たちから一斉に冷たい視線を浴び、吉鶴と福澤は小さくなっていた。
「す、すいません。」
荘は二人の大声に驚いて、うどんを噴きだしていた。
「びっくりしたよ、いきなり大声出して。」
「はあ、すみません・・・。」
吉鶴はとりあえず話を続けた。
「で、さっきの話本当なんですか?」

荘はかばんの中から「秋季キャンプのしおり」を取り出し、ページを開いた。
「ほら、ここだよ」
「ええと、『秋季キャンプの目的。当キャンプは今季の反省をし、来季へ向けて・・・』」
「吉鶴くん、そこじゃないよう。」
荘はしおりのページとページの間に挟まっていた紙をみせた。
そこには簡潔に

「今年の秋季キャンプは、当初予定していた館山から沖縄へ変更となりました。
突然のことで申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

千葉ロッテマリーンズ 球団代表 瀬戸山隆三」

と書かれていた。

「ええと・・・、つまりキャンプ地が変更になったということですか?」
「そうみたいだね。」
吉鶴はいてもたってもいられなくなり、
「こうしちゃいられない。さっそく出発しましょう!!」
と立ち上がった。


480 :番外 園川一美と愉快なコーチ達13(3/3) ◆GDAA.BMJxc :04/12/03 00:28:08 ID:pt24iqY6
二度の大声に、食堂にいた人から再び冷たい視線が突き刺さった。
「吉鶴、落ち着け。」
福澤がなだめた。
「あ・・・すみません。」
謝る吉鶴はとりあえず置いておき、福澤は荘に尋ねた。
「荘さん。この紙切れ一枚じゃ、キャンプが沖縄のどこになったのか分からないんですけど。」
「ええと、それはね・・・。」
荘はしおりのページをぱらぱらとめくっていたが、しばらくして顔色を変え、かばんの中を漁りだした。
「おかしいなあ・・・。」
「どうしたんです?」
「ええと、キャンプ地の住所とか書かれた紙ももらったんだけど、落としちゃったみたい。」
「落としたんですか・・・。」
福澤は落胆の色を隠せなかった。
「・・・ごめんね。」
沈んだ空気が食堂の一角を支配した。

しかしそれは長く続かなかった。
荘が顔を上げた。
「そういえば・・・。」
「どうしました?」
「一昨日、行き先とか書かれた紙のコピーを、高沢さんが選手達にたくさん配っていたから、
浦和にまだコピーの余りがあるかもしれないよ。」
「浦和・・・ですか。」
浦和と幕張は、決して近いとはいえない。
しかし、これといった手がかりがない今、ここで手を拱いているよりははるかに良いはずである。
福澤は食後のお茶をすすり、口を開いた。
「とりあえず、浦和まで行ってみますか?」
「そうだね。」

3人は浦和へ向かうことになった。
吉鶴は、自分がまだ食事中だったことに気付き、慌ててごはんをかき込んだ。


481 : ◆loyOjt0Af. :04/12/03 22:00:38 ID:IcmdLTw2
「薮田の大冒険15(1/3)」

見つかる事なく、船内のある一室にたどり着いた薮田。
(ここか・・・)
鍵穴に鍵を挿し込むとガチャリと重い音が鳴る。
静かに鉄製の扉を開く薮田。明かりをつけると眼前には二つのエンジン付きの小型船が並ぶ。
緊急時に、監視者達だけでも逃げられるよう準備されていたものであろう。
「あった・・・」
安堵も束の間、コレを移動しなくてはならない。
壁には扉と船を吊す設備がある。薮田は船の両端をロープでくくる。そして扉を開けようとしたその瞬間・・・

部屋の扉が開く―

482 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/03 22:00:49 ID:T+riCGit
保守

483 : ◆loyOjt0Af. :04/12/03 22:02:36 ID:IcmdLTw2
「薮田の大冒険15(12/2)」

「そこまでだゴルァ。」
そこにはあの監視員が銃を構えている。その後ろにはさらにコワモテの中年が立っている。
(しもた!)
「あぁ、トイレ何処ですか?いやぁ大きい船だから迷っちゃって。」
すかさずごまかそうとする薮田。しかし・・・
「そいつの場所を知られたら生かしとくわけにはいかねぇよゴルァ。
もしもの時に奴隷共がコレに群がると困るんだよゴルァ。ねぇ、頭。」
後ろの男はどうやらこの船を任されている男らしい。その男が口を開く。

「殺っちゃいなよ。」

船内に銃声が轟く―

484 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/04 02:33:24 ID:xj0q6Af/
薮田様がピンチだ・・・

485 :誓い(1/2) ◆vWptZvc5L. :04/12/04 10:46:10 ID:SsMZuI4s
里崎はその場にくずおれた。突然知らされた事実に放心状態になる。
こんなの何かの間違いだ、その思いを否定するように、あの声が何度も頭の中で響く。

――『61番寺本』

(四郎が死んだ?何で…?さっきまで俺といたじゃないか。
 さっきまで俺と話してたじゃないか。何でだよ…何で死んじゃうんだよ。
 一体誰が…?それともまさか…)
「一人にしてください」と言った四郎の姿が頭をよぎる。
(…自殺!?あの時そう言ったのは、自ら命を絶つため…?
 あいつ、将海さんが死んだことで絶望してしまって、それで…)

そこまで考えがめぐると、今までせき止めていたものが壊れたように
一気に涙があふれてきた。喉からは嗚咽ばかりが膨らんでいく。
顔が涙と雨でぐちゃぐちゃに歪む。
うつむいた顔の先には、雨に濡れる道路舗装しか見えない。

(何で俺、あのとき四郎を追いかけなかった?
 俺がそんな言葉を真に受けずに追いかけていたら、お前は死なずにすんだのか?
 あのまま四郎をほっといたら何をしでかすか、わかりそうなものじゃないか。
 『誰も死なせない』って言ったのに、俺は…そう誓った相手すら助けてやれなかった…)

どんなに自分を問い詰めたところで、もう四郎は帰ってこない。
今の里崎には、自分の無力さをただ嘆くことしかできなかった。

その様子を遠くから見て、堀は胸が痛んだ。
放送で寺本の名前を聞き、里崎の身を案じて追いかけてきたのだが、
その視線の先には思ったとおり、悲しみにくれる里崎の姿があった。

486 :誓い(2/2) ◆vWptZvc5L. :04/12/04 10:47:31 ID:SsMZuI4s
「…サト」
背後からそっと声をかける。
「こんなとこにいたら風邪ひくだろ。一度、さっきのところまで戻ろう」
里崎はもう返事もできない。代わりに頭を振る。
「こんな見通しのいいところで止まってたら危険なんだよ!
 誰が狙ってるかわからないんだ。お前まで死にたいのか!?」
堀の口調が強くなった。

(あぁ、そうだ…俺は死ねないんだ。俺は生きて、誰にも殺させないって、
 説得するって…そう四郎に誓ったんだ。四郎に…)
そう思うと、また涙があふれてきたが、気力を振り絞ってなんとか立ち上がる。
堀もひどく気落ちしている里崎を支えながら、何とかバス停まで歩みを進める。
傍らに濡れた地図が落ちているのが目に入ったが、もう使えないだろうと思い、拾わなかった。

「四郎は…自殺かも知れません……」
その事実を一人で受け止めるには耐え切れず、里崎はそう漏らす。
堀はそれを聞いて、ふと、倉庫で「ここで死ぬ」と言った将海が頭に浮かんだ。
寺本も将海もなんて似てるんだろう。二人とも傷ついて、傷つけて、苦しんで…
将海の死を知った寺本は何を思ったのか…。
そう考えると、二人の痛みが直接伝わってくるようで、心苦しくてならなかった。

堀は歩きながら「そうか…」とだけつぶやいた。

487 :のろし(1/4) ◆QkRJTXcpFI :04/12/04 13:17:46 ID:S0ZImyyj
傘はささなくてよいぐらいに、朝から降り続いていた雨の勢いは少しずつ弱まっていた。
心なしか雲間に光がのぞいている。

2人はその天気の下、ゆっくりと歩を進めていた。
自営業の商店やら普通の一軒家が立ち並んでいる、少し広めの通りがある。
「こんな小さな島では、メインストリートなんでしょうけどね。」
辻俊哉は周りに不審な人影が見えないのを確かめ、後ろの原井和也を振り返った。
2人はその大通りと建物を挟んで沿うように走っている裏通りの方を歩いている。
もちろんこれは、発見されやすい広い道を歩くことを避けての行程である。
辻の後ろを歩く原井は、返事をしない。
建物の隙間からのぞく大通りの様子を、じっとうかがっている。
「原井さん?どうしたんですか?」
辻は表情に少し緊張を帯び、再度原井に呼びかけた。
「あ、いや・・・。さすがにこれぐらいの島だとパチンコ屋はないなと思って。」
辻の膝がガクッと落ちた。と、原井には見えた。
「はぁ・・・。原井さん、もう少し緊張感ってもんがないとですね。
 いつ誰かが襲ってくるか分からないんですから。」
「いやいや、すまんね。ずっと緊張しっぱなしってのも疲れると思って。
 なんだかお前、気を張りすぎてるように見えたからさ。」
その原井の言葉を聞き、辻は返答に困った。

確かに街中を歩いてくる間、神経を張り巡らせていた。
来たるべき時に備え、一発で止めをさせる武器を。
そのために目指している物資投下地点Gの5エリアだったが、そこに至るまでの距離の半分もまだ歩いていない。
だが、疲れていた。
いつどこから誰が襲ってくるか分からない。人も多そうな、隠れる場所もふんだんにある街中だ。
想像以上、いや想像など及ばなかった予想外の疲労が、辻の体に蓄積していた。

辻は少し間をおいて口を開く。
「確かにそうかも知れませんが、先制された時点でほぼ死んでしまうんです。
 ただでさえ俺たちの武器は接近戦でしか使えないんですから、警戒し過ぎることはないと思います。」
「言う通りだ。しかしお前の方が俺より気が回るな。こうして裏通りを歩いてるのだってお前の発案だしな。」

488 :のろし(2/4) ◆QkRJTXcpFI :04/12/04 13:18:28 ID:S0ZImyyj
その言葉を聞き辻は少し強く言い放った。
「ちょっと考えれば当たり前のことでしょう!
 そんな気を抜いてて、原井さんは自分の命が惜しくないんですか!?」
「お、怒るなよ。そりゃ俺だって命は惜しいさ。
 ただお前の方が頭の回転がいいし、それだけ生きるって意志が強く出てるってことさ。」
会話を続けながら裏通りを進む。舗装されていない地面にさしかかると、泥がわずかに跳ねた。
辻は疲れていた、特に精神的に。原井のそんな言葉に、辻の積もっていたイライラが思わず飛び出した。
「生きる意志が出てるって、当然のこと言わないでください!
 あんたはそうじゃないのかよ!?
 その言い方、必死になってる俺を一歩引いたところで見守ってるような、そんな言い方だな!」

(あれ?)
原井のこわばった顔が見える。
(やばい、こんな怒らなくてもいいだろ、俺。
 とりあえず馴れ合いで仲良くしておいて、殺すか生かすかは後で状況に応じて決めればいいんだから。
 ここでケンカにでもなったら、今までやってたことが水の泡だ。)
「あ、すいません・・・原井さん・・・。俺、ちょっとイライラしてたみたいで。」
辻はすぐに謝った。さも申し訳なさそうな、落ち込んだ顔で。
原井は落ち着きの表情を取り戻して、微笑んでみせた。
「こんな状況じゃ、仕方ないさ。気にするな。」
「ありがとうございます・・・。」
(この見透かしたような言い方。人格者のつもりかよ。
 ろくに気も回らないくせに。俺が色々生きるための方法を考えて先導してやってるのに!
 原井さん、あんた1人だったらすぐのたれ死んでるだろうよ。
 なのに、なんだ!? 偉そうに、上のほうから俺を見てるような言動は?)

「行きましょう。」
辻は申し訳なさそうな表情のまま、原井に背を向けた。
(ムカつくんだよ! 半ば諦めてんじゃねぇのか?
 そりゃ最終的にはあんたを殺すかもしんねぇけど、それまでは生きて色々協力してもらわないと困るんだよ。)
「でも原井さん・・・。原井さんも、もう少し真剣に生きたいって意志を見せて下さいよ。
 だって原井さんの命は、原井さんじゃないと守れないんですから。」

489 :のろし(3/4) ◆QkRJTXcpFI :04/12/04 13:23:45 ID:S0ZImyyj
「・・・!」
原井はハッとした表情をすると、うつむき加減になった。そのまま辻の後を歩いてくる。
「すいません。年下のくせに失礼なこと言って。」
(やれやれ。少しは真面目に生きるつもりになってくれたか?このおっさんは。
 それにしても俺から原井さんにこんな説教するとは。
 我ながら白々しいったら。)
と、2人が進んでいた裏通りが行き止まりになる。
仕方なく2人は大通りの方へ出た。周囲より抜けて少し高い雑居ビルが先に見える。
歩く辻の後ろで、ずっと黙っていた原井が口を開く。
「辻、お前の言う通りだ。お前のことを見守ってるみたいな、そんなつもりだったかも知れない。
 俺は・・・死んでも構わないと思ってるから。」
「え?」
自分の指摘が的中していたにもかかわらず、辻は驚いて思わず声を上げた。

「死ぬのも嫌だけど、誰かを殺して生きるなんてもっと嫌なんだ俺は。
 誰かの犠牲の上に生きるくらいなら、さっさと殺してもらおうと思ってるんだよ、実際。」
辻は黙って原井の話を聞いていた。
聞いている辻から何も言う様子がないのを見て、原井は言葉を続ける。
「垣内にな・・・、どうせなら垣内に殺されて人生終えるってのも考えたんだが、会えずじまいだった。
 まあそれもいい。でも、自殺なんかする度胸もないし。
 誰かが俺を殺そうとしたら、素直に死んでやろうと思ってたんだ。 
 だから必死に生きようとするお前のこと、一歩引いて見てたんだと思う。」
辻は憮然として原井を見ている。
(ふん、ほら見ろ。俺の言う通りだったじゃないか。)
原井は続けて言った。
「すまなかった。俺は・・・俺は、お前の生きようって意志に泥をかけてたんだな。
 その意志はきっと尊くて、美しいものだと思う。それなのに俺は・・・」
(泥?)
そういえば靴には泥がついている。
雨の中、舗装されていない路面も歩いてきたからだろう。
(俺の意志は、美しくて尊いって?
 何言ってんだ? 変な勘違いするなよ原井さん。)

490 :のろし(4/4) ◆QkRJTXcpFI :04/12/04 13:24:57 ID:S0ZImyyj
「いいんですよ、原井さん。
 謝らないでください。俺はそんな大層なもんじゃない。」
「いや、お前は立派だ。俺が間違ってた。
 今まで一緒に行動していたのに分かってなかった。本当に申し訳ないという気持ちでいっぱいだ。」
原井は辻に対して深々と頭を下げた。
「やめてくださいよ、そこまでして!」
「だめだ! 俺の気が済まないんだ・・・!」
「何でそんな!?」
「確か・・・投下される武器が、必要と言ってたっけか?」
顔を上げた原井の言い放った言葉に、辻の表情が固まった。
(原井さん・・・あんた、あの放送の時、眠ってたんじゃ・・・)
辻は唖然として声を発せない。原井の方も次の発言を逡巡しており、2人の間には一瞬の沈黙が――

――カキンッ
2人の上空で小さな金属音がした。2人は同時にそれを聞いた。
上を見上げる瞬間、辻はこれまで充分すぎるほど払っていた周囲への警戒を怠っていたことを思い出した。
原井と揉めていたからだ。そしてそれに気を取られていた自分。
自分達はいつの間にか、さっき見ていた高い雑居ビルのすぐ下に来ていた。
なんてことだ、上に誰かいれば、いや、実際にいるに違いない。
だって、今自分の頭の上に雨粒と一緒に落ちてこようとしているものは。
しまった、油断していたんだ。
あの形、映画では見たことがある、あの丸くて甲羅のような、松ぼっくりみたいな塊。
そう、これは確か手榴弾とかいう――

空中で弾けたその物体からは、炎と閃光の柱が上下左右、八方へ広がり裂ける。
小林雅英はとっさに窓から身を潜めた。
続くように爆風が窓から恐ろしいスピードで侵入し、ドアを蹴破った。
腹の底から響く振動は、その凄まじい轟音からか、爆風によるものか。
一瞬でそれが収まると、小林雅は再び立ち上がり窓の下を見つめる。
白い煙が丁度真上の彼に立ち昇ってきて、彼を巻いた。咳き込む。
下の様子は全く見えない。彼らの生死は確認できない。煙は構わず雨粒ごとはるか上空へと昇っていく。
山本の計画の発動よりもまだ30分余り早い時間。だが今、"のろし"は上がった。

491 :技巧派(>>361-362を勝手に改変)(1/2) ◆h9KcvsENgk :04/12/04 15:10:20 ID:CLf2DND6
―ザァァアア…
雨がより一層強くなったその時、小宮山と杉山は雑木林から少し離れた大木の下で雨宿りをしていた。
小宮山の様子を見て落ち着きを取り戻した杉山が口を開く。
「俺は…小宮山さんに殺されたくありません…」
小宮山が言い返す。
「おいおい、俺は『誰も殺したくない』と言っただろ、信用してくれ。頼む。」
「……。」
「なぁ、俺は…こんな“試合”は止めたいんだ。」
「黒木さんが…黒木さんが誰かを撃つところを…それで俺すぐ走って逃げて…
もう、無理です。」
その言葉に小宮山は言い表わしがたい衝撃を受けたようだった。
そして冷静沈着を信条としていた小宮山が珍しく怒りをあらわにした。
「…お前、何て言った?!黒木が誰か人を撃った?ふざけるな!!そんな馬鹿な話があってたまるか!誰が撃たれたんだよ!」
杉山だって当然そうであると信じたかった。
あの瞬間までは。

――パン!――

黒木が鋭い目線、そう獲物を狩るかのような鋭い視線で木の上から誰か、ああ誰だったのかチームメイトを撃ち抜いていた瞬間が脳裏に蘇る。

「嘘じゃないんです!小宮山さんの気持ちも本当に解ります、けど…けど現に黒木さんが撃つのを見て…」
そこまで言って声が詰まってしまった。
涙を目に溜めたその男の言葉は嘘でないことは明らかだった…が、突然小宮山は杉山に馬乗りになり眉間に銃口を押し当てた。
「!!」
「黙れ、その弱い頭をぶちぬくぞ…もっともお前はもう手遅れだがな。」
引き金に力が入るその瞬間…死を覚悟した杉山には少しでも自分に乗っているその男を信じた自分を呪うしかなかった。


――パン!――

しかし、乾いた銃声と衝撃が額の真ん中を裂いた後も彼は生きていた。

492 :(2/2) ◆h9KcvsENgk :04/12/04 15:11:06 ID:CLf2DND6
何で自分がまだ生きているのか解らない杉山は口を半開きにしだらしなく放心状態に陥った。
「へへっ、すまんな。これな、弾入ってないんだよ」
数十秒前まで怒りに燃え自分を殺さんとしていたような小宮山がニタニタしながら続けて話す。
「支給されたのはこれだけで弾はなかったんだ。ま、誰も殺したくなかったからちょうど良かったんだけどな」
小宮山は向けていた銃口を引っ込める。杉山はまだ放心していて、声も出ないようだった。
額には穿たれた筈の弾痕はなく、残っていたのは空砲によってついたのであろう痣だけだった。
「…なぁ、黒木が撃った相手が倒れたところ、見てないんだよな?」
「は、い?…いや…すぐに走って…逃げなきゃって…」
「じゃあ、アイツのもこういうことなんじゃないか?」
右手に持っていたコルトガバメントを振って見せた。
「黒木のことだ。お前みたいに冷静じゃなくなってたヤツを落ち着かせるために空砲を撃った、そうとも考えられるんじゃないか?」

小宮山は自分に言いきかせるように、言う。

「あいつは絶対こんなゲームに乗るようなやつじゃない。それは俺が一番よく知ってる。
…なぁ、一度死んだと思ってもっかい、俺と黒木を信じてみてくれないか?」

高木の亡骸、小坂の形相。そんな絶望の淵にさっきまで居た。
だからこそ小宮山は黒木を信じるしか、そして杉山にこう言うしか考えられなかった。
杉山は、まだ震えていた。

493 : ◆h9KcvsENgk :04/12/04 15:16:50 ID:CLf2DND6
◆7cqrC4VUCg氏がなかなかいらっしゃられないようなので、勝手に修正案を投下させていただきました。
元の文をおおかた流用させてもらっていくつか文を足しましてみました。
その他に杉山が撃った相手を見てないのではないかというレスがあって自分もそう思っていたのと、
直前の話で小宮山の「激しい絶望」や「自問自答を繰り返し」等の表現があったので、
もう少しいっぱいいっぱいにしようかと思ってその方向に改変して自分流に書いていったら
気がついたら随分ニュアンスが違う方向に・・・。

494 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/04 17:33:35 ID:KSlDhv7r
「薮田の大冒険16(1/4)」

「今、何か聞こえなかったか?」
愛甲はこの洋上では聞き慣れない『音』を聞いた気がした。
「ジュウセイ・・・フネノナカデスネ・・・・・・マサカ!?」
黒人が突然走り出す。
「銃声?どうした!?」
愛甲は黒人の慌てように、ただ事ではない空気を感じる。
「ヤブチャ!アブナイ!」
「薮田!?・・・あ!アイツまさか一人で!?」
愛甲も慌てて駆け出す。
「タケシ!ワタシハ、カクシテイタアルモノヲトリニイキマス!サキニボートアルバショ、イッテ!」
「わかった!(・・・て、たしか銃声がしたんだよな・・・?)」
「ダイジョーブ!スコシダケジカンカセイデ!」
「わ、わかった!(・・・ホントに大丈夫なのか・・・?)」

船内に再び銃声が鳴った―

495 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/04 17:35:46 ID:KSlDhv7r
「薮田の大冒険16(2/4)」

「ちゃんと狙って、当てちゃいなよ。」
船の責任者らしき男が言う。
「すいまへん頭。おいゴルァ、よけるな。」「くっ・・・熱っ!」
薮田は首筋が焼けたような感覚を覚える。一撃目は首筋をかすめていたのだ。
再び薮田に銃口が向けられる。銃弾のかすめた熱さとは裏腹に、背筋に凍る様な感覚を覚える薮田。
監視員の眼光がするどくなる。薮田の顔に狙いをつけるのがわかる。
(ま、マズイ!動かな!)
銃口から火が吹く。
「○△□☆@♂♀!!!」
間一髪で致命傷を避けた薮田。
しかし、銃弾は薮田の左肩にめり込んでいた。その激痛に耐えられず、声にならない叫びが漏れる。
「よけんなゴルァ!」
「しつこいよ君、もう死んじゃいなよ。」
(はひ・・・し、死ぬ!殺される!)

496 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/04 17:38:44 ID:KSlDhv7r
「薮田の大冒険16(3/5)」

「ぅわわわわわわわわわぁぁっっっ!!!」
近くにあった物を監視員に向け滅茶苦茶に投げつける薮田。しかし、三つほどで投げるものもなくなる。
「もう観念しろゴルァ。」
「無駄なあがきはやめて、気持ちよく逝っちゃいなよ。」
「ぁぅわ・・・やめ、やめろ・・・俺は、まだ死ねないんや・・・」
肩の激痛と恐怖で足が動かない薮田。
「祈れゴルァ。」
監視員が引金に指をかける。手の甲の健が浮き上がる。後数mmで撃鉄が落とされる、その時―

497 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/04 17:40:24 ID:KSlDhv7r
「薮田の大冒険16(1/5)」

「待て!」
愛甲が薮田の危機に駆け付ける。
「何だテメェはゴルァ!」
「あの・・・待て、待って、待って下さい。そいつ殺さないで。悪気はないんです。
ただ・・・ちょっと、ほら、あの・・・」
時間を稼げと言われても、何をしていいかわからない愛甲。
「・・・コイツの仲間かゴルァ!」
「仲間なの?君も死んじゃいなよ。」
銃口が愛甲に向けられる。
「待て待て待て待て待て待って!!!」
「早く撃っちゃいなよ。」
冷たく、あっさりとその言葉は言い放たれた。
「は、はひゃ、早く来てぇぇええ!!!」
「何が来るってんだゴルァw」

―マチナサイ!―

498 : ◆loyOjt0Af. :04/12/04 17:43:15 ID:KSlDhv7r
またトリップ忘れてた。
長くて申し訳ない。

499 :2つの運(1/4)  ◆Ph8X9eiRUw :04/12/05 01:12:18 ID:6sZDDhDo
ずいぶんと長い間、2人のあいだに沈黙が続いていた。
市街地に向けて歩き出してからかわした言葉は
「雨宿りしませんか。一応ピッチャーなんで肩を冷やしたくないもんで」
という良平の短い一方通行の提案だけ。
これに平下は声の返事はせず、適当に小さな家を選ぶ行動のみで良平に返事をした。
そして無言のままの雨宿りが続いている。
2人のあいだに流れる音といえば、テレビのノイズのような
ザーザーという雨音だけで、それ以外はなにも聞こえない。
平下はそうすれば雨がやむとでも思っているように、ずっと窓の外だけを見つめ続けていた。
頭痛でもするのか、ときおりぐっとこめかみあたりを
指で押すしぐさ以外はほとんど微動だにしない。

手持ち無沙汰になった良平は自分の手の中で鈍く光る物体を
あらためてまじまじと眺めた。
支給武器のベレッタは、雨の所為かひんやりとしている。
こんな状況に長時間おかれたのに、まだこいつを一度も使っていない。
戸部さんに向かって一発撃ってやろうとかまえはしたものの
ちょこまかと逃げ回られて結局発砲することができなかった。
とにかくいつでも撃てるように、ずっとこうして握ってはいるが
あれ以来誰とも遭遇せずここまで来てしまった。
それなのに、ピッチャーの数は淡々と減少していっている。
「邪魔なピッチャーを排除する」という自分の第一目的は
ゆったりとではあるが実現の方向に確実に傾いている。

そして、このゲームに勝ち残るために必要な要素、
いま自分はそれも持ちあわせている。
ナイフや麻酔銃なんかとちがって当たれば確実に相手を沈黙させられる武器。
それと、利害が一致し自分に手を貸してくれる同盟相手。

500 :2つの運(2/4)  ◆Ph8X9eiRUw :04/12/05 01:13:53 ID:6sZDDhDo
今の自分に足りないものはほとんどない。
勝てる要素しか持ちあわせていない。
ここまで優位にゲームを進めてきていただなんて思ってもみなかった。
そしてこういうときに一番必要なもの、「運」が味方してくれている。
良平のなかに確信に満ちた思いがあふれた。
そしてその運は、まだまだ自分を見放さないようだ。
さきほど流れた大音響の定例放送。
そこで告知された突然のボーナス支給。
その唐突な展開と、その後に続く計算された禁止エリアの配置。
罠かもしれないこの状況、だがそれを逆にうまく使えるかもしれない場所に
偶然2人は待機していた。
物資が投下されるエリアは、ちょうど雨宿りをしているここ一帯だったのだから。
武器や薬欲しさに、一か八かでここを目指すものもいるだろう。
なにもしなくてもむこうからこちらに出向いてきてくれる。
これ以上の運は無いだろ?と良平は自分に問いかけてみた。

それでも、その運を持ってしてもわからないことが2つ。
良平はいまだ窓の外を眺め続けている平下をちらりと見た。
この人の考えが全く読めないこと。
それと、もうあまり考えまいとしていたのに
こうやってぼんやりしているとどうしても脳裏に浮かんでしまう、
自分をそのままにしていなくなったあいつのこと。
これを自分の元に残したままどこかへいってしまった青野のこと。
ベレッタは手のひらの温度で、さきほどまでの鋭い冷たさはすっかり失われていた。

おまえがこれを奪いとらなかったってことは
自分はまだこいつを使っていいってことなんだよな。
こいつを使って生き残れってことなんだよな。
そう解釈してもかまわないってことだよな。

良平はこれが正しい答えだと、眼を閉じて何度も頭の中で強く言い聞かせた。

501 :2つの運(3/4)  ◆Ph8X9eiRUw :04/12/05 01:17:46 ID:6sZDDhDo
ベレッタを握りなおし、右手でその重みを感じとる。
そうだ、眠らされているあいだ、誰も自分たちを発見しなかった。
ゲームに乗ったやつとかに見つけられでもしていたら
もう永遠に眼が覚めることはなかったはず。
これも、運だよな。
おまえは生き残るべきだ、そう言っている力があるんだ。
だから、自分は生き残らなきゃいけないんだよな。

それなら、
良平はまた平下を盗み見る。
せっかくの同盟相手、うまく使わなきゃもったいないってことだよな。
この人が誰を殺してようと、もしくは誰も殺してなかろうと関係ない。
自分はこんなにもついてるんだから、利用できるものはしっかり利用しないと。
あなたがなにを考えてるのか知らないけれど、自分のいいように動いてもらえばそれでいい。
良平の口の端に、小さな笑みが広がった。
雨音は次第に弱まり、流れる沈黙が大きく感じる。
しかし、それは今度はあまり長く続かなかった。
少しの振動、それにあわせてびりっと震える窓ガラス
はじけるような音、少し遠くから聞こえたためその程度だったが
おそらく近くにいたら爆音、と表現したくなるであろうそんな音。
そういったものが良平と平下のあいだに流れる沈黙を破った。
反射的にベレッタを握る右手に力が入る。
同じように平下も傍らにおいていた拳銃を手に取った。
予定の時間まであと30分はあったはずなのに
もう始まってしまうなんて、やっぱりついてるよな。
良平はこんなぴりぴりした状況なのに、さらにこみ上げてくる笑いを
なんとかして押さえこもうと、もういちどベレッタを強く握った。

502 :2つの運(4/4)  ◆Ph8X9eiRUw :04/12/05 01:21:38 ID:6sZDDhDo
「しかし、ついてるな」
おもわず、口から言葉がついて出てしまったが
小さなつぶやきだったため、相手の耳には届かない。
その言葉を発したのは、良平ではなく窓の外を見ていた平下のほうだった。
そうだ、自分はついている、平下はもう一度そう考えた。
良平が自分の運について考えているあいだ、同じことを平下も考えていた。
タオルというどうしようもない支給品だったのに
すぐさま拳銃という当たりの武器を奪い取ることが出来た。
そして同じく銃という当たりの武器を引いたやつと手を組むことが出来た。
うまくこいつを使えば短時間で外野手を減らすことが出来るだろう。
ただ、そうそう簡単にことが運ぶわけでもなく
そのためライバルがほとんど減っていないのが一番の気がかりだが
それはこれからペースを上げていけばいい。
そしてちょうどいいことに自分たちのいるここに物資の投下がある。
自ら動かなくてもむこうからこっちに来てくれる。
いまから、大きく動かせばいい。
平下も気づかれないようにちらりと良平を盗み見た。
さきほど聞こえた爆発音に刺激されているようで、良平は少し楽しそうだった。
利用できるものは利用しないともったいない。
つられて自分も少し笑いそうになったが、平下はそれをぐっとおさえこんだ。

どちらの運が強いのか、それは良平にも平下にもわからない。


503 : ◆CLM31pWOr6 :04/12/05 01:48:31 ID:O0BhbEHY
>>493
乙でした。
と言う事で久々に保管庫更新しました。


504 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/05 21:09:24 ID:9Iu7JmDk
西岡・今江とか 23・明・ジョニーの続きマダー (AAry

505 : ◆LPajSmbS4M :04/12/05 21:42:15 ID:SBN8OKib


◆QkRJTXcpFI  さんはじめ職人の皆様ご苦労様です。

 私は、辻と原井の最初の2回を書いたものです。打ち合わせのURLになぜかつながらず、
そうこうしているうちに多忙になってしまい、アップし損ねていました。

 今から私のものを入れてしまうと話がおかしくなりそうですので、◆QkRJTXcpFI さんに今後もお願いしたいのですが・・・



506 :託されたバトン(1/2) ◆vWptZvc5L. :04/12/05 22:29:56 ID:YIEaC0Wm
「ほら」
その声でずっとうつむいていた里崎が顔を上げる。
まだ泣きはらした目が腫れぼったい。視線の先には、堀の手が差し出されている。

「お前、地図落としただろ。だから…将海が持ってたやつ」
その手には、将海のポケットから抜き取った地図があった。
それを受け取ると、そっと広げてみる。
そこには血のついた手で触ったと思われる跡が数箇所、
そして0時までの禁止エリアと6人の死亡者の名が書き込まれていた。
昨日の18時の放送で時が止まっている。

「違う。この字、将海さんのじゃない…」
里崎がつぶやく。
どうでもいいことなのに、なぜかそこが気になった。
たいていの捕手はリードや相手打者の研究のためにノートをつけるが、
将海がそこに書いていた字とここに書かれている字が一致しなかったのだ。
「そうなのか?じゃあ、もとは高木さんか前田のじゃ…」
そこで堀は言葉を切る。
しまった、今まであえて名前を出さないようにしてきたのに…。
自分は隠し事などできない性分なのだとつくづく思い知らされる。

507 :託されたバトン(2/2) ◆vWptZvc5L. :04/12/05 22:30:51 ID:YIEaC0Wm
里崎も「何で…」と言いかけてやめる。
なぜその二人の名が出てくるのか尋ねたかったのだが、聞くまでもなくわかってしまった。
左投手、そしてこの世にいない二人…それ以上は互いに口にしたくない。
この地図は最初、その二人のどちらかが持っていたんだ。それが将海に渡り、自分の手に巡ってきた。
6時で時が止まっているのは、きっと将海がその先を書ける心理状態じゃなかったのだろう。
再び地図の方へ目をやると、印刷が滲んでいる部分が目についた。
なにか水滴でも落ちたような跡だ。

(これ、雨粒の跡じゃないよな…) 

そう思うと、胸が締め付けられた。3人のうちの誰かが、この地図を見ながら泣いたんだ。
その涙の主はもういないのに、その跡だけがこうして残っている。
何で泣いたんだろう。殺戮に怯える涙か、誰かの死を悲しむ涙か、己の罪を苛む涙か…
こんなゲームのせいで、どれだけの人が涙を流したのだろう。どれだけの人が血を流したのだろう。
この地図は高木・前田・将海から受け継いだバトン。その3人の力だけではゴールに辿り着けなかった。
そして今、これが将海から自分に託された。その3人の願いを引き継いで。
いいや、3人だけじゃない。四郎だって…今まで死んでいった仲間達は皆、同じことを願っていたはずだ。
自分はこのバトンをゴールまで、こんなゲームの阻止まで持っていかなきゃならないんだ。

(絶対にこんなこと止めさせる。もう誰も死なせない。絶対、絶対…)

里崎はその思いと地図を強く胸に抱いた。

508 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/05 23:59:10 ID:pTlHyjXY
感動保守あげ

509 : ◆QkRJTXcpFI :04/12/06 01:18:08 ID:J3xTpyIZ
>>505
任されましたノシ
と言っても、リレー形式ですので繋ぎたい方がいれば繋いでも構いません。
もちろん◆LPajSmbS4Mさんも。

でも見返すと辻と原井はリレーしにくい続かせ方にしちゃってますね。すいません。
次回でやりやすいような区切りを入れる予定です。

510 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/06 17:49:51 ID:dUOlI3e2
保守age

511 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/06 20:01:26 ID:9wAoYueP
ひょす

512 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/07 11:44:04 ID:fLzK1cdF
糞スレ乱立中につき保守

513 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/07 15:05:03 ID:wjBTgVpj
捕手age

514 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/07 23:39:26 ID:jlo6ELSw
保守

515 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/08 17:48:41 ID:WBkda/0y
保守

516 : ◆QkRJTXcpFI :04/12/08 18:45:51 ID:7BVRdMT5
なんだか長くなったんで時間を置いて分割投下することになりますが、行きます。

517 :尊き意志よ(1/7) ◆QkRJTXcpFI :04/12/08 18:52:09 ID:7BVRdMT5
山本エカ二を乗せたヘリが、小林雅英の潜むビルの上を去った後のことだ。
袋を探り支給の武器を確認する。ビルの上から狙うなら、とライフルらしき銃を取り出した。
地面に立つ道路標識をターゲットに、何度か練習に撃ってみる。これが当たらない。
狙った所から2m位は離れた商店の窓ガラスが次々と粉々になっていく。
「銃でもコントロールないな・・・俺・・・。」
今季よくあった試合の風景がフラッシュバックした。
「そういえばずいぶん投げてない気がする・・・。野球から離れて一日ぐらいしか経ってないのに。」
1人つぶやいて小雨のパラつく空を見る。
だが、持ち前の切り替えの早さは彼をすぐに現状へと引き戻した。
(弾も大量にあるわけじゃない。練習はもう止めだ。しかし、どうしたもんだか。
 袋の中に何か・・・硬球? これは要らない。)
と思案していたところに辻と原井がやってきた。彼はたいそうに困った。
(下まで降りて、銃撃が確実に当たる距離へ行くのは意味がない。
 相手は2人組だ。銃を持っていたら逆に俺が危険になる。
 ここから真下のあいつらに狙いが定めやすくて、大きなダメージを確実に与えられるものは?)
袋を探ると、さっき掴んだ硬球のすぐ横に同じぐらいの大きさの物体が転がっていた。――

――これが現在から少し前の出来事である。
「空中で爆発したか。ちっ。」
窓から入ってくる煙を手で払いながら小林雅は愚痴った。
手榴弾を投げようとした瞬間、辻が「やめてくださいよ!」と叫んだ。原井に対してだ。
しかしこの声にギクッとし、一瞬動きが止まった。投下がわずかに遅れて、手榴弾は空中で弾けた。
「辻がいたから嫌な予感がしたんだ。あいつとはイマイチ相性が悪い。
 凡エラーに連続パスボール。あいつのやること、なぜか全部俺の足を引っ張りやがる・・・。」 


(・・・なんだ? 何が起こった?)
キーーー・・・
水が蛇口から流れるような、そんな高音が脳の中でがなる。頭が痛い。
顔から肩、腕や胸の辺り全体が激しい感覚に襲われる。
それが痛みと熱さであることに、しばらくしてやっと気づいた。そして体全体が重く動かしにくい。
辻俊哉は目を開いたが、前に広がる世界は白い半透明のフィルターを通したようにぼんやりとしていた。

518 :尊き意志よ(2/7) ◆QkRJTXcpFI :04/12/08 18:54:06 ID:7BVRdMT5
(確か、原井さんと話していて・・・)
辻俊哉は断片になった記憶を少しずつ組み立て始めた。
(手榴弾! そうだ、上からこっちめがけて落ちてきた。)
まぶたをこする。視界は依然として白くもやが かかったまま治らない。
(俺は、俺は動けなかった。やられると思った。でも生きてる。
 手榴弾は空中、俺たちの上空で爆発した。炎と光が俺のほうに向かって・・・
 いや、確かその前に、爆発する前に体が飛んで・・・?)
もう一度思い出す。真上には手榴弾があり、自分は反応ができない。
だが体が後方へ大きく飛ぶ。胸に衝撃があったからだ。その衝撃のした方向も視界には入っていた。
その衝撃を与え、自分を爆発からわずかに遠ざけたそれの正体は・・・。

「原井さん!」
辻の視界が徐々に回復し、物がハッキリ見えるようになってきた。
同時に先ほどまでの記憶が一つにつながり、なぜ今まで自分の体が重かったのかを理解できた。
辻の体にうつぶせで、かぶさるように原井和也が倒れているのだ。
(そうだ。爆発の直前、原井さんが俺のほうへ跳んで、そのまま俺にかぶさってきて・・・
 それで俺はまともに炎を受けずに。原井さんが、かばって・・・!)
「原井さん!大丈夫ですか!」
痛みの残る腕で、原井の肩をつかむ。反応はない。
辻は爆発のショックで弱まっていた感覚を、少しずつ取り戻していた。
視界に続いて嗅覚も戻ってきた。強烈な焦げくささが鼻をつく。
それも木などの植物ではない、もっとむせかえるような独特な臭いを感じた。
息を詰まらせるようなその臭いの正体を、完全に視界を取り戻した辻は知った。

「な・・・これは・・・」
辻から見えるのはうつぶせに辻の上に倒れる原井である。
原井の背中に辻の目は釘付けになった。
それは、黒くボロボロに焦がされた赤地のじゅうたんのようだった。
化学繊維のじゅうたんが熱で溶けて混ざり合い固まる、あれよりその原形はとどめていない。
「あの熱と炎、俺をかばってほとんど自分で受けたのか、原井さん・・・」
人間が皮膚の何割かに大きな火傷を負うと、生命の危機に陥るという何かの知識を、辻は思い出した。
医者もいないこの島の中である。どう考えをめぐらせても至る結果は一つだと思った。

519 :尊き意志よ(3/7) ◆QkRJTXcpFI :04/12/08 18:55:45 ID:7BVRdMT5
手榴弾を落とした"敵"が辻と原井をそのままにしておくはずがない。
必ず下まで確認に、そして止めを刺しに降りてくるだろう。
こんな状態の原井を連れて行って逃げることは不可能だろう。
(このまま・・・置いて、行くか。)
そう辻が考えたとき、
「う・・・ぐぅう・・・」
原井の口からわずかにうめき声が漏れた。
「原井さん!?気がついたんですか?」

原井は目を開いた。苦しい表情ではあるが、辻をしっかりと見ている。
「・・・辻、大丈夫か? 顔に少し火傷が。」
「火傷? いや俺なんかより、原井さんの方が酷いですよ!」
原井は辻を見つめたまま何も返事をしない。不思議そうな顔をしている。
ハッと何かに気づいた様子で、口を開く。
「すまん・・・なんだか、聞こえなくなったみたいだ。
 爆発のせいかな。ひどい耳鳴りしか聞こえないんだ・・・」
辻は答えることができない。
「お前は・・・大丈夫か?聞こえなかったりしないか?」
辻はコクコクと頭を上下に振る。原井はそれを見て安堵の表情を作った。
そして原井は手のひらを地面に下ろすと、歯を食いしばり筋肉に力を入れた。
「ふん・・・! ぐ・・・ぐおおぉぉ。」
原井の体が持ち上がる。原井は地力で立とうとしていた。
その表情は辻が生まれてから見た、一番苦しそうな人間の表情だった。
酷い苦痛に耐え、あるいは怒りや悲しみすら含むかのような涙を目ににじませ、原井は立ち上がった。
「とにかく、逃げないとな。ゔうぅ。」
「原井さん・・・大丈夫なのかよ。」
合わせて辻も立ち上がる。その辻の顔があまりに心配気なのを見て、原井は笑う。
「心配するな。あごの骨が折れても練習してたろ? 根性だけなら若い奴にも負けないぞ。」
しかしフラフラッとよろめく原井に、辻は落ちていた金属バットを杖の代わりに持たせ、肩を貸した。
「ぐぅ・・、すまんな。」
辻はすぐそばの商店らしき建物を指差す。
とりあえず隠れてやり過ごすという意図を原井は理解したようで、コクリと頷いた。

520 :尊き意志よ(4/7) ◆QkRJTXcpFI :04/12/08 18:58:26 ID:7BVRdMT5
原井に肩を貸しながら辻はゆっくりと歩く。
こうしてる間にも"敵"が襲ってくるかもしれない。
よほど原井を放り出して一人逃げたかったが、なぜかできなかった。
「辻・・・さっき言いかけたことなんだけどな・・・」
原井が苦しそうに口を開く。
辻はハッとした表情をするが、黙って原井の言うことを聞く。
「俺は、放送があったとき起きてた。物資や武器の投下とか聞こえた。
 それでお前も何かつぶやいてた。でも・・・」
辻が原井を見ると、額に汗がびっしりとついているのがわかった。
この人はどれほどの苦痛を今こらえているのだろうかと、辻は怖くなった。
それでもなお原井は話すことをやめない。
「お前は武器投下のことを起きた俺に言わなかった。しかも投下地点の方へ行こうと言い出した。
 正直・・・疑ったんだ。何かお前の腹に一物あるんだろうと。
 おそらく、お前に殺されるんだろう。武器を自分だけせしめるとすれば。そう思ってた。
 でも、それでもいいと思った。だったら殺されようじゃないか。諦めてた。」

辻は何も言えなかった。
仮に言っても何も原井には聞こえないのだが。
目的の店の中に到着し、椅子に原井をこしかけさせた。
「ふぅ。でも辻、お前が俺に必死で生きろって怒るのを見て、俺はなんて勘違いをしてたんだって。
 お前のことだ。何か考えがあって、武器のことも言わなかったんだろう。
 こんな若者が必死で生きようとしてるのに、俺は一緒にいても疑って、殺されても構わないとか。
 そんな自分がたまらなく恥ずかしくなって。情けなくて。許せなくて。」
「違う・・・」
辻は小さくつぶやいた。原井にはもちろん聞こえない。
「俺は、お前に申し訳がなくて・・・
 お前の尊くて美しい、生きるって意志に1人で泥をかけてた。
 だから正直に話して謝りたかったんだ。」
「違うんだよ原井さん。そいつは、ひどい誤解だ。」
辻が悲しそうな表情をしながら、しかし頭を左右に振ったのを見て、原井の表情がわずかに和らぐ。
「そう言ってくれてありがとう。これだけ謝りたくて。本当にすまなかった。」
辻は再び頭を振った。何のためだか分からなかった。

521 :尊き意志よ(5/7) ◆QkRJTXcpFI :04/12/08 19:01:36 ID:7BVRdMT5
「行け、辻・・・。この爆弾を落とした奴がすぐにやってくる。
 俺たちに対抗できる武器はない。俺は動けないから、ここでやり過ごしてみる。
 お前の必死に生きようとしてる。俺までも叱咤した。その尊き意志よ。
 そんなお前の将来が、俺は楽しみだから。死なないでくれ。」
原井はイスに座りながら苦しそうに、しかし決意を固めた表情で言う。
(俺の『将来』って・・・。)
原井の何気ない言葉に、辻は自分が固めた決意を思い出した。
何時間も前に、仲間の死に悩み苦しみ、必死で出した自分の意志だ。
なんとしてでも生き残る。例え今こうして、原井を欺いたままだとしても。

辻は原井に一礼をする。原井はニコリと微笑んだ。
周りを見渡す。さして気にしていなかったが、偶然入ったその店は自転車店だったのだ。
「これは、使えるか。」
店の中に陳列されていた自転車の一つを引っ張り出す。鍵はかかっていない。
辻はその自転車を押しながら急いで店を出ると、周りに誰もいないのを確かめ自転車をこぎ出した。
その姿を見届けた原井は再び金属バットを杖にして、おもむろに立ち上がった。
表情には少し悲しそうだったが、しかし決意だけは変わることなく浮かんでいた。


小林雅英は雑居ビルの1階の窓から周囲をうかがっていた。誰もいない。
待ち伏せしているのだろう。逃げたのではない。探知機には自分ともう2つの点が重なっている。
とりあえず手榴弾が死亡に至るダメージを与えられなかったのは間違いないようだ。
清水将海の時と同じく、またもや自分のイメージ通りに事が運ばないことにうんざりした。
(これも辻と相性が悪いせいだ・・・。そうに違いない。)
そう気持ちを切り替えると、意を決して窓から顔を出す。誰もいない。更に窓から外へ体を出す。
「あれは!」
広い道の向こう側に、自転車を駆る人の姿が見えた。
「しまった、逃がしたか。・・・どうする、追うか?」
探知機を見る。辻を示す45番が遠ざかっていく。
「辻か・・・逃げやがったな! あの野郎・・・。」
しかし原井の53番はまだ近くにいる。小林雅は銃をいつでも撃てるように準備した。
ガラッ、と右前方の店のドアが開く。そこにはボロボロに服が焼け、弱々しく立つ原井の姿があった。

522 :尊き意志よ(6/7) ◆QkRJTXcpFI :04/12/08 19:06:13 ID:7BVRdMT5
小林雅は撃つのをためらった。原井が微笑んでいたからだ。
武器といえば金属バットを地面についているだけで、ヨロヨロと歩いていた。
「そうか、雅英か・・・。 この通り、俺はお前をどうこうできる状態じゃない。」
「原井さん、命乞いでもする気ですか? 俺はためらったりは・・・」
「すまん、爆発で耳が聞こえないんだ。何言ってるかわからん。」
原井は片手を顔の前で左右に振った。
小林雅は言葉を詰まらせた。それを言う原井の意図がよく分からなかった。
原井はそんな小林雅を見て思う。
(さてさて辻が逃げてるから、なるたけ時間を稼いでやりたいもんだが。
 どれぐらいできるかな・・・さっきからどんどん寒気がしてきて、気を失いそうだ。)
「雅英・・・なぁ、野球しないか?」
「は?」
困惑の表情を浮かべる小林雅を尻目に、原井は金属バットを両手に持って高くかざした。
「ボール持ってないか? どうせ俺を殺すんなら、その前に野球させてくれよ。」
原井の足は震えている。打席をならすしぐさを真似て、危うく転びそうになる。
小林雅はしばらくその様子を見ていたが、思い出したように袋の中に手を入れた。
取り出したのは硬球だった。

半身で原井を向き、ボールを胸の辺りに持ってくると、体を左右にクネクネと2・3度ひねる。
原井は腕を震わせながら、しかし嬉しそうに言った。
「ありがとう、雅英。 はは、なんか金属バットだと高校生みたいだな。
 俺は投手やってたんだけどさ、甲子園まであと一歩ってところで逆転されちゃったっけ・・・。」
原井がゆっくりと構える。
小林雅は足を上げると、大きく腕を振った。久しぶりに球を投げた気がした。
ど真ん中のストレート、しかし原井のバットは空を切った。
というより、バットを振る最中で原井はよろけたのだ。そのまま膝を地面つく。
「はぁ、はぁ・・・もう年かな・・・なんちゃって。 さ、やるなら一思いにやってくれ。」
バットで体を支えながら、原井は地面を見つめて耐えている。
小林雅は銃を取り、原井に近づいていく。
原井まで1〜2mほどの距離まで来て立ち止まり、銃を構える。原井は顔を小林雅へ向けた。
「辻はな・・・生きるって強い意志があった。尊いもんだ。」
残った全ての力で、原井は金属バットを小林雅にめがけて投げつけた。

523 :尊き意志よ(7/7) ◆QkRJTXcpFI :04/12/08 19:10:51 ID:7BVRdMT5
「くっ!」
小林雅がひるんだその一瞬、原井は小林雅から見て右横に逃げようとした。
パァーーン!
ひるんだが、銃の引き金はとっさに引かれていた。
弾丸は原井の右脚に当たり、バランスを崩し転倒する。
「くっ、ぐあぁっ。」
今さら痛みが増えようと気にすることではなかったが、原井の体はもはや動く状態ではなかった。
原井の頭の近くに、今、ゆっくりと銃口が当てられる。観念したように原井は目を閉じた。
「原井さん、俺だって生きるって意志は誰にも負けない自信はある。絶対に、死ねないんだ。
 ・・・でもね、俺の意志が尊いだなんて、俺はとても思わない。」
パァーーーン。


辻俊哉は自転車を必死にこいでいた。目的地はGの5エリア。
1時まで時間がないので急いでいるというのもあるが、それ以上にイライラしていた。
「ちくしょう。なんなんだよ。
 尊くて美しい?自分が間違ってた?冗談はよしてくれよ。
 俺は、そんなつもりでやってたんじゃない、あんたを騙して・・・っ!」
辻はペダルをこぐ。頬に当たる小雨と風が、火傷の顔にわずかに気持ちいいはずだ。
だが、とてもそんな感覚にはならなかった。
「はっ、はっ・・・誰が間違ってるとか、そんなんじゃないだろ?
 原井さんみたいな考えだって、貫くのは難しくて・・・決して泥をかけるとか、そういうんじゃ・・
 あぁもう、何考えてるんだ俺は・・・!?」
イライラが募る。自分の中にある思考が、全て口を突いて出てくる。
「あぁ、ちくしょぉっ!
 俺が、原井さんを騙してたんじゃない。
 俺はただ、受け入れられていただけじゃねぇか!!」
火傷はやはり、ジンジンと痛んで彼を責める。
「生き残ってやる! 今度こそ、うまくやって。騙すでも、なんでもうまいことやって。
 俺は生き残ってやる。なんとしてでもだ!」
早く、とにかく早く目的地へ着きたくて、辻はただひたすら自転車を駆った。
【53原井和也× 残り33名】

524 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/08 19:15:12 ID:ASH3WLPj
GJ!!乙ですた。
原井・・・いい奴だな(ノДT)

525 :躁と鬱(1/3) ◆vWptZvc5L. :04/12/08 19:17:13 ID:z9TPxHe8
「…それにしても、戸坂も災難だったよな」
曽我部がそう言って大げさに同情を示す。
「そうなんですよ、晋吾も何も言わずにどっか行っちゃうし」
「いや、それは普通に聞かなかった戸川が悪いだろ」
その答えに戸部は閉口する。
「でも戸塚が無事でよかったじゃないか」
「曽我部さん、俺は戸部なんですけどね…」
全く平下といい、曽我部といい、阪神には人の名前を覚えない決まりでもあるのかと疑いたくなる。

ユウゴーはその二人のやり取りをニヤニヤしながら見ていた。
(やっぱ戸部さんってからかいがいあるよなぁ…。雅さんに「生まれ変わったら戸部浩になりたい」
 とか言われてネタにされるのもわかるよ。曽我部さんも本気で間違えているのか、
 狙ってやっているのかわからないけど、おもしろいからもうちょっと黙ってよう)
本当はこんなバカな会話をしてる場合ではないが、少しくらい息を抜ける時間が欲しかった。
当の戸部はそんなこと思いもせず、むきになっているようだったが。

「ほら、これ見てくださいよ」
戸部は業を煮やして、曽我部に背中を見せつける。
「えーっと、67…?」
「違いますって、その上っ!」
今着てるのが灰色ビジターでなくてよかったと戸部は思う。
曽我部は視線をさらに上へあげる。
「あ?T・O・B・E…あぁ、悪い悪いw勘違いしてた。戸辺な、戸辺」
「そうそう、それでいい…ってよくないよ!だから俺は戸…」

――『元気に殺し合ってるか?山本だ!昼の放送を始めるぞーーーー!』

その話を遮って、突然響く放送。
今までの和んだ空気が嘘のように、3人の間に緊張が走る。

526 :躁と鬱(2/3) ◆vWptZvc5L. :04/12/08 19:18:03 ID:z9TPxHe8
――『11番藤田、31番渡辺俊、39番田中雅、61番寺本、以上4名だ!』

その名前の羅列に戸部の表情が曇った。
(俊介、おまえもなのか…昨日、確かに会ったばかりなのにな。
 俺と一緒にいたらそんなことにならなかったのかな。
 それとも、俺も一緒に今の放送で名前呼ばれてたのかな…)
頭の中が全てそのことで埋め尽くされる。
ついさっきまで近くにいた人がどんどん消えていくのが、まだ受け入れ難い。

「…で、戸辺さんはどうします?」
「あ?何が?」
ユウゴーに急に話を振られて、現実に引き戻される。
いつの間にか放送も終わっていたらしい。

「もう、聞いてなかったんですか!?そんなんじゃ、また禁止エリアに取り残されますよ!
 G-5に食料とか武器とか投下されるけど、どうするかって話ですよ」
「くれるって言うんなら、もらえばいいんじゃねーの?」
戸部は思いついたまま適当に答える。
「おまえ、ホント単純だな…。
 それ目当てで人が集まってきたら危険も増えるだろ?
 平下だってまだ近くにいるかもしれないんだぞ」
曽我部は呆れ顔だ。

527 :躁と鬱(3/3) ◆vWptZvc5L. :04/12/08 19:18:50 ID:z9TPxHe8
「でも水も食料も欲しいですよね。武器だって曽我部さんの拳銃は取られちゃったし、俺の支給品も防弾チョッキじゃ…」
「そんなもの着てるのかよ!」
戸部が驚きの声を上げる。
「ええ、この下にね。こんなの着てるのバレたら、頭狙われて終わりですもん」
ユウゴーはユニフォームの肩のあたりを引っ張りながら得意げに言った。
「おまえ頭いいな…」
「まぁ少なくとも誰かさんよりはね。そういえば、戸辺さんって何支給されたんですか?」
「あぁ、俺のはちょっと扱いづらいものだからさ…」
「ふーん…じゃ、やっぱG-5に行った方がいいんすかね?」
「そうだな。武器とかあんまり使いたくないけどな」
曽我部も同意する。

幸い、G-5ならこの近くだ。13時には余裕で間に合う。
3人とも立ち上がって移動しようとすると、曽我部がまた話を蒸し返した。
「で、戸村はさっき何言おうとしてたんだっけ?」

(あんた、わざと言ってるだろ…)
戸部は無言で曽我部の方に流し目を送った

528 : ◆QkRJTXcpFI :04/12/08 19:21:27 ID:7BVRdMT5
>>524
ドモー


辻と雅をリレーしやすい展開で区切れたはずです。
で、脱字発見orz
>>522中段
というより、バットを振る最中で原井はよろけたのだ。そのまま膝を地面つく。

というより、バットを振る最中で原井はよろけたのだ。そのまま膝を地面につく。

保管の際は修正お願いします。

529 : ◆vWptZvc5L. :04/12/08 19:22:16 ID:z9TPxHe8
◆QkRJTXcpFI 氏グッジョブ!
こんな真面目な話の直後にバカな話で申し訳ありません…

530 : ◆QkRJTXcpFI :04/12/08 19:25:31 ID:7BVRdMT5
>>529
いえいえそちらこそ乙でした。


531 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/08 22:49:48 ID:4FjND8yI
チョン球団いらねー

532 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/09 00:42:12 ID:Q11afF3K
>>517
原井さん、相当苦しかったろうに・・・
尊い意志って、原井さんの思いと、原井さんが辻を生かそうとしたことと
両方かけてあるんだろうか。

>>526
マリーンズの選手らしい、のほほんとした3人ですね。
俊介は戸部と再会してたら、きっと生きていたと伝えて上げたい。

533 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/10 01:24:08 ID:eOO8Gehv
ほしゅ

534 :番外 園川一美と愉快なコーチ達14 ◆GDAA.BMJxc :04/12/10 08:11:24 ID:Gf4OCOr6
バレンタイン神社―
プレナ幕張の中にあるマリーンズの公式応援神社へ、
吉鶴たちは浦和へ向かう前に立ち寄ることにした。

「そういや、わざわざここには立ち寄らないよなあ。」
「まあ、浦和への交通安全祈願にはなりますし。」
「僕、バレンタイン神社に来るの初めてだよ!」
荘は相変わらずはしゃいでいた。

ところが、角を曲がってバレンタイン神社が視界に入った途端、
吉鶴たちは硬直してしまった。

確かに祭られている像は、白髪交じりの初老の男性だが、
顔はバレンタイン監督のそれではなかった。
と、いうかよく見覚えのある顔だった。

そして神社の鴨居にはバレンタイン神社ではなくはっきりと
「山本エカ児神社」
と書かれていた。

吉鶴たちはしばらく固まっていたが、
「・・・これでもご利益あるか。」
気を取り直して、お参りをした。

535 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/10 11:30:22 ID:RmKCpvso
>>534
嫌な神社だなw

536 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/10 20:20:54 ID:WmHphck3
気を取り直し過ぎだと思われ。

537 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/11 13:15:10 ID:Cjlgo/4i
「薮田の大冒険18(1/4)」

「オマエ、カイズ(海図)ヲモッテキナサイ。」
黒人は責任者を人質にとったまま監視員に命じる。
「持って来ちゃいなよ。」
責任者にも促され、監視員は部屋を出る。
外壁の扉を開け、小型艇を海面に下ろす薮田と愛甲。
「・・・やっぱり名前を聞かせてくれ・・・アンタ何者だ?」
さっきのその迫力に圧倒された愛甲が問う。
「フッ・・・カコハモウステマシタガ・・・・・・ヒトニハ、フィルダー、ト、ヨバレテイマシタ。」

『フィルダー』

その昔、豪快な打撃で日本のタイガース、メジャーでその名を轟かせたパワーヒッターである。
「フィルダー・・・」
「アンタがあの・・・」
同時期に活躍した愛甲はもちろん、大阪の野球小僧であった薮田が知らないわけはなかった。
「フフ・・・ムカシノコトネ。・・・サァ!ハヤクジュンビヲ!」

538 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/11 13:16:08 ID:Cjlgo/4i
「薮田の大冒険18(1/4)」

男があのフィルダーと知り、さっきの迫力に納得する薮田。同時に、薮田は心強い仲間を得たと思った。

そうこうする内に監視員が海図を持って戻る。
「ヨシ、イマハドコダ?」
「ココだゴルァ・・・」
「フン・・・ヤブチャ、アナタガ、ナガレツイタトキノカゼハ(ry・・・ダカラ、アナタガイタ、シマハコノヘンネ。」
「てことは・・・東京はこの方向・・・」
「イイエ、ヤブチャ、ソレハクールジャナイ。
オソラク、アナタガマスコミヤポリスニイッテモ、モミケサレテシマウデショウ。」
「じゃあどうすれば!?」
フィルダーは人指し指をちっちっと、左右に振る。

539 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/11 13:26:09 ID:Cjlgo/4i
「薮田の大冒険18(3/4)」

「ワタシタチハ、キョウリョクナブキヲ、エマシタ。」
そう言ってフィルダーは、愛甲と薮田に監視員の拳銃と自らが持って来た拳銃を渡す。
拳銃を受け取った薮田は、思わず武者震いする。
(俺の手で終わらせる・・・?)
フィルダーに視線を戻す薮田。フィルダーは無言で頷く。
「すっげぇ!本物だぁ!本物だぁ!」
愛甲がはしゃぐ。
「サァ、イキマショウ。」

フィルダーが乗り移ろうとした瞬間、2発の銃声が響いた―

540 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/11 13:47:10 ID:Cjlgo/4i
「薮田の大冒険18(4/4)」

「グゥ・・・」
背中に2発の銃弾を受け、膝をつくフィルダー。
「フィルダーさん!?」
「舐めんなよゴルァ!全員ブチ殺してやる!」
監視員は海図と一緒に新たな拳銃を隠し持って来ていた。次に薮田達を狙い、外壁の扉に近付く監視員。
「ウオオオォォォッ!!」
監視員を阻止しようと、力を振り絞りタックルを敢行するフィルダー。
「ハヤクイキナサイ!」
「な!そんな!」
「エンジンをかけろぉ!」
愛甲も薮田を促す。
「な!見捨てられるわけないでしょう!?」
「ハヤク!!」
「嫌や!!」
船を動かすどころか、拳銃を構えフィルダーを救おうとする薮田。
「離せゴルァ!応援突入しろゴルァ!」
監視員は室外に応援も潜めさせていた。
「出せぇ薮田ぁ!!!」
「イキナサイ!!」

室内に小銃を持った5人が突入してくる―

541 :番外 李承■と愉快な同士たち14 ◆CpgsCDAZJ6 :04/12/11 13:55:24 ID:T+YuaX0P
〔丶`J´〕ノ□<オッス、白菜キムチ!李承■デス。

公式タンと再び打ち合わせが始まりまシタ。
[そうですか…。セラフィニが行方不明にっ…]
フランコがキーボードを叩きまス。
〔それだけじゃない。ミンチーの居所もどうやら昨日から分からないらしい。
 何か動きがあるらしい。我々も初動が遅かったら危なかったかもしれない。〕
[なんてことでしょう…。分かりました。今考えている計画を実行に移します。]
「なんだ?計画?あるのか。」
ベニーがパソコンの画面を食い入るように見ていまス。
フランコが同じ内容のことを打ち込みマス。

[インターネットですよっ!
 さすがにこれに規制をすることはできないでしょうっ。
 ネットを使って今回の情報を口コミで広げて、無視できない騒ぎにすれば…もしかして…]
「なるほど!ぜひやってくれ!」
私は思わず感心してそう言いましタ。
フランコも納得の表情デス。
[ロッテ本社への調査も続けていますっ。
 皆さんはどうされますか?]
「オー、ヤリチン。」(訳:我々も日本の千葉に向かって、色々調べてみないか?)
「そうだね、そうしよう。」
次の行き先が決まりましタ。

[わかりました、では私もネットで広める計画を実行しますっ。
 よい成果をお届けできると思いますよっ!]

【同士3名  ※■は火へんに華】

542 :番外 李承■と愉快な同士たち15 ◆CpgsCDAZJ6 :04/12/11 13:56:00 ID:T+YuaX0P
■掲示板に戻る■ 全部 1- 101- 201- 301- 401- 501- 最新50

おいおまいらロッテで大事件ですよ

1 :代打名無し@実況は実況板で :04/10/28 19:13:15 ID:3dwLrm50
今日、秋季練習やってるかと思って
館山逝ったらsonokawaと吉鶴しかいなかった
球団事務所に電話してもつながらないし
なんかあったんじゃねえの?

22 :代打名無し@実況は実況板で :04/10/28 3:16:09 ID:mof6MboL
ちょん球団いらねー

23 :代打名無し@実況は実況板で :04/10/29 10:12:34 ID:ka84nsu
マリーンズの球団関係者ですっ。
選手達が今日秋季キャンプに行こうとしたまま行方不明なんですっ。
みなさん、このことを広めてくださいっ。マスコミは何らかの圧力があるようですっ。
恐ろしいことが起こっているかもしれません…。

24 :代打名無し@実況は実況板で :04/10/28 10:23:04 ID:hatsD99
公式タンキタワァ.*:.。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。.:*!!☆

25 :代打名無し@実況は実況板で :04/10/28 11:02:35 ID:oo9EkaM
>>23リーダー乙。ハローワーク行けよ。

26 代打名無し@実況は実況板で :04/10/29 11:14:42 ID:FcgwdqwN
>>25
IDに(´エカ`)がいる

27 代打名無し@実況は実況板で :04/10/29 11:23:19 ID:vEjIFT+/
>>25
(´エカ`)ニヤニヤ

543 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/11 14:09:51 ID:rHXaaEEL
そのネタは昨日・・・w

544 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/11 14:19:32 ID:Q+7LxsZO
>>543
そういえば・・・と思って本スレ見てきたら、
(´エカ`)ネタを振っている人のIDもそのままでワラタw

545 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/11 20:38:23 ID:CVb1LP0t
保守

546 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/12 02:31:35 ID:C3G2ESzu
カシミール

547 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/12 08:11:51 ID:FCHKDxR3
ほっしゅっしゅ

548 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/12 17:28:10 ID:tmVxPE4A
カルフール


549 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/13 00:05:14 ID:LgVQwK21
(´エカ`)ニヤニヤ

550 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/13 20:09:20 ID:Xu/G4yrU
チョン球団破滅

551 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/14 02:21:33 ID:dGBzVBzC
ほh

552 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/14 07:28:23 ID:c8mDIX7R
「薮田の大冒険19」

「馬鹿野郎!!!」
愛甲が薮田を殴りつける。愛甲はすかさずエンジンをかけて舟を走らせた。
「サンキュー、タケシ・・・」
「ちっ!もう片方の舟を出せゴルァ!追うぞゴルァ!」
監視員はようやくフィルダーを振り払う。
突入してきた男達がもう一方の小型艇を出す準備にかかる。
「フフ・・・ソウハサセナイヨ。」
フィルダーは懐に隠していたダイナマイトを取りだし、導火線に火をつける。
「グッバイ、ヤブチャ、タケシ・・・
ヨヲステタハズノ、ワタシガ、ラストニワカモノニ、ミライヲタクセタ・・・・・・アリガト・・・」
フィルダーの手に握られているダイナマイトに監視員達が気付く。
「な!?オマエそれ何してんだゴルァ!!」
「ちょっと何それ!?危ないからヤメちゃいなよ!!」

553 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/14 07:29:14 ID:c8mDIX7R
「薮田の大冒険19(2/2)」

一方、船外に脱出した愛甲は、フィルダーに渡された海図を確認しながらCMBRの行われているあの島を目指す。
「うぅ・・・あ、愛甲さんアナタ!!フィルダーさんを!!」
激昂する薮田に振り向きもせず、愛甲は舟を走らせる。
「何とか言えや!見損なったわ!」
薮田が愛甲に掴みかかる。
「あ・・・」
振り向かせた愛甲の瞳からは、血の涙が流れていた。
「薮田・・・今オマエのやらなければならない事は何だ?フィルダーは何故俺達を行かせた?
・・・貴様はフィルダーの意志を無駄にするのかぁっ!!?」
「あぅ・・・」
その時―

爆発音が聞こえ、薮田達が脱出した船室から爆炎が吹き出る。
「!?」
「フィルダー・・・?」
甲板は混乱し、人夫達が何事かと騒いでいる。
「くっ・・・」
愛甲は瞳を閉じ、天を仰ぐ。
「あ・・・ぁぁ・・・・・・フィルダーさぁぁぁあああああぁんっ!!!!!」

いつの間にか穏やかになっていた大海原に、薮田の叫びは響くことなくかき消された―

554 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/14 07:30:11 ID:c8mDIX7R
千葉マリーンズバトルロワイアル、薮田(20)編、第一部『薮田の大冒険』

―完―

555 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/14 09:02:46 ID:BlZ0FWn1
感動の展開と思いきや

第一部完にワロタ


556 :番外 李承■と愉快な同士たち16 ◆CpgsCDAZJ6 :04/12/14 18:39:38 ID:/SpJcSlD
〔丶`J´〕ノ□<オッス、!李承■デス。
[ネットでは嘘だと思われてしまうようですっ・・・うぅ、残念です・・・]
「オー、ヤリチン・・・」(訳:うーむ・・・公式タン、気を落とすな。)
カタカタッ。キーボードが弾かれマス。
落胆する公式タンをフランコがなぐさめていまス。
どうやらネットで宣伝する計画は不調のようでシタ。
私とフランコとベニーの3人はジェットに乗って成田空港に向かっていまス。――

――「はい、わかりました。して、余興とは? へっ?は、いや、えぇ、はぁ・・・?」
電話に何度かおじぎを繰り返した後、瀬戸山隆三は受話器を置いた。
「はぁ・・・山本の代わりはどうにかするとして、"余興"とは何をしたらよいのか。
 老のご機嫌取りなんだろうが、現場の立場にもなってくれないと。全くあのバカ息子め・・・」
疲れた表情でため息をつき、瀬戸山はめがねを拭く。と、傍にいた部下の一人が寄って来た。
「代表、ちょっと見ていただきたいものが・・・」
「なんだね?」
そこにはインターネットの掲示板が映し出されていた。その中の一文に瀬戸山は目を丸くした。
"選手達が今日秋季キャンプに行こうとしたまま行方不明なんですっ。"
「なんだ!?これは?」
「どうやら情報が漏れたようです。調べてはいますが出所は不明です。
 マスコミへのリークもおそらくコイツでしょう。」
「球団関係者と書いてあるじゃないか! 誰だ!?」
「不明です。ただロッテ本社の予防線に何度か引っかかる、ハッキングを試みる者がいます。」
「ちょこまかと・・・。よし、罠を張る。球団職員を中心に関係者にメールを送れ。文面は――

――[ただ、まだ方法はありますっ。昼過ぎに球団からメールが送られてきましたっ。
『本日ロッテ関連会社対象の本社見学が行われる。参加したいものはすぐに返信されたし。
 こちらのミスで連絡が送れ、誠に申し訳なく思う。 瀬戸山』
 これは本社に潜入するチャンスですっ。これから向かいますっ。]
「おい、それは急じゃないか? 何か、怪しくないか?」
私は制止しようとしまス。フランコも同様でス。ベニーは俺も行くと言っていまス。
[仕方ないですっ。例え罠でもマリーンズの選手達を救える可能性があるなら私は行きますっ。
 全マリーンズ人の誇りにかけてっ!]

557 :番外 李承■と愉快な同士たち17 ◆CpgsCDAZJ6 :04/12/14 18:40:49 ID:/SpJcSlD
――マウンドに立つ俺、ボックスに立つのはパナマのくせ毛野郎。
・・・殺す、殺す、ぶっ殺す!
必ずだ!今度こそ貴様の犯罪者面に俺の膝をめり込ませてやるぜ!!
あの屈辱だけは、絶対に忘れ――

ガバァッ。目を覚ます。体が跳ね起きる。ダン・セラフィニは、辺りを見回した。
「どこだここは? 確か俺は・・・そうだ、変な野郎に取り囲まれて気を失って。
 連れて来られたってことか?」
セラフィニの周囲は平坦なコンクリートの壁が上下左右と後ろを取り囲んでおり、前方だけが明るい。
そこから見えるのは部屋の外。薄暗い廊下がある。
セラフィニが一番困惑し、激怒したのは部屋と外との境界線に鉄格子があることだ。
「ここは牢屋か!? ふざけんじゃねぇぞ! 出せ!出しやがれ!! △エ@×カ&!!」
放送禁止用語をしゃべりながら鉄格子を蹴り飛ばす。振動で震えるが蹴りが効いた様子はない。

「起きたのか、サーフ。悪いが静かにしてくれ。」
セラフィニの右隣から声がする。首を出してとなりの牢に目を向けると、見慣れた顔があった。
2mを超す身長、100キロを超す体重、体のデカさならセラフィニも勝てない。
見慣れたユニフォームを着た白人の男は、セラフィニと目が合うと軽く手を上げ挨拶した。
「あんたもか・・・何してんだ、こんなところで? ミンチーさんよ。」
「私にもよく分からない。気づいたらここにいた。ただ・・・」
「ただ、なんだよ?」
「狩りをしたくないか、と呼ばれた。久しくやっていない趣味だ。
 そして待ち合わせの場所で黒服の男達に捕まえられた。」
セラフィニは舌打ちをした。
「大したことじゃねぇな。結局ここはどこなんだよ。」
ミンチーは目だけ動かしセラフィニに向け、肩をすくめて両手を広げる。
「さぁ、わからないね。君の左隣の彼も分からないらしい。」
「なに?まだいるのかよ!」
今度は左隣の部屋の中を見る。一人の男が横になり、寝息を立てていた。
「誰だ? ユニフォームは着ているが、ロッテの選手じゃねぇぞ。」
 あ、背番号が俺と同じじゃねぇか! 誰だてめぇは!?」
そうセラフィニは叫んだが、彼は起きない。と、牢屋のある廊下の先のドアがギィッと開いた。

558 : ◆CpgsCDAZJ6 :04/12/14 18:43:07 ID:/SpJcSlD
続きは本編の進行を見てまた投下します。

559 :game(1/2) ◆vWptZvc5L. :04/12/14 19:24:11 ID:9hOJMEWK
さっきの爆発音のようなものを根拠にするなら、それはもう始まっている。
平下はじっと窓の外を見つめ続けていた。13時まではもう10分もないだろう。
ありがたいことに雨もほとんど止んでいる。
これなら動きやすいし、ここに来ることをためらわせる要素が一つ減る。
そろそろボーナス目当ての獲物たちがここを目指して集まってくる。
それは自分達にとっても絶好のボーナスゲーム。

現れた獲物が外野手だったなら、確実に仕留める。
自分の居場所を得るために。
投手だったなら、とりあえず仕留める。
こいつを利用するために。

平下は良平を一瞥した。
昨夜の一件以来、こいつの利用価値が疑わしく思えてならない。
別に戸田は自分のターゲットじゃないのだから、奴を殺り損ねたこと自体は問題じゃない。
ただあんなミスをするようでは、いざ自分と同じ考えの奴とやり合うというときに邪魔になるかもしれない。
取り返しのつかない事態に陥る前に、いずれはこいつの切りどきを見極める必要があるだろう。
とはいえ、まだ残り10人になるには程遠い。やはり単独行動よりは二人の方が圧倒的に有利だし、
自分達二人がすんなりその中に残れるようなら、生かしておいても害はない。
そのときが来るまでは、そばで泳がせておけばいい。利用できるものは利用する。

560 :game(2/2) ◆vWptZvc5L. :04/12/14 19:24:59 ID:9hOJMEWK
そして待ち伏せする二人のもとに、ようやくその獲物が表れる。

さっそく来たか…。沈黙の中に、撃鉄を上げる音がカチッと響いた。
その音に、今まで考え事をしていた良平も銃を構え直す。
遠方の角から姿を現してきたのは3人組。
3人という人数が油断を誘うのか、さほど周囲を警戒する様子もない。
ボーナスを求めて来たとすれば、おそらく大した武器も持ってはいるまい。

平下の目はそのうちの一人に釘づけになった。
その男の首に残るのは何かで絞められたような赤い跡。
自分が確かに手を下したはずの人物が平然と歩いていた。まさかと言うか、やはりと言うか…
平下自身、その名が放送で一向に呼ばれぬことに気づかぬわけではなかった。
疑問に思いながらも、表に出さなかっただけだ。
やはりあの時、この銃でとどめを刺しておくべきだったか。

平下の視線が何かを執拗に追っているのに気づいて、良平もその方向を見る。
その先にいるのは外野手二人、投手一人。絶好の獲物だ。
しかし、平下が執着する理由がそれだけではないとすぐにわかる。
その集団には気にかかる人が二人いた。
一人は自分がさっき殺り損ねた獲物。もう一人は隣人が手にかけたはずの獲物。

はっとして良平は平下の方を見る。
「まだ生きてやがったか…」
平下は良平の方には目もくれず、そう言い捨てた。

561 :○クリトリス:04/12/15 04:38:10 ID:IrhQG094
チョン球団いらねー

562 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/15 14:00:25 ID:xNZewHAK
アゲ

563 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/15 20:33:07 ID:QyrqaJDP
期待AGE

564 :鬼ごっこ3(1/4) ◆QkRJTXcpFI :04/12/15 21:18:36 ID:Wl2bUe+p
12時の放送直後。
小坂誠は食料を探し、住宅街にいた。
自分のいる場所が14時に禁止エリアに指定された。すぐ近くのエリアもだ。
逃げる時間は充分あるが、どちらに行くべきか。
東に行けば武器が投下されるエリアに近づく。これは人が集まってきそうで危険だ。
しかし自分は西のほうから逃げてきた。小林雅英がいた小屋があるのだ。
運営側とつながり、リスト以外の人間、つまり自分をも殺そうとしているだろう。
とても西のほうへ行く気になれなかったので、東の住宅街の中心へ向かうことにした。
ただし、Gの5は避けて、そのまま住宅街の北へ抜けるつもりだった。

家々の間の小道を小走りに走る。
小道の脇には家に混じって、立ち木や雑木林がある。土の地面は少しぬかるんでいた。
13時からの禁止エリアには入らないように確認しながら、しかし急いで走った。
(僕は要らない選手なのか・・・)
ぼんやりと頭に浮かぶ思考を地面を強く踏んでかき消す。
藤田に追いつけなかったのを思い出した。
その藤田も死んだと聞いた。
走るペースを上げ、息を切らしながらつばを飲み込む。
走っていれば、全て忘れられる気がした。

タッタッタ・・・ダッ・・・
足音がわずかにズレたのが聞こえた。自分の足音より少しピッチが長い足音。
後ろから聞こえる。
「追われてる!?」
首だけで後ろを振り返る。走ることに夢中で油断していたと思った。
追う人影は徐々に近づいてくる。何か長いものを持っている。その選手の名は
「・・・サブロー!」

小道にはみ出していた柿の木の枝。
その枝は細かったが、丁度大人の男の目線ぐらいの高さに突き出ている。
その下を、風の塊が駆けた。枝が揺れる。小坂誠が走っていった。
数秒遅れ、もう一つの風が枝を気にすることもなく、ボキッと折って走って行った。

565 :鬼ごっこ3(2/4) ◆QkRJTXcpFI :04/12/15 21:19:42 ID:Wl2bUe+p
「見つけた。」
サブローが小さくつぶやいた。小坂には聞こえない。
鉄パイプを右手に持ち、大きなストライドで両脚を動かす。

そのサブローの目が、小坂の顔の一点に視線を向けていた。
表情を一つも変えない。こちらに何か言う様子もない。
「なんで何も言わないんだ、サブロー!
 君は敵なのか? なんで追ってくるんだ!?」
走りながら小坂は叫んだ。
サブローからの返答はない。
ダッダッダッ!
代わりに自分を追う足音が近づいてきた。

(走るのを止めたら・・・!)
小坂は察知しかけていた。その沈黙が充分な答えのような気がした。
脚の回転を上げる。後ろから聞こえる足音は、わずかに遠ざかった。
(今度は、走りで負けるわけにはいかない。負けたら・・・)
歯を食いしばる。弱まってきた雨の中、小坂の脚が地面のぬかるみを蹴った。

ヒュン!
何かが飛んできて、横を通過した。ドスンと音がして地面にめり込む。
「ひっ・・・!」
柿の実だった。そういえばさっき見た気がする。
後ろの人間はこうして自分の動きを止めようとしているのだ。
一言も声を発することなく。
(やっぱり本気か・・・!)
小坂は背中に凍りつくような寒気を覚えた。

小道を右に曲がり、今度は左に曲がる。
また何か投げられないように、或いはサブローを撒ける期待を込めて。
小刻みに道を曲がっては、ひたすら走る。
走る。急停止して、切り返す。うねった街中でこの動きを繰り返す。

566 :鬼ごっこ3(3/4) ◆QkRJTXcpFI :04/12/15 21:20:40 ID:Wl2bUe+p
サブローの足音が徐々に遠くなる。
(この動きなら僕の方が上だ。
 このまま街中で、逃げ切れるか・・・?)

しかし、サブローの足音はなかなか離れない。
一旦見えなくなっても、必ず追いかけてくる。
「まだか!まだ撒けないのか!」
焦りが口をついて出る。後ろの曲がり角からサブロー足音がまだ聞こえる。
(また足音が・・・足音・・・あ、そうか!
 走っていたら、僕の足音もサブローに聞こえるのか!!)
角をまた急に曲がる。後ろを向く。サブローは見えない。
少し直線を走る。左には民家のブロック塀が続く。
再び後ろを向くが、まだサブローは見えない。
(今だ!)
右足を蹴って、塀の途中に現われた民家の門へ飛び込む。
二塁ベース上の打球へ飛び込むように。いつものように、思い切り。

ズザァッ、と地面に滑り込む。転がるが、目は開いている。
これが守備なら、起き上がってすぐに送球をしなければならない。
今は、起き上がったら更に移動しなければらない。
門柱の脇へ身を隠す。
ダッダッダッダッ・・・
サブローの足音が門の前を通過する。
(よし・・・!)
ダッ。
サブローの足音が一瞬止まる。
(・・・気づかれたか!?)
しかしすぐに足音は向こうへ駆け出した。小坂は胸をなでおろした。
息が苦しい。呼吸を整えることにしばらく神経を集中させる。
「はぁ・・・うんっ・・・っはぁ。」
辺りを見回すと、普通の家の庭の風景がある。
その中で小坂はあるものに目を奪われた。

567 :鬼ごっこ3(4/4) ◆QkRJTXcpFI :04/12/15 21:26:14 ID:Wl2bUe+p
車庫にあるのはスカイラインGT−R。色はシルバー。彼の愛車と同じデザインだ。
小坂は立ち上がると車に近づいていった。
輝く銀色を眺めながら、ボディを撫でる。
(あぁ、心が安らぐ。こんなところで会えるなんて。)
車の周囲を歩き、前を回ろうとしたところで小坂は止まった。

銃口がこちらを見つめている。
「動かないでください・・・小坂さん。」
(しまった・・・まだ油断してた。)
肩を震わせながら、しかし両手で黒光りする銃をこちらに向けている。
「青野・・・。」
「小坂さん、そのまま手を上げて。自分はできれば撃ちたくないけど、あなた次第や。」
小坂は青野毅に言われた通り手を上げた。
「青野、やめてくれ。僕は誰かを殺そうとか思ってない。頼む、撃たないでくれ。」
必死で青野へ訴える。
「口だけじゃ、信用できません。くっ・・・」
青野の額に汗がにじむのに小坂は気づいた。何かに耐えるような、苦しそうな顔だ。
「君は、怪我してるんじゃないか? 青野。」
「そんなことはどうでもええ。とにかく、手を上げたまま・・・」
ドォン。
突然鳴り響く爆音。近くではないが、決して遠くない距離だ。
爆弾が爆発したような音。
「えっ、ああっ!」
青野の手が銃を離しそうになった。
緊張に堅くしていた体を弾かれた。小坂よりも青野の方が緊張でいっぱいだった。
小坂はその間動かなかった。

最後のチャンスだった。
銃を取りこぼしそうになった青野に対して、小坂は全く動かない。
「小坂さん・・・。」
「僕は君を殺す気はない。わかってほしい。」
青野は小坂に向けていた銃を、ゆっくりと下ろした。

568 : ◆QkRJTXcpFI :04/12/15 21:27:46 ID:Wl2bUe+p
続きもあるのでタイトル変えてすぐ投下します。

569 :そして鬼は二人(1/2) ◆QkRJTXcpFI :04/12/15 21:41:02 ID:Wl2bUe+p
「・・・すいませんでした。」
小坂も手を下ろした。
「何をしてたの?」
「さっき小坂さんが言うた通りです。肩をケガしてます。
 ちゃんとした処置をするのに、病院を探しとったんですが。
 誰かが走って来る足音がしたんで、隠れてました。」
「見せて。確かにひどいケガだ。誰に?」
「神田さんに刺されて、平下さんに撃たれました。
 このゲームに参加する気の人がたくさんいます。みんな、信じられん・・・。」
青野の心には田中良平の姿が浮かんでいた。
「そうだね、僕も今サブローに・・・」
ザッ。小坂の後ろの塀で物音がした。
青野の表情が変わる。小坂は振り向く。

「いた。」
サブローが塀の上に立っている。そしてそのまま跳躍する。
鉄パイプを高くふりかざし、着地と同時に振り下ろす。
ザクッ!
とっさに小坂は避けた。空振り。鉄パイプは地面を殴りつけた。
その目の前にいる青野は、とっさの出来事に動けなかった。
やられる!と青野は思った。が、目もくれずサブローは振り返る。
「小坂を優先して、殺す。」
「な!?」
そう言って小坂が身構えた瞬間、青野は麻酔銃の引き金を引いた。
鉄パイプを振り上げたサブローは、そのまま力なく倒れた。
「麻酔銃です。ふぅ・・・。」
青野は立ち上がった。
小坂は眠るサブローを家の壁についている配管に縛り付ける。
「これで起きてもしばらく大丈夫かな。」
眠るサブローから後ずさりながら、小坂はため息をついた。
「この麻酔、けっこう効くみたいなんで大丈夫ですよ。」
壁にもたれかかり、力無くうなだれたサブローに近づき青野は少し笑った。

570 :そして鬼は二人(2/2) ◆QkRJTXcpFI :04/12/15 21:43:43 ID:Wl2bUe+p
「グッ・・・」
サブローが声を発した。
「・・・寝言?」
そう小坂が言った瞬間、サブローの頭が跳ね上がった。
「グアアア!!」
口を張り裂けんばかりに開いてサブローが叫ぶ。
縛り付ける縄を引きちぎろうと、体を大きく揺さぶる。
「そんなバカな! 戸部さんや平下さんや、良平だってこんな早くは!」
ブチッと音がして、縄が引きちぎられた。
「ああ!」「青野、逃げろ!」
すぐに立ち上がろうとしたサブローだったが、両足も縄で束ねられていた。
それに気づかず転倒する。
麻酔銃の弾が当たった箇所の近く、背中の一部分が真っ赤に染まっていた。
「なんやこの出血・・・これじゃ、麻酔なんか回らんわ・・・!」
足の戒めを解こうとするサブロー。縄は今にも外れそうだ。
「青野、こっちだ!」
青野は小坂に呼ばれ振り向いた。小坂がそこにあるスカイラインに乗り込んだ。
「走ったって逃げ切れない。キーはある。こいつで逃げよう。」
青野は全速力で車の中に駆け込んだ。ドアを閉める。
エンジンが始動する。青野は後ろを振り返る。
「いない・・・サブローさんが、いない!」
引きちぎられた縄しかない。ドスン!車の天井に大きな衝撃。
「う、上や! ど、どうしましょう!?」
「黙ってろ、坊主。気が散る。」
「こ、小坂さん!?」
「サブローは貼り付いてやがるのか。コバンザメみでぇな野郎だなぁ!
 覚悟しろや! 振り落としててめぇの体、ひき潰してやっがらなぁ!」
ハンドルを握った小坂の表情を、青野は見たことがない。小坂ではなく、鬼がいた。
(車のハンドル握ると人格変わる人っているけど・・・!)
車は急発進した。天井からはまたドンと物音がする。小坂がアクセルをグイと踏む。
「まだ落ちねぇか! さっさと地面をのた打ち回れぇっ!」 
青野はとにかく怖かった。何が怖いのかは自分でも分からなかったが。

571 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/15 22:20:45 ID:2cd/KwQZ
こさっちキレた…
笑っていいのやら怯えていいのやらw

572 :番外 愉快なカモメたち6 ◆vWptZvc5L. :04/12/15 22:31:10 ID:0He7utNt
マー君はハンドルを握りながらチラッと横を見る。
助手席に座っているのはリーンちゃん。
運転に集中しなければならないので、見とれているわけにはいかないが、
その姿を確認すると密かに笑みを浮かべる。
(やっぱ、リーンちゃんって横顔もかわいいなぁ…。
 彼女を隣に乗せて新宿までドライブってのも悪くないね)
そんな感慨にふける間もなく、後ろからした大声に気分をぶち壊される。
「おぉ、パトカーだ!」
ズーちゃんはひとり…もとい、1羽、後部座席ではしゃいでいた。
(まったく、邪魔者さえいなけりゃもっと良かったんだけどなぁ…ん?パトカー??)

見ると、前方にはパトカーが数台停まり、お巡りさんが赤い棒を振っていた。
そばに立て掛けられた看板には「秋の交通安全週間実施中」の文字。
その光景にマー君の全身が凍りつく。

「やばっ、検問だ」
「どうしたの?」
リーンちゃんがマー君の異変に気づく。
「僕、免許持ってない…」
「えぇっ!?何やってんのさ、兄ちゃん!」
すかさず後ろからズーちゃんの突っ込みが入る。
「だって僕、免許取れないし」

573 :番外 愉快なカモメたち6 ◆vWptZvc5L. :04/12/15 22:31:44 ID:0He7utNt
あぁ、そうか。兄ちゃんは5歳だもんね。
あと13年経たないと免許取れない…って、13年後も兄ちゃんは5歳のままじゃん!
これじゃ一生車なんか運転できないよ。どうなってんだよ、僕ら3羽の設定は!?
横浜のブラックホッシーなんかフォークリフトの免許まで持ってるっていうのに…

「あ、そうだ!兄ちゃんが免許持ってなくても、兄ちゃんの中の人が持ってればいいんだよ」
ズーちゃんは苦し紛れにとんでもないことを言い出す。
「バカ言え、中の人などいない!」

マズイ。どうすりゃいいんだ…
これじゃ明日の東スポ1面は『在京球団マスコット(5)、無免許運転で捕まる』になっちゃう。
未成年だから名前は出ないだろうけど、5歳のマスコットって僕くらいしかいないじゃん。
他の連中はみんな年隠してるし。きっとあることないこと書かれちゃうよ。
今からあわてて方向を変えても、かえって怪しまれる。どうしよう。

検問はどんどん近づいてくる。
マー君の脳内では明日の東スポ1面がチラついていた。

574 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/15 23:31:23 ID:Tr2s9zVV
こさっちはハンドル握ると性格かわるタイプかw

575 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/15 23:46:41 ID:b1FF4MAf
こさっち怖えぇぇぇ((((゚Д゚;)))ガクガクブルブル
マー君もちょうど車でピンチだしw東スポ一面ワラタ

576 :番外 園川一美と愉快なコーチ達15 ◆GDAA.BMJxc :04/12/16 00:19:22 ID:FaiXn7zh
昼下がりの館山―
皆から忘れ去られた場所に園川はいた。

選手もコーチもおらず、本来ならば練習場は閑散としているはずなのだが、
なぜか様子が違った。

「・・・それで、園川さんはどちらからおいでで?」
「ええと、幕張からです。」
「ほう、幕張ですか。あの辺はたいそうにぎわっているでしょうな。」
「そうですね、新しいビルがどんどん建ったおかげで、かなりのものになっていますよ。」
「なるほど。それはいいですなあ。」
「でも、館山のほうがいくらか暖かくて過ごしやすそうですね。」
「そうですか。暖かいほうがお好きですか?」
「ええ、僕は熊本出身なので。」

園川は、朝のラジオ体操で知り合った老人達と練習場の片隅で雑談に興じていた。

そして、
「sonokawa!!」
と普段のキャンプより数は少ないものの、熱心なファンが園川に声援を送っていた。
なぜ選手ではなく、一コーチでしかない園川にわざわざ声援を送るのか疑問だが、
園川は気にとめなかった。

「ほほう・・・。園川さんは人気ですなあ。」
「いや、それほどでも。」
園川はまんざらでもなかった。

577 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/16 00:40:25 ID:GW9LywsL
こさっちこわいよこさっち

在京球団マスコット(5) ワロタ

578 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/16 09:44:52 ID:tTcfocol
>「sonokawa!!」
ってことは2ちゃんねら〜かw

579 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/16 22:13:05 ID:EGVAGzW4
この硬軟モツ煮込みっぷりが絶妙…マリバト面白いっすね。

580 : ◆ee.SvQroxQ :04/12/16 22:13:47 ID:mz1/EbED
千葉マリーンズバトルロワイアル、薮田(20)編、第二部「逆襲の薮田(仮)」―予告―

「山本さん薮田です!薮田の反応が!!」
―薮田は―
「父さん・・・いえ、オーナー、薮田が生きていたようです。」
―生きていた―
「何でオマエはこのゲームに乗ってしまったんや・・・マサ・・・。」
「死ねぇ薮田ぁぁああっ!!!!」
―繰り返される裏切り、そして殺戮―
「ホホホ、再び偏りが生じ始めたわけか。ゲームはそうでなくてはな。」
―巨大な黒幕とは?―
「愛甲さん!後ろぉぉおっ!!」
―果たして―
「ベニーたん!」
「オー!?ヤリチン!」
―生き残るのは―
「俺を殺しても何も変わらん・・・球界再編は終わっていない、始まったばかりなんだ。」
―球界を渦巻く陰謀、闇―
「小僧!俺のGT‐Rに勝てると思ってるのかぁっ!?」
―迫力のバトル―
「和也・・・オマエに託すよ・・・。」
「明ぁ・・・。」
―友情、そして―
「リーンちゃん・・・」
―愛―
「ぬぁぁあああぁっ!!!」
―薮田は生き残れるのか!?―

千葉マリーンズバトルロワイアル「逆襲の薮田(仮)」乞うご期待!

脳内に映像とBGMを妄想で流しつつお読み下さい。

581 : ◆ee.SvQroxQ :04/12/16 22:14:36 ID:mz1/EbED
※注意
この予告通りに話を進める気は「一切」ございません。ただやってみたくなっただけです。
前から言ってますが、今はとてもキリがいいので、リレーしたい、薮田のキャラや関わり方を変えたい方はどうぞ。
もう一度言います、予告は遊びで一切この通り進める気はございません。
ちょっとした遊びです。

582 : ◆loyOjt0Af. :04/12/16 22:19:10 ID:mz1/EbED
あ、自分アレ・・・ど忘れしたけど識別番号みたいの間違えてました。間違いなく薮田書いてた本人です。

583 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/16 22:46:34 ID:COZ29/yw
偽予告なのね

584 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/17 00:15:23 ID:PCrRRGRX
ちょっとワロス

585 :slight faith (1/2) ◆h9KcvsENgk :04/12/17 00:19:12 ID:FtPD8/Az
「・・・もういいや」
疲れたように戸部浩はため息をついた。
横には曽我部そしてニヤニヤ笑うユウゴー。
ツッコミもそろそろ面倒になってきた彼は少し顔を空へ向けた。
実際確かにこの二人に会えてよかった。
そうでなきゃ俊介の名前だけできっと自分の頭の中が埋め尽くされていたに違いない。
仲間を探す、それが自分で最初に立てた方針。やっぱり間違っていなかったということ。

「で、戸鍋の食料とかはまだあるのか」
「支給の水は全部飲んだんですよね、戸辺さんは」

本当に間違ってないよな?
うん、これも俺の気を楽にしてくれている。そう思おう。
いや、うん、でもやっぱり言わせて。
「いや・・・だから俺は戸部なんですけどね」

俊介は一人で戦うと言っていた。俺はそんなに強くない。
俊介は死んだ。俺はまだ生きてる。
あいつには張り詰めた心が休まる時間はあったんだろうか。
あいつには誰か看取ってくれた人は居たんだろうか。
今は俺には一緒に動ける人間が居る。それは心地よい。
だから一日以上の緊張も、少しは解けて・・・

「って、そうじゃなくて…すまん。ちょっと用足させてくれない?」
尿意だって催すくらいには平常心になれるんだ。

「あ、いいですよ。じゃあここで見張ってるんでそこらで。」
「誰が居るか判らないんだし、急げよ戸邊」
「・・・・・・」



586 :(2/2) ◆h9KcvsENgk :04/12/17 00:20:54 ID:FtPD8/Az
近づいてくる。
もう少し、もう少し呼び込んでから確実に。
それは声を交わさずとも目を合わせずともそうなったお互いの呼吸。
あの区画を過ぎたところまで来れば。もう少しもう少し。
壁の陰で二人は息もせずに銃は顔の前に視線は獲物へと。
昨日殺り逃した男へ意識を一点に集中する。今度はもう一発必中を。
声が聞こえてくる。緊張感のあまりない会話が気に障る。
頭に、肩に、銃口に、雨はまだ降り続ける。
そしてラインを越える、直前

ターゲットは建物の陰に姿を消した。
その一瞬、すべての感覚が対象を失う。
飛び出して行くつもりの足がよろける。
それは致命的なまでに致命的な先走りで。
「!!」
突然現れた殺意に目の前の男がこちらを振り向き
そこまできて彼、田中良平の前のめりに傾いていた意識には
ただ突撃していく選択しかもう残されなかった。

「うおおおぉぉーーー!」


突然隣の相方が叫んで銃を上に向けて構えたまま走り出していった。
その予想外は彼を慌てさせるに充分。
平下は思わず叫びそうになった。

あのバカ何やってるんだ!

畜生
あの二人は田中に気がついてしまった。
もうこうなったら始めるしかない、平下は苦虫を噛み潰して銃を構える。
不本意な形で戦端は開かれる。

587 :勝算(1/1) ◆vWptZvc5L. :04/12/17 09:50:06 ID:iazMtaWr
「武器の投下か…山本さんも結構いいとこあるじゃん♪ ケケッ」

川井貴志は正午の放送を小さな経理事務所のようなところで聞いていた。
誰かから武器を奪おうにも完全に丸腰では危険だ。
何か武器になるものをと思ってここに侵入し、探し回ったのだが
使えそうなものといえば、事務用のカッターくらいしかなかった。
護身用ならそれでも間に合うかもしれない。でも自分の目的は違う。
リスト外の雑魚どもを片っ端から消す。特に小坂は絶対だ。
これで致命傷を与えようと思ったら頚動脈を切り裂くしかない。
仲間になるそぶりをして近づき、寝首をかけばそれも可能だが
いちいちそんなことをしている時間はない。
汚名返上のためには、とにかく数をこなさなければ。

そう思案していたところにさっきの放送。
すべて自分のために仕組まれているとしか思えなかった。
そう、監督が自分のために救済策をとってくれたのだ。
これは自分のためなのだから、武器に紛れて必ず探知機も投下されるはず。

「これはもう、Gの5に行くっきゃないよねー♪」
雑魚どもに自分の持つべき武器を取られないうちに急ぐんだ。
探知機と強力な武器さえ手に入ればこちらのもの。
小坂なんか足こそ速いけど、普段はあんなに寡黙でおとなしい性格だもんね。
どうせ反撃してきっこないだろうし、飛び道具さえあればイチコロさっ♪

川井は鼻歌混じりでGの5へと進みだす。
数エリア先で暴走するスカイラインGT−Rの存在など知る由もなかった。

588 :ニアミス(1/1) ◆vWptZvc5L. :04/12/17 10:36:52 ID:iazMtaWr
「どけどけー邪魔だ邪魔だー!ひき殺されてぇのか、バカ野郎この野郎オメー!!」

背後からの罵声とクラクションに驚いて川井は振り返る。
シルバーの車が猛スピードでこちらに突進しようとしていた。
運転席と助手席に誰か座っているのが見える。
慌てて路肩によると、川井の体のすぐ前を車が走りぬけていった。
タイヤが水溜りの上を通り、跳ね上がった泥水が川井の全身にかかる。
川井はあっけに取られて、その車を見送った。
車体の上には誰かがへばりついている。

何だよ、あれはー!?何であんなのが走ってんの??
運営側の車?それとも誰か支給品が車だったとか?
それにしても乱暴な運転だなぁ。もー、誰だよー!!

さっき車が通り過ぎるときに一瞬見えた運転手の横顔、そしてあの声…
川井はある人物に思いあたった。
「いや、そんな…まさかね…」

浮かび上がった答えを頭の中で否定すると、
また気を取り直して再びGの5を目指した。


589 : ◆CLM31pWOr6 :04/12/17 13:54:48 ID:tKNuRDF6
>>581 薮田神職人様
予告編、保管庫に入れる時にタイトルが入りきらなくて
ちょっと改変しました スミマセンスミマセン ユルシテクダサイ

もし良かったら
>>20 からご連絡下さいませ。


590 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/17 17:06:14 ID:xsmYtMDG
>>580
フランコと小坂にワロタw
これでflash作れそう

591 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/17 17:36:10 ID:2Zicka9V
こんな感じでよろw>予告FLASH
ttp://www.masutech.com/contents/flash/sazae.html

592 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/17 18:47:19 ID:2wr4p3S3
>>591
(・∀・)イイ!
flash職人の降臨をお待ちしてます。

593 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/17 20:10:10 ID:Qfaocrwc
>>591
すげ・・・BGMと台詞の入り方なんかかなりイメージ通り・・・
で、何なんですかマスオさんはw

594 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/18 17:24:39 ID:Lk0yUfVS
保守

595 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/19 13:01:55 ID:9Q/JoHBS
保守

596 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/20 00:29:25 ID:Wrw/fTGr
ほす

597 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/20 08:09:41 ID:zcUzTEMw
保守

598 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/20 22:50:33 ID:DVVciKoA
保守

599 :熱量(1/4)  ◆Ph8X9eiRUw :04/12/21 03:16:45 ID:vy1qosR8
「でも、止めるっていっても、一体どうやって止める気ですか」
「正直、それはオレにもわからない」
「殺してって・・・ことになるんですかね」
「できれば、その方法はとりたくないけど」

何故か少し前に交わしたこんな会話が頭をよぎる。
これ、走馬灯ってやつかなぁ。
叫び声、声の方向にいた誰か、それを確認しようと眼を凝らす、
判別する前にその誰かが向けた光る物。
そして、なにか破裂するような音。
それから、自分の胸にやってきた衝撃。
なんだよ、防弾チョッキってもっとかっこよく弾をはじくのかと思ったけど
けっこう痛いものじゃないか。
弾がぶつかったときの衝撃は意外に大きく、ユウゴーはおもわず
弾が貫通するはずだった箇所、胸を押さえてその場にうずくまった。

初めての「撃たれる」感触。
もっと大きな音がするのかと思ってた。
もっと爆風のような熱を発するようなものかと思ってた。
しかし、想像していたものより以外に音は小さく、
そして熱くなるのはただ一点、自分が押さえる胸ただそこだけだった。
逆に指先や背筋辺りはそこに熱が奪われていくかのように
どんどん冷たくなっていき、その熱を際立たせていく。
それでも衝撃は頭やすべての神経を駆け巡ったようで
身体の自由、その一点以外の感覚がすべてなくなってしまったみたいだ。
立ち上がろうにも足がいうことをきかない。
胸の痛みとあわせてうまく呼吸が出来なくなる。
急に肺が空気を受け付けなくなったようで
酸素を取り込もうと口を開けるが失敗し、ユウゴーは何度か大きく咳き込んだ。
「いってぇ・・・」
かろうじて、そう小さく呟くことは出来た。

600 :熱量(2/4)  ◆Ph8X9eiRUw :04/12/21 03:18:50 ID:vy1qosR8
それでも、ユウゴーは思う。
それでも、とりあえず生きてる。
痛いけれど、俺は生きてる。
そうだ、生きてるんだからあれが走馬灯じゃないことは確かだ。
いまだぼうっとする頭でそんなことを考える。
ゆっくりと顔を上げ、弾が飛んできた方向に再び眼を向けると
不思議そうな顔をした誰かが自分を見つめていた。
そりゃそうだろ、弾当たったのにこうやって無傷なんだからな。
そのおかげで相手は2発目を撃つ、という行為をすっかり忘れてしまっているようで
引き金に指はかかっているものの、それに力がこめられる様子がない。
だったら相手より先に、はやく動けよ俺の身体。
ていうか、誰だ、あれは。
相手の背番号を確認、19の数字、19、良平、か。
良平、良平ってそういえば誰かと行動してたんだっけ。
そんな会話を交わしたはず。そう、たしかあれは。
順を追って頭を整理していこうとしたが、眼の端になにか動くもの、
それが飛びこんできて、思考はそこでストップした。
誰かがその目の前の良平に飛びかかろうと走り出した。
誰か、じゃない、曽我部さんが。
丸腰の曽我部さんが銃を持った良平に。
なにか叫ぼうとユウゴーは口を開いたが、肺はまだちゃんということを聞いてくれなかった。

601 :熱量(3/4)  ◆Ph8X9eiRUw :04/12/21 03:21:09 ID:vy1qosR8
「オレは、あいつを殺してとかで愚行を止めたくないんだ」
「でもそれ以外の方法ってなんかあるんですかね」
「さあなぁ。あるとは思いたいんだけど」
「あるんですかね、そんなもの」
「こんな狂った状況でなかったらな。今は・・・あると思うしかないな」

ちょっと前に何気なく交わした会話がよみがえる。
こんな状況で、しかもこれからこの場所に人が集まってくるのに
なんでこんなにも自分たちはゆったり歩いてしまったんだろう、と
曽我部は自分の甘い考えを呪った。
それ以外でも自分は甘すぎるのかもしれない。
策なんてあるわけがない。
対抗する武器も持っていない。
それでも、自分はあいつを止めたい。
止める術が見つからずあいつにおそわれたら?
あいつ以外のやる気になってるやつに襲われたら?
ここまで考えることはあった。
そして、自分の考えはこれ以上進まない。
そして今、答えを出す前にそれが現実となって襲いかかっている。

崩れ落ちるユウゴーの姿がスローモーションのように自分に眼に映った。
誰かの叫び声、はじける音、何かにぶつかるような音もした。
そして、つらそうに顔をゆがめる彼の姿。
そんな一連の出来事に曽我部は全く動けなかった。
頭の芯ははっきりと覚醒しているのに、そこから身体に命令が行かない。
瞳だけはただユウゴーの姿にはりつき、胸を押さえ、咳き込む姿を凝視してるのに
駆け寄るための足が働いてくれない。

602 :熱量(4/4)  ◆Ph8X9eiRUw :04/12/21 03:23:11 ID:vy1qosR8
しかし、流れてくるはずの赤い鮮血はいつまでたっても
彼の指の間からあふれ出てくる気配は無かった。
「いってぇ・・・」
彼の口から小さな呟きが洩れる。
そうだ、防弾チョッキ。
それを思い出し、少し安心したが、すぐさま別の思考が頭をよぎる。
「でも、こんなの着てるのバレたら、頭狙われて終わりですもん」
またよみがえるいつかの会話。
頭狙われたら、頭じゃなくても首とかその辺りを狙われたら。
ユウゴーが狙われたら。
そうなったら、彼はどうなるかなんて考えなくても、

曽我部の金縛りが解けた。
そして、自分がやらなければいけないことがはっきりとわかった。
その瞬間、彼の思考は真っ白になる。
それがどれだけ危険なことか、それがどれだけ無茶なことか、
そんなことは一切頭の隅にも考えることはなかった。

撃たせてはいけない。
決して撃たせてはいけない。
ユウゴーを撃たせてはいけない。
彼は、自分の命を救ってくれた。
だから、必ず死なせてはいけない。
なにがあっても死なせてはいけない。

曽我部の頭にあったのはただそれだけだった。
その撃った誰かにむかって走り出す。
それが誰かも確認しないまま。
その誰かが、誰と行動を共にしているかわからないまま。

603 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/21 11:12:48 ID:JQGPMSvB
曽我部・・・

604 :目指す 1  ◆prGJdss8WM :04/12/21 20:39:52 ID:iGDtWapt
爆音がどおおんと、まるで地面の底から聞こえた。
見上げた雨空のその先からびりびり伝わってくるのは、余韻だけでなく悪寒だった。

正午のあの放送を聞いたとき、真っ先に顔を上げたのはぼろぼろの大塚だった。とたんにぴくりと眉がひそまるのを福浦は見た。
それが痛みなのか心理的なものなのかはわからなかったが。
「…大丈夫だ、動脈じゃない」
引っ張り出した地図を睨みながらぽつんと、垣内が言った。三人と黒木は無言で、大塚の脇腹に目をやる。
じくじくと滲み出てくる血液を睨んで、こくり大塚は頷いた。ならば圧迫止血で充分のはずだ。
しかし泥にまみれてぼろぼろで、しかも全身ずぶ濡れでは、快適な手当てなどまるで期待できない。
『武器、食料、薬―』
放送が言った。必要なものがそこにあった。

きっと他にも、Gの5を目指している奴らは居るだろう、そんなことは予想済みだった。
それが参加者なのか、平和を求める奴なのかはわからなかっただけだ。
がさがさ獣道を掻き分けるように進む大塚の背中を見ながら、福浦は思う。
手負いとは思えない俊敏さだ。
「…行こう」
放送後、最初に言ったのは黒木だった。
「危険かもしれないんだぞ?」
相変わらず垣内は顔を上げなかった。
「行きましょう」
だが力を取り戻した大塚の言い切りに、垣内はそれ以上は何も言わなかった。
福浦が右腹を庇うようにする大塚が抱える、その重そうな銃器(マシンガンか?)を持ってやろうとすると、そこでも大塚はきっちり言った。
「遺品なんだ」
「……。」
睨むのではないがその目つきは鋭かった。
「俺が使う」
だから今それは、大塚の肩からバンドで吊るされて、腰のところにいる。

605 :目指す 2  ◆prGJdss8WM :04/12/21 20:41:01 ID:iGDtWapt
たった一時間で移動できる距離ではないと思っていたが、行くしかなかった。
黒木はその前にまた言った。
「…悪い、別行動にしよう」
これにはさすがに大塚も呆気に取られたようで、無言で黒木を見上げていた。
「本当はもう少し一緒にいるつもりだったんだけど」
「…ジョニーさん?」
「状況が変わってきてる。このままいったらどんどんひどいことになる」
少し悔しげに笑うように言いながら、黒木は帽子をかぶりなおした。たっぷり水を吸ったその帽子は窮屈そうだった。
「だから俺は俺の道を」
「はい」
「お前らはお前らの」
「はい」
ぽつんぽつん区切るような言い方に、福浦は一瞬目頭が熱くなった。もしかしたらもう。
「…じゃあ、生き残りましょうね」
その時間髪いれずに大塚が言った。
「また逢いましょう」
言葉の端々も、きついと思えるほどに強い。横顔にも迷いがない。
血の匂いがもしかしたら大塚を覚醒させたのかもしれない。その痛みと修羅場と、生き残ったという実績が。
自分の言葉を奪われた黒木が、それでもそんなに幸せそうに笑うのは、久しぶりに見たと思った。

垣内は誘えなかった。もう惨状へなど誘えない。
先に行きますと立ち上がって、福浦を見もせずに行く大塚の背中を慌てて追いながら、福浦は二人へぺこりと頭を下げた。
それからずっと、ついて来るだろうと無言で言っている親友の背中を見ている。
特に会話もない。蛇行した川の流れに沿ってゆるかに下る山か丘の獣道を、彼はただ前進する。
時々張り出す枝に舌打ちをしたりする、ちっとかくそっという罵声が聞こえるだけだ。
川の音も五月蝿いから、余計にわかりにくいのかもしれない。
ただ大塚の息が上がり気味なのは、その肩の動きで感じていた。必死で生きているのだと思った。

606 :目指す 3  ◆prGJdss8WM :04/12/21 20:41:43 ID:iGDtWapt
そして今爆音がした。間違いなくあれは、自然の音ではない。
木々の間をすり抜けるようにして嫌な予感が襲い掛かってくる。温まった身体なのに、つうっと冷気が背筋を走った。
二人は思わず同時に立ち止まる。
数秒か、数分か。そのまま立ち尽くしていた。この島に来てから時間への感覚が狂ってしまった。
ぱらぱら、木の葉が耐え切れなくなった雨粒を福浦の肩に、大塚の背に、地面に降らせる。
「和也」

しゃがれた声で、大塚が呼んだ。振り返りはしない。
大塚が見るほうにはまだ暗い森があるばかりだ。
「もう少しだ」
もう目指す場所では戦いが始まっているかもしれない。なのに大塚はまた言った。
「行こう」
もう欲しいのは薬じゃないんだと思った。少なくとも大塚はそうだと福浦は確信する。
欲しいのは絶望以外の何かだ。求めているのは探しているのは。
「うん」
小さく返すだけだった。
欲しいのは、もしかしたら現実を歪ませることができるまでの腕。力になりたい。
行ってどうするのか、福浦の頭には何もなかった。どうしたらいいのかはわからないままだった。
どうやったら止められるだろうとか、どうやったら戦わずにすむだろうとか、全部わからないままだったけれど。
なりたいことはわかっていた。強い力にだ。だから行く。
求めている、探している。だから行く。

607 :探り合い(1/3) ◆vWptZvc5L. :04/12/21 21:18:35 ID:3gCj0o/R
G−5に武器を投下といっても、一体G−5のどこに落とされるのか。
おそらく、さっきからときどき見かけるヘリコプターを使って投下するのだろうから、
その直前になれば音なり風なりで投下地点を見つけ出すことができるだろう。
でもそれでは遅れをとる。他人に取られないうちに武器を手に入れなければ。
予想を立てるとすれば、投下しやすいのは大通りや公園といったところだろうか。
もう自分はG−5にいるはずなのに、はっきりしない目的地にイラついた。

イラ立ちの原因はそれだけではない。
考えまいとしても、さっきの原井の姿が頭をよぎる。
原井はその後どうなったのか…そんなことをつい考えてしまう。
あの手榴弾を落とした奴に見つかってやられたか、たとえ見つかずにすんだとしてもあの火傷だ。
次の放送で原井の名を聞くことになるのは、疑う余地がなかった。
迫り来る時間、見えない目的地、原井のあの姿…すべてがイライラを募らせる。
辻俊哉にできるのは、その苛立ちを振り払うように懸命に自転車をこぐこと。それだけ。

1時にはあと数分しかない。とにかくG−5の中心付近にいれば、どこに落とされても対応できる。
そう思ってひたすら自転車をこぐ辻の前に、曲がり角からからいきなり人影が飛び出してきた。
あまりにも突然すぎてハンドルをきる余裕もない。あわててブレーキをかける。
耳が痛くなるようなキィーという音を立てながら自転車は止まった。
しかしそれでも間に合わずに、その人影と接触してしまった。
自転車とぶつかった人物がその勢いで尻餅をついて転ぶ。

「痛っ…何?車の次は自転車…?」
その人物が顔を上げると、ばっちり目が合った。その正体は川井だった。
辻はそのまま視線をそらさずに、川井を鋭い目で睨みつける。
(そっちからぶつかっておいて何だよ、その態度)
川井は頭にきたが、そんなそぶりは見せないようにした。
辻は無言のまま、再び自転車を漕ぎ、その場を去ろうとする。

608 :探り合い(3/3) ◆vWptZvc5L. :04/12/21 21:19:24 ID:3gCj0o/R
「待って」
川井は動き出す自転車後部にある荷台をつかんで、強引に引き止める。
探知機を失った今、誰かと会う機会は貴重だ。簡単には逃がさない。
辻が川井の方を振り返って見ると、今度はポケットから何か棒を取り出して構える。
「何なんですか、離してください」
(俺は急ぐんだよ。さっさと離せよ、このバカ!)
自分の行く手を阻む者の出現に、ますますイライラが募る。
敵意を顕わにする辻に、川井は少しうろたえた。
(やばいなぁ、これはちょっと手強いか…)

「やめてよ、そんなもの向けないで。何もしないから…」
そう言いながら、辻の全身をさっと観察する。手に持っているこの棒が支給品か。
勝てる、川井はそう踏んだ。なおさら逃がすわけには行かない。
「僕、西岡に殺されそうになって、そこから逃げてきたんだ。
 荷物も西岡に全部奪われちゃったし、ここでボーナスがもらえるって聞いてそれで…」
「そうですか」

そんな話を聞いても、辻は同情するそぶりは見せない。返事をするのもわずらわしいといった態度だ。
いっそのこと、そのまま死んでいてくれていれば、自分が生き残る道も近づいたのに、とすら思う。
手には警棒を構えたままだ。相変わらず、むき出しにした警戒心が見て取れた。
今度は辻が川井の全身をなめるように見渡した。どこか修羅場を潜り抜けてきたかと思わせる。
全身泥だらけのユニフォーム。確かに荷物も武器も持ってはいないようだ。
嘘はついていないのか。でも、それで川井が信用に値する人物だと結論づけることはできない。
そして辻はこのとき、川井のポケットにあるわずかな膨らみを見逃していた。


609 :探り合い(3/3) ◆vWptZvc5L. :04/12/21 21:19:54 ID:3gCj0o/R
(う〜ん、これは正人ほど簡単にいきそうにないね)
自分の演技力が試されるときだ。川井は気の弱そうな表情を維持しながら続ける。
「辻は…?どこ行くの?顔、ケガしてるよ。大丈夫?」
警戒心を解こうとして、川井はいい先輩を演じる。
その心配そうな様子を見て、辻の張り詰めた糸がわずかに緩む。
それでも手に握った警棒は離さない。

(くそっ、こいつ、ガード硬いな)
川井は辻に隙ができるときをひたすら待っていた。
だが、そんな気配は一向に見せない。こいつ、かなりしたたかだ。
ポケットにあるカッターを取り出す時間さえ与えてくれない。
顔に残る火傷のあとだって、誰かを殺った代償なのかもしれない。

「俺も川井さんと同じ、ボーナス目当てですよ」
辻は武器を手に入れるときをひたすら待ち望んでいた。
武器さえ手に入れば、こんな奴に構っている暇はない。
こいつ、気弱そうな顔して裏に何が隠れているかわかったもんじゃない。
西岡に殺されそうになったんじゃなくて、
あんたが西岡を殺そうとして返り討ちにあったんじゃないのか?

辻の中にある、川井への疑いはまだ消えない。
当たり障りのない会話を続けながら、馴れ合うこともいがみ合うこともせず、
二人は互いに間にある距離を鋭く感じとっていた。

そして川井にとっても辻にとっても、「そのとき」が近づいてきていた。


610 : ◆vWptZvc5L. :04/12/21 21:22:27 ID:3gCj0o/R
すいません、>608は2/3の間違いです。


611 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/22 00:10:04 ID:1IsN/9GZ
人殺し

612 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/22 11:17:41 ID:qT1/ThTN
>>611
出張乙

613 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/22 20:59:55 ID:LBCbENKh
殺人球団



614 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/23 08:55:25 ID:Vhk7f4PX
保守

615 : ◆QkRJTXcpFI :04/12/24 00:54:45 ID:KrDxo6HP
えーと、しばらく投下できなかった反省もこめて長いのいきます。
2話分で全7レスです。

616 :カモメ(1/3) ◆QkRJTXcpFI :04/12/24 00:57:57 ID:KrDxo6HP
 成瀬善久が目を覚ましたのは、薄暗い室内のベッドの上だった。
「・・・ん、ふあ・・・は! ど、どこだ、ここは!?」
周りには大きな棚が並び、その中は薬瓶らしきものや本などが収納されていた。
一緒に医療器具らしきものが置いてあるので、そこが診療所のような場所なのだと判った。
「ぼ、僕は確か初芝さんに、うっ・・・」
起き上がろうと左腕を診療用の四角いベッドについた瞬間、激痛が走る。
右腕で痛む部分を抱えると、そこに布の感触がある。包帯だ。
「誰かが手当てを・・・? そういえば、左手が動くぞ。」
気絶する前は確か、腕の銃痕より末端の部分が全然動かなかった。
だが今は痛みこそ鈍く辛いものの、指先は動かすことが出来た。
 成瀬が不思議がっていたところで、その部屋のドアが開いた。
「やぁ成瀬君。起きたかい? 左腕はどんな具合だい?」
初芝清が湯のみを2つ乗せたお盆を持ちながら、にこやかな顔で部屋に入ってきた。

瞬間、成瀬はベッドの横の台に乗っていたハサミを掴んだ。
「うああああ!」
ベッドから飛び出す。蹴られてベッドは後ろにひっくり返った。
気にも留めず開いたハサミの刃を真っすぐ初芝に向ける。勢いのついた突進だ。
「ありゃま。」
そう言って初芝は盆の上の湯のみを一つ手に取ると、中身を成瀬のほうへぶちまけた。
「うあっ、うああ!」
冷たい。麦茶らしき香りが鼻をついた。ものともせずにハサミの刃を初芝に振り下ろす。
切りつけたと思った瞬間、人らしからぬ硬い感触に成瀬の右腕は跳ね返された。
思わぬ振動でハサミから手を離してしまう。
「うあぁっ?」
「落ち着きなさい。それでは僕は殺せない。」
刃の片方が湯のみに突っ込まれ、飲み口を周回しながらカラカラと乾いた音を立てる。
「う、くそぉ・・・」
「麦茶はいらないか? 元気みたいだし、外に出るかい?」
そういえって初芝は成瀬に背を向けた。
 成瀬はそばにあった医療器具を取り、診療所を出るまで二度初芝に襲い掛かった。
そしてそのいずれも軽くあしらわれ、結局麦茶も飲まされてしまった。

617 :カモメ(2/3) ◆QkRJTXcpFI :04/12/24 00:59:52 ID:KrDxo6HP
「うーん。」
初芝が伸びをする。
目の前には海が広がっていた。雨がぱらついていて、空は依然として灰色だった。
 成瀬が辺りをキョロキョロと見回すと、近くに工場らしき大きな建物が見えた。
初芝がそちらに歩いていったので、成瀬もあとを追う。
アスファルトで舗装された道路と、いくつかのコンクリート造りの建物が並ぶ。
海のほうにはアスファルトを境にいくつかのはしけが突き出ていて、そこが港だと判った。
「漁港のようなんだが、船がないだろう。一つたりともだ。」
そう語る初芝だったが、成瀬はだんまりを決め込んだ。
 初芝は気にする様子もなく岸沿いを歩いていく。その前に小さな水たまりがあった。
「わっ!」
踏み出した右足が滑って前へ突き出ると、ついでに左足も一緒に空中へ投げ出された。
背中から地面に落ちて、重そうな衝撃が地面を伝った。
 成瀬は走り出した。ポケットからメスを取り出す。
(今なら、今なら、死ねーっ!!」
メスを両手に持ち振り上げ、初芝に突き立てようとした瞬間、初芝のめがねが光った。
まばたきの時間ほどの間、視界が白く潰された。
「あっ」
成瀬の体が固まった瞬間、両足が天に向かって跳ね上げられていた。
初芝が体の向きを変え、その回転で成瀬の膝を右脚でなぎ払うのが見えた。
 横倒しにアスファルトに体が落下する。頭に衝撃、視界が揺れてそして真っ暗。
肺の動きが止まる。血圧が一瞬だけ上昇した。右手からメスが離れた感覚。
目を開けると初芝がその刃をこちらに向けていた。
(今度こそやられる!)
ポチャン。
初芝はメスを海に投げ捨てた。成瀬は初芝を睨んで威嚇することしかできなかった。

「もう、やめないか? 君では僕を殺すなんて無理だ。」
「っ・・・!」
(この人、隙がない!・・・隙だらけなのに!)
奥歯が潰れそうなぐらい強く噛む。烈火のごとき悔しさを露わにした形相だ。
しかし初芝はそれにも全く動じなかった。

618 :カモメ(3/3) ◆QkRJTXcpFI :04/12/24 01:03:04 ID:KrDxo6HP
「なんなんだ・・・。なんなんですか、あんたは?」
「僕は初芝清さ。それ以外の何者でもない。」
「ふざけるなっ! あんたが強いのはわかったけど、その言い草がわからない。
 初芝清だからなんなんだって言うんですかっ!!」
額に血管を浮き上がらせて叫ぶ成瀬に、初芝は悠然として口を開いた。
「初芝清というプロ野球選手に、ファンが求める姿がある。
 僕自身そうありたいと望んでいるし、そのために決して死なない強さが必要なんだ。」
「は?ファンが求める姿?」
成瀬が怪訝そうな顔をして初芝を睨む。少し呆れの感情を含んで。
「言ったろ。プロ野球選手にはHRを打つこと以外にも役割があるって。
 初芝清にしかできない役割があるのさ。」
「プロ野球選手のもう一つの役割って・・・?」
初芝がニコリとし、ちらりと海のほうに目をやる。その先にはカモメが飛んでいた。
「あるところに一羽のカモメがいたとしよう――

――カモメは毎日空を飛んでた。
飛ぶなんてことはカモメにとって当たり前のことだったんだ。
両方の翼を広げてはばたかせる、ごく自然にやっていることだった。
 あるとき、カモメは下のほうから人間たちが見つめているのに気づいた。
カモメが人間たちの上空を通過する間、彼らはずっとカモメのことを見つめていた。
 次の日から人間たちは奇妙なことをしだした。彼らは翼によく似たものを両腕に
つけていて、カモメに向かってバタバタと両腕を振って何度も跳んでいた。
人間て飛べないんだ。カモメは初めてそれに気づいた。
カモメは飛べるということが特別なことなんだと知ったんだ。

 いつしか人間たちはその翼を大きく広げ、少し空を滑ることができるようになった。
人間たちはいつもカモメを見ていた。カモメが空を飛んでいるから、人間たちは憧れた。
カモメはカモメでいただけなのに。人間たちのために空を飛んでいたわけじゃないのに。
 でも人間たちはカモメを目指して、どんどん高く速く空を飛ぼうとする。
カモメはなんだか嬉しかった。けど、別に人間たちに何かをしてあげたわけではない。
だからカモメは見返りもいらなかったし、今までどおり当たり前に空を飛んでいられた。
人間たちがカモメより高く速く飛べるようになっても、カモメはカモメのままだった――

619 : ◆CLM31pWOr6 :04/12/24 01:05:42 ID:q8/AgsfS
(・∀・)シエン?

620 :ぼくわ(1/4) ◆QkRJTXcpFI :04/12/24 01:06:07 ID:KrDxo6HP
――「さて、カモメが人間たちにしてあげたことは本当にないのかな?」
初芝は成瀬に話を聞かせた後、そんな質問をした。
「・・・さぁ。」
そっけない返事。
「考える気がないならそれで構わないけれど。」
初芝にそう言われて、成瀬は顔をしかめた。
「・・・だいたい僕の質問の答えになってない。」
声を硬く張って成瀬は言い放った。初芝は成瀬の方を向き直った。
めがねが一瞬白く光り、初芝の視線が成瀬に向けられた。その背後には大きな海が広がっている。
なぜか成瀬は自分の後ろにまで海が広がっているような錯覚を受けて、一瞬とまどった。
後ろを振り返ってみたが、やはり大きな建物が並んでいるだけの漁港の風景だった。

初芝は再び話し出した。
「僕たちはプロ野球選手だ。野球しかできない。ファンには野球しか見せられないんだ。
 でもファンのみんなはそれだけを求めて球場にきているのかな。
 なあ成瀬君、君はどうだった?」
成瀬の脳裏に今まで人生の思い出がよぎる。いつだったか、初めて球場に行ったとき。
「・・・輝いて見えました。」
成瀬が答えた。
「何が?」
初芝がさらに問う。
「プロ野球選手が、みんな。」
「何故?」
「わからない・・・ただ僕はドキドキしてました。」
「どうして?」
「なんでだろう・・・野球は好きだったし、すごい人たちだってのは分かってたけど。
 それだけじゃなくて、僕は・・・」
「わからないか? カモメは人間に何をしたんだい?」
そう言う初芝の目を見て、成瀬はまた自分の後ろに海が広がる感覚を覚えた。
自分と初芝を残して、周りに海が広がっているように感じていた。また錯覚かと思った。
その海は2人だけを残して、はるか水平線の方まで波だけを重ねていく。
カモメが一羽、2人の方へゆっくりと滑空してきた。

621 :ぼくわ(2/4) ◆QkRJTXcpFI :04/12/24 01:06:55 ID:KrDxo6HP
「カモメ・・・カモメは人間たちに何もしてあげたつもりはなかった。
 でも、人間たちはカモメに憧れて空を飛ぼうって思った。」
「うんうん。」
「そうだ、たぶん僕の好きだったプロ野球選手たちも、僕に何かしてあげる気はなくて。
 でも、僕は・・・野球選手になりたいって、そう、憧れて・・・」
「君は何をしてもらった?」
2人に近づいてきたカモメがその上空にさしかかり、ゆったりと旋回をはじめた。
「夢・・・。
 夢を、もらいました・・・。
 僕をプロ野球選手にしてくれたぐらい、大きくて輝いてる夢を。」
成瀬の表情からはいつの間にか険しさが消えていた。
初芝はちらと上空を見上げた。旋回していたカモメが一鳴きして、遠くへ飛んでいった。
「夢をもらった人間たちの中には、うまく飛べなかったものもいたんだ。
 でも飛ぶことは出来なくても、そのための努力は色々なことに役立った。
 そしていつの間にか、人間たちはみんなが簡単に空を飛べるまでになったろう。」
成瀬は黙っていたが、少しだけ首を動かしうなずいた。
「でもね、プロ野球選手は簡単にはなれないだろう。
 僕らには、空を飛ぶカモメより夢を与えられる可能性があるってことさ。」
「僕ら・・・」
「僕、初芝清はプロ野球選手になった。
 そしたら初芝清はファンからちょっと変わった形の夢を求められた。
 それでもみんなに僕が夢を与えられるなら、僕は初芝清でいたい。
 それは初芝清に生まれた宿命だけど、気負うこともない、自然な僕だ。」
「・・・」
成瀬は初芝の話を聞いていたが、視線がどことなく定まらなくなった。
「初芝清は初芝清のままでい続けなければいけない。
 だから、誰かを殺すこともしない。悲しい死に様も似合わない。
 だってそれは、初芝清という夢を壊してしまうから。」
「・・・初芝さん。」
成瀬が声を震わせながら発した。
「なんだい?」
「僕にも可能性があるって・・・?」

622 :ぼくわ(3/4) ◆QkRJTXcpFI :04/12/24 01:07:39 ID:KrDxo6HP
 まるで何かに怯えるように、成瀬はそう言ってつばを飲み込んだ。
「そうさ。君も誰かにとってのカモメ以上になれる可能性はある、いやなっているはずさ。
 だって君はプロ野球選手じゃないか!」
「僕も誰かにとってのカモメに・・・?」
 ふいに、成瀬の周りを囲んでいるように感じていた海の水位が上昇してきた。
みるみるうちに水位は上がり、成瀬の体を水面が通過する。
あっという間に成瀬は海に飲み込まれ、水面は成瀬の頭の上に行ってしまった。
(な、なんだよ、うわ、苦し・・・)
口の中から大きな泡が飛び出して、白く光った。
その泡の中にあったものを、成瀬は覚えていた。
彼を慕い目を輝かせる高校の後輩たち、浦和で珍しく自分のサインを欲しがる子供。
(そうだ、僕も・・・みんなの夢になれてたんだ。)
そしてその次に泡の中に現われたものは、藤田と寺本の顔だった。
(・・・!!)
泡が上昇して小さくなるのを眺めながら、成瀬の視界は暗くなった。

「成瀬君!しっかりしなさい」
「・・・え?」
成瀬が目を覚ますと、そこはさっきまでいた港だった。
下は水の一滴もないアスファルトだ
(幻だったのか・・・)
自分の肩を掴んでいる初芝の姿が見える。
雨はいつの間にかやんでいたが雲は相変らず空を覆っていた。
成瀬は初芝の手を解いた。

「成瀬善久は・・・殺人鬼です。
 そんな人は、誰にも夢なんて、あげられません・・・」

そう言って、成瀬は一目散に駆け出した。
「成瀬君!待って!」
すがる初芝の手をすり抜けると、成瀬は港に沿う道路をひたすら走っていった。
自分の体についた何かを振り払うように、水に溺れてもがくように手足を振って。

623 :ぼくわ(4/4) ◆QkRJTXcpFI :04/12/24 01:11:21 ID:KrDxo6HP
 成瀬を追いかける初芝だったが、少しずつ差が開いてしまう。
「いかん、動いたからスタミナが・・・」
ペースの落ちる初芝を置き去りにし、成瀬は地面を踏み潰していった。
「ぼ、僕は、成瀬善久・・・
 成瀬善久は・・・そう、成瀬善久は殺人鬼なんだ・・・
 誰かの夢になんてなれやしない、成瀬善久は、僕だ。」
 成瀬は漁港から徐々に離れていった。
周りの景色が色褪せた灰色と赤サビにまとわれた廃屋の群れへと変わっていく。
その中を駆け抜けながら成瀬はつぶやいた。
「ぼ、ぼくは、・・・」
 カモメが一羽、海の向こうに遠ざかる。
雲の色に溶け込み、そして消えた。
「あ・・・」
成瀬の足が不意に止まった。止まってしまった。
空を見上げたままでいると、涙腺を突き破ったように涙があふれ出した。
「成瀬君! 大丈夫かー!」
初芝が追いついてきて、成瀬の肩を再び掴まえた。
空を眺めるだけの成瀬の顔を見て、初芝の顔がはじめて苦痛に歪んだ。
「すまない、君を追い込んだ! だけどしっかりして。大事なのはこれからだ!」
「いいえ、初芝さんは悪くない。全ては僕のせいです。
 ごめんなさい、初芝さん。ぼくは、初芝さんみたいに夢を与られる選手になりたいです。
 でも、もうそれはおそいとおもいます。ぼくは、ぼくわ・・・」
「やめろっ! 言っちゃいけない! 自分で言っちゃいけない!
 繰り返して言うことで、君は本当にそうなってしまうんだ!!
 それでいいのか!? 君は、そうなりたいのかっ!?」
成瀬の顔がこわばり、肩が跳ねた。必死に苦しみに耐えている。そんな表情だった。
「う・・・ぼくわ・・・、ぼくわ・・・」
少し体の震える成瀬の視線が、空から初芝の顔へと移った。
「・・・ぼくわ はつしばになりたいです。
 つおくて、ゆめをたくさんくれる、はつしばさんに・・・なりたい・・・」
「そうか、ありがとう。よく言った。よく言ったぞ、成瀬善久・・・っ!」
子供のように泣きじゃくる成瀬を抱きしめ、初芝は背中を何度も叩いた。

624 : ◆QkRJTXcpFI :04/12/24 01:18:11 ID:KrDxo6HP
>>619
乙です。ありがとうござます。

625 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/24 01:19:59 ID:5ZAe4+es
新作乙
初様カコイイ!!と思って読み進めたら最後見事にワラカサレタ

626 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/24 01:21:38 ID:5ZAe4+es
だからタイトルがひらがなだったのか

627 : ◆QkRJTXcpFI :04/12/24 01:28:31 ID:KrDxo6HP
あ、誤字が・・・orz

>>616
最後のほう
×そういえって初芝は

○そう言って初芝は
で訂正お願いします。



628 : ◆1Y1lUzrjV2 :04/12/24 01:37:32 ID:Jzhc7AUB
小宮山と杉山の話の続きが書きたいのですが、◆h9KcvsENgkさんは
修正案以降ふたりの話を書く予定はあるでしょうか?
これ本スレで聞いていいのかな…。空気読めてなかったらすみません。


629 : ◆CLM31pWOr6 :04/12/24 01:41:36 ID:q8/AgsfS
>>628
http://www.age.cx/~marines/cmbr/cgi/writers.cgi
から連絡ください


630 :番外 愉快なカモメたち7(1/2) ◆vWptZvc5L. :04/12/24 01:51:55 ID:iCuoUajt
「免許証の提示をお願いします」
ついに検問に止められてしまった。
お巡りさんは3羽を見ても驚くことなく、事務的な態度で接してくる。

「えーっとですね、あの、その…あqwせdrftgyふじこlp@」
マー君の慌てっぷりは、ちょっと見ただけでも明らかだった。
ズーちゃんとリーンちゃんは祈るような思いでその様子を見ている。

(あれ、そういえば僕らって人前で声出してもいいんだっけ?)
ズーちゃんはふと疑問に思ったが、非常事態だし仕方ないという事で強引に片付ける。

マー君の行動があまりにも不審なので、お巡りさんとの話はこじれる一方だ。
(ヤバイぞ、これは。僕の生きてきた5年間でも―本当はもっと長いけど―
 最大のピンチだ。手段がないわけじゃないけど、でも…)
マー君は迷った。
目の前には威圧するようなおまわりさんの顔が見える。
(もう、こうなったらアレに頼るしか…)
本当は使いたくないけど、東スポ1面に比べりゃずっとマシだ。
意を決して、マー君はダッシュボードから何かカード状の物を取り出した。
それをつかむと、お巡りさんに見せて何か説明している。
それでもやっぱり揉めているが、さっきとは何か様子が違う。

631 :番外 愉快なカモメたち7(2/2) ◆vWptZvc5L. :04/12/24 01:53:10 ID:iCuoUajt
――「確認させて頂きたいんですが」
「いや、ちょっとここじゃ困るんですけど…」

マー君とお巡りさんはそんなやり取りをして車を降りると、一緒に物陰のほうへと消えていった。
車の中からでは、何が行われているのか全く見えない。
「マー君、何しにいったのかしら?」
「さぁ…?」
残された2羽は訳がわからないといった様子だ。

ズーちゃんはマー君の様子に考えをめぐらす。
(そういえば、兄ちゃんの運転ってそんなに下手じゃなかったよなぁ。
 普通に安全運転だったし、あれで本当に無免許運転??
 しかもあのカードみたいなヤツ、あれ、一瞬見えたけど免許証っぽかった。
 顔写真まではわからなかったけど…。でも兄ちゃんは免許取れないんだよなぁ。
 ってことは、あれは兄ちゃんの免許証じゃなくて――)
ズーちゃんはそこで考えるのをやめる。ヤバイ、これ以上はマスコット界のタブーだ。
兄ちゃん、さっき僕がどさくさ紛れで言ったことを本当にやっちゃったのか?

お巡りさんとの話が終わったのか、マー君がようやく車の方に戻ってくる。
「あ〜よかった。交渉成立!さぁ、先を急ごう」
ほっとした様子で車に乗り込むマー君に、ズーちゃんは疑いの目を向ける。
「ねぇ、それってまさか中の人の免許…」
言い終わらないうちに、マー君の背中がビクッと反応した。
3羽の間に気まずい空気が流れる。

「な、ななななな中の人など(ry」
マー君はムチャクチャ動揺しながらも、そのカードを素早くダッシュボードに隠すと、
再びハンドルを握った。

632 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/24 01:54:56 ID:iCuoUajt
>>623
泣きの話かと思いきや、最後で吹いたw

633 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/24 06:31:29 ID:K3NJK6sz
   ヽレ
    / |
    / _、_|   ( )   
   F _」`|  ( )  落ちたか・・・・・
   ヽ_Wノ y━・    
  /\フV




634 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/24 13:01:23 ID:SF+oyMtX
ぼくわ(ry
ギガワロス!…うますぎ。

635 : ◆loyOjt0Af. :04/12/24 21:15:07 ID:W1mTYNBT
「逆襲の薮田1 〜奪われた唇〜」

「くそぅ・・・俺が早まらなきゃフィルダーさんは・・・。」
船を脱出後、自責の念にさいなまれる薮田。
「自分を責めるな。夜まで待てなかったオマエの気持はわかるし、それにオマエなりに俺達に気を遣ったんだろ?」
「はい・・・。」
薮田は力なく答える。
「なら仕方ないじゃないか、フィルダーだってわかってくれていたはずだ。」
「くふぅっ・・・フィルダーさぁん・・・。」
愛甲は薮田を元気づけるために話題を変える。
「・・・そ、そうだ!オマエに人口呼吸してたらこんなのが出てきたんだった。
コレはオマエのか?それとも海の水と一緒に飲んでたのかな?あの後大変だったから言いそびれていたよ。」
愛甲はポケットに入れていた小さな物体を取り出す。
物体には微細な足のような物がたくさんあり、ひっかかるとなかなか取れないような構造になっている。

636 : ◆loyOjt0Af. :04/12/24 21:17:13 ID:W1mTYNBT
「逆襲の薮田1(2/2) 〜奪われた唇〜」

「・・・何だろ?覚えないですね。海水と一緒に飲んでたのかも知れませんね。」
「そうか。」
愛甲はソレを再びポケットにしまう。
「あの・・・ところで・・・。」
「ん?」
「人口呼吸ってまさか・・・?」
「俺がした。フィルダーは心臓マッサージをしてくれたぞ。」
「いやあの・・・人口呼吸って・・・マウストゥマウ・・・。」
「ん?・・・・・・あぁ。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・柔らかかったぞ。」
「・・・・・・。」

水平線の向こうには、微かながら、島と巨大な建造物のようなものが見えてきていた―

637 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/25 01:01:22 ID:dVHYoqvy
>>635
タイトル見た時点でワラタw
どの職人さんも話が計算尽くされててすごいなぁ

638 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/25 05:53:55 ID:KktwWZQr
笑い多くていいね。

マー君たちの設定というか中n(ryの状況とかがわけわかんなくて素敵。

639 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/25 15:31:57 ID:HFSlRY3f
柔らかかったぞってw

640 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/25 17:44:11 ID:ZbCfthOl
薮田災難だよ薮田

641 :勝負時(1/2) ◆vWptZvc5L. :04/12/25 23:11:40 ID:wDMVqqCV

バババババババ……

遠くの方から轟音がだんだん近づいてくる。これは間違いなくヘリコプターのプロペラ音だ。

「…来たね」
「ええ」

二人とも音が聞こえてきた方向を見上げる。川井はその方向を見ながら左手をそっとポケットに入れた。
辻の関心はヘリばかりに向いている。中に忍ばせてあるのはさっき手に入れた事務用カッター。
ポケットの中でそれを掴むと、カリカリと刃を出した。この轟音の中では、その音は辻に届かない。
これで舞台は整った。あとは切りかかるタイミングだけ。狙いは頚動脈。その瞬間が来るのを待てばいい。
川井は顔をヘリの方向へ向けつつも、横目で辻の様子を観察していた。

ヘリは二人の数百メートル先で旋回を繰り返し、彷徨っている。
ドアは開いたままだ。物資を落とす場所を決めかねているのか。
辻はその様子を睨みつけるように見ている。

どこだ、どこで落とすんだ!?物資が落とされたその瞬間が勝負だ。
落とされた瞬間にその場所に向かう。そしていち早く、強力な武器を探し出す。
きっと隣の川井も同じことを考えているに違いない。
でも投下場所にに駆け寄るスピードは、自転車の自分のほうが断然有利。
勝てる。川井より早く、武器を手にできる。
それで、もし川井が不審な動きを見せるようなら殺しても構わない。
俺は絶対に生き残る。どんな手を使っても。

642 :勝負時(2/2) ◆vWptZvc5L. :04/12/25 23:12:49 ID:wDMVqqCV
そしてようやくヘリの動きが止まる。投下場所が決まっただろうか。
大きな袋状のものが投げ下ろされた。その先には落下傘がついている。

――「来た」

辻がそう思ってペダルを踏み出すより早く、首筋に焼けるような熱さが走った。
目の前を赤い飛沫が勢いよく飛び散っていく。その様子がぱっと広がった落下傘のイメージと重なった。

薄れゆく辻の意識がとらえたのは川井のほくそえむ顔と、左手に握られたカッター。
その光景が何を意味するのか理解する間もなく、辻は自転車ごと地面に倒れる。
ガシャーンという音が響き渡る。前輪が倒れた勢いで空回りしていた。

川井は目を見開いたまま、顔をこわばらせている辻を見下ろす。もう息はない。
その顔にはさっきまでの気弱そうな表情はなく、仮面の下に隠されていた本性がうかがえた。
「甘いなぁ〜、つーじちゃんっ♪ 勝負かけるの遅すぎなんだよ。ケケッ」
辻の体からかばんを引き剥がすと、中身を地面にぶちまけた。
中身はいらない。必要なものは投下場所に行けば手に入る。
武器を入れておくかばんさえあればいい。ただ、地図だけは拾っておいた。
「ずっと上ばっかり向いてるんだもん。君の首は切りやすかったよ♪」
少してこずったが滑り出しは順調だ。僕は生き残る。どんな手を使っても。

空っぽになったかばんを持つと、探知機が手に入ることを期待しつつ、
川井は武器の投下場所に向かって走り出した。

643 : ◆vWptZvc5L. :04/12/25 23:14:49 ID:wDMVqqCV
すみません、脱字発見。 >>642の1行目
× 投下場所が決まっただろうか → ○ 投下場所が決まったのだろうか

644 :Juggling(1/3) ◆h9KcvsENgk :04/12/26 00:20:27 ID:PIs70lAU
――パン!――
痺れの残る足を進めぬかるむ足元を踏みしめていく。
金澤岳が乾いた銃声を聞いたのは林の外れを歩いていたときだった。
この音は明らかに近い。それがすぐ判るくらいにはっきりとしたものだった。
近くに銃を持った人間が居るのは確かだろう。
それならば・・・どうするか。
武器は欲しい。橋本に奪われたきりで今の彼にはスタンロッドしか頼れるものがない。
うまくで隙を突ければ銃が手に入るかもしれない。
だがリスクも大きい。返り討ちに遭っては元も子もない。
まだ痺れと痛みの残る体ではどれだけ動けるかも判らない。
もしかしたら今からでも「ボーナス」のところに向かったほうがいいのかもしれない。
金澤が決めかねながらもふらふらとその音の方向へと歩いていくと、
すっと林が開け、その少し離れたところにいた二人の人間の姿が眼に入ってきた。
思わずしゃがみこむ。
「誰だっ」
男がこちらを振り向く。しまった、気づかれた。
そこに居たのは小宮山だった。彼は後ろの人を庇う様に前に出た。
右手には黒光りする拳銃。そしてその影にもう一人。
どうする、どうすればいい。金澤は考える。
右手のものを握り締める。だめだ、これじゃ今は無理だ。
素直に呼びかけに応えて出て行くしかないか。
「金澤です。小宮山さん」
立ち上がって答える。その姿に今度は小宮山が驚いた様子だった。
その顔を見て金澤は自分の今の状態に気づき、それを忘れていた自分に呆れた。
黒ずみ始めていたがしかし一目でそうと判るような返り血。
「金澤・・・お前どうしたんだ。そのユニフォームは」
「え、ええ。ちょっと、いろいろありまして・・・」
沈痛そうな顔を作る。少しの動揺といくらかの演技を隠す。
「雅彦さんの死に目に、遭いました。これはその時のです」
小宮山の後ろに居た人間がビクっと反応した。
それでようやく顔を判別できた。そこに居たのはもう一人の捕手。
杉山さんか。

645 :(2/3) ◆h9KcvsENgk :04/12/26 00:21:40 ID:PIs70lAU
「お前が、殺したのか?」
小宮山の声が低くなる。目つきは鋭い。
この人にはヘタなことは言えない、それを肌で感じた。
「いや、ああ僕の武器これですから殺すなんて」
スタンロッドを小宮山に見せる。それは先刻、あの人が置いていったもの。
「僕が会ったときにはもう死にかけてて・・・」
嘘は言っていない。
小宮山の目から緊張と警戒は抜けず、変わらずに厳しい視線を浴びせかけている。
「・・・・・・まあ、いいや。とりあえず座れよ」
大木の陰は雨宿りするには悪くない場所だった。
木の下に三人、男が黙って座っている。その空気は冷たく乾いていた。
「痛そうだな。おまえ、脇腹でも打ったのか?」
少しの沈黙の後、小宮山が切り出す。
この人はよく見ている。ボロはだせない。
「橋本さんに、やられました」
「は、橋本もゲームに・・・・」
今までずっと黙っていた杉山が声を上げる。
「これがその証拠なんです。橋本さんも・・・」
「そんな、だってあの人はそんな・・・」
「まだそんなこと言ってるのか」
小宮山が口を挟み、金澤をじっと睨む。
「信用、してもらえませんか?」
嘘は言っていないが。
「そう答えるなら、俺はこうするしかできない」
そういいながら小宮山は右手を向けた。手のひらに光るものは黒く。
鼻先50cmに銃を突きつけられる。
「これ以上、そんなことをぬかしてるならな」
小宮山の目は冷たく見えた。これは、本気の眼だ。
そう思った瞬間、体が強張り緊張に引き戻され不用意に動いた自分を少し後悔した。
最初から今までこの人は疑いを解いていない。
この人は自分のことを全て見抜いているのかもしれない。
そうなら多分、小宮山さんは本当に打つ。

646 :(3/3) ◆h9KcvsENgk :04/12/26 00:22:28 ID:PIs70lAU
だが、俺はまだこんなとこで死ねない。
小宮山の指に力が入るのがわかった。
その刹那。
金澤はスタンロッドを小宮山へ打ち込む
完全に虚を突いたその脇腹への一撃はしかし決まらない。
小宮山は傍らのカバンを左腕で乱暴に掴みその軌道へと振り回していた。
ロッドは叩き落され、金澤は反射的に体を翻し後ろに飛びのいた。
「信じてもらえてませんでしたか」
転がったロッドに眼をくれず、金澤は小宮山を見て言った。
「僕の動きを予想してなきゃ今のはないですよ」
「杉山は、それでも何もしなかったぞ」
「そうですか」
信用、信頼、か。
「タスクさんや杉山を信じて、僕は信じてもらえないんですか」
「お前の様子を見りゃそれくらいはわかる。それが」
「バッテリーですか?」
「チームメイトだ」
何で、何で皆こう言い切れるんだ、こんなところで。
そう叫びをあげるのを、金澤はすんでのところで堪えた。
代わりに小宮山をぐっと睨む。
「行くなら行け。今は撃たないから俺と杉山の前から去ってくれ」
有無を言わせぬ口調の小宮山。
金澤はそのまま後ろへと下がり、林に入ったところで駆け出した。
それを見送る杉山はどこか上の空につぶやく。
「小宮山さん・・・・金澤は・・・」
「わからねえよ、どこまで本当のこと言ってたかなんて。」
「・・・・・・」
「だけどな」
小宮山は金澤が見えなくなったのを確認して弾のないコルトガバメントを鞄にしまう。
「信じてなかったのは、お前だよ。金澤」

647 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/26 00:35:52 ID:PIs70lAU
とりあえず先に失礼して一つ投下させていただきました。
先は無いので書かれる方どうぞお願いしますです。

648 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/26 00:55:38 ID:PIs70lAU
たびたび失礼します。
コピペミスってました・・・orz

3/3の下から8行目
「金澤はそのまま後ろへと下がり、林に入ったところで駆け出した」
の行頭に、「ロッドを拾うと」と加えてください。
ほんとすみません。

649 :雨の中(1/3)  ◆1Y1lUzrjV2 :04/12/26 02:56:45 ID:/AITGlUP
 金澤が去った後、杉山は放心状態であった。
 攻撃を仕掛けてきた金澤、それを予期して応戦した小宮山。
 自分は何もできずにいた。まさか、金澤が攻撃をするとは…。
「金澤は…雅彦を、本当に」
「いや…確証はない。ただ、俺達とは行動できっこない状態ではある――」
小宮山の言葉を聞いて、杉山は目を伏せた。
「信じるっていうのは、難しいものですね」
杉山の言葉は自らにそう言い聞かせているようにも聞こえた。
「…そうだな、難しいよな。それでも、信じられる相手がいるのは、ラッキーだ」
「黒木さんのことですか」
「まあ、あいつだけに限ったことじゃないけどな。このチームにいたから…そういう
仲間がいて良かったというかな。まだ、どうにかできるんじゃないかという気も、
してきた」
 さっきまでは絶望していたんだけどな、と言って小宮山は地面に目をやった。
「………」
 杉山は何も言えずにいた。先ほどの小宮山との出会いから共に行動しているわけだが、
まだ黒木に対する不信感というのが完全に払拭できたというわけではなかった。


650 :雨の中(2/3)  ◆1Y1lUzrjV2 :04/12/26 02:58:58 ID:/AITGlUP
 あのとき小宮山は弾のないコルトガバメントで杉山を撃ち(正確には「撃つふりをした」
のだが)『アイツのもこういうことなんじゃないか』と言った。
 そうであったらいい、と思った。あの黒木さんが、人を撃つなんてことあるはずない――。
 でも、まだ、あのシーンは脳裏に残っていた。
 今自分がこうして大木の下で雨宿りをしていられるのは小宮山と一緒にいるおかげ
だろうと思う。先ほどの金澤との接触を思い出しても、そう感じる。金澤がロッドを
打ち込んでいた時点で、きっと自分は気を失うか―もしかしたら、殺されていたのかも
しれない。そう思うと、ぶるっと体が震えた。

 しっかりしなければ、と思うがこの『試合』への恐怖が頭から離れてくれない。
 そして、『試合』による『死』への恐怖も。
 俺は野球が好きなだけで…。
 このチームが好きなだけで…。
 杉山の思考はさまざまなところへ飛んでいた。
 死にたくない。
 死にたくない。
 野球を、やりたい。

 「杉山」
 自分を呼ぶ小宮山の声に、意識が現実へ戻る。
 「…雨がやんだら、動くか」
 小宮山が言った。


651 :雨の中(3/3)  ◆1Y1lUzrjV2 :04/12/26 03:00:48 ID:/AITGlUP
 「こ、小宮山さん」
 「何だ?」
 「これからどうするんですか」
 そう、行動を共にしているものの、小宮山がこれからどう行動するかというのが
杉山には解らなかった。おそらく、黒木を探しているのだろうという予想はついたのだが、
それ以上のことは何も解らなかった。
 小宮山は先ほどより小さな声で、
 「…システム、っていうのを壊したいと思っている」
と、告げた。
 「どういうこと…です、か?」
 なぜか急に緊張してしまい、声が震える。
 「きっと、スタジアムにこの『試合』に関する何らかのシステムがあるはずだと俺は思う。
外部との連絡やあのばからしい放送なんかは他のところじゃできないだろうしな」
 「でも…」
 「10人が生き残る、と監督が―まあ、もうそう呼びたくもないけど、ともかく
そう言っていただろう? 俺は、もう、これ以上の犠牲は出したくない。だったら、
この『試合』をやめさせないと」
 小宮山の顔は真剣だった。
 「でも、そんなの、方法が…」
 「いろいろ考えてはいるが…、まだちょっと条件が満たされてなさ過ぎる」
 「はあ…」
 『頭脳派』と呼ばれた男の横顔を、杉山は口をぽかんと開けて見つめていた。
 

652 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/26 20:31:23 ID:FSnO3Pt+
hoshu

653 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/27 00:58:05 ID:0T6RIGv7
保守

654 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/27 19:36:43 ID:DCxV8sRc
ほす

655 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/27 20:10:34 ID:lrUXSbAn
保守

656 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/28 03:15:33 ID:/wleNspB
ぬるぽ

657 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/28 13:49:46 ID:xDeuQgnI
>>656
ガッ!

658 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/28 21:51:10 ID:kQ5rI4M0
もるぱ

659 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/29 05:12:00 ID:sf5pZY+4
hoshu

660 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/29 15:53:06 ID:z2DshRJs
hoshu

661 :ドライブ(1/5) ◆QkRJTXcpFI :04/12/29 19:13:44 ID:pNl/IcM0
左肩が痛い。
治療したかったはずなのに、そのために街に来たのに。
振動が傷口をほじくり返している。
急加速、急停止、そして左へ右へ振り回されて。
見えない力に傷口を抑え付けられ、撫でられる。
やめろ、触るな。
振り払おうとしても、加速度によるGは青野毅の手をすり抜けていく。
「ぐぅ・・・っ」
痛みは確実に広がってきてる。やばい、このままじゃ手遅れになる。
そしたら自分の野球選手生命も終わりだ。

「落ちろ、ぐぉらぁっ! くっすぉっ、ごのあほったれめ!」
青野の横にいる鬼、もとい小坂誠がまた叫んだ。
さっきから何度となく口汚い言葉が車内に響く。
憤怒でろれつが回らないのか、東北なまりの罵声が更に聞き取りづらくなってきた。
ハンドルは右に左に回り続ける。縁日で買った風車が一瞬浮かんだ。
(あぁ、そういや縁日なんて最近行かなくなったなぁ・・・)
青野は体を振られながら、目の焦点が定まらなくなった。
(はっ! 何を昔のこと思い出しとるんや、自分。これじゃ・・・)
左肩の痛みがぼんやりとしていた。痛みに慣れてしまったのだろうか。
しかし、そのジワリとした感じが肘から首の付け根まで広がっているのだ。
(死なないやろ・・・まさか、この怪我じゃ。
 でも、頭がうまく働かなくなってきてる気がする。やばいわ・・・。)
外には街の風景が広がっている。
一瞬誰かが道脇に立っていた気がしたが、すぐ通り過ぎてしまった。
泥水が車の外で、しぶきを上げていた。

バン!
手だ。青野の目の前のフロントガラスに、手の平が打ち付けられる。
サブローの手だ。血に濡れてべたりとガラスに張り付いていた。
「けっ、そうはさせねぇぞぉっ!!」
小坂の足がブレーキを踏み潰す。

662 :ドライブ(2/5) ◆QkRJTXcpFI :04/12/29 19:14:35 ID:pNl/IcM0
青野の体が前に突っ込む。青野がそれに気づいたときには、頭はフロントガラスのすぐ前。
(あ、小坂さん自分はシートベルトしてな・・・)
一瞬真っ暗になった。気づくと、チョリチョリと細かいガラス片が首の間を落ちている。
「はっ! ・・・ぐああっ!」
頭と左肩が車の外に出て、フロントグラスに大穴を空けている。
その状況を分かるより先に、ぼんやりとしていた左肩の痛みが突然復活した。
今まで溜め込んでいた痛みが堰を切った。
「ああ! ああ!」
のた打ち回ろうにも、自分の胴の大きさ分だけ空いた穴が青野の体をロックする。
小坂が構わずハンドルを振る。穴のへりのギザギザが体に食い込み更に痛い。

すぐ目の前に、先ほどの急ブレーキで上半身がフロントに乗り上げたサブローがいた。
ワイパーを両手で掴み、車のGに耐えている。目がギョロッと青野の方を見た。
その目からは感情を読み取ることはできない。もっとも青野にそんな余裕は無かったが。
(殺される!)
青野はどうにか車内に戻ろうとしたが、穴に体がガッチリはまって抜けない。
「小坂・・・先に殺す」
「ああ?」
そのサブローのつぶやきに青野は混乱した。
理由が分からないかった。小坂が何をしたのだろうか?
そんな青野の耳を小坂の叫びが貫く。
「前が見えねだろがぁっ! 早く落ちれぇ!!」
青野が車の進行方向を向くと、民家のブロック塀があった。
真っすぐに向かってくる。
「わああああ!」
青野は力任せにフロントグラスの穴から体を引き抜いた。シートに体を突っ込む。
「前は壁や!ハンドル!」
小坂はハンドルを大きく右に切る。
左方向への大きな加速と共に、車はブロック塀をかわした。
サブローの体が左方向へ飛ばされた。
そしてサブローは掴まった。掴まれるところがあった。
フロントグラスに開いた大穴のへりだった。小坂が舌打ちをした。

663 :ドライブ(3/5) ◆QkRJTXcpFI :04/12/29 19:15:11 ID:pNl/IcM0
穴に手を引っ掛けながら、サブローは車の横で落ちるのをこらえていた。
彼を支えているのは左の腕一本。
穴の周辺のギザギザがサブローの手の平に食い込んで、血がガラスを伝った。
青野は信じられないという表情で叫んだ。
「なんで・・・なんで、ここまでして殺したいんや!?」
「けっ、何言ってやがる。殺るか殺られるか、それがここのルールだろが!」
小坂が一喝した。
(小坂さん、あんた・・・さっきは殺す気はないとか言うとったのに!!)
左を見ると、少しずつ体を車のボンネットに乗り出そうとするサブローがいた。
右を見ると、青野の様子を気にする様子もなくひたすら車を操作する小坂がいた。
「小坂さん、本当に自分たちはサブローさんを殺さなくちゃいかんのですか?」
「馬鹿か、こんの坊主が! だったら勝手に死んでろ!」
その激しい言葉は、しかし青野の頭にすうっとしみ込んだ。
(確かにこのままこの状況に居れば、本当に死ぬわな。)

肩の痛みがまた引いた感じを青野は受けた。先ほどと同様、ぼんやりとした痛み。
しかし頭はぼんやりとせず、研ぎ澄まされた感覚になっていくのがわかった。
(野球選手生命どころじゃないなぁ。)
ふと田中良平の顔が浮かぶ。
何か言っているようだが聞こえない。
(なんや、良平。わかっとる、わかっとるわ。
 もう何度も死にかかっとるわ、自分。結局、ここはこういう所なんか知らんな)
良平の口の端が少し上がる。いつも通りの顔だ。
戸部を殺そうといってみせた、その顔だ。
(お前の言ったこと、少し分かる気がするわ。
 けどな、だからって俺がそうすると思ってるんか?)

「小坂さん、武器はないんですか?
 俺の麻酔銃はもう弾がありません。」
「あ? 袋にアイスピック、入っでる!」
「わかりました・・・ところで小坂さん、さっきサブローさんが
『小坂・・・優先して殺す』って言ってたんですけど、何か心当たりは?」

664 :ドライブ(4/5) ◆QkRJTXcpFI :04/12/29 19:15:49 ID:pNl/IcM0
小坂の袋の中を探りながら、青野は小坂の表情をうかがっていた。
小刻みに車を操縦しながら、小坂はしばらく沈黙した。
「・・・リストか」
「え、今なんて?小坂さん。」
「雅英が運営側について、みんなを殺して回ってるらしい。
 しがも、生き残り希望者のリストが渡されてる。僕もお前も入ってねぇけどな!」
「雅英さんが?」
「リストが雅英に渡る前に、手に入れちまったんだ。
 運営側のやつらこっちの動き見てんならそのことも知れてるだろ。
 生かしとくと都合悪いんでねぇか。サブローも運営側についてるとすれば、たぶんな。」
「なるほど。」

ザシュッ。
小坂の首にアイスピックが埋まった。
「がぁっ・・・!」
小坂が青野を見る。まったくもって予測の外という顔だ。
「全部、あんたが原因かい。
 運転も乱暴やし、こっちは死にかかっていい迷惑や。」
青野の顔つきが冷たく固まっていた。
目の前にはまた良平の顔が浮かぶ。
(なんや良平。笑っとるのか?
 あかんわ、やってもうた。こんなことするつもりはなかったのにな。けど・・・)
「こっちだって色々悩んでたんや!
 それやのに、小坂さんがそんなこと言いはるからつい・・・」
青野は小坂につっかかるが、小坂の首がカクンと落ちた。
「ははは」
青野は笑う。自分でもわけがわからなかった。
車は徐々に減速していった。
「ははは、そういえば、運転誰がすんのこれ?」
サブローがいつの間にか車のボンネットの上に身を乗り出していた。
フロントグラスの穴から侵入しようとしてきている。

665 :ドライブ(5/5) ◆QkRJTXcpFI :04/12/29 19:16:58 ID:pNl/IcM0
「もう俺がやりましたよ、サブローさん」
そう言って、青野は車のドアを開けた。
速度はだいぶ落ちている。
小坂の袋を掴み、体を丸めて一気に外へ飛び出した。
コンクリートに転がって体をあちこち打ったが、痛みは不思議と感じなかった。

青野が車のほうを向くと、車はどんどん遠くへ走っていった。
そのまま民家の壁にぶつかる。石の砕ける音がした。
ボンネットから投げ出されたサブローが起き上がり、車の中に入っていく。

「あかん、自分もさっさと行かんと危ないな。
 サブローさんに追っかけられたらかなわん」
青野はよろよろと立ち上がる。痛みはないが、いくらか動かしづらかった。
その顔はなにかを吹っ切ったような、清々しい顔だった。
「なんかええ気分や。さてどこ行くかな、これから。
 誰かを特別殺そうとは思わんしなー。会って、その人の殺る気次第や」
バババババ
青野の上空をヘリが通過していった。
「物資の投下か・・・薬とか治療に使えるもんもありそうやな」
ヘリの行く方へ歩きながら、小坂の袋を探る。
一枚の紙がある。
「これが小坂さんの言ってたリストか。ま、どうでもええ」
青野はリストを袋に戻し、よたよたと歩き出した。

(あれ?ここはどこだ・・・)
小坂の視界がぼやけて消えかかる。
その端に映るサブローの姿はよく認識できなかった。
認識できているのは大穴の空いたフロントガラス、血もついている。
そして石がかぶさりボコボコに凹んでいるボンネット。
(・・・誰だよ? スカイラインをこんなボロボロにしたやつは・・・酷いなぁ)
ため息をつこうとしたが空気が口から出ない。眠気を感じ、小坂は目を閉じた。
【1小坂誠× 残り31名】

666 : ◆QkRJTXcpFI :04/12/29 19:20:09 ID:pNl/IcM0
投下は年内最後かも。
オフの間の暇つぶし、今後も気楽に頑張ります。
みなさん良いお年を。

667 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/29 21:01:22 ID:0TyAP2Ll
こさっち・・・

668 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/29 22:17:40 ID:u/ot9Dkh
こさっち…
ジョニーが知ったら…・゚・(ノД`)・゚・

669 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/29 22:47:37 ID:B3pC2yE/
会長・・・

670 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/30 00:07:59 ID:p3WlbQXj
こさっち・・・最後があんな死に方・゚・(ノД`)・゚・


671 : ◆loyOjt0Af. :04/12/30 00:57:34 ID:t8h8hxhk
「逆襲の薮田2(1/2) 〜鬼謀〜」

「見えてきたな・・・アレか?」
「えぇ・・・。」
二人には巨大なスタジアムがそびえ立つ島が見えてきていた。
「肩は平気か?」
「ちょっと動かせないですね・・・痛みます。出血は・・・止まったかな?」
愛甲は撃たれた薮田の左肩を気遣う。
「肩は平気ですよ。問題は・・・どうすれば終わらせられる?」
「やはり管理側を乗っとるべきだろう。山本さんを人質にとるとか・・・。」
「でも、どうやって・・・?」
島までもう1〜2kmまで迫りながら打つ手が見当たらない二人。
「・・・たしかオマエ達は動向もチェックされていたんだったな?」
「はい。体内に発信機を入れられてるはずです。」
「そうか・・・・・・・・・!?」
突如、愛甲の脳裏に閃光が走る。
「愛甲さん?」
「管理・・・乗っとれるかも知れないぞ。危険だが・・・。」
「え!?」
「ふっ・・・こういう作戦はどうだ?」

・・・・・・・・・

「・・・やりましょうよソレ!」
「オマエに危険な役割を強いるが・・・。」

672 : ◆loyOjt0Af. :04/12/30 00:59:46 ID:t8h8hxhk
「逆襲の薮田2(2/2) 〜鬼謀〜」

「もう覚悟はできてますよ・・・。」
この一年、チームの勝ち負けを一身に背負ってきた漢の顔がそこにはあった。
(ふふっ・・・あの頃は甘さの残る寝惚けた顔だったがな・・・)
頼もしく成長した後輩の顔に思わず笑みをこぼす愛甲。
「もう一度聞く。肩は大丈夫か?」
「えぇ、痛みなど関係ありません。肩がちぎれようと走りますよ。それに俺はピッチャーですから。」
「走りこみは充分・・・か。」
二人は互いの顔を見合う。危険な死地へ挑むにも関わらず、漢達の顔は晴れやかで清々しい。
愛甲は頭に巻いていたタオルで薮田の肩をしばる。そして、もう一度互いの顔を見合う。
「行くか。」
「ハイ!」
愛甲はアクセルを全開にし島へ艇を走らせる。自分の粘り次第であるこの作戦に覚悟を決める薮田。

しかし、愛甲の考えたこの作戦が、この時既に破綻していた事など知る由もない二人であった―

673 : ◆loyOjt0Af. :04/12/30 01:03:41 ID:t8h8hxhk
自分も年内最後です。みなさんよいお年をノシ

小坂・・・

674 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/30 01:35:43 ID:Eq8ACfFD
小坂をやりやがった・・・・・・
青野・・・殺す・・・殺す・・・殺す・・・・・・

675 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/30 01:48:04 ID:+YlIUmor
こさっち……ああ、こさっち……・゚・(ノД`)・゚・
今日観たお涙頂戴モノの映画よりもはるかに泣くとは……




676 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/30 09:47:11 ID:8CThIJA0
ここまでみんなに惜しまれるとはさすがこさっち
そして薮田達の運命が気になりつつみなさんよいお年を

677 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/30 18:14:51 ID:6NBoRw8p
保守

678 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/30 18:25:48 ID:okuHEWVQ
こさっち…
車運転してないこさっちと青野ならいいコンビになれたっぽいのが
また…(ノД`)

679 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/31 02:32:11 ID:zEOi+l4/
こさっち…あんなにまったりしてたこさっちが…
この年の瀬にきてすごい衝撃が…
自分がこんなにこさっち好きだったとは気づかなかった…

680 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/31 03:17:27 ID:qyYJiUQg
恋人(GT-R)と一緒で一安心したところなのに・・・
こさっち切れさせたのって、リストの件も
かかわってるのかな。
青野も責められないし、むしろ誰もかわいそうだ。


681 :番外 園川一美と愉快なコーチたち16(1/4) ◆GDAA.BMJxc :04/12/31 08:37:03 ID:KtePqyCm
日が西へと傾き始めたころ、吉鶴たちはロッテ浦和球場に到着した。
ところが、浦和球場は3人がよく知っている姿とはかけ離れた姿を晒していた。
「…。」
「うわあ…。」
「これはひどいね。」
グラウンドは、とても一昨日まで二軍の練習が行われていたとは思えない惨状だった。
マウンドは踏み荒らされ、ベースはひっくり返され、ベンチも半壊状態だった。

三人はしばらく呆然としていたが、突然福澤が思い立ったかのように駆け出した。
「福澤さん、どこへ行くんです!!」
福澤は、吉鶴の呼びかけにまったく応じず、グラウンドの隅から隅まで駆け回ると、
片隅に放置されていたローラーを見つけだし、無言で地面をならし始めた。
「ええと…、福澤さん?」
吉鶴は福澤の動きと眺めているだけだったが、
何かを感じ取ったのか、しばらくしてトンボを探し出してきて、福澤の手伝いをはじめた。
荘は、ベンチ横に張り出されるオーダー表に貼り付ける写真を探していた。

3人の間に会話はなく、静寂の中から整備用具の物音だけが響いた。


682 :番外 園川一美と愉快なコーチたち16(2/4) ◆GDAA.BMJxc :04/12/31 08:37:37 ID:KtePqyCm
たった3人で行うグラウンド整備は、大変時間がかかったが、
日が傾き始めたころには、何とか様になってきた。
「ふう、こんなところかな。」
福澤は手を休めて一息ついた。
「そうですね。」
吉鶴も手を休め、使った用具をとりあえずグラウンドの隅にまとめた。
そして、内野を一周しながら、土の感触を確かめている福澤にたずねた。
「ところで、何でまた急にこんなとこを?」
「何でだろうなあ・・・。何というか・・・グラウンドを見たら、黙っていられなくなったんだよ。」
「はあ・・・。」
吉鶴は物思いにふける福澤を見やった。

福澤洋一―
1989年にドラフト外で入団してから15年あまり、
オリオンズがマリーンズと名前を変え、本拠地が川崎から千葉へと変わる中を生きてきた人物。
もちろん川崎と千葉マリンのホームベースを守る試合も多かったが、
ここ浦和のホームベースを守ったことも多々あった。
さらに今年は、2軍バッテリーコーチとして浦和で選手の指導にあったっていた。

―恐らく浦和球場の惨状で傷めた心の傷は自分の比にならないだろう。
そんなことをぼんやりと吉鶴が考えていると、
写真の束を脇に抱え、バッグを手に提げて荘がやってきた。
そしてバッグからグローブとボールを取り出し、
「野球しようよ!」といった。

683 :番外 園川一美と愉快なコーチたち16(3/4) ◆GDAA.BMJxc :04/12/31 08:38:43 ID:KtePqyCm
吉鶴は持って来ていたバッグからミットとバットを取り出し、福澤にミットを渡した。
そして吉鶴自身はバットを持ち、
投手:荘、捕手;福澤、打者:吉鶴の構図が出来上がった。

吉鶴は勝負強い打撃が売りで、かつてはノーヒットノーランを阻止したこともある。
荘は入団から5年連続二桁勝利を挙げ、
福澤はその荘とバッテリーを組んだこともある。
3人が同チームに所属していたため、見られなかった夢の対決が今ここに実現した。

吉鶴はバッターボックスに入って足場をならし、マウンド上の荘を見据えて、しっかりとバットを握った。
福澤はミットを構えて荘とサインの確認をした。
荘は福澤のサインを確認した後、ゆっくりとモーションに入り、丁寧なフォームで球を投げた。
恐らく全盛期ほどではないと思われるものの、それでも威力のある直球は、
吉鶴が振ったバットにかすることなく、福澤の構えたミットに納まった。
「あははは・・・。」
荘は楽しそうに笑った。
「ははは・・・。」
福澤も久しぶりに野球を楽しんだという感じで笑った。
「はは・・・。」
吉鶴もつられて笑い出した。
夕日がそれぞれの体を赤く照らす中、三人は笑いあった。

684 :番外 園川一美と愉快なコーチたち16(4/4) ◆GDAA.BMJxc :04/12/31 08:39:18 ID:KtePqyCm
しばらくして、福澤は吉鶴の肩に手を置いた。
「吉鶴…、これからの浦和のブルペンは任せたぞ。」
「…はい。」
「吉鶴くん、これから一緒にがんばろう!!」
「…はい!!」
三人は手を取り合った。
福澤は心なしか目が潤んでいるように見えた。
吉鶴も自分の涙腺が熱くなるのを感じた。

しかし、吉鶴は何かを忘れている気がした。
「なんだったっけなあ…?」
吉鶴が何を忘れているのか思い出そうとしている中、
「さて、明日からがんばろう!」
「荘さん、ちょっと待って!」
荘がグラウンドを後にしようとするのを、福澤が呼び止めていた。

685 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/31 14:46:50 ID:+z3+u4RH
こさっち・・・・゚・(ノД`)・゚・
青野、嫌いになりそう・・・。

686 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/31 18:32:35 ID:5h5F9ea/
こさっちの後で荘・・・惨んだ心が少し癒されたw

687 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/31 19:51:38 ID:cx6lrhAZ
帰省先よりケータイにて失礼します。
小坂書いた◆Qkr〜です。

思いの外反響が大きくておどろいてます。
小坂死亡シーンの細部を描いてないのはちょっとした続きがあるからでして。
少しお待ちいただければみなさまの悲しみ和らぐ展開がお届けできると思います。


微ネタバレすいません。
この流れのままほっておくのは申し訳ないので。

688 :代打名無し@実況は実況板で:04/12/31 21:02:18 ID:K2vaIqu8
>>687
おおっ期待しております!

689 :代打名無し@実況は実況板で:05/01/01 09:11:44 ID:DSTvp+Zn
捕手

690 :代打名無し@実況は実況板で:05/01/01 15:40:36 ID:962eUcCP
こさっち結婚記念書き毛

691 :代打名無し@実況は実況板で:05/01/01 15:43:19 ID:Ai+9wFjx
こさっち結婚おめでとう〜〜〜!!!
幸せになって家族もチームも引っ張っていってくれ〜〜〜!!!

692 :代打名無し@実況は実況板で:05/01/02 00:34:48 ID:Ezz7ZCkS
こさっちって愛されてるなあ・・・

693 :代打名無し@実況は実況板で:05/01/02 02:12:18 ID:sX7ll8wX
こさっち愛してるよ。ケコンおめ。
職人さんびびらせてしまってすみません、
予想外だったので取り乱してしまいましたが
おかげさまで落ち着いて正月休みが迎えられそうです。

694 :代打名無し@実況は実況板で:05/01/02 20:21:03 ID:qDVawoJ2
ほしゅ

695 : ◆QkRJTXcpFI :05/01/03 00:15:02 ID:BMjgM6Ib
明けましておめでとうございます。
言ってた通りさくさく投下します。
会長が結婚したのを知らずに書いてたせいでその辺食い違いが生じてますがご容赦ください。

696 :疾風のごとく(1/4) ◆QkRJTXcpFI :05/01/03 00:21:24 ID:BMjgM6Ib
 脳にチップを埋められて以来、サブローは滅多にまばたきをしなくなった。
その眼光はといえばただ小坂誠の姿一点に向けられるだけである。
 サブローの脳には某国の軍事技術によって開発された生体チップが埋まっている。
そのチップは微弱な電流パルスを脳に直接流し、脳の機能を強制的に励起する。
例としては運動の停止や、逆に運動機能のリミッターの解除などが挙げられる。
また外界からの刺激に対する遮断状態(痛みを感じない状態)、その逆として
外界への認識を高め、他者からの言葉を深く記憶する開放状態も可能である。
 山本エカ児が利用しているのはこの開放状態と、それによって浸透させた命令を
更にサブローの脳内に刻み付け実行させる機能である。
この実行機能は強迫観念や暗示といったもののようにサブローの中で繰り返される。

 青野毅が車から飛び出したが、サブローにそれを気にする様子はない。
サブローの意識は岩のように硬く何も受け付けない。小坂の殺害だけがエコーする。
スカイラインは操舵を失ったまま、時速数十キロで民家の壁に激突する。
前方部分が紙粘土のように押し潰され、破壊音が鳴り響いた。
 小坂の体は前方に飛び出し、ハンドルを避けて横の機械部分に突っ込む。
ラジオなどの備え付けられている箇所。小坂の体はそこにめりこんだ。
 車内へ侵入を試みていたサブローは、壁の方へ勢いよく投げ出された。
全身を打ち付けるが痛みは感じない。すぐに起き上がり車内へと侵入した。
小坂の体は力なくうなだれ、自身の体によって破壊された内装に埋め込まれている。
それを逃れた頭部で、眼がかすかに光を帯びていることをサブローは確認した。
フロントグラス越しに車の前方をぼんやりと見つめている。
サブローは小坂を生存と認識し、止めを刺すべく小坂の首に手を伸ばした。

(・・・誰だよ? スカイラインをこんなボロボロにしたやつは・・・酷いなぁ)
眠気を感じ、小坂は目を閉じた。
その惨状を生涯の愛車に重ねひどく悔やまれたが、気分は穏やかだった。
閉じたはずの目の前に思い出が走馬燈のように流れる。
いや、本当に走馬燈なのだろうと小坂は感じていた。鈍い意識の中の確かな直感。
自分のプロ野球選手としての人生を思う。

697 :疾風のごとく(2/4) ◆QkRJTXcpFI :05/01/03 00:24:18 ID:BMjgM6Ib

体の小ささはハンデであると皆が言った。彼にとっては誇りだった。
軽い体重は己の体を一瞬のうちにトップスピードに運んでくれる。
"打球の横から疾風のごとく飛び出してくる黒い影"と言ったのは誰だったか。
強打者の放つ打球、反応、踏み込み、蹴り、捕球、送球の全てが瞬間の世界だ。
ただ鋭い流線が折り重なる世界。鋭さの制する世界。それは他の誰も知らない。
誰もが守備で小坂に教えを乞うた。だが誰も彼の世界を見ることはできなかった。
それは誇りであり、孤高であることも意味していた。
 彼にとってスカイラインはそのスピードの世界を分かち合える友であり、恋人だ。
自分以上のスピードで風を受ける彼女に小坂は親近感と畏敬の念を抱いていた。
その奇妙な感情を他人は分からないと思ったし、小坂自身も奇妙だと感じていた。
しかし小坂だけが住むその世界を知る彼女は、人間の恋人とも違う特別な存在だ。

 薄れゆく意識の中で小坂は理解した。自分の気分の穏やかな理由を。
自分が死ぬのがスカイラインの中だからなのだろう。
ずっと追いつめられた24時間だった。追いかけ、恐怖し、追いかけられた。
心が壊れそうになりながら何度も耐えた。あふれ出しそうになりながらも抑え込んだ。
――この先このゲームを生き抜けるだろうか?
無理だろう。自分の心が人を殺すのに耐えられるとは思えない。全てが限界だ。
だとしたら、今こうして彼女と一緒に死ねるのは幸せなのかも知れない。
母の胎内にいた頃を小坂は覚えていない。が、今がそれに近いのではないかと思った。
母性なのか恋愛なのか、しかしずっとずっと一緒だった彼女。彼は深い愛情の中にいる。
小坂は消えかけの意識の中、傷だらけのスカイラインに詫びた。

698 :疾風のごとく(3/4) ◆QkRJTXcpFI :05/01/03 00:25:26 ID:BMjgM6Ib
 サブローの左手が小坂の首に伸びる。小坂の目が呼応するように閉じた。
だが、小坂の体が内装を破壊してめり込んでいる。締めるには不十分な露出だ。
それでも小坂の首に手を触れると、めり込んだ外装部分と首の間に手を差し込む。
強引にこじあけ、力任せに隙間を作った。内装のプラ板は悲鳴を上げて折れた。
小坂がめり込んでいるのは車内の機械部分であり、深くまで破壊されている。
破壊された部分からは基盤や銅線やらが露出しており、車にはエンジンがかかっていた。
バッテリーも生きており、弱い電流が流れていた。
小坂の首には青野にアイスピックで刺された傷があり、血がとくとくと流れていた。
サブローの左手からはフロントガラスで作った傷から血が流れ出していた。そして――
 パチパチィッ。小さな火花が小坂の首と、銅線と、サブローの手の間で弾けた。
「グ・・・!」
サブローがうめいた。
 弱い電流が小坂とサブローの体内を連結し、一瞬でサブローの脳内まで駆け上がった。
小さな電気ショック。山本エカ児の指令の際に受けた電流と非常によく似ていた。

 数秒の停止時間を置いて、サブローはすぐに動き出す。
小坂の首に手を当てると、すでに脈はない。命令の一つは完了していた。
意識の岩のような硬さはなくなり、小坂を殺すというエコーが止まる。
車から出て辺りを見回すが人間はいない。当面行うべき命令が発見できない。
(・・・ボクハ・・・シアワセカモシレナイ)
小坂の声だ。
サブローはもう一度車内へ引き返し、小坂の首に手を当てた。脈はない。
(サビシカッタ・・・ヒトリデ・・・)
またもや小坂の声が聞こえたが、目の前の小坂は間違いなくしゃべっていない。
「小坂、生きてない。でも、・・・死んでない?」
サブローは混乱した。車外へ出る。小坂はやはり力なく突っ伏すのみだ。
「命令、完了してない・・・? なんだ・・・?」
サブローがつぶやく。誰も答えない。向けるべき視点すら定まらない。
その状況に対応できるほどの思考力を彼は奪われていた。
耳を押さえながらふらふらと歩き回るが、その声は静まらない。

699 :疾風のごとく(4/4) ◆QkRJTXcpFI :05/01/03 00:26:13 ID:BMjgM6Ib
 開放状態のサブローの意識に直接声が流れ込んで、反響していた。
声というよりも小坂の意識と言った方がいいかも知れない。それは偶然だった。
漏電を媒介として小坂の最期の思考とサブローの脳内チップは導通したのだ。

 声は止まずに繰り返す。サブローの大きく見開いた目はどこも見ることができない。
殺すべき小坂は見つからない。それはサブロー自身の中に在るのだ。
 サブローの意識は水より柔らかくなっていた。そこに新たに声が流れ込んできた。
(ゴメンヨ、キミ・・・)
君。深い愛情。それは女性のイメージ。疾風がサブローの意識に吹きつけた。
波紋が起き、それが更に波紋を呼ぶ。サブローの意識が揺らぎ、内部で対流し始める。
彼がゲーム開始からずっと心の底深くに沈めていた澱みが、じわじわと舞い上がった。
「ミ・・・チ・・・ヨ。 ググ、グアアアア!」
それを振り切ろうとするかのように、頭を抱えサブローは走り出した。
次に殺すべき相手を、新しい実行命令を。彼はただひたすらに探す。
彼の目の前で、愛する妻は笑っていない。

700 :代打名無し@実況は実況板で:05/01/03 10:33:56 ID:0S3Tbe9X
>>696-699 GJ!
こさっちの愛に感涙・゚・(ノД`;)・゚・

701 :代打名無し@実況は実況板で:05/01/03 12:52:44 ID:pc3g9sgh
GJですた!
こさっち・・・・

702 :代打名無し@実況は実況板で:05/01/04 05:35:16 ID:YB9oEPZa
保守

703 :代打名無し@実況は実況板で:05/01/04 19:46:43 ID:slWSBnvE
控え捕手

704 :番外 愉快なカモメたち8(1/2) ◆vWptZvc5L. :05/01/04 23:25:25 ID:BhngTptm
「よし、着いたぞ!」
途中紆余曲折を経て、3羽はようやくロッテ新宿本社に到着した。
「ねーねー、さっきの続きなんだけど、兄ちゃんの中の人って…」
「(∩ ゚д゚)アーアーきこえなーい」
そんな会話をしながら正面玄関を通り抜けようとすると、低い声に呼び止められた。
「ちょっと、君たち。何の用だね」
声がした方を振り向くと、警備員と思しき中年男性が立っていた。

「何だよー、僕ら『千葉ロッテマリーンズ』のマスコットだぞ。顔パスじゃないのかよー」
マー君は警備員に聞こえないように、小声でリーンちゃんとズーちゃんに向かって愚痴った。
(しょうがないよ。マスコットになりすまして、中に悪い人が入ってるかもしれないんだし)
ズーちゃんは内心そう思ったが、どうせまた「中の人など(ry」と言われるのがわかっていたので黙っておいた。
そういえば…と思って、ズーちゃんは辺りを見回した。
何か異常に警備の人多いような気がする。普通は正面玄関に2,3人もいれば十分だろうに。
ざっと見積もっても10人以上はいるようだ。本社っていつもこうなんだろうか?

「実はですね――」
マー君がそう言って事情を説明しようとすると、それを押しのけて話し始める者がいた。
リーンちゃんだった。

705 :番外 愉快なカモメたち8(2/3) ◆vWptZvc5L. :05/01/04 23:28:29 ID:BhngTptm
「ヤバイ。マリーンズヤバイ。まじでヤバイよ、マジヤバイ。
 マリーンズヤバイ。
 まず選手と連絡取れない。もう連絡取れないなんてもんじゃない。超連絡取れない。
 連絡取れないとかっても
 「周りと連絡を絶って秋季キャンプに熱中してるくらい?」
 とか、もう、そういうレベルじゃない。
 何しろ選手が行方不明。スゲェ!なんか消息とか無いの。キャンプとか練習とかを超越してる。行方不明だし超連絡取れない。
 しかも球団事務所とも連絡とれない。ヤバイよ、球団事務所ごと消息不明だよ。
 だって普通は選手とかいなくならないじゃん。だって選手がだんだん減って球団が成立しなくなったら困るじゃん。
 内野守備が初様だけとか困るっしょ。
 選手が行方不明になって、昨日は球団事務所だったのに、今日になったらCMBR管理本部とか泣くっしょ。
 だから他球団の選手とか行方不明にならない。話のわかるヤツだ。
 けどマリーンズはヤバイ。そんなの気にしない。選手失踪しまくり。
 球団事務所に問い合わせしようとしても連絡取れないくらい行方不明。ヤバすぎ。
 行方不明っていたけど、もしかしたら居所わかってるかもしんない。でもわかってるって事にすると
 「じゃあ、CMBRってナニよ?」
 って事になるし、それは誰もわからない。ヤバイ。誰にも分からないなんて凄すぎる。

706 :番外 愉快なカモメたち8(3/3) ◆vWptZvc5L. :05/01/04 23:29:51 ID:BhngTptm
 あと超球界再編。約1近鉄。マスコットで言うと100バフィ。ヤバイ。酷すぎ。署名運動で反対する暇もなく消される。怖い。
 それに超球団合併。超理不尽。それに超ファンの声無視。
 福岡ロッテホークスとか平気で出てくる。福岡ロッテホークスて。小学生でも言わねぇよ、最近。
 なんつってもマリーンズは親会社が凄い。行方不明とか平気だし。
 うちらなんて行方不明とかたかだか噂で出てきただけで上手く理解できないから球団事務所行ったり、無免許運転したり、
 ロッテ本社に行ったりするのに、マリーンズは全然平気。行方不明を行方不明のまま扱ってる。凄い。ヤバイ。
 とにかく貴様ら、マリーンズのヤバさをもっと知るべきだと思います。
 そんなヤバイマリーンズOBの愛甲とか超失踪。もっとがんばれ。超がんばれ」

マー君とズーちゃんはそれまで大人しかったリーンちゃんが急に豹変したので、
驚きのあまりその様子をぽかーんと眺めるしかできなかった。
もちろん警備員も、ものすごい勢いでまくし立てるリーンちゃんに押されてしまっていた。

707 : ◆vWptZvc5L. :05/01/04 23:34:07 ID:BhngTptm
2つじゃ収めきれませんでした。
今、スレの容量が481KBなので
そろそろ次スレの用意をしたほうがいいかもしれません。

708 : ◆QkRJTXcpFI :05/01/05 12:08:38 ID:UWlBryVU
ノ ttp://monoganac.ddo.jp/up/src/milktea0324.zip
年始の挨拶にイメージムービーFLASHドゾー
zipを開いて、ファイルにあるhtmlを開いてご覧ください。

709 :代打名無し@実況は実況板で:05/01/05 17:53:16 ID:0DlVUjor
脱落

710 :代打名無し@実況は実況板で:05/01/05 18:09:09 ID:NORg8jpV
>>708
・・・漏れのPCでは見れませんOrz

711 :代打名無し@実況は実況板で:05/01/05 20:14:51 ID:lDXIxtpO
>>708
GJ!・・スンスケの背番号が30になってますがw

712 : ◆QkRJTXcpFI :05/01/05 20:51:43 ID:zHNW/IRw
ttp://och.web2.poporo.net/cgi-bin/up/img/4605.swf

背番号orz
修正しました。
あとめんどくさそうなのでswfファイルそのまんまうpしてあります。
なんとか開いてご覧ください。

713 :代打名無し@実況は実況板で:05/01/05 21:01:59 ID:HuZ13CgJ
>>712
GJです
追い討ちをかけるようですが、平下の背番号も26になってますよ

714 :代打名無し@実況は実況板で:05/01/05 23:32:56 ID:fvtYM3e1
>>712
GJ!

715 :代打名無し@実況は実況板で:05/01/06 01:32:07 ID:p6vW2MN9
>>712
GJっす!

・・・すいません、番外編の薮田の辺りで爆笑したの自分です。

716 : ◆QkRJTXcpFI :05/01/06 01:51:12 ID:Gr6V5+lg
ttp://och.web2.poporo.net/cgi-bin/up/img/4626.swf

平下も直しましたorzorz
作るときに確認したのに確認になってなかった・・・

717 : ◆QkRJTXcpFI :05/01/06 01:54:50 ID:Gr6V5+lg
言い忘れ。
縦3×横4ぐらいのサイズで作ってますのでそれでご覧ください。

好評なようで何よりでした。

718 :代打名無し@実況は実況板で:05/01/06 02:08:41 ID:Uj1WFqca
うをーカコイイ!GJです

719 : ◆CLM31pWOr6 :05/01/06 03:59:52 ID:yOaUNbeG
>>716
非常に乙です。
保管庫の方にもうpしておきました。


カコ(・∀・)イイ!!!!

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